低出生体重児は、体内栄養蓄積量が少なく容易に栄養学的クライシスに陥る可能性があるのみならず、栄養不良がその後の成長発育や神経学的予後にも影響するため早期からの栄養介入が不可欠である。このような観点から、早期から積極的な栄養投与(early aggressive nutrition)が行われるようになっているが、臓器の未熟性から高血糖や高窒素血症あるいはリフィーディング症候群(refeeding syndrome;以下、RSと略)などの代謝障害を起こす可能性があり厳重なモニタリングが必要となる。また、胎児期~幼小児期の発達環境で胎児に細胞レベルのエピジェネティクス変化が生じ、成人期の肥満、虚血性心疾患、高血圧、糖尿病、骨粗鬆症などの慢性疾患リスクにも影響を与えること(developmental origins of health and disease)が知られており、長期にわたりさまざまな注意を要する。
小児の特徴は、成長・発達することにある。出生前後の栄養の重要性は、developmental origins of health and disease(DOHaD)やエピジェネティクスという言葉で表現され、注目されている。食物アレルギー予防の観点からも、出生前後の栄養のありようが見直されつつある。また、生活習慣病の予防という意味でも、小児期の栄養の重要性が指摘されている。本稿では小児の栄養管理において必要となる、栄養状態を把握する方法、すなわち食歴聴取と、身体計測、身体の診察について述べ、必要水分量と必要栄養量の算出方法について論じた。また小児の栄養管理を行っていく上で、病態ごとに対応が大きく異なるため、それぞれ少人数からなる栄養プロジェクトチームで活動する必要があることを述べた。例として重症心身障害、摂食行動障害、先天性心疾患、小児がん、食物アレルギーを紹介し、対応方法について述べた。小児の栄養管理に関する情報は非常に不足しており、英語文献から解決策を探っている状況にある。
小児の消化管の通過障害は、年齢や発達段階に沿って疾患・治療・看護の特徴がある。新生児期の消化管通過障害は、消化管閉鎖やヒルシュスプルング病などの先天性疾患や壊死性腸炎などに伴う通過障害が大半を占める。ストーマ・胃瘻・腸瘻ケア、中心静脈栄養管理などの医療的ケアを在宅で実施しながら入退院を繰り返すこともあり、成長発達を踏まえたケアを実施していく必要がある。幼児期以降の消化管の通過障害は先天性疾患よりも後天的な障害によるものが多い。摂食・嚥下機能が獲得できず、経口摂取ができない重症心身障害児の胃瘻造設は、quality of life(以下、QOLと略)向上やミキサー食注入のために幼児期以降に増加する傾向にある。胃瘻の皮膚トラブルは医療者が考えている以上に家族は負担を感じ、QOLに与える影響が大きいことを知っておく必要がある。患者・家族が在宅で過ごせるように医療者と家族が協働してケア方法を確立し、病院と地域が連携していく必要がある。