人工透析研究会会誌
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17 巻, 5 号
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  • 清水 貴子, 大山 邦雄, 長瀬 光昌, 木村 正人, 池谷 満, 須藤 睦雄, 熊谷 裕通, 松山 公彦, 熊沢 実, 本田 西男
    1984 年 17 巻 5 号 p. 313-316
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    腎不全で血液透析中, 抗生物質によると思われる血液凝固異常を認め, その原因につき検索を行い, 若干の知見を得たので報告する. 症例は29歳女性. 昭和52年, SLEと診断されステロイド投与にて治療されていたが, 昭和56年8月, 腎機能低下のため当科入院. プレドニソロン60mg/日投与したが, 腎機能が回復しないため血液透析を開始した. 維持透析中に気管支炎を併発し, セファゾリン (CEZ) を投与したところ, 出血傾向が出現した. 血中CEZ濃度は280μg/mlと高値を示し, また血液凝固能検査では, 出血時間, 凝固時間, PT, APTT, ともに著明に延長した. 各凝固因子活性では, ビタミンK依存性凝固因子のみが低下を示し, 患者血漿の免疫電気泳動にて, プロトロンビンの前駆物質であるprotein induced by vitamin K absenceが検出されて, ビタミンK欠乏の存在が示唆された. さらに, 正常血漿による補正効果より, 患者血漿中の循環抗凝固因子は否定された. 経過中に肝機能異常は認められず, ビタミンK, 新鮮血凍結血漿投与により, 出血傾向は消失し凝固能は正常に復した.
    血液透析例においては, 抗生剤の投与量およびその蓄積が問題となるが, 抗生剤の血中濃度, 凝固因子等の検索がなされた例は少ない. 本症例では, 血中CEZ異常高値があり, ビタミンK依存性凝固因子活性のみの低下が確認された.
  • 大平 整爾, 阿部 憲司
    1984 年 17 巻 5 号 p. 317-325
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性血液透析4症例にみられた比較的大きな異所性石灰沈着を報告した. いずれの症例も血清燐のコントロールが不良のため6-12ヵ月にわたってCa・P積が50を越えていた. アルミゲルの内服を確実にすることを先決とし, 低燐食を試み有効であった. シメチジン, カルシトニンの投与も効果を期待しうる. 2症例には外科的な摘出術を試みたが, 結合織の比較的厚い被膜内に液状または塊状粉末状物質が含まれており, 化学的分析で主として燐酸カルシウムが検出された.
    異所性石灰沈着は透析患者のCa, P代謝異常に随伴するものであり, この方面の日常の管理が必須である.
  • 川西 泰夫, 今川 章夫
    1984 年 17 巻 5 号 p. 327-331
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    尿毒症から回復し安定期にはいった透析患者にとって性生活は重要な問題であるが, 本邦では性をタブー視する傾向にあり, 十分な対応ができていないのが実情である. IMPの客観的評価について, 勃起現象の記録が必要条件であると考え, 性的刺激に対する陰茎の変化を測定し, 下垂体・性腺系の機能との相関を検討した. 週3回の外来透析を受けている男子腎不全患者 (25-64歳) 8例に性機能検査を行い勃起能力につぃて検討を行った. 同時に, 末梢血のtestosteron, LH, FSH, PRL, serotonin, 亜鉛を測定し, 陰茎の変化と相関があるかどうか検討した. 性機能検査の方法は視聴覚的性刺激 (audiovisual sexual stimulation, AVSS) に対する陰茎の変化と, 刺激を定量化するための生体の反応 (脳波, 血圧, 脈拍数, galvanic skin reflex (GSR), 呼吸波, 海綿体筋筋電図) との同時測定を行い, sexual stimulation score (SSS) を求めた. 本法は陰茎の変化, 刺激の程度の定量性があり, しかも外来検査が可能であり, 透析患者に対する検査としてはNPTよりも適切である. 陰茎の変化はほぼ正常と考えられたものが2例, わずかな反応を示したもの3例, 無反応3例であったが, tumescenceの程度は年齢や透析期間と一定の傾向は認められない. testosteron, LH, FSH, PRL, serotonin, 亜鉛と陰茎の変化は相関はなく, 透析患者の性機能と精腺機能不全および亜鉛欠乏とは関係がないことが明らかとなった. 透析により除去されない物質や, 不足する物質による臓器の反応性の低下が本態であると考えられる. 当面はIMP症例の個別的な原因を明らかにし, その集積から解明の糸口を発見する努力が必要と思われる.
  • 中村 雄二, 斉間 恵樹, 加藤 彰一, 井上 博, 岸本 道太
    1984 年 17 巻 5 号 p. 333-337
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    11例の慢性腎不全患者 (平均49歳, 透析群5例, 非透析群6例) について非透析日に電気生理学的検査を施行し, 洞結節自動能回復時間 (SNRT) および伝導時間 (AH, HV時間) を測定し, 同時に血中ヘモグロビン, 血清尿素窒素, 血清クレアチニン, 血清カリウム, 血清力ルシウム, 血清リン, 血清マグネシウム値を測定し, その関連について検討した. 慢性腎不全患者全例のSNRT, AH, HV時間の平均値 (±SE) はそれぞれ1,099±58, 140±5, 45±1msecで健常者の正常値に比しSNRTおよびHV時間は有意の差異を認めなかったが, AH時間は延長していた. 透析群のSNRTおよびAH時間は非透析群のそれらに比し延長傾向を認めたが有意でなかった. またSNRT, AH, HV時間と電解質測定値の間に有意の関連を認めなかった. 11例中4例において心臓刺激伝導系の異常の発生した前後で, 前記検査項目およびアトロピンの効果について検討した. 伝導障害の主な誘因は症例により異なり血清カリウム, 血清カルシウム, 血清クレアチニン値の変化, vagotony等の因子が関与すると推測された. 以上の結果から慢性腎不全患者における刺激伝導系の異常は房室結節の伝導障害が多く, かつその異常に血清カリウム値以外の慢性腎不全に伴う他の因子が関与している可能性が示唆された.
  • 瀬在 義則, 明石 實次, 門馬 一成, 前田 貞亮
    1984 年 17 巻 5 号 p. 339-346
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    全国の透析施設のうち534施設に透析導入時の糖尿病性網膜症および視力障害を中心に過去5年間 (1979年2月-1984年2月) のアンケート調査を行い回答のあった211施設の1,434例について検討した. 内訳は男919例, 女515例, 透析導入時の年齢は男13-95歳, 平均55.6±10.8歳, 女23-78歳, 平均54.6±12.1歳であり全体の平均年齢は55.2±11.3歳であった. 透析導入時の糖尿病性網膜症は非増殖性網膜症44.2%, 増殖性網膜症27.1%, 硝子体出血28.7%であった. 視力障害は軽度-中等度障害49.3%, 一側高度障害13.8%, 両側高度障害36.9%であった. 糖尿病発見年齢が若いほど, また罹病期間が長いほど重症の網膜症, すなわち増殖性網膜症および硝子体出血例が多かった. 増殖性網膜症および硝子体出血例は非増殖性網膜症例に比べ, 血圧および血清脂質は有意に高値を示した. 空腹時血糖値と網膜症との間には有意の関係はみられなかったが, 視力障害との間では, 両側高度障害例は軽度-中等度障害例に比べ有意に高値であった. インスリン使用例は非使用例に比べ重症網膜症が多かった. 使用インスリンはlong acting insulin単独例が最も多かったが, 使用インスリンの種類による網膜症の差は認められなかった.
  • 西沢 良記, 奥井 康行, 三木 隆己, 大西 康夫, 森井 浩世, 長谷川 弘一, 岡本 輝夫, 聴濤 貴一郎, 松下 義樹, 井上 喬之 ...
    1984 年 17 巻 5 号 p. 347-352
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全にみられる高中性脂肪血症の成因における二次性副甲状腺機能亢進症の関与の可能性について検討を行った. 透析患者128名において高中性脂肪血症はこの48.2%を占めたのに比し高コレステロール血症はむしろ少数例にみられただけであった. カルシトニン等の投与既往のない30症例については透析導入後, 血中コレステロールの有意の低下を認めたのに比し, 血中中性脂肪は透析導入後も高値を維持し続けた. 同一時における各因子との相関関係では, alkaline phosphataseと中性脂肪, β-リポプロテインおよび燐脂質に正の相関関係を認めた (p<0.025).
    副甲状腺摘出術 (PTX) を行った5症例のうち高中性脂肪血症を呈していた2症例がPTX後に中性脂肪の正常化を示し, 手術後20から30ヵ月においても持続した. 5/6腎摘腎不全ラットにおいては血中中性脂肪が偽PTX群にて123±37mg/dlであるのに比して, PTX群にて76±6mg/dlと有意に (p<0.05) 低下を示した.
    以上のことより, 腎不全における高中性脂肪血症成立機序に二次性副甲状腺機能亢進症の病態が関与していることが示された.
  • 尾方 文雄, 高橋 幸雄, 今井 久弥, 平沢 由平
    1984 年 17 巻 5 号 p. 353-357
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    高濃度の遊離脂肪酸 (FFA) は生体にとって有害であるといわれている. ヘパリンを使用する透析 (ヘパリン化透析) は, ヘパリンのリポ蛋白リパーゼ (LPL) 活性化作用により血中中性脂肪 (TG) の加水分解が亢進されFFAの異常増加を伴う. 今回の実験目的は透析により増加した血清FFAの毒性 (hazardous) 効果を確認し, その対策を検討することにある.
    ヘパリン化透析の透析後血清は健常人赤血球浸透圧抵抗性を低下し, PHAによるリンパ球幼若化反応を抑制する. これらの効果は血清中のFFA濃度と相関する. また, FFA濃度の高い血清のリポ蛋白に電気泳動性の変化が認められる. 赤血球, リンパ球およびリポ蛋白に影響を及ぼすFFA濃度はそれぞれ1.0, 1.2および1.7mEq/l以上である. したがって, 透析後血清の毒性を示す限界FFA濃度は約1mEq/lと考えられる. 一部の患者は透析開始直後と終了時にこの危険値を越えることから, ヘパリン化透析に伴う高FFA血の患者に対する有害効果が懸念される.
    ヘパリン化透析終了時血清FFA値はTG値と正相関することから, TGのコントロールは透析に伴う高FFA血の防止に寄与する. 人工合成蛋白分解酵素阻害剤 (MD-805, FUT-175) はLPL活性化作用を有しないため, これを抗凝固剤として使用する透析ではFFAの危険濃度に達する増加は認められない. また, ヘパリンを減量した透析においてもFFAの上昇に一部改善が認められる. 血液透析時の血清FFA値は患者のもつ要因と透析方法により大きく変動することから, 臨床所見および血清検査値の解釈においてはこの物質の関与を熟知しなければならない.
  • 山下 明泰, 日台 英雄
    1984 年 17 巻 5 号 p. 359-363
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    特別製作の新型ダイアライザーを用いて, 基礎体重が59.0kgの患者に対し, 治療時間を4.5時間から3.5時間まで段階的に短縮した. 1回の治療の除去率が不変な30分間の短縮 (4.0時間治療) は容易であったが, 3.5時間の治療を2月間行ううちに, 小分子溶質の濃度レベルの上昇傾向, およびヘマトクリットの降下傾向を認めるとともに, 各溶質の見かけの生成速度の上昇が観測された. このことより, 治療条件は生体機能に直接, 間接の影響を与えることが示唆された.
    また, 週2回 (7.5時間×2回/週) 治療を施行中の患者を, 週3回 (5.0時間×3回/週) 治療に移行したところ, 2-compartment modelで予想された通り, 濃度レベルの低下を認め, それに見合う治療時間の短時間化が可能と思われた. しかし移行後の濃度レベルの絶対値は, 予想値よりも高値となった. これも見かけの溶質生成速度の上昇として捉えることができるが, 同時に通常のモデルによる治療の長期的なsimulationでは, 傾向を予想することは容易であるが, 絶対値の予測は困難であると思われた.
    治療の短時間化は, 必ず見かけの溶質生成速度の変化を伴うものと思われ, これが濃度レベルなどの陽因子からは知り得ない生体情報を提供している可能性がある.
  • 浅田 学, 鈴木 良一, 関根 智紀, 河本 真美, 村上 信乃, 伊良部 徳次
    1984 年 17 巻 5 号 p. 365-371
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    長期透析中の患者の腎にみられる後天性の腎嚢胞と, これに高率に合併すると言われる腎癌の診断にはX線CTが有用とされているが, 超音波検査の有用性に関する報告は殆どみられない. 一方われわれは日常診療において, 腎癌や腎嚢胞の診断には超音波検査が非常に有用と考え, 超音波検査を従来のX線検査に代る第1選択の検査法としている.
    今回われわれは, 慢性透析患者94例を対象に腎癌, 腎嚢胞などのスクリーニングを目的とした腹部超音波検査を施行, 単純X線CT検査との比較も行い, 以下の結果を得た.
    超音波検査では著しい萎縮腎を除く殆どの腎 (97%) が描出可能であった. 腎嚢胞の診断能はCTより超音波検査がすぐれていた. 超音波, CT両者で全体の44.2%に多発性嚢胞, 11.6%に単発性嚢胞の合併が診断された. 嚢胞の合併率は透析期間が長いほど高率となり, 2年未満で41.4%, 2年以上4年未満で48.1%, 4年以上6年未満で66.6%, 6年以上では83.4%の合併率であった. 超音波検査で2例の腎癌が診断されたが, このうち1例はCTでの診断は困難であった. 腎の石灰化病変の診断にはCTがすぐれており, 超音波検査では診断不能例が多かった. 3例の嚢胞内出血が超音波検査および超音波ガイド穿刺で診断された. 超音波検査では腎以外の病変として, 11例の胆石症をはじめ, 肝嚢胞4例, 肝腫大, 脾腫各4例, 胸水2例, 腹水1例, その他肝静脈下大静脈の拡張が診断可能であった.
    以上の結果と超音波検査の簡便性, 非侵襲性, 経済性などを考え合せると, 透析患者の腎嚢胞, 腎癌をはじめ各種疾患の画像診断に際しては, 超音波検査を第1選択とすべきと考える. さらに, 透析開始前より慢性腎不全患者の腹部超音波検査を定期的に行うことは, 嚢胞や腎癌など腎病変の早期発見はもちろん, 腎不全の病態の総合的な把握にも有用であると考える.
  • 前田 明文, 児玉 直譲, 前田 孝夫, 森 一雄, 宮井 利彦, 湯川 進, 野本 拓, 阿部 富彌, 西川 紀子, 西出 厳
    1984 年 17 巻 5 号 p. 373-378
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全患者の血清中性脂肪 (TG) 高値, high density lipoprotein-cholesterol (HDL-C) は低値であり, 一方血清intermediate density liporotein (IDL) 高値で, hepatic triglyceride lipase (H-TGL) 活性の低下が特徴的であった. 血清甲状腺ホルモンの測定では, triiodothyronine (T3) レベルおよびthyroxine (T4) レベルは, 両者とも正常人に比し有意に低下していたが, 甲状腺刺激ホルモン (TSH) は正常範囲内にあった. PAG電気泳動法 (PAGE法) による血清リポ蛋白パターンを検討すると, 約50%に異常パターンが観察された. また慢性腎不全患者においては, H-TGL活性と血清IDLの間に負の相関が, H-TGL活性とT3レベルとの間に弱い正の相関がみられるとの報告がある.
    以上の事実より, 24例の長期安定透析 (HD) 患者に対し甲状腺ホルモン補充療法を検討したところ, 投与後血清total cholesterol (TC), TGは有意に減少し, HDL-Cの変化はみられなかったが, Atherogenic index (AI) の有意な改善が認められた. 血清very low density liporotein (VLDL), IDLの減少がみられ, low density lipoprotein (LDL) の増加および化学組成の改善があり, lipoprotein lipase (LPL) 活性に変化がみられなかったがH-TGL活性の増加が認められた. PAGE法による血清リポ蛋白の異常パターンの改善が数例に観察された.
    HD患者に対する甲状腺ホルモン投与によるIDL減少を伴うVLDLの代謝改善には, H-TGL活性の増加も1つの要因になっていることを示唆する成績であった.
  • 鈴木 正司, 今井 久弥, 高橋 幸雄, 酒井 信治, 上村 旭, 湯浅 保子, 薄田 芳丸, 出口 隆志, 駒場 明, 高野 清, 平沢 ...
    1984 年 17 巻 5 号 p. 379-386
    発行日: 1984/10/31
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    昭和41年1月から48年12月末日までに透析治療を開始した288名について検討した. 死亡例108名, 他施設への転医例64名であったため, 当院および関連施設での生存例は111名であった. 転医例を除いて計算した生存率は5年60.7%, 10年53.9%, 10年以上46.1%であった.
    死因では心不全が25.0%で最も多く, 次いで脳血管損傷15.7%, 敗血症12.0%, 心外膜炎11.1%, 肝炎9.3%などが主要なものであった. 心外膜炎や敗血症による死亡例は, 5年および10年以降ではまったく発生していないが, 心不全, 脳血管損傷による死亡は10年以降ではむしろ相対的に増加している.
    生存例の合併症の種類では, 心不全や肺うっ血は次第に減少し, 肝炎・肝障害, 心外膜炎の発生も同様であった. Blood access感染は少ずしも皆無にはならず, 重症呼吸器感染症も減少してはいない. ヘルペス感染症, 尿路結石症, 女性化乳房なども注目すべき合併症であった.
    副甲状腺摘出例の19症例では, 透析歴8年2ヵ月-15年3ヵ月で平均10年10ヵ月であった. 我々の経験では10年以上の透析歴を有する例の12%が手術を受けたことになる.
    手根管症候群は57名の当院での10年以上の生存例中で15名 (26.3%) に認められた. この比率は5年未満の95名中10名 (10.5%), 5年以上10年未満の64名中12名 (18.8%) から見て, 明らかに漸増傾向があった. 透析歴12年以上の8症例で手術を実施したところ, 病状は急速に改善した. 腱, 滑膜などの組織には全例で著しいアミロイド沈着を認めた. 同時に合併したバネ指の手術を受けた4例でも, アミロイド沈着が証明された.
    10年以上の透析例では副甲状腺機能亢進症および手根管症候群の2つは, 特に注目すべき合併症と考えられる.
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