廃棄物学会研究発表会講演論文集
第18回廃棄物学会研究発表会
選択された号の論文の365件中51~100を表示しています
A6 廃棄物処理システム評価
  • 古山 隆, 大矢 仁史, ドドビバ ジョルジ
    セッションID: A6-3
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    本研究では調理や加工等で発生する野菜屑と使用済みの包装系プラスチックを原料とした固形バイオマス燃料の製造プロセスを考案し、得られた固形燃料の輸送から燃焼までのCO2排出量についてRPF(木屑と使用済みプラスチック)および発電用石炭との比較検討を行った。乾燥野菜屑からなる固形バイオマスはRPFとほぼ同じ発熱量、灰分、塩素分、硫黄分を有していることから、燃料として十分使用できることが分かった。しかしながら今回の乾燥工程の環境負荷を計測するために行った実験では十分な乾燥工程の最適化を行えなかったために発電用石炭を燃焼した場合よりもCO2排出量が多くなることが明らかになった。乾燥工程の最適な設計、運転条件検討、および全体のシステムに呼応した乾燥工程設計を行なうなど乾燥工程においてCO2排出量を低減化できれば野菜屑を原料とした固形バイオマス燃料はRPFと同等の低環境負荷型石炭代替燃料になり得ると考えられる。
  • 佐藤 剛, 古市 徹, 谷川 昇, 石井 一英
    セッションID: P1-A6-4
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    現在、ごみ処理に関わる諸問題の解決のために広域的な処理体系への移行が進められ、生ごみの資源化と処理手数料の有料化も同時に検討されている。しかし、従来のごみ処理体系を変更した場合の効果は明らかにされていない。そこで本研究では、ごみ処理の広域化計画によって生ごみのバイオガス化・ごみ処理手数料の有料化等のごみ処理体系変更を実施した事例を定量的に分析し、自治体のごみ処理におけるその導入効果を処理ごみ量・最終処分量・処理コスト・エネルギー消費量・温室効果ガス排出量・ダイオキシン類排出量の項目で評価した。  この結果、2事例に共通して全体のごみ量と最終処分量が減少し、処理コストとエネルギー消費量が増加した。直接埋立処理からの移行では、温室効果ガスの排出量も減少させる効果があった。小規模焼却処理からの移行では、温室効果ガスの排出量は増加したが、ダイオキシン類の排出量が減少した。
  • 石渡 和夫, 山本 隆之, WONG Looi-Fang, 山口 直久, 土田 えりか, 柳 奈保子, 藤田 壮
    セッションID: P2-A6-5
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    地域産業との連携を想定した資源循環システムについてGISデータベースとLCA手法を援用し空間分布特性を生かして施策効果を定量的に評価するプロトタイプシステムを川崎市をモデルとして構築し、その施策シナリオの導入効果について経済性(コスト)、環境負荷(CO2排出量)等の評価を行った。その結果、資源化品目を増やすとともに合わせて焼却施設数を削減することで、大きな対費用効果が得られることが期待された。
  • 金子 昌示, 立尾 浩一, 大迫 政浩
    セッションID: P1-A6-6
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    我が国の資源循環に大きく貢献している鉄鋼業、非鉄製錬業、セメント産業に着目して、素材産業を活用した動脈産業と静脈産業の連携による近未来の資源循環ビジョンの描出を最終的な目的として、現状を把握するとともに素材産業を活用した動脈・静脈連携システムについて、いくつかの評価軸を設定し評価を行った。評価する指標は、天然資源消費の抑制、二酸化炭素排出量の抑制、最終処分量の低減効果に着目して設定した。その結果、各産業では資源生産性や環境効率が向上しており、セメント産業では、廃棄物・副産物を利用せずにその分を天然資源に依存した場合と比較すると、現在の状況は資源生産性で数割の上昇をもたらしていることが推定された。
  • 磐田 朋子, 島田 荘平
    セッションID: A6-7
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    供給過剰状態にある家畜排せつ物を適切に処理・利用することにより、地域環境汚染の軽減や資源の節約などに代表される環境・社会便益が向上することは、一般的に認識されており対策が複数提案されている。しかしながら、対策の実施に伴う環境・社会便益向上効果を定量的に示した上で、規制や助成金制度を設ける仕組みは整っていない状況にある。  そこで本研究では、家畜排せつ物対策の体系化を行った上で、期待される環境・社会便益の定量化モデルの開発を目的とした。さらにケーススタディーとして、群馬県前橋市における各種家畜排せつ物対策の実施効果を定量的に示した。 その結果、「家畜頭数の制限策」は全体的に費用対便益向上効果が大きく、「メタン発酵処理施設の設置支援策」は期待されたエネルギー自給率向上効果の向上幅が小さく全体的に費用対便益向上効果が小さいことが示された。各対策がもたらす一長一短の効果を定量的に示すことが可能となった。
  • 佐藤 直生, 古市 徹, 谷川 昇, 石井 一英
    セッションID: P2-A6-8
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    本研究の目的は、広域化を検討している地域を対象に、設定した廃棄物管理の広域化システム代替案を、多目的評価手法の1つであるANP(Analytic Network Process)手法を用いて評価し、ANP手法の有効性を示すとともに、2人の専門家のANP評価結果の違いを考察し、評価結果に影響を及ぼす因子を明らかにすることである。
  • 松澤 裕, 山田 健一, 杉岡 賢治, 老松 和俊, 庵原 一水
    セッションID: A6-9
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    生ごみ等をエネルギーに変換する主な技術としては、発酵等の生物化学的変換、ガス化等の熱化学的変換及び直接焼却熱変換の3つの方法があるが、方法の選択に当たって、生ごみ等のエネルギー利用における有効なエネルギーの効率(生ごみから正味でどれくらい有効なエネルギーを取り出せるか)が重要な情報となる。したがって、有効なエネルギーの効率をどのように評価するか具体論の検討が望まれている。そこで、本稿では、評価手法としてエクセルギー(有効エネルギー)の考え方を用い、生ごみ等のエネルギーの利用をエクセルギー効率等で表すことにより、そのエネルギー利用方法について比較検討した。エクセルギー効率で評価すると、例えば、発電による電気出力、排熱回収等による熱出力があるが、電気と熱をエクセルギーとして表すことにより、それぞれのエネルギーの「質」についても同じ評価軸に考慮されることになる。
  • 大矢 仁史, 佐藤 明史, 小林 幹男
    セッションID: A6-10
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    20世紀は大量生産・大量消費・大量廃棄の時代であったのに対し、21世紀は環境の世紀と呼ばれ、持続可能な社会の構築が望まれている。静脈産業においても、広域収集による集中型リサイクルシステムが、最も生産性が高いと考えられてきた。またリサイクル後の資源化物の活用も、最もコスト的に有利な活用先を求めて、広域での資源化を行ってきた。しかし、動脈産業と同様に持続可能な社会構築に際しては、必ずしも常に集中型・広域資源化リサイクルシステムの大量処理が有利であるとは言えない場合が出てくるのではないかと考えられる。特に静脈産業を動脈産業と比較した場合、生産性(コスト)に占める物流コストの割合が大きいことが特徴とされている。 そこで本研究では、生産性の指標としてコストを、環境影響の指標としてCO2を取り上げ、動脈産業と静脈産業の、集中方式と分散方式の、定常時と変動時における特徴を明らかにすることを目的として検討を行った。そして、静脈産業における分散方式である、コンパクト/フレキシブル/ユニバーサルなリサイクルシステム構築に向け、どのような評価指標(パラメーター)を検討すればよいかについて考察した。
A7 LCA
  • 遠田 幸生, 小野 尚久, 小野 雅敏
    セッションID: A7-1
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    建築物の解体処理並びにその解体物のリサイクルにおいて、木造建築物の木材チップ化処理と鉄筋コンクリート建築物のコンクリート破砕物再利用を例に挙げ、異なる解体処理手法や解体物のリサイクルを実施する場合のライフサイクルインベントリー解析を行った。その結果、木造建築部解体における処分場処理の炭酸ガス排出量は、現場処理に比べ、約40wt%高い結果となった。そして、鉄筋コンクリート建築物解体の場合、処分場処理&他現場再利用及び現地破砕&他現場利用の炭酸ガス排出量は、現地破砕&当現場のそれぞれ約6倍及び約4倍であった。
  • 西郷 諭, 永田 勝也, 小野田 弘士, 永井 祐二, 切川 卓也, 吉住 壮史
    セッションID: A7-2
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    香川県豊島での産業廃棄物不法投棄問題について,共創という理念を基に技術・技術者としての役割の実践を検討した.産業廃棄物処理をする豊島廃棄物等事業のLCA(ライフサイクルアセスメント)を評価するために,われわれの研究室が開発した環境負荷統合化指標(ELP)を用いて算出した.その結果,豊島事業の各工程における環境負荷が確認でき,環境負荷の高い工程の改善・検討に寄与することができた.また,年度ごとにELPを算出することによって経年変化を示し,共に事業内容の可視化に努めることができた.これらを研究のホームページに掲載することで,住民・関係者によりわかりやすい事業情報を表示することで寄与することができた.
  • 田中 勝, 松井 康弘, 田中 伴明, 石橋 誠司, 井伊 亮太, 野上 浩典
    セッションID: A7-3
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    岡山大学において構築した中間処理技術に関する技術モデルを用いて、特にストーカ式焼却炉に焦点を当ててそのコスト・環境負荷の区間推定を行った。また、コスト・環境負荷の推定精度を悪化させる要因を明らかにした上で、技術モデルの改良を図るとともに、技術モデルの計算値とメーカー設計値を比較することによりその妥当性を検討した。 区間推定の結果、施設によってエネルギー消費量の推定範囲が8,000MJ/tを超え、モデルの信頼性が低いこと、感度分析より発電電力モデルに係る偏回帰係数の変動の寄与が最も大きいことが判明した。そこで、「ごみ焼却施設台帳」を用い発電電力に係るモデルを再構築し、再度区間推定を行った結果、区間推定の範囲が縮小し、ほとんどの施設において、モデルに基づく信頼区間とプラントメーカー設計値に基づくエネルギー消費量の計算値が重なることが明らかとなり、本技術モデルは一定の妥当性があると考えられた。
  • 小清水 勇, 小沢 俊明, 小野田 弘士, 永田 勝也, 長田 守弘
    セッションID: A7-4
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    本研究では環境的・経済的に最適なシステム(BAS:Best Available System)を提案することを目的とする.廃棄物処理・リサイクルのBAS提案の手段として、これまでに開発された一般廃棄物処理評価ソフトウェアの改良とその実用化に向けた検討を行った.ソフトウェアの改良については,プラントメーカーより焼却処理技術に関するデータの更新、見直しを行っていただくことで、一般廃棄物処理の基盤となる焼却処理技術におけるデフォルト値の更新を行い、さらに、焼却発電電力量のデフォルト値や排ガス処理方式についての検討を行った.また,広域化によるBASの評価事例として、循環型社会の基盤を目的に形成されたエコタウンにおける資源循環技術を評価することで,その有効性を示すとともに,ソフトウェアの評価範囲の拡大を目指した.
  • 藤井 実, 稲葉 陸太, 南斉 規介, 橋本 征二, 大迫 政浩, 森口 祐一
    セッションID: A7-5
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    循環型社会の形成に向けて、これまで以上に資源の有効利用を行う必要がある。資源の浪費を避ける(リデュース)のは勿論のこと、リユースやリサイクルによって、資源がそのライフサイクルにおいて発現できる機能を最大限に引き出すことも重要である。本研究では、資源の有効利用という観点から、あるべきリサイクルの姿や、リサイクルシステムの設計方針について検討を行う。指標となる「資源の平均的有効利用度」は、現時点では定性的な定義でしかないが、今後より詳細な検討を行いたい。
  • 矢野 順也, 平井 康宏, 酒井 伸一, 出口 晋吾, 中村 一夫
    セッションID: A7-6
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    京都市を例に、自治体スケールでの廃棄物系バイオマス導入効果を試算することを目的にLCAを実施した。対象バイオマスは廃食用油、厨芥類、廃木材とし、サブシナリオを含む5つのシナリオについて地球温暖化および埋立地消費を環境影響領域とした。なお、厨芥類については選別工程を評価するため、一般可燃ごみを機能単位とした。 本研究では、廃食用油のBDF化により2,700t-CO2の削減効果となった。厨芥類は機械選別過程で紙ごみも混入し、13,000t-CO2の削減となった。そして、京都市が将来目指しているバイオマス資源を利用したシナリオではバイオガス化および廃木材からの熱分解ガス化・メタノール合成利用により、廃食用油のBDF化のみを実施している京都市現状のシナリオと比較して7.8%の削減が見込まれた。 今後の課題として、コスト評価など、GHG以外の項目についても評価することが必要である。また、紙ごみ利用や家庭系厨芥類を分別収集にしたシナリオなどの効果試算も必要と考えられた。
  • 勝原 英治, 松本 亨, 松葉 仁志, 鶴田 直
    セッションID: A7-7
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    近年、国レベルのみならず地域レベルにおいて循環型社会形成のための様々な政策が実施されているが、地域によって資源循環をめぐる状況が大きく異なるため、地域の特性に合わせた政策を行っていくことが重要となってくる。ここで、循環型社会を目指した政策の一つに、地域ゼロエミッションと環境産業振興を目指したエコタウン事業がある(平成19年6月現在26地域承認)。1997年の第1号承認(北九州市、川崎市、飯田市、岐阜県)から今年で10年を迎えようとしているが、その施策効果の検証については、エコタウン事業を核としたまちづくりという面からも、またアジア諸国への経験移転という面からも問われている。 本研究では第1号承認地域の1つであり、最も成功していると言われる北九州エコタウン事業を対象に、エコタウン事業が地域の資源循環構造に与えている影響を評価する。産業連関表の枠組みを利用したマテリアルバランス表をもとに都市レベルの資源循環構造分析を試みるとともに、北九州エコタウン事業に関するマテリアルフロー分析(MFA)及びLCAを実施し、その結果を全市に対する影響度として表現する枠組みを提案する。
  • 矢吹 悟, 森本 峻, 横山 一代, 長坂 徹也
    セッションID: A7-8
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    宮城県の県内生産額は商業、不動産、対事業所サービス、食料品などが高い一方、鉱業、農業サービス、林業、精密機械などが低い。また全国平均と比較を行うと産業構造は漁業、食料品、農業サービス、パルプ・紙・木製品が特化している一方、輸送機械、化学製品、繊維製品、精密機械の構成比が低いという特徴がある。 本研究では、宮城県内の廃棄物排出・再資源化状況の把握し、廃棄物処理、再資源化政策のシナリオ分析を行うために宮城県版廃棄物産業連関表の作成と、これを基に各種廃棄物リサイクルに関するシナリオ分析を行った。 宮城県版WIOの作成にあたり、産業活動部門は宮城県版産業連関表(平成12年度)、廃棄物部門は宮城県廃棄物実態調査報告書(平成17年度)などをベースとし、不足しているデータは全国版WIO(平成12年度)の割合から算出した。また、牛糞炭化物を石炭代替物として用いるシナリオ分析を行い、その波及効果を推定した.
A8 収集運搬/処理施設計画/災害廃棄物対策
  • 鈴木 慎也, 山下 雅史, 松藤 康司
    セッションID: P1-A8-1
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
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    福岡市南区A町における戸別収集地点を対象に,ばねばかりによるごみ袋の搬出重量の実測を行い,ごみ袋の使用方法を明らかにした.さらに、ごみ袋密度の分布から搬出行動特性を明らかにした. 全体の7割程度の世帯では,使用するごみ袋を決めており,特に45L入りごみ袋が最も多く使用されていた.多くの世帯が0.10-0.12(kg/L)のごみ袋を満杯と捉え,搬出する.ごみ袋を搬出するかどうかはあくまでも各搬出日におけるごみの「堆積状況」で決まり,ごみ排出量の大小には依存していないこと,ごみ排出量に応じて袋の容量・袋数を変えていることを明らかにした.
  • 山下 雅史, 鈴木 慎也, 松藤 康司
    セッションID: A8-2
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    分別の徹底・ごみ減量化を図る為、ステーション収集から戸別収集へと切り換える自治体が増加し、同時にスプロール問題の蓄積した都市において高齢化社会の問題などから高齢者のごみ搬出行動への負担を考慮する必要性が求められてきている。そこで、本報告において今まで明らかにされていなかったステーション収集地点の形成要因を道路形状に注目し明らかにしようとした。まず、ごみ収集経路の形成要因を明らかにし、次にステーション収集地点と道路形状との関係を明らかにした。その結果、1)ごみ収集経路は道路の最小幅員、道路両端の接続状況、接道住宅数、接続先の道路幅員、住宅の立地分布の組み合わせによって決定されることがわかった。2) 100m以上の最大ごみ搬出距離がある場合、搬出距離が長くなるにつれ収集経路として利用されない公道が増加する傾向がみられた。
  • 永田 勝也, 小野田 弘士, 切川 卓也, 兼子 洋幸, 根岸 貴紀, 村田 寿見雄
    セッションID: A8-3
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    近年、循環型社会構築の中でも重要な役割を占める廃棄物処理・リサイクル関連施設において、事故やトラブルの発生状況を鑑み、2004年10月に関係約30社の協力を得て、システム安全・安心研究会(以下、研究会とする。)を設立した。研究会では安全・安心な廃棄物処理システムの構築に向け、事故・トラブル事例データベースの構築・分析とこれを出発点とした体系的・定量的な安全性評価手法である安全設計解析手法の開発やIT技術を活用した効率的な操業情報管理支援システム、VR技術を活用した効果的な運転員教育支援ツール、周辺住民等の安全・安心醸成を志向した共創型の情報共有システムの構築を行っている。総じて安全・安心な廃棄物処理・リサイクルシステムを構築することを目的とする。
  • 渡辺 信久
    セッションID: A8-4
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    都市ごみ中間処理施設の更新にあたり、豊中市伊丹市クリーンランドでは、「PFI方式にするか否か」について、市民・労働組合・学識経験者を交えた議論を行った。主な論点は以下の2つである。(1)施設の耐用年数は35年と考えられる一方、PFI期間20年でコスト比較を行わざるを得なかった。VFM(コスト削減率)12.2%と、経費的にはPFI方式に魅力があったが、21年目に施設は公共に返却されることとなり、そのときに、さらに15年間使える状態であるように、公共は、PFI期間に事業モニタリングを行わなければならない。(2)施設更新のPFIが俎上に上がったにもかかわらず、市民委員から見れば、収集・運搬から中間処理・リサイクル・最終処分まで一体であり、収集・運搬などについても意見が出された。施設のPFI化はコスト減とひきかえに、難しい運営が迫られる。
  • 小嶋 平三, 神田 明比古, 寺内 将之, 白毛 宏和, 八田 圭吾, 石井 一英, 花嶋 正孝, 古市 徹
    セッションID: P2-A8-5
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    循環型社会を構成するリサイクルを念頭に、我々はクローズドシステム処分場(CS処分場)に関して、廃棄物を資源物とした場合の資源保管庫としての適用性について、検討を重ねてきた。その成果の一つとして、一時的にCS処分場を保管庫として使用した後に、再び処分場として使用するシステムを提案した。本研究においては、現有施設としてオープン型処分場(OP処分場)とCS処分場を同時に有するA市をモデルに、この提案を適用した場合の最終処分場の延命効果および経済効果について検討することを目的に、ケーススタディを行った。結果として、極力品質を変えることなく安全に、長期間にわたって有機廃棄物を保管する方法等、残された課題は多いが、適切な施設を組み合わせた場合には、CS処分場を一時保管庫として用いた後に、最終処分場として用いることにより、最終処分場の延命効果や経済効果が得られることを定量的に示すことができた。
  • 平山 修久, 河田 惠昭
    セッションID: A8-6
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,都道府県間の広域連携に着目し,災害廃棄物の広域連携シミュレーションモデルを構築し,阪神・淡路大震災,想定東海地震,首都直下地震に係る災害廃棄物処理における広域連携に関する数値シミュレーションを行った。その結果,サテライト方式あるいはバックヤード方式での全国連携による災害廃棄物処理に必要な期間は,阪神・淡路大震災ではそれぞれ4.6ヶ月,4.4ヶ月,想定東海地震では9.3ヶ月,9.3ヶ月,首都直下地震では22.6ヶ月,21.6ヶ月と推定された。また,スーパー広域災害時における災害廃棄物対策では,都道府県間を越えた広域的な連携が重要となることを示しえた。
  • 河田 惠昭, 小鯛 航太, 鈴木 進吾, 平山 修久
    セッションID: P1-A8-7
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    東南海・南海地震発生時には,広域にわたる太平洋沿岸地域に軒並み津波が来襲する。そして,港湾,漁港及びその周辺地域では,地震と津波の複合作用によって発生し,散乱したがれきが海域を閉鎖することとなり,災害発生後における救助・救命活動,及び港湾を活用した支援物資輸送に支障をきたす。地震に続いて津波が来襲する地域において災害対応を効果的に実施するためには,発生したがれき等の津波廃棄物の流出阻止や迅速な回収が重要となる。このような津波廃棄物処理施策を的確かつ合理的に策定するためには,その発生量の推定が必要である。本研究では,これまでの津波被害に関する研究を整理し,地震・津波等の外力を入力として津波廃棄物発生量を推定する手法を導出し,和歌山県の耐震強化岸壁を有する主要港湾を対象としてその推定を行った。その結果,津波廃棄物を量的に示すことが出来,大量の除去作業量や流出防止策が必要となることが判明した。
  • 岡山 朋子, 成清 幸子
    セッションID: A8-8
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    我が国は世界でも有数の水害発生国である。ひとたび水害が起こると、大量の廃棄物が発生する。本研究は、この水害廃棄物の発生抑制と減量化を目指すものである。水害廃棄物の発生抑制と減量化を促すであろう仮説を6つ設定し、具体的な提案を導いた。(1)属性によって大切なものが異なるので、重要な家財等は被災を回避するよう防災につとめる、(2)水に浸かっても再度使用できる家財の情報や、避難準備情報等の情報によって被災や排出を回避できる、(3)ボランティアや行政が捨てることを促さない、(4)便乗ごみを排除する、(5)廃棄物管理がスムーズに行えるよう、収集運搬にあたる事業者と行政は平時からコミュニケーションをもつこと、(6)廃棄物管理のありかたとして、被災地に臨時集積場、周辺に一時集積場を確保し、迅速な収集を行うことの6つである。
  • 近藤 伸也, 近藤 民代, 永松 伸吾, 平山 修久, 河田 惠昭
    セッションID: A8-9
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,大規模水害として米国ハリケーン・カトリーナ災害を取り上げ,水害廃棄物処理について,ルイジアナ州環境省に対するヒアリング調査を行った。ハリケーン・カトリーナ災害によるルイジアナ州の水害廃棄物発生量は2,680万tとなり,災害廃棄物量原単位という観点からは,地震災害による解体家屋で発生する災害廃棄物量と同程度の水害廃棄物が発生したといえた。また,米国においては,Debris Management Guideとして,災害廃棄物処理業務が体系的に示されており,わが国においても大規模水害時の水害廃棄物対策においては,水害廃棄物処理に関する暗黙知を形式知とし,災害対応の実践的,体系的な知見の蓄積や知識の共有を図るとともに,事前に体系的な水害廃棄物処理マネジメントシステムを構築しておくことが必要である,といえた。
A9 労働安全衛生
  • 橋本 治, 三橋 博巳
    セッションID: A9-1
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    資源化施設はや粗大ごみ施設は、近年その重要性を増す一方、危険物(廃棄リチウム電池、エアゾール缶等)の混入による火災爆発事故が、他の処理施設に比べ多発している。事故による長期間の停止は、市民生活への影響が懸念され、火災爆発事故はその影響の大きさから社会全体で解決すべき問題となっている。危機管理と廃棄物安全の視点から検討を行い、発生源対策の重要性を確認した。
  • 清水 芳忠, 若倉 正英, 新井 充
    セッションID: A9-2
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    貯蔵を目的とするか否かにかかわらず,堆積された廃棄物は内部に熱を蓄積する可能性があり,悪条件が重なった場合には大規模な火災事故に発展することも少なくない。これは,野積みされた余剰の廃棄物だけではなく,廃棄物を燃料として再利用する目的で製造されている,ごみ固形燃料(RDF)や木質系バイオマス燃料の貯蔵時においても事故例が報告されている。これらの堆積廃棄物火災の抑制や廃棄物の蓄熱発火危険性評価手法の構築を目指し,さまざまな廃棄物について初期発熱の起こる条件や発熱が蓄積する過程,酸化反応の開始温度や促進される条件など,各種熱分析や化学発光測定を利用して検討を行った。
  • 大下 和徹, 武田 信生, 若倉 正英, 三宅 淳巳
    セッションID: A9-3
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    廃棄物処理施設で多発する事故を未然に防ぐためには、事故のメカニズムや原因を明らかにすることにとどまらず、それらを様々な場で活用できる形の安全知識として情報提供することが必要である。そこで本研究では,まず事故事例解析により、主に事故の起因となる物質と装置の組み合わせを抽出し、火災、爆発での主要因を明らかにした後、その結果や、文献や事故報告書などの情報を体系化し、安全管理情報システムとしてインターネットを介して公開した。システムは事故事例DB、危険物性DB、および危険性評価手法DBから成り、それぞれ、過去の事故事例と事故原因究明を目的とした実証試験の結果、廃棄物処理施設での取り扱い物質および装置の危険特性とその対策案、物質の危険性を評価する専門的手法を整理して掲載した。結果として、廃棄物処理施設における安全管理情報を包括的に提供できる安全管理情報システムのプロトタイプが構築できた。
  • 永田 勝也, 小野田 弘士, 切川 卓也, 大川 慶太, 吉岡 英輔
    セッションID: A9-4
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    近年,作業現場において,安全未確認など運転員のヒューマンエラー等による人身事故が多発しており,運転員への安全教育が不可欠である.本研究ではVR技術を活用した体感型運転員教育支援システムの開発を検討した.まず,運転員の人身事故事例を約1,000件収集し、人間工学の視点から分析を行った.その結果,安全未確認による手や指のはさまれ・巻き込まれ事故が最も多いことがわかった.そこで,そのような事故を疑似体感することのできる手をモデルとした試作機を製作した.その結果,指の上下に振動モーターを設置し,強くて短い振動と電気を右手の全ての指先に与えると効果的に挟まれた感覚を再現できることが判明した.さらに,運転員教育システムとしての効果も得られた.
  • 若倉 正英, 清水 芳忠
    セッションID: A9-5
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    一般廃棄物処理施設における災害の発生状況を当所で構築している事故データベース、日本廃棄物処理施設技術管理者協議会が継続的に実施しているアンケート結果に基づいて解析した。廃棄物処理工程での労働災害発生率は全産業平均の7倍以上であり,安全化の推進は緊急の課題である。また、最近の廃棄物事故では火災、爆発も多く、損害額が高額化している。そこで、廃棄物処理施設別に労災事故、火災や爆発事故の起因となった設備機器,作業,発生原因を事故の種類やその影響の大きさにより分類し,施設や設備機器ごとの潜在危険性を整理した。
A10 国際資源循環
  • 岡野 多門, 池田 圭吾, 築田 哲也, 鷹取 正基, 安東 重樹, 安本 幹
    セッションID: A10-1
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    鳥取には東南アジアからの浮遊ゴミも漂着するため、海浜調査から北西太平洋の浮遊ゴミの動向をモニターするための適地である。しかし海浜ゴミから海洋浮遊ゴミを推定するためには、浮遊ゴミが海浜ゴミに至る経路を明らかにする必要がある。漂着は波の遡上で起こり、帯状で存在するが、軽い漂着物は風で拡散される。また微細物は飛砂で埋もれる。時には高波による漂砂によっても埋もれ、時には高波によって埋没ゴミが洗い出される。従って、海洋ゴミの動向をモニターするための海浜ゴミ調査では、これらの影響を小さくする調査法を適用することが必要である。
  • 河井 紘輔, 松井 三郎
    セッションID: A10-2
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    ベトナム・ハノイにおける家庭系有価物の排出パターンを有価物回収人(Junk buyerおよびWaste picker)の家庭系有価物の回収量および売却価格を通じて検証することを目的した。245名の有価物回収人にヒアリング調査を実施した。家庭から一日当たり回収する紙類・プラスチック類・金属類の量はJunk buyerの方がWaste pickerよりも統計的に有意に多かった。また、Junk buyerの方がWaste pickerよりも統計的に高値で有価物を売却しているものが多かった。家庭系有価物の売却価格は、日本における集団回収の際の売却価格と同等かそれ以上であることがわかった。Junk buyerとWaste pickerが回収する有価物には質と量の差が見られ、家庭を排出源として有価物を廃棄せずに再資源化ネットワークにのせる排出パターンが機能していることが示唆された。
  • 中谷 隼, 藤井 実, 吉田 綾, 寺園 淳, 森口 祐一, 平尾 雅彦
    セッションID: A10-3
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では,日本で発生した廃プラスチックの国内外におけるリサイクルフローを調査し,特に使用済ペットボトルに焦点を当てて,日中間および国内完結型のリサイクルシナリオの本質的な差異について議論した.まず,実態に基づいたリサイクルシナリオを設定するために,中国をはじめとした国外へ輸出されている廃プラスチックの特性と,そのリサイクルフローを把握した.そして,使用済ペットボトルの様々なリサイクルフローの中から日中間および国内完結型の代表的なリサイクルシナリオを設定し,国内外の様々なリサイクルシステムを的確に特徴付けるために設計されたリサイクルシナリオの表現方法を用いて,その比較において重要となる観点を抽出した.その結果,日中間と国内完結型のリサイクルシナリオの本質的な差異が,使用済ペットボトルのリサイクルシステムのインプット,プロセス,アウトプットについて明らかとなった.
  • 小島 道一, 村上(鈴木) 理映, 吉田 綾, 佐々木 創, 鄭 城尤
    セッションID: A10-4
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    有害廃棄物の越境移動については、多くの国がバーゼル条約に沿った規制を定めているが、バーゼル条約発効後も、有害廃棄物の越境移動により健康被害が生じる事件や、バーゼル条約あるいは各国の国内法に基づき有害廃棄物の越境移動とみなされ摘発されるケースが少なくない。本稿では、有害廃棄物の越境移動として表面化した事件等について、アジアを中心に13のケーススタディを行い、有害廃棄物の越境移動に関する規制のあり方に関して検討を行った。有害廃棄物の定義の違いにより輸出国と輸入国の見解がわかれるケースが少なくないこと、輸出時には輸出国政府が有害廃棄物として認識せずに輸出されたケースばかりであることが明らかとなった。輸出国・輸入国での有害廃棄物の定義について共通認識をつくり、輸出国・輸入国が協調して規制の執行を強めることが必要である。
  • 池隅 達也, 佐藤 明史, 松永 裕己, 松本 亨
    セッションID: A10-5
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    世界各地において持続可能な発展を目指し、環境に配慮した工業団地、いわゆるエコインダストリアルパーク(Eco-Industrial Park、EIP)が増えている。EIPの主流は、動脈産業(製造業)を中心として、企業誘致推進の観点からも、工業団地全体の環境配慮を目指したものから、日本のエコタウンに代表されるように、静脈産業(リサイクル産業)が中心に集積したものなど、建設中も含め様々なタイプが存在する。 筆者らは前報まで1-7)、日本に多数存在するエコタウンの類型化を目指し、エコタウンの存在する地域において公表されている地域特性指標(データ)に着目した検討を行ってきた。 本報告では、世界の代表的なEIPを取り上げ、それぞれの動脈企業と静脈企業の数の比率に着目した類型化を試みた。そして、それぞれのEIPの対象地域面積や、EIPの存在する地域自治体の人口などを比較することにより、EIPの特徴をより明らかにしうる類型化に向けた基礎的な検討について述べる。
  • 戸次 晃, 石垣 智基
    セッションID: P2-A10-6
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    環境問題の一つとして、海岸漂着ゴミの問題がある。漂着ゴミは、その排出源を特定することが難しく、排出地域も多岐にわたっており、具体的な解決に導くためには調査を通した現状把握や、詳細なゴミの数量などに関するデータが必要不可欠である。また環境への影響も、海岸の景観悪化だけにとどまらず、ゴミ由来の有害物質による海岸・海洋汚染、生物への汚染という点において重要な環境問題である。特に漂着ゴミとしての医療廃棄物を由来とする薬剤による海洋汚染ならびに病原菌感染など様々な問題が懸念される。本研究では、そうした海流や潮流・地形などを考慮し、日本海沿岸を中心に漂着ゴミの実態調査を行った。さらに、医療廃棄物由来の薬剤の環境放出に伴う、薬剤耐性能の拡散に関する基礎調査として、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、バンコマイシン、アンピシリン、カナマイシン、リンコマイシンおよびタイロシンの8種類の抗生物質について、漂着ゴミに付着する耐性細菌の計数を行った。
B1 容器包装・家電・自動車・建設リサイクル
  • 山本 耕平, 小田内 陽太, 酒巻 弘三, 細田 佳嗣
    セッションID: B1-1
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    平成18年の容器包装リサイクル法改正のための見直し審議の中でも、持続可能な社会の構築に一層の貢献を果たすために求められる方策の一つとして「集団回収」が提起された。 この動きに先立ち、_(株)_ダイナックス都市環境研究所およびスチール缶リサイクル協会は、この「集団回収」によりもたらされるメリットを洗い出すため、平成17年来「民間主体回収の可能性に関する調査・研究事業」と題し、自治体へのヒアリングおよび実態調査を行ってきた。本レポートで、調査結果の報告を行うとともに、「協働型集団回収」に関する今後の可能性・展望を述べる。
  • 栗田 郁真
    セッションID: B1-2
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    本稿は、使用済み容器包装がリサイクルのために取引されるリサイクル市場の実態を明らかにするするため、日本容器包装リサイクル協会が引取契約を結んだ全市町村の容器包装の落札状況について、各市町村の指定保管施設ごとの再商品化事業者、落札トン数、落札価格を公表した「落札結果一覧表 平成18年度 PETボトル」を事例にクロスセクション分析したものである。783件の指定保管施設の分別収集物の落札価格(市町村から再商品化事業者までの運賃を含む)の水準を定める変数として、1)落札トン数 2)分別収集物の選別品質ランク 3)市町村の地理状況(市町村が離島に所在するか) 4)市町村と再商品化事業者間の距離の4項目を検討した。2)ならびに3)をダミー変数として考慮したうえで重回帰を行なったところ、1)落札トン数が大きいほど、2)選別品質が高いほど、3)離島に所在しない市町村の分別収集物ほど、4)市町村と再商品化事業者間の距離が短いほど落札単価がより低くなり、有価物として高い価格で買い取られることが明らかになった。
  • 中橋 順一, 尾崎 吉美
    セッションID: B1-3
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    プラスチック製容器包装は、混合物であるが故の処理困難さが影響して、処理にかかる費用が急増し、社会問題化している。プラスチック製容器包装の処理方式には再生樹脂化や高炉原料化などいくつかのものがあるが、その環境負荷と経済性を総合的に評価することはほとんど行われていない。本研究は、プラスチック製容器包装の処理・処分方式の環境負荷と経済性のバランスをエコ効率を用いて評価した。その結果、ガス化、セメント原料化、RPF化、焼却発電のエコ効率が優れ、高炉原料化、コークス炉化学原料化がそれに続き、再生樹脂化は、他の処理方式と比較してエコ効率が劣ることが判った。理由は、再生樹脂化において多くの残渣が発生すること、再生樹脂の品質が低いことによる。
  • 白波瀬 朋子, 貴田 晶子
    セッションID: P1-B1-4
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    廃電気電子製品(e-wastes)は銅、金等の資源性金属と共にPbなどの有害性の金属を含む。欧州RoHS指令への対応により有害金属の使用削減が始まっているが、動脈側からの製品中の金属量情報は十分ではない。本研究は製品からの資源回収性の向上及び有害性金属の適性管理を目的として、(1)最大回収可能量としての全金属量、(2)解体方法に依存する回収可能な金属量、また(3)不適正処分や事故による燃焼などにより廃製品及びその回収残渣から排出される環境への移行量を把握するための実験的検討を行った。e-wasteの一例として、寿命も短く、種々の金属を含み、金属使用量も多いパソコン(PC)を対象とし、詳細な手解体と部品別金属量をもとに全金属量を求めた。また複合素材・部品を含む基板は資源性・有害性金属を多く含むことから、回収残渣の溶出試験及び燃焼試験を行い不適正処理に伴う環境影響量を求めた。
  • 安保慧 慧, 寺嶋 和彰, 切川 卓也, 永田 勝也, 小野田 弘士
    セッションID: B1-5
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    平成17年1月1日より自動車リサイクル法が本格施行され,それに伴い自動車を取り巻く環境に種々の社会変化が起こっている.そこで,自動車のリサイクルの現状を把握するため,ASRの処理における実績評価を行った.各自動車メーカーの再資源化の実績を評価し,自動車リサイクル法施行による効果の評価と再資源化率の向上策について検討することを目的とする.ASR再資源化率と収支の関係では,THチームとARTチームの特徴を確認した.また,2004年から2005年にかけての両チームの改善された点を確認した.回収物を投入資源量で按分した結果,各処理方法で特徴的な傾向があることを確認し,ASR専門で処理を行っている素材分別施設の回収効果が大きいことを確認した.また,THとARTの指定取引場所別に評価したところ,THが優れている処理方法,ARTが優れている処理方法があるが,総合的には両チームに大差はないことを確認した.
  • 車 佳, 劉 庭秀
    セッションID: B1-6
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、中国の最新の政策動向(2006年)を分析し、その背景にあるEPR原則とOECDの取り組み、とくにEPR原則に基づいている日本・韓国の自動車リサイクル制度が中国にどのように波及効果・影響を与えているのかを考察していきたい。また、今後中国型の自動車リサイクル制度を整備していく上で、中国政府はEU・日本・韓国のEPR制度を参考・改善し、自国及び外国の自動車メーカーに拡大生産者責任をどうように追求して行くべきかについて基礎的な考察を行う。
  • 劉 庭秀, 大村 道明 , 吉村 慶一
    セッションID: B1-7
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,韓国の政策決定過程の特徴と利害関係者間のパートナーシップに注目し、韓国の自動車リサイクル法が成立するまでの議論を環境部、環境政策評価研究院、廃車協会、自動車市民連合、環境資源公社、現代・起亜自動車などのヒアリング調査を通して整理分析し、各主体に関係、今後の課題について基礎的な考察を行った。
  • Chagtaltulga Davaadash, 劉 庭秀, 車 佳
    セッションID: P2-B1-8
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、ウランバートル市における日韓の中古車流通実態を明らかにし、その使用・処理段階の環境影響を評価する。その結果から低年式の中古車増加がウランバートル市の環境に与える影響を明らかにする。
  • 福田 裕三, 亀田 知人, 吉岡 敏明
    セッションID: B1-9
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    廃棄自動車から発生するシュレッダーダストは成分雑多で重金属や有害な有機化合物を含み、処理が困難である。シュレッダーダストはプラスチックやゴムを多く含むため、熱分解による油化やガス化が検討されているが、塩素や臭素といったハロゲン成分が存在するためにそれらを高度に除去する必要がある。シュレッダーダストに含まれる塩素の多くはPVC由来で、臭素は難燃剤由来であると考えられる。NaOH/エチレングリコール溶液を用いることでPVCを高度に脱塩素でき、さらにボールミルを用いることで高度に脱塩素できることが報告されている。そこで本研究では、湿式ボールミルを利用してシュレッダーダストの脱ハロゲン処理を検討し、未反応核モデルを用いて速度解析を行なった。ボールミルの粉砕効果によって高度に脱ハロゲンが進行し、さらに速度解析の結果、この反応に未反応核モデルを適用可能であった。
  • 奥田 哲士, 黒瀬 啓介, M.S. レディ, 蔡 宗岳, 中井 智司, 西嶋 渉, 岡田 光正
    セッションID: P1-B1-10
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
     廃プラスチック中からPVCを分離することが、廃プラスチックのリサイクルを促進するための重要な課題の一つと考えられる。我々は過去の研究や過去の本研究発表会で、オゾンの酸化力によりPVC表面を選択的に酸化、親水化でき、これと浮遊選別とを組み合わせることで、混合プラスチックからPVCを分離できることを発表した。  本研究では3種類の実際のASRについて、PVCの分離性を検討して当該技術の汎用性を検討した。実際のASRの重い画分を対象とした検討により、サンプルに3%程度含有されるPVCのほとんどを、選択的表面酸化-浮遊選別により少量の沈降画分として分離できることが分かった。
  • 松村 真人
    セッションID: B1-11
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
     ダイオキシン類を含む浚渫土をセメント系固化材で改良し活用することを目標として、予備配合試験を実施した。この結果に基づいて、固化材添加量とダイオキシン類の含有量試験結果について報告する。  3種類の改良した浚渫土の含有量試験結果において、固化材添加量と、希釈率を考慮して算出した理論値に対するダイオキシン類の実測濃度の割合の間に負の相関が見られた。
  • 渡辺 洋一, 川嵜 幹生, 小野 雄策
    セッションID: P2-B1-12
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    建設廃棄物中間処理施設において、混合廃棄物の破砕選別工程から無機性残渣が発生し、主に埋立処分されている。この残渣(ふるい下残渣)は有機物や微量の有害金属等を含んでいるため、その品質向上のために、風力選別実験を行った。ふるいを振動させながら、上部から吸引し、乾式分粒を行うと共にダストを回収した。その結果、ダスト中濃度が元の試料中濃度よりも高くなる成分として、比較的含有量の多い成分では有機物(熱しゃく減量)、鉛、亜鉛が、微量成分ではホウ素が確認された。また、鉛と硫黄については、試料の水分含量が低いほどダストに回収されやすい傾向が認められた。風力選別による有機物や金属成分の分離は、効率は高くないが、元の残渣中の含有量が比較的低く、含有量を少し削減することにより土砂等に近い成分組成となるふるい下残渣の品質改善には有効と考えられる。
B2 食品リサイクル/生ごみ等の資源化
  • 中野 哲哉, 松澤 裕, 高橋 一彰, 中村 真紀, 鈴木 あや子
    セッションID: B2-1
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
     本年6月に食品リサイクル法の一部を改正する法律が成立した。同法は、食品循環資源の再生利用等を一層促進するため、食品関連事業者に対する指導監督の強化と再生利用等の取組の円滑化措置を講ずるものである。具体的な措置の内容は、(1)食品廃棄物等の発生量が100t以上の食品関連事業者に対し、食品廃棄物等の発生量及び再生利用等の状況に関する定期報告を義務づける、(2)フランチャイズチェーン事業を展開する食品関連事業者であって、一定の要件を満たすものについては、加盟者の食品廃棄物等の発生量を含めて定期の報告を求め、一体として勧告等の対象とする、(3)食品関連事業者が、食品循環資源由来の肥飼料を利用して生産された農畜水産物を引き取ること等を計画に位置づけ、計画の認定を受けた場合には、認定に係る食品循環資源の収集運搬について廃棄物処理法上の特例を設ける、(4)再生利用等の手法として新たに「熱回収」を加えるなどである。
  • ボンコッゲサクル ナタコーン, 石田 哲也
    セッションID: P1-B2-2
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    コンポスト化技術による生ゴミ処理方法は、焼却や埋立てといった他の方法と比較して環境負荷が少ないという利点を有する。しかしながら、処理能力が大規模になるにつれて、システムの設計や管理運営に特段の工夫やノウハウが必要となることが多いため、大規模コンポスト化技術は数十年前より開発が進められて来ているものの、工業的規模で実用化された例は未だ限定されている状況にある。  本研究では、有機系廃棄物を迅速、大量、かつ安価に処理するシステムの実用化を目指し、新たなコンポスト化技術の開発に取り組むこととした。コンクリート工学の領域で開発された重力エネルギーのみを利用した材料練混ぜ技術 3)を改良することで、瞬間的にコンポスト材料をかくはん・切返しを可能とする装置の提案を目指す。さらに、独自に開発した反応槽と組み合わせ、機械的な切返しを必要とせず、かつ省スペースを実現する“直列型自己切返し反応システム”。本論文では、提案する新たなコンセプトや仕組みの概要と、実際にタイ王国で著者らが進めているパイロットプロジェクトの成果を紹介する。
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