-
小林 剛, 光本 純, 柴田 健司, 黒岩 正夫, 高原 正和, 吉田 和久
セッションID: D3-3
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
しゃ水シ-トによる表面しゃ水工を採用する廃棄物最終処分場における漏水リスクを低減するシステムとして、漏水を電気的漏水検知システムにより検知し、埋立廃棄物を掘削することなく補修できるシステムの開発を行ってきた。今回、実際の廃棄物最終処分場において、初めて本システムの施工を完了した。本文では、漏水検知・補修システムの概要、施工方法および電気的漏水検知システムによるしゃ水工の検査結果を報告する。
抄録全体を表示
-
吉田 英樹, 穂積 準
セッションID: P1-D3-4
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
本研究では,高温環境での遮水工からの漏水現象を明らかにすることを目的として,遮水工を模擬したカラムを用いて実験を行い,漏水特性を明らかにするとともに,これまで提案されている理論的推定法および数値計算ソフトウェアを用いた解析で得られた結果との比較・検討を行った.その結果、遮水シートと自然地盤を模擬した砂層を充填した条件で漏水量測定室内実験を行った結果,遮水シート上の保護用砂層の厚さを増加させると漏水流量は約1/8まで減少し,20℃から50℃,さらに80℃まで温度上昇すると約2?3倍になった.また、その結果を既存の推定式及び数値シミュレーションにより再現することを試みた結果,本研究で提案した FEMによるダルシー流れ解析値は,従来提案されている方法よりも実験値に近い推定値を与えることがわかった.
抄録全体を表示
-
大野 文良, 成田 賢美
セッションID: P2-D3-5
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
クローズドシステム処分場の遮水シートの健全性を確認する電気式漏水検知システムの開発において、躯体内コンクリート鉄筋を利用することで検知ができることが確認された。
抄録全体を表示
-
小田 勝也, 笹井 剛, 椿 雅俊, 佐々木 理, 桝尾 孝之
セッションID: D3-6
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
陸上処分場では,漏水検知システムなど遮水工の健全性評価技術が導入されているが,これらの技術は,水中での設置及び使用,地震による変形や地盤の沈下,海水による腐食等といった陸上とは環境が異なる海面処分場に対して,適用が困難である.そのため,海面処分場を対象とした遮水工の健全性評価技術は,体系化,実用化には至っていないのが現状である.このような背景をもとに,著者らは,遮水シートを用いた海面処分場に適用可能な,光ファイバセンサによる新たな漏水検知システムの開発を行っているので,その確認実験の内容について報告する.
抄録全体を表示
-
稲積 真哉, 木村 亮, 嘉門 雅史, 山村 和弘, 西山 嘉一
セッションID: D3-7
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
H-H継手を施した連結鋼管矢板は、工場においてH鋼で溶接された2本の鋼管矢板(連結鋼管矢板)の両端部に異なる2つの大きさのH鋼による継手(H-H継手)を施した鋼管矢板部材である。H-H継手を施した連結鋼管矢板は、既製品であるH鋼を効果的に用いることで力学的・水理学的に安定した部材となり、鋼管矢板継手に内在した低い剛性、施工性および遮水性等の問題を根底から克服する革新的な技術として位置付けられる 。特に、膨潤性止水材による遮水処理が行われたH-H継手を施した連結鋼管矢板の遮水性能は、モルタル充填により遮水処理が施された継手を持つ鋼管矢板と比べ2オーダー低い透水係数を保持することができる。本研究では、H-H継手を施した連結鋼管矢板の遮水性能に関する既往の知見を基に、廃棄物埋立護岸として海域特有の外力および地震力を想定した条件下で室内せん断透水試験を実施することで、H-H継手を施した連結鋼管矢板の変形場における遮水性能を評価している。
抄録全体を表示
-
蔦川 徹, 森脇 武夫, 岡本 拓, 渡辺 修士, 平尾 隆行
セッションID: D3-8
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
海面管理型廃棄物最終処分場跡地において,粘性土層を貫通して杭基礎等を打設することによる遮水工の健全性に与える影響については現在のところ明確でない。その結果,処分場跡地は利用の制約を受け高度利用されていないのが現状であり,処分場を早期に高度利用する技術(遮水性を確保した杭基礎形式)の開発が望まれている。 このような背景から,本研究では,処分場への杭打設による底面遮水工への影響を確認するために,小規模実験及び中規模実験を行った。 実験の結果,処分場の底面遮水工に杭を打設しても,杭打設時の乱れによる変位により遮水工表層部が攪乱され,その領域までは比較的容易に廃棄物層の保有水が流入するが,攪乱される領域は表面近傍に限られ,ある程度の深度以深では杭打設による遮水工への影響はほとんどなく,遮水機能を確保できることが推察された。
抄録全体を表示
-
坂本 篤, 佐藤 泰, 西垣 誠, 小松 満, 今井 淳
セッションID: D3-9
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
最終処分場の閉鎖後、最終覆土からの降雨浸透量を制御することにより、水処理量縮減、地下水汚染リスク低減、さらに安定化促進による管理期間短縮が図れる可能性がある。現在、雨水浸透量を抑制する方法の一つとしてキャピラリーバリア型覆土が実用化されている。 著者等は冬季に積雪のある宮城県内において、キャピラリーバリア型覆土の実規模試験覆土を構築し、浸透水量等の計測を続けている。ここでは、キャピラリーバリア型覆土の積雪・融雪時の浸透水挙動について報告するとともに、設計法の検証を目的に実施した計測データのシミュレーション解析の結果について報告する。
抄録全体を表示
-
西垣 誠, 小松 満, 坂本 篤
セッションID: P1-D3-10
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
本研究では廃棄物最終処分場の安全と安心を保障するシステムの確立を目標に,主として流量制御工法と漏水検知システム及び豪雨時における安全性の評価手法について検討している。これらのうち,今回は流量制御工法について室内試験を中心に実施した結果について報告する。結果として,解析による側方排水流量に対する再現性は確認できたが,その予測精度の向上が課題となった。また,キャピラリーバリアの新技術の提案として,空気圧制御技術について主に室内実験によりその有用性を確認した。
抄録全体を表示
-
岸川 栄二, 八村 智明, 眞鍋 和俊
セッションID: D3-11
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
本研究では、従来まで土木地質調査等に用いられていた表面波探査技術と、ボーリング調査等の結果と複合させることにより、既存処分場の埋立・地盤状況を高い精度で把握することを試みた。その結果、不透水層地盤の深度及び処分場内での廃棄物の分布状況等を想定できた。今回の実験結果を活用することで、不適正処分場の適正閉鎖または再生において、調査の精度及び経済性の点で事業効果が得られる可能性を見いだせた。
抄録全体を表示
-
成島 誠一
セッションID: D4-1
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
本稿では、廃棄物最終処分場における既存遮水構造と新たに開発したベントナイトブロックを用いた遮水構造を比較し、浸出水の滞留深に応じたトラベルタイムを明らかにすることで不測の事態にも対応できる遮水構造のあり方について論ずる。さらに、試験施工をおこない施工手順、歩掛などを明らかにすることでその実用性を検討する。
抄録全体を表示
-
松崎 達也, 沼田 淳紀, 薫田 正春, 橋本 一郎, 花村 哲也
セッションID: D4-2
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
廃棄物最終処分場建設工事において,重要構造物のひとつである遮水工のひとつのベントナイト混合土の品質管理手法を確立.実際の施工現場である,静岡県浜松市平和最終処分場において直接的且つ面的に遮水性を評価した事例.さらに,試験方法と試験値の確認のために,室内試験との比較と長期試験結果を報告する.
抄録全体を表示
-
宇佐見 貞彦, 工藤 賢吾, 今泉 繁良, 加藤 啓樹, 柴田 健司
セッションID: D4-3
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
最終処分場の遮水工として利用されているベントナイト混合土の模型変形実験を行い,許容沈下量を把握するとともに,単純梁理論に基づく沈下量とせん断応力の計算を行い,変形に伴うベントナイト混合土の安全性を確認する方法を提案した。
抄録全体を表示
-
柴田 健司, 石田 道彦, 堀 浩明
セッションID: P2-D4-4
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
廃棄物最終処分場の新設に対して、改正共同命令に示された構造基準を上回る多層遮水工や漏水検知システムが採用されている処分場が多く見受けられる。著者らは、クラッシャランや砕石砂を母材としたベントナイト混合土層の基本物性、力学特性を室内試験により評価し、土質遮水層上にアスファルトコンクリート層で遮水シートを挟み込んだ遮水工を敷設する多層遮水工を提案した。本構造にすれば、遮水シート下に強度の大きいアスファルトコンクリート遮水層と層厚の厚い土質遮水層を敷設することで、外力に対する抵抗性を高めることができる。さらにアスファルト系遮水シートを採用すると、アスコン遮水層と全ての遮水層を密着させることができ、遮水材料が損傷したときの汚水拡散リスクを低減し、遮水シート上に敷設したアスファルトコンクリートにより遮水シートも強固に保護することができる。
抄録全体を表示
-
林 義晃, 平野 文昭, 佐藤 研一, 武田 都, 森本 辰雄, 口舩 愛
セッションID: D4-5
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
現在わが国の最終処分場の底部には、廃棄物層からの浸出水が土壌や地下水を汚染しないように、遮水シートが敷設されている。しかし、廃棄物中の鋭利な物体や不等沈下によりシートが破損する恐れがあり、また材料の耐久性の面からも、人工物である遮水シートではその機能性を将来にわたって維持していくことが難しいと思われる。そこで、遮水シート下部に敷設されるベントナイト混合土などを用いた粘土系遮水材料の研究が盛んに行われている。本研究では、既存の技術であるゼオライト等の添加剤を混合するシーリングソイル工法を用いて重金属捕集機能をもち、高強度かつ低透水性の新しい遮水土質材料の開発を目的としている。そこで本報告では、新しい遮水土質材料の力学及び透水特性について報告する。
抄録全体を表示
-
今泉 繁良, 吉直 卓也, 高橋 直樹, 土居 洋一, 黒川 幸彦
セッションID: D4-6
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
著者らは、まさ土、山砂、泥岩などの土質材料をベントナイト混合土の母材として用いた場合の適用性を確認する様々な実験を実施してきた。また、山砂を対象としたベントナイト混合土において、ベントナイトの膨潤を考慮したマクロ間隙比の概念を提案し、これがゼロとなるときのベントナイト添加率を限界添加率と定義し、その計算式を示した。本研究では、しらすのような多孔質材料を母材として用いたベントナイト混合土に対して締固め試験および透水試験を実施し、その締固め特性と遮水性能を明らかにした。さらに、ベントナイトの限界添加率の概念の多孔質材料への適用性についても検討し、その修正計算式を示した。
抄録全体を表示
-
狩野 真吾, 近藤 三樹郎, 小田 勝也
セッションID: D4-7
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
本研究では廃棄物最終処分場に敷設される遮水シートを対象に,ひずみエネルギー密度関数(W関数)を用いた遮水シートの二軸引張変形時の応力-ひずみ曲線の推定精度を検討した.軟質PVC,HDPE,SMePEの各遮水シートについて,既往の研究成果である一軸拘束二軸引張試験結果からそれぞれのW関数を求め,均等二軸引張変形時の応力-ひずみ曲線を計算した.この計算値と二軸引張試験における実測値とを比較した結果,軟質PVCでは42 %,HDPEでは4 %,SMePEでは15 %までのひずみ領域に対して,W関数は10 %以内の誤差で実験値の応力を推定可能であることがわかった.ここで,敷設面不陸に追従した際の軟質PVCに発生するひずみは最大でも15 %程度であるという既往の研究結果を考慮すると,たとえば軟質PVCの裏込不陸への追従性を検討する場合,W関数による推定手法は十分に適用可能であると考えられる.
抄録全体を表示
-
吉田 誠, 小田 勝也, 狩野 真吾, 三藤 正明, 秋本 哲平
セッションID: P1-D4-8
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
環境省によると一般廃棄物最終処分場の残余年数はリサイクル率等の向上に伴ない残余年数は年々増加しているが、残余容量は年々減少傾向にあり、将来的に最終処分場が必要になると考えられる。管理型処分場における遮水工には地震時における遮水機能の確保が求められているが、遮水工の地震時挙動を反映した設計法は確立されていない。狩野らは、管理型廃棄物埋立護岸の遮水シートについて要素実験や振動実験を実施し、遮水シートの地震時変形特性について調べた。これらの成果を耐震設計法に反映させるためには地震時の遮水シート変形予測手法の確立が必要である。本研究では地震時の遮水シート変形予測手法における遮水シートのモデル化に必要となる、遮水シートと保護材間あるいは保護材と土質材料間の摩擦特性を把握するために遮水シートの引き抜き実験を実施した。なお遮水シートの敷設条件をできる限り実際と同じ条件で再現するために大型土槽を使用した。
抄録全体を表示
-
近藤 三樹郎, 狩野 真吾, 増渕 光亮, 岩井 勉, 竹内 克昌
セッションID: D4-9
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
保護マットの保護性能は各種あるが,そのひとつとして貫入抵抗性能で表すべくASTM D 4833で各種シートと保護マットについて実施した。保護性能を二層の供試体性能からシートの単体性能を差し引くことにより求めた。その結果シートと保護マットの組み合わせにより,また貫入方向によりその性能が異なることがわかった。
抄録全体を表示
-
清水 禎一, 嶽本 政宏, 福島 孝亮, 寺田 成人, 志々目 正高
セッションID: P2-D4-10
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
NPO・LS研において,平成15年度から3ヵ年に渡り,過去の研究成果を踏まえた中で,原点に返っての最終処分場の安全性追求と,現状の最終処分場の問題点を考慮し,設計的事項への展開を検討した。問題点を抽出すべく現状の最終処分場の安全性を損なう現象に対して,実際に起こった,あるいは,起こる可能性がある事例を把握し,最終処分場の安全性を確保するための対策を検討するうえでの基礎資料とするため,現在一般廃棄物最終処分場を所有する全国の自治体に対しアンケートを実施した。 アンケート結果は不具合等の発生事例数は,最終処分場83件の回答数のうち遮水工関連が55事例,浸出水処理施設関連が54事例,その他構造関連が85事例であった。回答より詳細のヒアリング調査を行ったが遮水シート自体の損傷事例の報告は少なく,周辺資材(保護マット,ガス抜き設備)の損傷が多く報告されている。
抄録全体を表示
-
吉崎 耕大, 堀井 安雄, 内田 正信, 中島 健一, 樋口 壯太郎, 武下 俊宏, 花嶋 正孝
セッションID: D5-1
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
最終処分場の安定化を促進させる技術として、酸化剤による難分解性有機物の分解法(ケミカルオキシデーション法)の適用を試み、ラボ試験、ライシメーター試験および大型槽による実証試験を実施した。その結果、酸化剤に過酸化水素(H2O2)を用いたラボ試験およびライシメーター試験では、H2O2によって難分解性有機物は分解され、一部は易分解性有機物に変換されることが明らかとなった。また、助剤としてリン酸を併用し酸化剤添加時の廃棄物層内を酸性にすることによってH2O2の効果を促進できることが明らかとなった。さらに大型槽による実証試験では、ケミカルオキシデーションと強制通気による好気化を併用することで、より安定化を促進できることが明らかとなった。
抄録全体を表示
-
弘末 文紀, 桑本 潔, 山田 裕美, 今井 淳
セッションID: D5-2
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
最終処分場埋立て終了後の維持管理では、安全・安心な管理のほか、早期に維持管理を不要にする安定化促進が求められている。我が国の基準である準好気性型埋立方式も安定化促進工法の一つと言えるが、安定化は埋立廃棄物の性状により変質形態がことなるため、より詳細な検討を行うことにより、効果的な促進が図れるものと考えられる。しかし、各工法はそれぞれの業者により独自に開発されており、総括的、客観的な検討は不可能な状態であった。このためLS研では実際に実施もしくは検討されている工法を調査・分類し、埋立廃棄物及びその環境に対応した工法選定方法を検討し、提案した。
抄録全体を表示
-
前田 正男, 原 雄, 香村 一夫, 堤 克裕, 石渡 康尊, 北橋 伸一, 早川 実
セッションID: D5-3
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
最終処分場の終了・廃止は法令により、保有水・浸出水の水質、発生ガス、内部温度等のモニタリングを安定化の判断の指標としているが、これらのモニタリングは、埋立廃棄物そのものが埋立後どのように変化したかを直接測定しているわけではない。千葉県では、安定化を知る手がかりとして埋立廃棄物の性状により安定化を指標とする研究が行われている。本報告では、ボーリングにより埋立廃棄物のほぼ埋立状態を保ったままの試料採取が可能になったのでここに述べる。
抄録全体を表示
-
今井 敏夫, 市村 高央, 山田 正人, 遠藤 和人, 井上 雄三
セッションID: P1-D5-4
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
都市ごみ焼却残渣が埋立てられる一般廃棄物最終処分場において、その埋立て初期に80℃にまで達するような発熱の起こることが知られている。この発熱は灰中の水硬性鉱物の水和反応によるといわれているが、これまでのところ定量的に取り扱った報告はない。そこで、埋立て後の都市ごみ焼却主灰中に含まれるエトリンガイトを定量するとともに埋立て前の主灰の水和発熱速度を測定した。エトリンガイト、フリーデル氏塩および水酸化カルシウムの水和生成は水和5時間以内で起こり、最大発熱速度は80J/g/hr.に達した。都市ごみ焼却残渣の埋立て初期の高温形成の一部は水和反応で説明可能であるが、都市ごみ焼却残渣の鉱物組成だけでなく埋立てられるまでの水和履歴で大きく異なるものと推察された。
抄録全体を表示
-
今井 敏夫, 朝倉 宏, 遠藤 和人, 井上 雄三
セッションID: D5-5
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
一般廃棄物最終処分場の安定化を遅らせる要因の一つに、埋立て処分された都市ごみ焼却残渣の固化現象がある。その固化のメカニズムを明らかとするために、埋立て前後の都市ごみ焼却主灰の化学組成および鉱物組成分析を行った。多くの埋立て前の主灰中に、エトリンガイトおよびフリーデル氏塩は既に生成していた。また、埋立て後の固化の程度は主に鉱物組成の違いを反映しており、よりビーライトを多く含む灰ほど固化が進行している傾向があった。埋立て後の都市ごみ焼却残渣の固化は、ビーライトの水和反応生成物であるC-S-H相の発達によると結論した。
抄録全体を表示
-
矢島 聡, 久保田 洋, 岡本 太郎, 酒向 信一, 山田 裕己
セッションID: D5-6
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
平成14年度において焼却灰(主灰)は埋立処分される廃棄物の約75%を占めている.また,中間処理やリサイクルプロセスの高度化により,将来の埋立物は溶融飛灰,破砕不燃物等へ組成の変化が予想される.本研究では焼却灰および溶融飛灰について埋立処分後の浸出水の特性を検討するために溶出試験および散水による埋立管理プロセスの検討を行った.試験の結果,溶融飛灰は焼却灰とは違う溶出特性を示した.浸出水水質においても,同じ散水条件では溶融飛灰から得られる浸出水は焼却灰と比較して塩類濃度が高く,濃度低下も遅れるなど,焼却灰とは異なる浸出水水質を示した.そのため,適切な埋立管理プロセスを提案する必要性が示唆された.
抄録全体を表示
-
渡辺 義仁, 立藤 綾子, 松藤 康司, 谷村 年基
セッションID: P2-D5-7
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
現在我国では、可燃性廃棄物の焼却処理や不燃性廃棄物の破砕選別処理等の中間処理が行われ、それらの残渣物が埋立処分されている。このため、埋立処分量及び埋立処分される廃棄物中の有機物量は減少してきている。一方、埋立廃棄物中の重金属や塩類が増加しており、埋立地は植物や微生物の生育にとって過酷な一般土壌とは異なる性状になっている。本研究では、埋立地の安定化を土壌に還元できる状態にすること、つまり「土壌還元化」と位置付け、焼却残渣主体の埋立地の安定化を促進する技術について検討している。これまでの研究において、焼却残渣に有機物を添加することによって微生物の活性が高まり、土壌還元化が進行することを明らかにした。しかし、有機物の添加は、方法によっては埋立量や汚濁負荷を増大させる懸念がある。そこで本研究では、埋立量を増加させない方法として覆土への適用方法について着目し、土壌還元化状況及び汚濁負荷量につて検討を行った。
抄録全体を表示
-
宇良 直子, 則松 勇, 弘末 文紀, 池田 通陽, 岩本 浩, 樋口 壯太郎
セッションID: D5-8
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
RP工法(埋立廃棄物静的圧縮減容化工法)は既存処分場の延命化技術であり、埋立廃棄物を原位置で静的に圧縮することによって減容化・高密度化し、埋立可能容量を増加する工法である。一方、埋立廃棄物が安定化するまでには長時間を要し、廃棄物最終処分場は埋立完了後も廃止するまでに極めて長い期間を必要としている。このような状況から、最終処分場の廃止までの維持管理コストを削減するため、埋立廃棄物を早期に安定化させる技術を開発する必要がある。本研究では、RP工法で高密度化した埋立廃棄物の安定化を促進する技術の開発を目的としている。具体的には、RP工法で形成した掘削孔の一部に砕石を投入し、水や空気が廃棄物層内部に浸透しやすい構造を作ることで、埋立廃棄物の好気性分解を進行させ、安定化を促進することを目指している。本報は埋立廃棄物の高密度化が安定化に及ぼす影響や、砕石孔の及ぼす影響とその範囲について考察を行なった。
抄録全体を表示
-
元永 優一, 樋口 壮太郎, 花嶋 正孝, 中家 祥介, 太田 和善, 水間 歩
セッションID: D5-9
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
廃棄物の早期安定化のために、強制的に好気性環境を創り出すことで有機物の分解を促進させるシステム工法の研究開発を行う。ライシメータによる予備実験と大型実験施設による有機物の分解促進メカニズムの確認実験を計画した。 本稿では、3カ年計画の初年度の成果として、ライシメータ実験(好気環境から嫌気環境への移行期間の確認)について報告する。なお、本研究開発は、北九州市の「環境未来技術開発助成事業」の支援を受けて実施した。
抄録全体を表示
-
武下 俊宏, 樋口 壯太郎, 花嶋 正孝
セッションID: P1-D5-10
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
埋立処分された石膏ボードから高濃度の硫化水素が発生する現象を解明するため,石膏ボード片を浸漬させたフラスコスケールの硫化水素発生実験を行った.雨水や海水,模擬槽浸出水などに浸漬した石膏ボードから硫化水素が発生することを確認した.示差熱分析の結果,芯材に有機物はほとんど含まれていないことを確認した.さらに,原紙の主要成分であるセルロースと,製紙の際添加される化工澱粉の原料であるコーンスターチの2種類の有機物について,硫酸カルシウムとの混合系で硫化水素の発生試験を行った.結果,コーンスターチを含む実験系でのみ硫化水素の発生が確認された.最後に,硫化水素発生抑制剤の添加効果を石膏ボード片を用いた硫化水素発生系で試験した.結果,約15gの石膏ボード片に対し15%溶液0.1mlの添加で効果が得られることを確認した.
抄録全体を表示
-
岩永 信太郎, 大嶺 聖, 落合 英俊, 黒田 俊雅, 野口 博嗣
セッションID: D5-11
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
一般廃棄物の中間処理方法として、炭化処理技術が開発され、一部の自治体において適用されている。炭化処理はごみ発生量の少ない小規模な自治体にも適用可能であり、施設から排出される都市ごみ炭化物は、現在サーマル・マテリアルリサイクルされており、3Rを主体とした循環型社会を目指していく上で、炭化処理は有効な方法の一つであると考えられる。本研究では、炭化物の有する有害物質吸着効果に着目し、都市ごみ炭化物を重金属あるいは無機塩類といった有害成分の溶出が問題とされる管理型埋立処分場における中間覆土材として有効利用することを考える。そこで、廃棄物層を模擬したカラム模型を用いて散水実験を行った。その結果、ごみ炭化物を用いることにより、焼却灰浸出水における初期の高濃度のPb、CaおよびTOCの溶出を抑制できることが示された。そのため、ごみ炭化物は処分場における中間覆土材として利用が期待される。
抄録全体を表示
-
石垣 智基, 岸本 直之, 藤原 拓, 長谷 隆仁, 小野 雄策, 山田 正人, 小野 芳朗
セッションID: D6-1
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
廃棄物最終処分場の浸出水においてしばしば有害化学物質の検出が報告されている。そのほとんどが投入された廃棄物由来であると考えられるが、その一方で最終処分場内における有害化学物質の運命、すなわち溶出・吸着・脱離・分解・生成等の反応プロセスと移動プロセスに関する包括的な検討事例は稀である。本研究では、廃棄物最終処分場の微生物群による化学物質の分解能力の定量的評価を試みた。その結果、親水性の化学物質としてBPAおよび1,4ジオキサンを対象とした、生物分解速度定数を提示した。こうした分解速度の定量的評価は、当該化学物質の処分場内での運命を表現する重要な因子であり、その他の物理化学的な因子とともに浸出水の水質形成を予測する上で、貴重な情報であると言える。
抄録全体を表示
-
今井 健太郎, 藤田 昌史, 坂本 康
セッションID: D6-2
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
安定化指標の構築の手始めとして、埋立開始からの経過時間の異なる六カ所の一般廃棄物処分場において、浸出水中のキノンバイオマーカーと微生物呼吸活性との関係を調べた。まず、各処分場におけるNUR/OUR比を算出し、埋立開始からの経過時間との関係を調べたところ、両者には必ずしも対応が見られなかった。つまり、埋立終了後の経過年数は安定化を判断する尺度にはなり得ない可能性が見出された。一方、各処分場の浸出水中のキノンプロファイルには、明らかに相違が認められた。そこで、検出された全14種類のキノンバイオマーカーとNUR/OUR比との関係を調べたところ、Q-7、Q-10と対応が見られた。したがって、キノンバイオマーカーは埋立廃棄物の安定化を示す指標になり得る可能性が示された。
抄録全体を表示
-
海老原 正明, 押方 利郎, 谷澤 房郎, 藤本 秀夫, 神尾 克久, 清水 剛, 寺嶋 利幸, 三根 正, 清永 定光, 藤野 俊光, 落 ...
セッションID: P2-D6-3
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
今回、直径1.8m高さ4m(埋立廃棄物層厚2.5m)の大型実験槽を6槽作成し、内部に混合灰(焼却灰+コンポスト+砕石)を詰込み、溶存酸素濃度を高めた水とキレート剤溶液を散水することで、廃棄物を早期に無機化・安定化させる実験を開始した。本論文は本技術の概要と実験を開始した実証実験の計画内容を述べたものである。
抄録全体を表示
-
吉岡 岳志, 鈴木 和将, 小野 芳朗, 姉川 彩, 松原 ひろみ, 毛利 紫乃
セッションID: D6-4
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
最終処分場浸出水に含まれる重金属類を捕捉できるよう、適切に透水性反応バリア(PRB)を処分場に適用させていくためには、腐植物質が鉄粉による重金属の除去に対してどのような影響を及ぼすのかを明らかにする必要がある。そこで、本研究ではAldrichフミン酸を用いて、鉄粉によるCu2+吸着に及ぼすフミン酸の影響を明らかにすることを目的とし、バッチ吸着実験と顕微鏡による鉄粉表面形状の変化を観察を行った。その結果、Aldrichフミン酸は鉄粉によるCu2+吸着に阻害効果を及ぼすことが確認された。酸化還元雰囲気を問わず阻害は起こり、特にフミン酸濃度100mg/Lを超えると阻害が顕著となった。また、鉄粉によるフミン酸吸着と鉄粉表面の顕微鏡観察の結果から、鉄粉によるCu2+吸着にフミン酸が及ぼす阻害効果の一因が、フミン酸の鉄粉表面への吸着にあるのではないかと推定された。
抄録全体を表示
-
向井 一洋, 小瀬 知洋, 姉川 彩, 毛利 紫乃, 小野 芳朗
セッションID: D6-5
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
処分場内部保有水の水質改善のために、透水性反応層(Permeable Reactive Barrier : PRB )が処分場内に適用可能であるか検討を行った。PRB構成要素である黒ぼく土、鉄粉、ゼオライト単体に対するPAHsの吸脱着等温線を作成し、吸脱着機構の検討を行った。この結果、黒ぼく土は分配、鉄粉はサイトへの反応により浸出水中からPAHsを除去することが明らかとなった。これらを組み合わせることにより、吸着機構の違いを利用し、幅広い濃度のPAHsに有効なPRB層が構築できると考えられた。黒ぼく土と鉄粉の混合PRB層を処分場に構築する際に必要となるPRB量を試算した結果、年間降水量1300mmの地域において、30年間で約6cmの層厚が必要となることがわかった。これは中間覆土の層厚(30_から_50cm)よりも小さい値であり、PRB層を中間覆土に代わり用いることは可能であると考えられた。
抄録全体を表示
-
小瀬 知洋, 姉川 彩, 向井 一洋, 毛利 紫乃, 小野 芳朗
セッションID: D6-6
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
多環芳香族炭化水素類(PAHs)やダイオキシン類にみられるような高疎水性の燃焼副生成物は焼却灰に多く含まれる。これらはその疎水性が高く、水溶解性が低いために内部保有水や浸出水への溶出が起こりにくいと考えられていた。しかしながら廃棄物の無機化が進んだ条件化ではその溶出性が高まることが懸念される。以上のような理由から近年の処分場の状況を考慮すればジオキサンのような親水性物質のみならず、フェノール類やBPA、ひいては高疎水性のPAHsなども含めてその溶出特性を把握することが必要であるといえる。地下水を汚染するVOCやPOPsを除去するための技術として透水性反応層(PRB)がある。PRBは0価鉄による還元反応及びゼオライトによる吸着などによって地下水中のVOCやPOPsを吸着もしくは分解除去し、層を透過した地下水を浄化する機能を持つ。現在実用化されている透水性反応層は主として地下水の浄化を目的としており処分場の内部水のように温度やpHが極端な条件下における使用の実績はない。また対象物質も地下水汚染において問題となっているVOCやPOPsが主体であり、ビスフェノールAやジオキサンといった処分場特有の汚染物質に関する知見が乏しい。 以上のような背景から本研究では焼却灰、不燃シュレッダーなどの廃棄物およびPRB素材と有害有機化合物の吸脱着特性を明らかにすることおよび、PRBによる溶出汚染物の浄化能を評価するをとを目的とした。 本研究において下記の結論が得られた。 焼却灰はPAHsに対して疎水性相互作用に基づく弱い吸着性を有するが、不燃シュレッダーは有意な吸着性を示さなかった。PRB素材である黒ボク土はPAHsに対して疎水性相互作用に基づく強い吸着性を示した。鉄粉はPAHsに対して静電的相互作用に基づく強い吸着性を示した。 モデルに基づく試算結果からPRBの敷設は、PAHsの溶出を遅延し、そのピーク溶出量を1/3程度まで軽減することが期待された。
抄録全体を表示
-
朝倉 宏, 遠藤 和人, 山田 正人, 井上 雄三, 今井 敏夫, 小野 雄策, 渡辺 洋一
セッションID: P1-D6-7
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
最終処分場の管理が短期間で不要になるように,層内の安定化を迅速に進められるシステムを構築する必要がある。本研究では,主要な埋立産業廃棄物を対象に,覆土の透水係数を改善することによって層内への酸素と水分の供給を高めたときの,安定化傾向の改善効果を評価した。覆土の透水係数が高いとき,速やかに層内温度が上昇し,O2が大気中の濃度とほぼ等しくなっており,好気的な生物分解反応が進行していることが伺われ,層内のTOCの減少の合計量は,洗い出しよりも分解によるものが大きく,層内分解量を確保するために覆土の透水性を上げて含水率を適切に維持する必要がある,ことが分かった。
抄録全体を表示
-
石橋 俊将, 小宮 哲平, 中山 裕文, 島岡 隆行
セッションID: D6-8
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
廃棄物埋立地では埋立終了後、廃棄物の飛散・流出防止、景観の向上および跡地利用などを目的とし、キャッピングが施工される。従来、キャッピングには土質材が用いられてきたが、近年、従来工法よりも層厚を薄くでき、雨水制御が容易なジオシンセティックス等の人工材を用いたキャッピングが注目されている。本研究では、ジオシンセティックスを用いたキャッピングの雨水浸透制御効果を評価することを目的に、模型槽を用いた人工散水実験を行った。また、キャッピング内の水分移動のモデル化 を行い、諸条件下における雨水浸透制御効果を数値シミュレーションにより評価した。人工散水実験により、廃棄物層内への浸透率は約10%、埋立地系外への排水率は約90%であることが分かった。また、数値シミュレーションにより、浸透率および排水率は施工長さの影響を受けることが示唆された。
抄録全体を表示
-
小日向 隆, 柳瀬 龍二, 石井 一英, 花嶋 正孝, 古市 徹
セッションID: P2-D6-9
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
クローズドシステム処分場における廃棄物安定化手法を検討するため、実際に稼働している処分場において、安定化指標の調査を行った。安定化指標として、廃棄物層内温度、埋立ガス、浸出水を取り上げた。調査結果、以下のようなことが明らかとなった。・埋立廃棄物からの発生ガスは、埋立層上部の新しい廃棄物層で多く、安定化の進んだ下部では少ない。・埋立廃棄物層内の発熱量は、埋立層上部の新しい廃棄物層で高く、廃棄物の安定化の進行に伴い低下する。・散水によって、埋立廃棄物の洗い出しと分解が促進され、廃棄物中の汚濁物質量および浸出水中の汚濁物質量が早期に減少する。
抄録全体を表示
-
井上 雄三, 遠藤 和人, 田中 正人, 羽染 久, 中越 武美, 池本 久利, 束原 純
セッションID: D6-10
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
閉鎖時期を迎えつつある海面最終処分場が近年増加し、跡地の高度利用や安全かつ安価な処分場管理等を図る意味からも、処分場の閉鎖・廃止を短期間で効率的に実施するための手法の開発が求められている。(財)日本環境衛生センターは、閉鎖・廃止基準の適切な適用を検討するために必要な海面最終処分場の実態把握を目的として、全国の海面最終処分場を対象にアンケート調査およびヒアリング調査を実施した。本編は、調査結果の概要を報告するものである。
抄録全体を表示
-
藤原 康弘, 水岡 翔, 安田 憲二, 田中 勝
セッションID: D6-11
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
現在、実際に運営されている海面埋立最終処分場では、_丸1_埋立末期における浸出水質の悪化 _丸2_内陸の処分場に比べて埋立廃棄物内の保有水の移動が極めて緩慢で、埋立が完了してから廃止に至るまでの期間が相当長期間になる _丸3_処分場跡地が軟弱地盤 などの多くの問題を抱えており、その適切な管理マネジメントは確立されていない。そこで、本研究ではA処分場をフィールドとし既設の海面埋立最終処分場について、埋立物の安定化の現状を把握すると共に、条件別に埋立物の安定化を促進するための手段について検討を行い、浸出水の汚濁負荷を低減して合理的なマネジメントを実行できるようにする。そして最終的には、早期に廃止基準の適合を図り、処分場の廃止に向けての取組方法について検討することを目的とした。
抄録全体を表示
-
谷口 初美, 福田 和正, 木川 修二, 藤川 輝昭, 高橋 浩司, 花嶋 正孝
セッションID: D7-1
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
海面管理型処分場の深度別土壌の理化学性状及び遺伝子工学的細菌叢解析を行ったところ、表層土壌には硫酸イオンが多いこと、また硫化水素をイオウや硫酸塩に酸化するイオウ酸化細菌が表層に多く、逆に深いところでは硫酸還元菌が多いという菌叢の分布が明らかになった。掘削埋め戻し作業の7ヶ月後のサンプルでは深層の硫酸還元菌の割合が掘削前の約10倍に増加しており、全菌数の20%を占める結果となった。また、増加した硫酸還元菌はProteobacteria 門に分類されるDesulfonatronumであった。高アルカリを呈する処分場土壌で、掘削により表層の硫酸イオンが深部に供給されることで好アルカリ性の硫酸還元菌活発に活動し始めたと考えられた。硫化水素ガスが発生していない廃棄物処分場でも、掘削や埋め戻し等の施行により硫化水素ガスが発生する危険性を潜在的に有していることが強く示唆された。
抄録全体を表示
-
福田 和正, 元永 優一, 為、田 一雄, 樋口 壮太郎, 谷口 初美, 花嶋 正孝
セッションID: P1-D7-2
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
廃棄物処分場土壌の安定化促進の為に考案された強制的好気性工法の施工前後の深度別土壌サンプルに対し、蛍光染色法による全菌数計測、好気培養法によるコロニー形成菌の計測及び、16S rDNA塩基配列に基づく細菌叢解析を行ったところ、施工後の土壌サンプルで全菌数における好気培養可能菌の割合が施工前より高くなることが明らかになった。また、細菌叢解析の結果から施工前は表層でProteobacteria門、深層でBacteroidetes門に属する細菌種が優勢を示す傾向が認められたが、施工後には深部でも表層土壌と類似したProteobacteria門優位の菌叢に変化することが明らかになった。これらの結果から、強制的好気性工法の施工により処分場内部の環境が好気性に移行したこと、及びこれらの微生物学的な知見により、土壌中の好気的及び嫌気的環境の変化を予測できることが明らかになった。
抄録全体を表示
-
磯部 友護, 遠藤 和人, 川嵜 幹生, 小野 雄策
セッションID: P2-D7-3
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
比抵抗探査を用い最終処分場内部の水分分布状況や降雨イベント時などにおける移動現象を把握することを最終目的とし、比抵抗探査によるモニタリング調査を行っている。本論では、内部貯留水の存在が確認されている処分場において場内観測井からの揚水時における比抵抗モニタリングを行った結果を報告する。直交する2本の探査測線(Line1、Line2)の中心に位置する場内観測井から揚水を行い、そのときの比抵抗断面図の経時変化を追跡した。その結果、集配水管に直交するLine1において観測井付近の比抵抗値が増加する傾向が確認された。一方で、Line2における比抵抗の変化は小さい傾向となり、揚水に伴う廃棄物層内の性質・性状変化が比抵抗変化として捉えられることが示され、さらに内部貯留水の移動はLine1の方向からLine2に向かっていると推定された。
抄録全体を表示
-
遠藤 和人, 杉本 芳博, 山田 直之
セッションID: P1-D7-4
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
テストセル内で比抵抗トモグラフィを実施し、テストセルに埋設した一般廃棄物をモニタリングした結果を報告する。
抄録全体を表示
-
香村 一夫, 石渡 康尊, 大石 修, 栗原 正憲, 依田 彦太郎, 原 雄, 山田 正人, 遠藤 和人
セッションID: D7-5
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
一般廃棄物最終処分場における廃棄物層内の水の浸透・賦存状態について検討した。7本のボーリングにより廃棄物の埋め立て状態は判明している。さらに、ストレーナ深度の異なる7本の観測井における保有水位データ、比抵抗探査結果、RI検層による層内空隙量の分布データを対比した。廃棄物層内の空隙量分布の把握は浸透水の挙動を解明するために重要な因子であるが、前述のデータ間に明瞭な相関をみいだすことはできなかった。
抄録全体を表示
-
長森 正尚, 渡辺 洋一, 小野 雄策, 河村 清史, 山田 正人, 遠藤 和人, 石垣 智基, 小野 芳朗
セッションID: P2-D7-6
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
廃棄物最終処分場における埋立廃棄物の安定化を監視する手法として、筆者らは場内観測井を用いて層内保有水及びガスを継続してモニタリングしている。しかし、場内観測井の設置は大型機械によるボーリング工事が伴うという欠点がある。本研究では、実規模に近い円柱型のライシメター(テストセル)に地表面から深さ数mにわたる層内保有水を採取可能な層内溶液採取用パン及び層内ガス採取用のガス抽出管を設置し、簡易モニタリング手法を確立することを目的として実験を行った。その結果、層内保有水及びガスを簡易に採取することができ、層内の状態をある程度把握することが可能であった。しかし、装置によっては保有水を採取できないものがあった。その原因に廃棄物や中間覆土の不均一な締め固めによって、パン周辺に水ミチができた可能性がある。また、パンのチューブの目詰まりもあった。
抄録全体を表示
-
柳瀬 龍二, 松藤 康司
セッションID: D7-7
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
水銀を含む使用済み乾電池が埋立処分された場合の影響について、その水銀の挙動に関する研究が少なかった事から、1985年に大型埋立実験槽を用いて、埋立地における水銀の挙動を長期に亘って調査・研究を行ってきた。2005年に実験開始から20年が経過したことから、埋立実験槽を解体し、埋立地からの水銀の流出や乾電池からの水銀の流出及び、埋立地内での水銀残存量等を調査し、水銀の収支を求め、埋立特性を検討した。埋立20年に亘って調査した結果、水銀の浸出水への流出はほとんど無く、気化水銀として大気拡散する方が大きかった。また、埋立処分された乾電池は腐食し、乾電池中の水銀が廃棄物層へ移動していた。しかし、埋立地系外へ流出した水銀量は、埋立20年間で、初期値の1%以下であり、乾電池由来又は廃棄物由来の水銀のほとんどが埋立地内に残存していることが確認できた。
抄録全体を表示
-
田中 宏和, 田中 博義, 橘 治廣, 中屋 亮二, 山田 正人, 遠藤 和人, 大家 清紀, 小林 克至
セッションID: D7-8
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
北陸地方の気候は年間降水量が多く、さらに夏期よりも冬期の方が雪による降水量が多い特徴を有する。このような気候が管理型産業廃棄物最終処分場の安定化に及ぼす影響を把握するため、福井県内の処分場において、埋め立て時期が異なる複数区画の浸出水水質を調査した。浸出水に含まれる各イオン濃度は埋立区画により異なり、その割合は安定化による無機塩類の溶出と生物分解を反映していた。また降水量が増加する冬期は全体的なイオン濃度の低下がみられ、浸透水量増加による希釈効果が原因と考えられた。さらに一部の区画では浸透水を通過させやすい短絡が存在し、冬期には有機物分解由来のイオンの割合を低下させるなど、浸出水水質に大きく影響することが分かった。
抄録全体を表示
-
阿部 誠, 山田 正人, 井上 雄三
セッションID: P1-D7-9
発行日: 2006年
公開日: 2006/10/20
会議録・要旨集
フリー
ミミズの忌避行動に着目した浸出水試料の環境影響評価試験の開発を行った。オオミジンコの急性毒性試験の結果と比較したところパラレルな応答が得られた。また、浸出水に含まれる塩分を考慮し、NaCl水溶液を対照区とした試験を行った結果、塩分以外の要因による忌避性を検出することができた。
抄録全体を表示