新潟地震では, 新潟市内の多数の鉄筋コンクリート建物が傾斜・沈降するという珍らしい被害をうけた。この建物の被害状況を大縮尺の空中写真から調査することを試みた。方法としては, 建物の屋上四隅の座標を1級図化機で精密に測定し, その面の傾料方向と傾斜量を算出した。沈降量は建物の地震前の高さが不明なことと, 地面の凹凸が激しいため確定できなかった。座標の高さの測定精度は, 標準偏差3cm程度で, 傾斜量の測定精度は15'程度であった。傾斜方向の測定精度は良好な場合は数度程度であるが, しばしば直角乃至逆方向になることがある。傾斜量の分布は, 1°以内のものが半数, 2°以内のものが全体の約3/4を占め, 5°以上が5%あり, 地上で測定した結果ともよくあっている。
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