土木学会論文集F
Online ISSN : 1880-6074
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63 巻, 4 号
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技術展望
  • 中林 正司, 西岡 敬治, 小林 潔司
    2007 年 63 巻 4 号 p. 494-505
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/20
    ジャーナル フリー
     阪神高速道路は昭和39年に環状線の一部2.3kmを供用して以来,約40年後の今日では総延長233.8kmのネットワークを形成し,1日平均約90万台の利用台数を数える.阪神都市圏を支える最も重要なインフラの一つであるため,その維持管理水準は高いものが求められる.旧阪神高速道路公団では従前より維持管理の合理化に取り組んでおり,一定の成果を上げていたところであるが,平成15年には民営化に向けて管理費について3割縮減と数値目標が示され,さらに,一層の合理化を求められた.本稿では,このような維持管理費の縮減による現状における影響を検証するとともに,中長期的に最適な維持管理計画の策定を支援するために開発した橋梁マネジメントシステム(H-BMS)と,さらに,維持管理業務の継続的改善に資するために開発したロジックモデル(HELM)について述べるものである.
和文報告
  • 井上 義之, 永井 宏, 松川 努, 中園 眞人
    2007 年 63 巻 4 号 p. 426-436
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
     社会基盤整備を巡る情勢は大きく変化し,地域住民の合意形成と連携が問われる時代となった.しかし,従来の土木技術者や有識者による景観デザイン決定手法には,一般利用者の意向が反映される機会に乏しく,マニュアル化された標準型設計に代わる新たな景観設計とそのデザイン決定方法については十分な議論が行われていない.本報告は,日本の玄関口である関西空港自動車道泉佐野料金所を対象に,SD法による心理評価手法を用いて,設計部局により決定された料金所のデザイン案と,一般利用者が評価したデザイン案を比較分析し,新たにデザインされた料金所の評価と設計プロセスの妥当性を検証し,景観設計の方法について論じたものである.
  • 麻生 稔彦, 後藤 悟史, 田畑 晃, 宮本 文穂
    2007 年 63 巻 4 号 p. 460-468
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
     耐候性鋼橋梁の建設数は増加するものと予想されるが,本来の防食性能を発揮させるためには,耐候性鋼材の特性ならびに使用環境について理解することが必要である.本報では九州・山口地域の耐候性鋼橋梁を対象としたさび外観調査結果をもとに,さび外観評点と環境要因との関係を検討した.構造データ,地形データおよび気象データを説明変数とした数量化理論I類による分析から,さび外観評点には離岸距離のみならず平均気温や降水日数が影響することが明らかとなった.また,数量化理論I類により得られる回帰式を用いて九州・山口地域の橋梁のさびレベル推定を行った結果,推定値と調査値は良い対応が見られた.
  • 石川 達也, 関根 悦夫
    2007 年 63 巻 4 号 p. 506-516
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,L2地震動に対応したバラスト軌道の耐震設計法を確立するために実施する縮尺模型バラスト軌道の振動台試験の妥当性を確認する目的で,実軌道で使用されている道床バラストとその1/3相似粒度の単粒度砕石を用いて砕石盛土の振動台試験を行い,水平加振時の粗粒材料の動的応答特性に対するスケール効果の影響について検討した.その結果,道床バラストとその1/3相似粒度試料を用いた砕石盛土の動的応答特性は定性的にほぼ一致することを示し,相似粒度試料の振動台試験結果に基づいた水平加振時の道床バラストの動的挙動予測方法を提案した.
  • 石川 達也, 関根 悦夫, 泉 剛生
    2007 年 63 巻 4 号 p. 517-529
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,L2地震動に対応した軌道構造の耐震性能評価法の研究開発の一環として,縮尺1/3 の模型有道床軌道と模型省力化軌道の振動台試験を行い,水平加振時の有道床軌道の動的応答特性を把握し,有道床軌道の耐震性能に影響する因子の特定とその寄与度について検討した.この結果,まくらぎ · 道床間の動的相互作用が有道床軌道の地震時挙動に顕著な影響を及ぼすことを明らかにし,まくらぎやCAM固化層の設置条件が異なる軌道構造では耐震性能も異なることを示した.また,有道床軌道と省力化軌道の耐震性能の比較から,L1地震動を想定した場合には有道床軌道と省力化軌道の耐震性能に差は認められないが,L2地震等の強地震時には省力化軌道の耐震性能の優位性が顕在化することを示した.
和文論文
  • 増成 友宏, 清水 則一
    2007 年 63 巻 4 号 p. 437-447
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
     GPS(Global Positioning System)による変位計測の信頼性を向上させるためには,計測結果から真の変位と計測に混入する誤差との識別を行い,誤差を補正することが重要である.本研究では,GPS変位計測における誤差要因のうち,最も影響の大きいと考えられる気象条件による大気圏遅延について,その補正方法を検討し,気象補正が可能な基線解析プログラムを開発した.そして,実際の計測結果に適用しその妥当性を検証した.
  • (数値シミュレーションによる検討)
    菊本 智樹, 川端 信義, 丸山 大輔, 山田 眞久
    2007 年 63 巻 4 号 p. 448-459
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
     本論文は,小型道路トンネル火災の熱気流(煙)挙動特性について,3次元シミュレーションを行い検討したものである.シミュレーションの小断面トンネルに対する再現性は,火災模型実験との比較から確認した.また,小型道路トンネルの想定火災である乗用車の発熱速度(熱対流成分)および煙発生速度は,既往の実大火災実験に対してシミュレーションを試行錯誤し,それぞれ1.8MW,9g/s(最盛期)と決定した.小型道路トンネルにおける乗用車火災のシミュレーションから,普通道路トンネルに比べて煙が短時間・短距離で降下し,充満しやすいが,煙先端の移動速度は普通道路トンネルのバス火災時より遅く,普通乗用車および大型乗用車の単独火災時にそれぞれ最大で約0.8m/s,約1.0m/sであることを明らかにした.
  • 川又 啓介, 左子 斉, 長谷川 弘明, 志村 敦, 中島 隆
    2007 年 63 巻 4 号 p. 469-481
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
     開削トンネル構築時の山留め支保工撤去方法として,“側壁盛替え方式”による支保工撤去が行われる場合がある.しかし,現在は本方式を用いる際の躯体応力度の評価方法として確立されたものはない.
     本論文では,側壁盛替え方式による山留め支保工撤去を行う場合の躯体設計手法を提案し,側壁盛替時の躯体設計を試みている.この設計手法は,躯体構築時の側壁盛替えにより発生する応力がコンクリート特有のクリープ特性により緩和されることを取り入れ,躯体完成後の長期間に渡り残留する応力を評価する逐次的分離計算法である.
  • 松浦 將行, 高久 節夫, 横田 正和, 小泉 淳
    2007 年 63 巻 4 号 p. 482-493
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
     著者らは,シールド工法における二次覆工の工程を省略して工期の短縮,コスト縮減等を図るため,シールド工事用標準セグメント1)(以下[標準セグメント]という)の内側に防食層(無筋コンクリート50mm)を付加した「下水道シールド工事用二次覆工一体型セグメント」を開発した.この開発では,セグメント単体の耐荷性能やジャッキ推力に対する耐荷性能等について標準セグメントと二次覆工一体型セグメントとの比較を行うとともに,防食層コンクリートの耐久性を硫化水素ガスに暴露して確認した.また,コスト縮減のため内面平滑型継手の開発と性能確認実験を行い,かつ,設計施工指針2)を策定して実用化に至った.
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