廃棄物学会研究発表会講演論文集
第17回廃棄物学会研究発表会
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B9 焼却灰の資源化(2)
  • 原 雄, 長澤 松太郎, 中尾 毅, 堤 克裕, 依田 彦太郎, 石田 晃一
    セッションID: B9-3
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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     溶流度試験における冷却試料は溶融時の状態を記憶していると仮定し,冷却試料の薄片試料から溶融時および溶流時の状態を可視化することを試みた。また,実機溶融炉の緊急停止時の炉内残留物から薄片試料を作成して,それらの溶融時ないし溶流時の状態も可視化した。 偏光顕微鏡による試料の薄片観察と粉末X線回折により,焼却灰の溶融と溶流はつぎのようにモデル化できると考えられる。 溶融対象灰を構成する珪酸塩,酸化物,塩化物等は昇温とともに部分的かつ選択的に軟化を始め、部分溶融に至る。溶融部分の拡大とともに未溶融部分との温度勾配に対応した小規模な流動を開始し,溶融部分が全体に拡がっていく。流動が小規模な段階では,溶融した鉱物群は一定程度の規模で溶融前の化学組成を保持していることにより,急冷時においても晶出し易いことになる。さらに昇温するか保持時間の経過により流動規模が拡大し,溶融前の鉱物群単位は保持されなくなり,溶融体の均質化が進行し,急冷時においては結晶化せずに過冷却のガラス状体として固化する。
  • 武田 信生, 高岡 昌輝, 浦邊 真郎, 出口 晋吾, 青木 康修, 藤井 岳
    セッションID: B9-4
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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    ごみ焼却灰溶融炉において廃プラスチック混合焼却灰を溶融処理する系をモデルに熱力学シミュレーションを行い、ケミカルリサイクル効果のメカニズムについて考察を行った。シミュレーションの結果、廃プラスチック混合溶融による還元作用により鉛等金属のスラグ中鉛濃度低下と溶融飛灰への濃縮、HCl,Cl2などの酸化性ガスの低減など、予想通りの効果が得られることを確認できた。
  • 櫻井 あや, 高岡 昌輝, 大下 和徹, 松本 忠生, 武田 信生
    セッションID: B9-5
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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    近年わが国の最終処分場の残余年数は逼迫しており、焼却残渣の資源化が不可欠な状況となっている。特に焼却主灰に対しては、溶融処理よりも低エネルギー・低コストで実施できる技術が望まれている。わが国の時間的、空間的制約を満たし、実用化が期待される処理の一つが焼成処理である。焼成処理とは、灰が溶融に至らない1000℃前後の温度域で加熱を行い、重金属の揮発除去・安定化、ダイオキシン類の分解を行うものである。本報では、主灰の資源化において最も問題となっている重金属の一つであるPbについて、模擬灰を用いて行った実験の結果を報告する。焼成処理におけるPbの化学形態の変化を各種X線分析によって調べ、溶出挙動の変化との対応を明らかにした。焼成処理において、灰の塩基度の違いがPbの揮発、形態変化、溶出に影響を及ぼすことがわかった。
  • 溝口 忠昭, 吉岡  敏明, 齋藤 千愛, 岡田 治樹, ちたす もにか じょい
    セッションID: B9-6
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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    都市ごみガス化溶融飛灰(「飛灰」という)からの亜鉛,鉛,銅の浸出特性をpHスタット法によって検討した。飛灰の水浸出残渣を対象に,塩酸単独溶液を用いて浸出を行った場合,pH2における浸出率は,いずれの金属に対しても10%程度に過ぎなかった。有機酸の添加効果が顕著であり,クエン酸の場合,濃度0.001M,pH4の条件における亜鉛,鉛および銅の浸出率は,それぞれ64,64および91%であった。クエン酸が浸出剤として有効である理由は,錯体を形成して重金属を溶液中に安定化するのではなく,触媒的に重金属の溶出を促進するためであると考えられる。反応温度を25℃から50℃に上げると亜鉛,鉛,銅およびケイ素の浸出率はいずれも低下した。pHスタット法を用い,クエン酸存在下で浸出する方法には,低有機酸濃度で高い重金属浸出率が得られるだけでなく,難ろ過性のゲル状ケイ酸が生成しないという特徴もある。
  • 冨川 博貴, 岡田 敬志, 東條 安匡, 松藤 敏彦, 角田 芳忠, 倉田 昌明, 鮫島 良二
    セッションID: B9-7
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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    溶融飛灰は、Pb,Znを高濃度に含むため、非鉄精錬への山元還元が望まれる。溶融飛灰を山元還元するための前処理に安価な水処理が望ましいが、溶融飛灰に用いるためには、飛灰性状(元素組成、金属化合物の形態)が処理に適した状態でなければならない。本研究では、ラボスケールによる溶融実験を行い、水処理可能な溶融飛灰を発生させることができる溶融炉運転条件を検討した。
  • 中山 勝也, 高田 満, 酒井 啓介, 河地 貴浩, 渡辺 藤雄, 松田 仁樹
    セッションID: B9-8
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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    溶融飛灰中重金属の減圧塩化揮発法による乾式分離促進の指針を得るために、PbCl2、ZnCl2の減圧加熱条件下での揮発速度を測定し、これらの重金属塩化物の揮発促進効果を明らかにした。その結果、減圧度0.1 kPa、温度798 KにおけるZnCl2、PbCl2の見かけの揮発速度定数は、それぞれ1.821×10-6 m/s、3.083×10-7 m/sとなり、ZnCl2の方がPbCl2に比べて約6倍大きくなることがわかった。重金属塩化物の見かけの揮発速度定数K のアレニウスプロットから見かけの活性化エネルギーΔEを算出した。その結果、いずれの処理圧力条件でもPbCl2では125kJ/mol、ZnCl2では95kJ/molとなった。見かけの揮発速度定数Kは、処理圧力Pに比例し、温度923KでのPbCl2は-0.66次、温度798KでのZnCl2は-0.44次に比例することがわかった。
  • 岡田 敬志, 牧志 諒, 東條 安匡, 松藤 敏彦
    セッションID: P2-B9-9
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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    溶融飛灰の山元還元には、飛灰中塩素の除去が必要である。飛灰から塩素除去については、CO2ガス吹き込みによる水洗方法が研究されているが、薬剤を用いた洗浄方法なども考えられるため、これら含めて各方法を比較し、効果的な塩素除去法を明確にする必要がある。そこで本研究は、4種類の塩素除去法を溶融飛灰に適用し、それぞれの脱塩効果を比較した。
B10 溶融スラグの資源化
  • 安藤 生大, 大高 慶子, 地下 まゆみ, 上野 宏共, 依田 彦太郎, 堤 克裕, 原 雄, 植木 茂, 荒金 勝義, 中野 健一
    セッションID: B10-1
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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    一般廃棄物の処理は,焼却による残渣埋め立て方式からガス化溶融方式及び灰溶融方式へ転換しつつあり,これに伴って溶融固化物(スラグ)が副産物として大量に生成されるようになった.生成したスラグについては,様々な有効利用法(コンクリート用及び道路用骨材等)が提案されており,標準化にむけた取り組みも進んでいる.スラグを有効利用する場合,満たすべき品質として,外観,有害物質の溶出量と含有量,骨材品質としての粒度,密度,吸水率等が示されている. 本研究では、産業廃棄物を溶融固化した“産廃スラグ”について,対象とした産廃のゴミ組成,及び得られた産廃スラグの化学組成を明らかにした.次に,それに近い化学組成を有する天然岩石として超塩基性岩のアルカリ玄武岩を想定し,その結晶化過程から予想される鉱物組み合わせと産廃スラグの鉱物組み合わせとの対比を行い,産廃溶融体(メルト)の結晶化プロセスについて考察したので報告する.
  • 白藤 裕久, 平野 高広, 佐々木 秀幸, 藤原 忠司, 小山田 哲也
    セッションID: B10-2
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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    岩手・青森県境の不法投棄廃棄物は、一部が焼却・溶融処理されることとなっている。廃棄物の溶融スラグを再利用する研究は一般廃棄物に関するものが多く、不法投棄廃棄物についての報告例は少ない。そこで、我々は現場の廃棄物を焼却・溶融処理しコンクリートやアスファルトの骨材として再利用するための研究に取り組んでいる。すでに2ヶ所の溶融炉で試験溶融を行い、得られた溶融スラグの安全性評価や、コンクリート骨材評価などを行った。ここでは前報までとは別の2ヶ所の溶融炉で得られた溶融スラグについて安全性評価とコンクリート骨材評価を行った。その結果、安全性評価ではフッ素の溶出が、コンクリート骨材評価では塩化物量と低密度の粒子の存在が問題となった。しかし、それらの問題は溶融物の冷却速度制御や水洗、破砕の後処理で改善が可能ということが分かった。不法投棄物溶融スラグがコンクリート骨材として利用できる可能性は高い。
  • 佐々木 秀幸, 藤原 忠司, 小山田 哲也, 平野 高広, 菅原 龍江, 八重樫 貴宗, 白藤 裕久
    セッションID: B10-3
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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    岩手・青森県境に不法投棄された産業廃棄物の処理方法のひとつとして溶融処理が検討されている。溶融処理で発生するスラグは、建設資材として利用することが望ましいが、不法投棄物を溶融処理したスラグを、コンクリート用骨材に利用した報告はほとんどない。本研究では、不法投棄物を実プラントで溶融し、水砕したスラグのコンクリート用骨材としての適用性を検討した。その結果、スラグの配合率が高いとコンクリートの強度や耐凍害性が低下するが、有害性に問題はなく、置換率を抑えることで再利用が可能であることが明らかになった。
  • 八重樫 貴宗, 菅原 龍江, 平野 高広, 白藤 裕久, 佐々木 秀幸, 藤原 忠司, 小山田 哲也, 鈴木 円
    セッションID: P1-B10-4
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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    岩手・青森県境不法投棄物の代表試料を異なる3方式の溶融施設において試験溶融し、そのスラグの安全性を確認し、コンクリートやアスファルト混合物の骨材として利用する研究に取り組んでいる。今回は、溶融方式の異なる3種類の溶融スラグをアスファルト混合物に利用した場合の適用性について検討を行った。各溶融スラグの物性試験を行い、アスファルト用骨材の規格を満たしていることが確認された。また、アスファルト混合物評価として、安定度試験、ホイールトラッキング試験、ラベリング試験等を行い、以下のような知見が得られた。ガラス質の水砕スラグは、骨材とバインダーとの付着力が普通骨材に比べ劣り、安定度・耐摩耗性の低下が懸念されるため、置換率を10%以下に抑える必要がある。結晶質の徐冷スラグは、骨材とバインダーの付着力はよいが、微粒分量が多いことから耐流動性の低下が懸念されるため、粒度調整により微粒分量を抑える必要がある。
  • 斉藤 丈士, 中田 善久, 菅田 雅裕, 池永 博威
    セッションID: B10-5
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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    ごみ溶融スラグは,コンクリート用細骨材に利用できる可能性が高い.これを生コンの細骨材に使用できれば,受入拠点となる生コン工場が全国に点在しているため流通の面で有利であり,実用化に期待が大きい.しかし,現状でごみ溶融スラグはコンクリート用細骨材としてJIS化していないため,生コンへの普及には至っていない.その反面,ごみ溶融スラグの副産量は年々増加しており,新たな用途の開発が望まれている. そこで,本検討では,ごみ溶融スラグを細骨材以外の用途で生コンに有効利用するために,ごみ溶融スラグ微粉末の粉末度を調整し,このセメントへの置換率を変化させて混和材に用いたモルタルの品質について検討した.この検討の結果,ごみ溶融スラグ微粉末は,コンクリート用混和材として発熱調整材や分離低減材として利用できる可能性があることを示した.
  • 中田 善久, 斉藤 丈士, 大塚 秀三, 鈴木 大介
    セッションID: B10-6
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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    ごみ溶融スラグ細骨材は,TR A 0016において粒度区分のほかに絶乾密度,吸水率,安定性,粒形判定実積率および微粒分量についてそれぞれの範囲が物理的性質として規定されている.これをレディーミクストコンクリートへ適用する場合には,品質および量に関して安定的に供給されることが前提となる.筆者らは,これまでにごみ溶融スラグ細骨材の物理的性質について1年程度の期間において検討し,品質変動は比較的小さいことを示したが、それよりも長い期間における安定性や,その他の様々なごみ処理施設において同様の品質管理がなされているかは不明といえる.そこで,本検討は,前報における調査期間を拡大し,ごみ溶融スラグ細骨材の物理的性質を29ヶ月間にわたって調べ,この物理的性質における変動ならびに現状で副産されているごみ溶融スラグ細骨材のコンクリート用細骨材の品質規格への適合性を検討したものである.
  • 鈴木 大介, 中田 善久, 永尾 弘孝, 田辺 英男, 伊藤 学, 菅田 雅裕, 松井 勇, 大塚 秀三
    セッションID: B10-7
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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     本研究は、硅砂の代替材料として、溶融スラグ細骨材に着目し、プラズマ溶融炉から副産される溶融スラグ細骨材の傾動の過程が品質に与える影響を明らかにするために、物理的性質およびモルタルに使用した場合の性状について検討した。この傾動とは、プラズマ溶融炉を傾け炉底から溶融メタルを排出することである。ここでは、物理的試験を5項目,フレッシュモルタル試験を6項目および硬化モルタル試験を4項目について行った結果を述べる。
B11 その他有機系廃棄物の資源化(1)
  • 佐藤 克昭, 遠藤 悟, 土屋 純夫
    セッションID: P2-B11-1
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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     易分解性炭素を多く含むコーヒーかすにアンモニアガスを通気し、アンモニアをバイオマス窒素として固定することで脱臭する技術について検討した。コーヒーかすにアンモニアガスを通気し、60℃でインキュベートすると、7日目には通気したアンモニアガスがアンモニア態窒素とバイオマス窒素として固定され、排気からはアンモニアが検出されなかった。実験期間中硝酸態窒素は検出されなかったことから、コーヒーかすによる脱臭法は、従来の微生物脱臭法と異なる脱臭法としての可能性が示された。
  • 脇坂 博之, 河原 豊
    セッションID: B11-2
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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    ヨシ、竹を用いて、炭酸ガス賦活による活性炭の製造を行い、賦活条件と細孔特性、吸着性能を検討した。得られた活性炭についてVOC、悪臭、カビ臭の吸着能について検討した。その結果、ヨシ、竹はいずれも1000_m2_/gを超える活性炭の製造が可能であることが分かった。得られた活性炭の臭気物質に対する吸着能は市販の活性炭と同等以上の能力を有した。また、ミクロ孔領域に均一でシャープな分布を持つよう調製した竹活性炭のカビ臭に対する吸着能は、同収率の竹活性炭と比較して優れていた。細孔制御をすることで、カビ臭吸着能を向上させることが示唆された。
  • 岩渕 美紀, 深山 信亜, 宮下 勇治, 原 雄, 石渡 康尊
    セッションID: B11-3
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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    本システムは、湿式と乾式を結合した有機性廃棄物処理装置である。湿式は木質細片と水を混入した水槽内を曝気するもので、乾式は木質細片を充填した槽内に曝気槽内の処理水を浸透させるものである。この装置を用いて、様々な有機性廃棄物の処理実験を行った。まず初めに、難分解性であると考えられる「おから」を用いて実験を行った。ここで、流入調整槽内の水の目視及び水質分析結果から、おからの分解を確認した。おからの処理実験より、各槽内及び処理水で有機物を分解する条件が整ったので、様々な試料で分解試験を行った。試料は給食残飯、余剰汚泥、屠殺血液等を用いて行った。実験は数週間から数ヶ月とし、有機物はほぼ分解できた。また、メンテナンスフリーでも、長期間の連続稼動が可能であった。しかし、CODの減少等不明な点が多いので、今後も実験を行い追及する必要がある。
  • 石渡 康尊, 原 雄, 深山 信亜, 宮下 勇治, 岩渕 美紀
    セッションID: B11-4
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    木質細片を用いた有機性廃棄物処理装置を用いての有機性廃棄物の分解処理実験を行った。本装置の特徴は,排水がないこと及び汚泥が発生しないことである。本報は,処理装置内における物質量の変動確認実験について報告する。
  • 川越 保徳, 日野 なおえ, 岩佐 知典, 中尾 雅治, 古川 憲治
    セッションID: B11-5
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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    中温連続水素発酵における窒素負荷(窒素ー炭素バランス)の水素生成および関与細菌叢に及ぼす影響について検討し、以下の結果が得られた。1) 連続水素発酵反応において、窒素負荷(窒素-炭素バランス)は水素生成能と発酵槽内微生物叢に影響することが分かった、2) 水素発酵を安定継続するには一定量以上の窒素が必要であり、窒素量の減少によって微生物叢が劇的に変化し水素生成能の低下をもたらす可能性が示された、3) 窒素負荷による微生物叢への影響や水素生成能の変化は可逆的であり、たとえ微生物叢および水素生成能が悪化しても、窒素負荷を適切に制御することでこれらを回復できることが明らかとなった、4) 水素発酵には主に水素発酵細菌と乳酸菌が関与しており、安定で効率的な水素生成を実現するには、水素発酵細菌の安定維持とともに、乳酸菌等の適切な制御が重要であることが明らかとなった。
  • 中尾 雅治, 川越 保徳, 日野 なおえ, 岩佐 智典, 古川 憲治
    セッションID: P1-B11-6
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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    近年,将来の循環型社会の構築に向けた廃棄物の発生抑制やリサイクルに関する対策技術の開発が急がれている。特に,廃棄物の中で,生ごみ等の有機性廃棄物や廃水については,その処理を行う過程で水素やエタノールといったエネルギーを回収する発酵技術が注目されている。筆者らはこれまでに懸濁態の水素発酵汚泥を用いた水素発酵について基礎研究を行い,pH,温度等の条件が水素生成や関与微生物叢に及ぼす影響を明らかにしてきた1)。しかし,懸濁態微生物を用いる反応槽では微生物の集積化に限界があり,安定した運転は難しい。そこで本研究では,ポリビニルアルコール(PVA)を微生物付着担体とする流動床を用いた水素発酵生物膜による水素発酵の安定化とそれに関与する微生物叢について検討した。
  • 月井 慎一, 中森 秀紀, 菅野 元行, 平野 勝巳, 真下 清
    セッションID: B11-7
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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    動物油脂を原料としたBDFは目詰まり点が高いことから、動植物油脂BDFの凝固過程を解析することにより目詰まり点決定因子の解明を試みた。各BDFのDSC降温曲線から、目詰まりはBDFの主成分で凝固開始温度の高いパルミチン酸メチル(C16Me)およびステアリン酸メチル(C18Me)が凝固することにより、生起すると想定された。さらに、固相成分をC16MeおよびC18Meと仮定して固液平衡の関係式から算出した凝固開始温度の計算値をC16MeおよびC18Meの合計含有率を変化させた実測値と比較した結果、両者は概略一致した。これより、目詰まり点はC16MeおよびC18Meの合計含有率に依存することが判明した。この計算値から、晶析操作等を導入して動物油脂BDFのC16MeおよびC18Me合計含有率を10wt%以下に低減することにより、低温特性を改善できる見通しが得られた。
  • 倉持 秀敏, 大迫 政浩, 前田 光治, 中村 一夫, 酒井 伸一
    セッションID: B11-8
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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    粗BDFの分離・精製プロセスの最適化を意識し、幾つかのUNIFACモデルを用いてその分離・精製プロセス設計に利用できる気液平衡(VLE)および液液平衡(LLE)を推算可能であるかどうかを検討した。その結果、VLEの推算ではオリジナルUNIFACモデルが、LLEの推算ではLLE-UNIFACモデルが最も有用であった。しかし、BDF-グリセリン-MeOH系に対するLLEの推算に関しては、温度や組成の影響を定性的には表現できるものの、VLEのような定量的な推算精度は得られなかった。
B12 その他有機系廃棄物の資源化(2)
  • 藤井 隆夫, 迫田 章義
    セッションID: B12-1
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
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     地ビール工場より排出されるモルト粕と廃麦汁の資源化を検討した。基本的には両者をバイオエタノール生産に利用するプロセスを提案し、実験的に可能性を探った。まずモルト粕の高位発熱量を測定した結果、杉と籾殻の中間で4000_から_4500cal/g程度と推定され、十分燃料としても利用可能である。次にモルト粕をセルロース分解酵素で糖化実験を行った結果、理論値の9割もグルコースへ変換可能であった。さらに廃麦汁内で同様の糖化反応を試みた結果、問題無く変換できることが分かった。これは高濃度なグルコース培地の作成を示唆し、尚且つ炭素源や窒素源その他ミネラル分等も利用できる可能性がある。アルコール発酵に関してはYPD培地により協会9号酵母の使用でエタノール変換効率は7割程度であることが分かった。燃料としての利用には利便性を考慮してペレット化の検討も行っているが、バインダー無しでは1週間程度で不安定になることから、糖化残渣の利用も視野に入れる予定である。
  • 佐伯 孝, 倉持 秀敏, 川本 克也
    セッションID: P2-B12-2
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、高圧流体(超臨界二酸化炭素、亜臨界水など)を用い、高付加価値成分の選択的な分離・回収などを行い、食品廃棄物の有用な資源化することを目的としている。研究対象として、全国的に排出源があり組成や品質が比較的安定している豆腐製造工場から発生する「おから」を選定した。回収対象の高付加価値成分は脂溶性ビタミンであるビタミンEとし、超臨界二酸化炭素(sc-CO2)を用いた選択的抽出のための検討などを行ったので報告する。
  • 今村 邦彦, 樋口 浩一, 橋本 寿之, 田中 聖子, 野口 賢二郎
    セッションID: B12-3
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    水熱反応を利用して,野菜から水素やメタンを多く含んだガスを得る条件について検討した。回分式反応装置を用いて,グルコース及び各種野菜(ごぼう・じゃがいも・キャベツ・にんじん・さつまいも・たまねぎ)をニッケル,水酸化ナトリウムを触媒として水熱反応によるガス化を検討した結果,(1)ニッケルと水酸化ナトリウムを併用することにより,水熱反応として比較的低温である400℃で,付加価値の高い水素とメタンを主成分とするガスを生成することができた。(2)各種野菜においても同条件で水熱反応を行なうことにより,グルコースを原料としたものと同等のガスを生成することができた。(3)野菜の種類により生成ガス量に違いがあった。
  • 山本 匡徳, 熊谷 美佳, 松田 拓巳, 菅野 元行, 平野 勝巳, 真下 清, 小松 明博
    セッションID: B12-4
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    本報は混合廃棄物中有機物質の熱分解油化反応の条件策定について検討した。セミバッチ式反応装置を用い、大気圧下、所定の反応温度(280℃、300℃、350℃、400℃)、保持時間(0、60min)で反応を行なった。ただし、400℃の反応は保持時間60minとした。装置による生成物収率の差異を比較するため、バッチ式反応装置を用い、大気圧下、所定の反応温度(300℃、350℃)、保持時間(0、60min)で反応を行なった。その結果、セミバッチ式反応装置を用い、反応温度350℃、保持時間60minの条件で混合廃棄物中有機物質の59%をオイル分(ヘキサン可溶分)に転換できることがわかった。
  • 成田 修司, 珍田 尚俊, 土田 重二
    セッションID: B12-5
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    全国でも有数の米の産地として知られる本県であるが,米を収穫した後,いわゆる稲藁・籾殻焼きが大気汚染として昔から問題となっている。近年,籾殻の焼却時に,ぜんそく等のアレルギーを引き起こす化学物質が放出されていることが報告された。これらの報告を受け,地域住民の健康を守る上で,籾殻・稲藁を適正処理する必要性が高まっている。そこで我々は,籾殻を適正処理する過程において,機能を付与することによって,水質浄化材へ転換する技術開発に取り組んでいる。我々が求めた機能は,富栄養化の一つの原因と考えられるリンを回収する能力である。近年,富栄養化に伴う閉鎖系水域の水質悪化が問題となり、本県においても,同様の問題が深刻化し,それらを解決するための技術開発が求められている。そこで,本研究では,籾殻の適正処理と閉鎖系水域の水質浄化を目的として,籾殻を原料とし,リン回収能を付与した回収材の合成を目指した。
  • 石田 頼子, 村上 章
    セッションID: P1-B12-6
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    エダマメは,収穫調整後の莢を含め,根・茎・葉の部分約60_から_70%を農業残さとして排出し,焼却や野積みでの放置,またはそのまま圃場にすき込まれることが多い。しかし,循環型農業の点から,それらの方法は好ましくなく,残さを無処理のまま圃場へ戻すことによる連作障害も懸念される。そこで,残さを安全な状態で圃場へ還元するために,堆肥化による残さ活用技術を開発する。
  • 佐貫 安希子, 馬場 竜介, 入江 満美, 山口 武則, 牛久保 明邦
    セッションID: B12-7
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    木質バイオマスを活用するにあたり、熱水蒸気を用いてバイオマスや有機化合物などを燃焼させずに分解させることや炭化させる方法(以下改質とする)が注目されている。しかし、改質の際は多量の廃液(以下;改質液)が発生する。改質液は試料から溶脱した成分を含有している。本研究では木質バイオマスを改質した際に得られる改質液を対象とし、その成分を明らかにし、有効利用の検証することを目的とした。改質条件が改質液に与える影響については、改質時間が増加すると投入試料から溶脱する物質が増える。投入試料サイズの違いは改質液の成分に影響を与えないことがわかった。投入試料の違いによって含有する成分の種類が異なり、濃度が大きく変化することがわかった。改質液には作物の生長促進や抑制作用、有機物の無機化促進、抗菌作用などさまざま効果が確認された。
  • 占部 武生, 大木 武彦
    セッションID: P2-B12-8
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    セメント、骨材にそれぞれ炭化物を添加した断熱層と、黒鉛を添加した伝熱層の2層からなる融雪歩道材を作製した。人工気象器を使用した模擬融雪実験および屋外での融雪実証試験を行い、融雪能の高いことを示した。
  • 澤村 啓美, 石垣 智基, 山田 正人, 成岡 朋弘, 池 道彦, 小野 雄策
    セッションID: P1-B12-9
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    近年、未利用バイオマスからの資源化技術として、熱分解および微生物代謝を利用した水素回収技術が数多く研究されている。また、廃棄物処理・処分の現場においては水素発生の事例が報告されている。筆者らは、有機性の廃棄物と焼却灰などの無機系廃棄物の混在時において特異的な水素生成が確認しているが、科学的なメカニズムは不明である。そこで、バイオマス系廃棄物と焼却灰の混合培養による水素生成反応に関与するプロセスについて検討した。すると、複数の焼却灰をコンポストと混合した培養実験より、焼却残さのアルミニウム溶出量は水素生成量には関係がないことがわかった。また焼却灰単独のみ、滅菌処理したコンポストと焼却灰混合した系を比較したことにより、本現象は化学的な水素生成ではなく、焼却灰の混合が微生物による水素生成反応を促進しているものと考えられた。また水素発生を最大化する最適な焼却灰添加率が存在することが示された。
  • 斉藤 崇, 野口 慎太郎, 佐々木 満, 後藤 元信
    セッションID: P2-B12-10
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    バイオマスは大気中の二酸化炭素濃度を削減することができる有効な資源である。亜臨界・超臨界水(臨界点 : Tc=374℃, Pc=22.1MPa)は無触媒下でこれらバイオマスを有価物に変換することができる反応溶媒である。最近の研究では原料水溶液と予熱水溶液を混合し反応を開始する流通反応装置を用い、温度、圧力、滞留時間といった諸操作条件を変化させることで、極短い反応時間で有価物が回収できることが見出されてきた。本研究では予熱水を用いず、原料を直接加熱するといった新奇な反応装置を用いて実験を行った。D-フルクトースをバイオマスのモデル原料として用いた場合、5-HMFやグリセルアルデヒド、ジヒドロキシアセトンといった物質が高収率で得られることが確認された。
  • 岡島 いづみ, 木村 巌, 小島 嘉豊, 佐古 猛
    セッションID: P1-B12-11
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    コンビニの廃弁当などプラスチック容器と食品が混合している廃棄物について、分別処理せずにそのまま水熱処理を行うことにより、ポリマー微粉末が均一に分散した粉末燃料を生成することができた。また得られた粉末燃料は石炭や木炭並みの高い燃焼カロリーを持つことも明らかになった。
  • 鈴木 崇, 瀧上 昭治, 田尻 栄一, 松岡 昭男, 新田 昌弘, 赤石 江位子, 石栗 幸博
    セッションID: B12-12
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    プラズマ放電と触媒を組み合わせることにより油分や煙分を含む臭気の脱臭技術の開発を行った。約3年間の実験室スケールの開発で脱臭技術に目処が立ったため処理量15m3/minの試験装置を作成し実証試験を行った概要について報告する。
C1 廃棄物熱分解技術(1)
  • 福本 勤
    セッションID: C1-1
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    全国の焼却施設の改造が平成14年11月末までに行われたが、焼却施設、特に産廃焼却施設の多くは、不適正に改造され、毎年1、2日を除く毎日は不適正に運転されている。従って、「全国焼却施設からのDXNs排出量」は、環境省が毎年「減った」と発表している排出量程には、即ち平成9年DXNs排出量の1/45程には、減っていない。大気環境中のDXNs濃度の7/8減や産廃焼却施設数の7割減を考慮すると、産廃焼却施設からのDXNs排出量は平均65%しか減っていない。                  本報では不適正改造・運転の実態を報告し、これを改善してDXNsを削減する為の、(1)開発済みのDXNs簡易連続測定装置の公認、設置、DXNs濃度の連続測定記録・監視の必要性、義務付け、(2)これに伴って用済みになる構造規制の見直し(濃度規制のみにする)、更には資源・環境保護、税金有効使用の為の焼却施設を巡る諸問題、補助金研究採択・支援決定の為の各種審査・検討の問題等についても考察する。災害時の廃棄物の焼却にも触れる。
  • 亀井 裕次, 水田 明能, 藤井 健一, 藤本 裕史, 香西 幸男
    セッションID: C1-2
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    ごみ焼却炉ボイラ過熱器管の腐食状況をリアルタイムで測定できる腐食モニタリングセンサを試作した。本センサによる測定では、ボイラ伝熱管と同様の管状構造を有する電極部(検出部)を炉内雰囲気に暴露し、伝熱管と同じ熱負荷条件に温度制御した電極部の腐食速度を電気化学インピーダンス法により推定した。ストーカ型ごみ焼却炉において本センサの実炉試験(腐食モニタリング試験)を実施し、測定精度が良好であることを検証した。腐食モニタリング試験の測定データを用いてメタル温度_-_ガス温度平面上における過熱器管材料の等腐食速度線図を作成し、本センサが既設炉の腐食寿命予測だけでなく、新炉の防食設計に対しても応用可能であることを示した。
  • 西 猛, 芝池 秀治, 小椋  茂樹, 佐藤 美喜雄, 小川 政雄
    セッションID: C1-3
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    地球温暖化防止の観点から、都市ごみ直接溶融炉における燃料ガス+可燃ダスト羽口吹込み技術開発に取り組んでいる。20t/日試験プラントにおける試験(既報)に続き、67t/日実用試験を用いた実証試験を行った結果、コークス使用量の低減が可能であり、その条件下においてもスラグ中重金属濃度の低位維持が可能であることがわかった。このことから、燃料ガス+可燃ダスト吹込みにより、コークスの溶融熱源としての機能だけでなく、還元剤としての機能も代替でき、さらにCO2排出量が低減できることを確認した。
  • 川本 克也, 中川 秀利, 古庄 香哉
    セッションID: C1-4
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    比較的新しいごみ焼却方式であるガス化溶融炉が導入されて数年が経過し、施設の運転が定常的に行われた期間における各種性能などに関する実態を少数の施設において詳細に把握し、評価した。調査は、7施設に対する平成15年9月から同17年10月までの長期にわたる月別詳細稼働データのほか各種資料などに関するアンケート調査およびヒアリングにより行った。その結果、通常の可燃ごみ以外に破砕残さなどを含めて溶融処理をしているシャフト炉施設においてスラグ生成量が多くまたごみ処理量によく比例していること、キルン式、流動床式の順で同生成量が少なくなることが見出された。また、飛灰および残さの発生量割合についても同様に方式別の特徴が見出された。ごみ処理単位量あたりの発電電力量は、方式による違いは比較的少なく概ね250 kWh/t-ごみであった。さらに、消石灰使用量などの用役、維持管理コストなどについても解析を行った。
  • 佐藤 淳, 寺澤 良則, 保田 静生, 白井 利昌, 寺部 保典
    セッションID: C1-5
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
     当社が開発した一塔式熱分解ガス化溶融システムは,長年の焼却技術(ストーカ炉,流動床炉),溶融技術(汚泥溶融炉,灰溶融炉),熱分解技術(キルン炉,流動床炉)が融合したものでこれらのニーズに応え,有価物の回収・エネルギーの有効利用及び灰の資源化・排ガス量低減・無公害化を安定して実現する施設である。 当社は,平成15年10月に釧路広域連合殿から初号機である120t/D×2炉を受注し,平成17年10月に試運転を開始した。更に,本設備は本年3月末に性能保証値(定格120t/dにおいて,HCl 50ppm以下,SOx 50ppm以下,NOx 50ppm以下,CO 30ppm以下,DXN 0.1ng-TEQ/m3N以下)を達成するとともにスラグの品質を満足して引渡しを完了し,順調に稼動している。
  • 古林 通孝, 中谷 光良, 中村 和範, 榊原 恒治, 田中 学, 田代 真一
    セッションID: C1-6
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    プラズマ式灰溶融炉の炉内状況を把握することを目的に,プラズマ部解析コードと汎用ソフトFluentを用いることで,プラズマ現象,すなわち電極周りの発熱分布や電磁場などを考慮した炉内解析技術を確立し,また運転条件がスラグ層状況などに与える影響について調べた.ガス,スラグ,メタルやキャスタブル内部の温度に関して,計算値と実測値は一致し,本解析技術の正当性を確認した.また,溶融規模が異なる2つの炉(A炉,B炉)について計算し,1)B炉はA炉よりもスラグ層温度が200℃程度低いものの,高温の燃焼排ガスが出滓堰上部から供給されているため,出滓は円滑におこなわれる,2)B炉では,スラグ層のキャスタブル表面はスラグコーティングされ,これが断熱層となって熱負荷が軽減されるなど,運転状況の違いを明確化した.
C2 廃棄物熱分解技術(2)
  • 金岡 俊樹, 村松 健志, 成瀬 一郎
    セッションID: C2-1
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、廃油燃焼場における微粒子の生成特性を基礎的観点から明確にするために、2流体噴霧ノズルバーナを有するドロップチューブ燃焼炉を用いて、軽油ベースの模擬廃油燃料の燃焼実験を行った。ここでは、燃料中の残留炭素分ならびに芳香族炭化水素の種類と含有量に注目し、ベース燃料に残留炭素を多く含むC重油および各種芳香族炭化水素を添加した燃料を燃焼させ、燃焼排ガス中に存在する微粒子の粒径分布や濃度の比較を行った。主な結果として、空気比0.8の軽油燃焼場における微粒子は、粒径0.08_から_0.24mmに単一ピークを有するタール状のすす前駆体であり、排ガス中に約0.15g/m3の濃度で存在する。燃料中の残留炭素および芳香族炭化水素は、すす前駆体の濃度ならびに0.08_から_0.24mmのサブミクロン粒子の生成に影響を及ぼす。すす前駆体中におけるPAH濃度は、3_から_4環の化合物濃度が高い。
  • 凌 祥之, 陳 嫣
    セッションID: C2-2
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    過熱水蒸気炭化法(SHS)によって作成した炭化物の基礎的な性状を,在来のバッチ法で作成したものと比較して検討した.用いた材料は,バガス(サトウキビの絞りかす),牛ふん及び鶏ふんである.その結果,以下のことが解明された.1) 炭化物中の塩素含量は全ての条件(材料及び滞留時間)において水蒸気炭化法(SHS)による方が在来のバッチ法によるものよりも多かった.また細孔径については,SHS法の方が在来法と同程度か一般的に小さかった.2)カリウム含量及び重金属に関しては,炭化法による典型的な傾向は見られなかった.3)これらの性状は材料によって大きく異なった.
  • 角田 範義, 青井 茂樹, 大北 博宣, 水嶋 生智
    セッションID: C2-3
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    脱塩素化後の炭素残渣の有効利用を目的として,廃農ビ55%と廃農ポリ45%の混合物を脱塩素化した試料を原料としてKOHを賦活剤に用いて活性炭を作製した。以前作製した混合比が70:30の場合と同様に1000m2/g以上の高表面積を有する活性炭を作製することが出来た。しかし,炭化および賦活過程において収率が低下し,これは混合した農ポリが溶融あるいはガス化したためと推定した。また,硝酸・硫酸・リン酸を用いて表面官能基の付与を試みたところ,硫酸処理が活性炭の骨格構造を破壊すること無しにフェノール性水酸基を付与できることがわかった。この時,ラマン分光法と併用が作製および機能化の様子の観察に有効であることがわかった。
  • 遠田 幸生, 竹村 昌太, 佐藤 和美
    セッションID: C2-4
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、地域に最適な廃プラスチックのリサイクルの探索を目的に、廃プラスチックの中でも単一企業から比較的多く排出される廃フェノール樹脂について、その炭化・賦活挙動を調べた。その結果、水酸化カルシウムを添加し、炭化・賦活処理することにより、賦活速度を向上させることができた。そして添加した水酸化カルシウムは炭化・賦活後高いリン酸イオン吸着性能を示すことが明らかとなり、有機成分における細孔による吸着とCaによるリン酸イオン吸着の機能を併せもつ吸着材の可能性を見いだした。
  • 布浦 鉄兵, Michael J. Antal
    セッションID: C2-5
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
     炭化処理は、固形有機系廃棄物の無害化及び減容化を達成することが可能な技術である。また、生成した炭化物は長期保存が可能でありかつその利用用途も広範であることから、炭化処理は有効な廃棄物処理技術の一つとして研究・実用化されている。更に、化石燃料の枯渇が世界的に懸念されている近年、廃棄物からの代替燃料回収という観点からも、炭化処理は着目されている。 米国ハワイ州のハワイ大学では近年、Flash Carbonizationと呼ばれる新規な炭化技術を用いて、キャンパス内で発生する樹木等の有機系廃棄物を集約して炭化し、炭化物を代替燃料、土壌改良剤、吸着剤等として販売するプロジェクトを立ち上げている。本稿では、ハワイ大学における上記Flash Carbonizationプロジェクトの取り組みと、生成炭化物の新規利用技術として同大学ハワイ自然エネルギー研究所において研究開発が行われているバイオカーボン燃料電池とについて報告する。
  • 中島 大輔, 黄 仁姫, 松藤 敏彦, 杉本 富男
    セッションID: P2-C2-6
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    炭化処理は、低温低圧のローテクノロジーであり、用途の多い回収物を得られる。本研究では炭化処理を資源化技術の一つとしてその有効性を検討する。具体的には、炭化物を燃料利用することに焦点を置き、炭化物中から灰分を除去して、燃料として使える品位(灰分30%以下、発熱量20000kj/kg以上)までの品位向上を図る。それと同時に、選別結果やSEMを用いて、炭化物の存在形態についての考察を行う。
  • 呉 畏, 川本 克也, 倉持 秀敏
    セッションID: C2-7
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、触媒を適用したガス化_-_改質工程において、改質触媒の上流側にさらにCaOを適用することによってガス化ガス中の不純物の除去を図り触媒被毒を防ぐとともに、主に廃プラスチック類および紙類から製造されたRPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)を原料に水素製造の促進を試みた。実験により、水素の生成特性と影響因子との関係の詳細な解明に基づいて、最大効果の得られる水素製造技術を検討し、ニッケル系触媒とCaOの複合適用の効果を評価した。さらに、CaOによるタール分解の促進効果を考察した上に、ダイオキシン類などを含む環境負荷物質の発生挙動に基づき、システムの環境負荷性を議論した。
  • 倉持 秀敏, 中島 大介, 後藤 純雄, 呉 畏, 川本 克也
    セッションID: P1-C2-8
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、PVC単独および廃木材とPVCを混合して熱分解を行い、HClの排出量とチャーやタールなどの塩素分布を調べ、粒子径と混合比がHClの排出量に与える影響を調べた。また、木材の構成成分であるセルロース、へミセスロース、リグニンとPVCを混合して同一の熱分解実験を行い、それらの成分がHClの排出挙動に与える影響も把握した。
C3 排ガス処理
  • 杉本 富男, 宮川 満, 馬場 健
    セッションID: C3-1
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    ごみ焼却によって発生する排ガス中に含まれる高濃度の塩化水素や硫黄酸化物等の酸性ガスは、アルカリ性の薬剤との中和反応によって脱塩・脱硫処理され、浄化された排ガスは大気に排出されている。近年は乾式の排ガス処理システムとしてバグフィルタが一般に使用されており、脱塩・脱硫処理によって生じた残渣(反応生成物)と排ガス中の飛灰は共に集じん灰としてバグフィルタから排出され、埋立て処分されるケースがほとんどである。その結果、環境負荷が増加し、最終処分場の残余容量の逼迫が大きな社会問題となっている。この問題を解決するために、ナトリウム系の薬剤(ソルティクル)を用いた新しい乾式排ガス処理システム(ソルティクルシステム)としてオンサイト粉砕方式と微粉方式の二つのシステムを開発した。本報では流動床式焼却炉実炉での微粉方式での実証試験結果及び商用運転の実績を報告する。
  • 麻生 知宣, 倉田 昌明, 田口 雅一, 前田 典生, 宮川 透, 鮎川 大祐
    セッションID: P2-C3-2
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    セラミックフィルタとナトリウム系薬剤を用い,300℃の温度域で除じんおよび酸性ガスを除去する新排ガス処理システムを開発し,一般廃棄物処理のキルン式熱分解ガス化溶融プラント(70t/24h×2基)に適用した。本プラントでは,ごみを熱分解するための熱源として熱分解によって得られる可燃ガスの燃焼排ガスを利用しており,この燃焼排ガスの300℃の温度域に本システムを適用し,酸性ガス除去および除じんを行っている。セラミックフィルタ出口ダスト濃度は1mg/m3N以下で,集じん効率は99.8%以上であり,フィルタ圧力損失はろ過速度1.5m/min時に約2.2kPaであった。また,燃焼排ガスの通過する加熱管の腐食を考慮して排ガス処理後HCl濃度の設定値を15ppmとして薬剤供給量を制御することで,安定して腐食のない領域で運転がなされている。
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