本稿では、インターンシップの教育効果について、「学習意欲向上効果」と「就業意識向上効果」に着目し、パネルデータを用いた実証分析を行う。インターンシップのプログラムは、課題解決型・長期・課題設定型・コーオプ型・ワンデーなど多様化している。本稿では、本学で実施している短期インターンシップの内容を説明した上で、その教育効果を分析する。まず、学生に対しアンケート調査を行い、インターンシップの経験による自己評価を分析した。次にパネルデータとして、性別及びインターンシップの経験有無、半期ごとのGPA、学力変化などのデータを用い、実証分析を行った。その結果、インターンシップを経験した学生と未経験の学生と比較すると成績の差異は2年前期以降には有意に高くなるが、インターンシップの影響であるかは明確にならなかった。重回帰分析の結果からは、学力変化を要因として用いるとインターンシップの経験は3年後期及び4年前期のGPA を高めるという結果となったが、各期のGPA を用いると学習意欲効果は明らかとならなかった。次に、インターンシップ経験者の進路決定率は未経験者と比較すると有意に高い結果となった。プロビット及びロジット分析を用いて進路決定に影響を与える要因を検証した結果からは、学力変化を用いた場合はインターンシップの経験有無が進路決定に対して有意となったが、各期のGPA を要因として用いた場合には明らかにはならなかった。
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