廃棄物学会研究発表会講演論文集
第18回廃棄物学会研究発表会
選択された号の論文の365件中251~300を表示しています
D4 埋立地維持管理/モニタリング
  • 間宮 尚, 小澤 一喜, 藤井 秀樹, 浜村 憲, 荒川 研佑
    セッションID: D4-11
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    京都議定書が発効し、CDM/JI事業化に向けた動きが活発化している。処分場ガスの温暖化寄与率は有意で、回収事業が注目されてきた。CDM/JI事業は温暖化ガス排出削減量に応じて付与されるクレジットの売却で事業採算を取る必要があるため、その発生・回収量は最も重要な情報である。これは、IPCCガイドラインによって推定できるが、事業採算性を保障するものではなく、事業対象処分場の特徴を考慮した推定を事業者の責任で実施しなくてはならない。アジア3国の5つの処分場でボーリング調査や廃棄物の分析等を行い、発生・回収量の検討を多角的に行ってきたが、本報では発生量把握の一手法として検討した渦相関法を用いたメタンフラックスの推定について一定の知見が得られたので報告する。
  • 小澤 一喜, 間宮 尚, 川端 淳一, 曽根 祐太, 藤井 秀樹, 阪東 浩造
    セッションID: P1-D4-12
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    2005年2月に発効した「京都議定書」により、日本は温室効果ガス排出量を1990年レベルの6%減とすることが義務付けられた。この目標の達成に向けて、CDM/JI事業への取り組みが活発化している。筆者らは東南アジアの複数の廃棄物処分場を対象に処分場ガス回収・有効利用に関するCDM事業の実施検討を進めており、これらの候補のひとつであるマレーシア・クルボン処分場において事業実施を計画している。そこで、当処分場において、ガス回収事業を模擬した現場ガス吸引試験等を実施し、ガス吸引井戸によるガス回収能力や吸引の際の影響半径など事業性検討や施設設計の際に必要な技術的知見の収集を試みた。その結果、発電プラントを効率的に長期間にわたり、運転することが可能なガス吸引量やガス吸引の際の影響半径等について有意な知見を得た。
  • 吉田 充夫, アルフェイエズ カリッド
    セッションID: P2-D4-13
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    アルエケイデル埋立地はヨルダンの砂漠地帯に位置し総面積は約80haである。1980年に埋め立てを開始し、日量約800トン、年間約20万トンの都市固形廃棄物を受け入れ、未処理のまま埋め立てている。しかし、アルエケイデル埋立地では、固形廃棄物のみならず、中東地域においてしばしば見られるように、し尿・下水・排水も同時に受け入れている。都市下水については下水処理施設にて沈殿処理した後処理池に放出し、蒸発、地下浸透させている。一方、主として繊維・染色・縫製産業からの産業排水も、他の処理池に放出しているが、COD負荷が大きいため、事実上処理できないまま、蒸発と地下浸透を行っている。また、オリーブの絞り滓を含む産業排水・スラッジを受け入れており、さらに別の池において、蒸発と地下浸透を行っている。本埋立地においては、産業排水・オリーブ廃棄物による環境負荷が大きく、土壌・地下水汚染が懸念される。
  • 澤村 啓美, 池 道彦, 山田 正人, 石垣 智基
    セッションID: P1-D4-14
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    埋立地における安定化は、埋め立てられた廃棄物の微生物学的および物理化学的反応により進行する。廃棄物の分解反応を担っている微生物に関する知見は、間接的に埋立物の分解状況を把握し、層内の様子を理解するうえで重要と考えられる。これまで、筆者たちは日本を中心とした温帯地域にある埋立地の微生物群集解析を行ってきた。しかし温帯地域に存在する処分場の浸出水に存在する微生物群集を調べた研究例はあるも、熱帯地域の埋立地についてはあまり知られていない。そこで本研究では、タイ、ベトナムの埋立地の浸出水において、微生物群集を解析することにより、廃棄物層内の状況を判断し、アジアにおける埋立地の微生物学的な知見を収集することを目的とした。
D5 埋立地安定化(1)
  • 宮田 剛史, 樋口 壯太郎, 花嶋 正孝, 為、田 一雄
    セッションID: D5-1
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    現時点において最終処分場の廃止時期の予測や制御は困難であり、特にCODに代表される難分解性有機物や窒素の安定化には数十年間を要すると考えられる。我々はこの問題に対応するため、埋立地内に事前に早期安定化の措置がとれる設備を組み込んだ早期安定型埋立処分システムを考案し、その基礎的実験を行った。 今回は強制通気の効果、酸素富化水の効果を評価するために実験を行った。その結果、強制通気を行うことにより、BOD、COD、TOC等の有機物の低減化が加速することや焼却灰のような強アルカリ性の性質をもつものでも中性化を促進できることが確認できた。酸素富化水の効果は通気に比べれば効果は低いものの、有機汚濁物質の低減効果、中性化効果があることが確認された。
  • 元永 優一, 樋口 壯太郎, 花嶋 正孝, 武下 俊宏, 中家 祥介, 太田 和善, 小屋町 法之
    セッションID: D5-2
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    生活環境で発生する悪臭、有害ガス拡散(最終処分場、不法投棄現場)、浸出水や土壌汚染(家畜糞尿被害等)の社会問題を解決するために、強制的に好気性環境を創り出すことで有機物の分解を促進させ廃棄物等の処理困難有機物を早期に分解して安定化させるシステム工法を研究開発した。本稿では3ヵ年計画の2年目の実証実験成果を報告する。なお、本研究開発は、北九州市の「環境未来技術開発助成事業」の適用を受けて実施した。
  • 吉崎 耕大, 堀井 安雄, 内田 正信, 中島 健一, 樋口 壯太郎, 武下 俊宏, 花嶋 正孝
    セッションID: D5-3
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    最終処分場の廃止阻害要因の一つである浸出水中の窒素(T-N)を、廃棄物層内で低減させる技術を確立するため、ラボ試験および大型槽による実証試験を実施した。その結果、ラボ試験において、生物学的硝化および脱窒によって、T-Nが廃棄物層内で低減されることを確認した。さらに、大型槽による実証試験においても、硝化の後に嫌気化することで浸出水中に検出されるT-Nが減少することが確認され、層内で生物学的硝化および脱窒を生じさせることで、T-Nについても低減可能であることが明らかとなった。
  • 海老原 正明, 谷澤 房郎, 神尾 克久, 清水 剛, 寺嶋 利幸, 金田 芳久, 清永 定光, 又吉 康治, 落合 勝幸, 武下 俊宏, ...
    セッションID: P1-D5-4
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
     最終処分場は平成10年の基準省令改正により廃止基準が定められ、この基準を満たせば廃止できるようになった。しかし、最終処分場は埋め立てが終了してから廃止できるまでに長期間かかる場合が多い。このため、埋立廃棄物を早期に安定化させ、速やかに廃止させる技術の確立が求められている  そこで筆者らは、酸素富化水ならびにキレート剤(重金属不溶化剤)の水溶液等を散水することで現位置にて、その原因物質である有機物と重金属に対して、有機物の分解促進と重金属の不溶化を図る技術の実用化研究を実施している。今回はこの中で、重金属の不要化に関して顕著な成果が得られたので、その概要を報告する。
  • 惣田 訓, Nguyen Nhu Sang, 清 和成, 池 道彦
    セッションID: D5-5
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    ラボスケールのバイオリアクター型埋立処分場を用い、安定化促進実験を行った。浸出水循環と通気を行わないものを従来型のリアクターとした。浸出水循環を行うものを嫌気バイオリアクターとし、さらに通気を行うものを好気バイオリアクターとした。138日後の従来型、嫌気、好気リアクターの廃棄物の容積は、初期値のそれぞれ75,65,60%であった。浸出水の循環は、微生物分解とメタン生成を促した。通気は、メタン生成を抑制し、廃棄物と浸出水中の有機物量を減少させた。好気リアクターでは、窒素が効果的に除去され、アンモニア酸化菌のamoA遺伝子のMPN値が高かった。
  • 朝倉 宏, 山田 正人, 遠藤 和人, 井上 雄三, 小野 雄策
    セッションID: D5-6
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    最終処分場の管理が短期間で不要になるように,層内の安定化を迅速に進められるシステムを構築する必要がある。本研究では,主要な埋立産業廃棄物を対象に,覆土の透水係数を改善することによって層内への酸素と水分の供給を高めたときの,安定化傾向の改善効果を評価した。覆土の透水係数が高いとき,速やかに層内温度が上昇し,O2が大気中の濃度とほぼ等しくなっており,好気的な生物分解反応が進行していることが伺われ,透水性の覆土によって速やかに空気が進入し,層内のTOCの減少は溶出速度よりも微生物分解が卓越し,逆に嫌気的な条件では溶出速度が卓越するために汚水となって流出する割合が高い,ことが分かった。以上から,覆土の透水性を高めることによって層内の安定化が促されることが示唆された。
  • 石田 泰之, 樋口 壯太郎, 花嶋 正孝
    セッションID: D5-7
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    有機汚泥の代表的なものには下水汚泥があげられる。下水汚泥はリサイクルおよび減容化の促進により減少の傾向にあるが、未だ50万m3が埋立処理されている(平成15年下水道統計)。下水汚泥埋立における安定化阻害要因としては通気性・通水性の低下、および有機物の供給源となるため長期間の浸出水の悪化が想定される。  本研究では埋立前に中性固化材により有機汚泥の水分・性状を調整し土壌のような性状に近づける処理(固化粒状化処理)により、通気性・通水性といった物性の改善を行い、更に埋立時に通気により埋立層内を好気性状態にすることによって早期安定化を図った。 70Lライシメーター実験における浸出水水質推移から以下の効果を確認した。 ・BODにおいて顕著な低減効果が認められた(準好気性処理10000mg/L→好気性処理10mg/L)。 ・CODにおいても低減効果が認められた(準好気性処理2100mg/L→好気性処理260mg/L)
  • 村上 豊, 冨田 叔男, 加藤 隆也
    セッションID: D5-8
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    最終処分場の遮水シートの保護材として底面部については一般的に、保護マット及び厚さ50cm以上の保護土が使用されている。また法面部については、工事として敷設されている遮光性保護マット上に埋立に先立ち厚さ50cm程度の保護土を貼り付けているものが最も多く、中には保護材の替わりに古畳が使用されている例もある。  しかしながら、上記のような土質材料による遮水シート保護材は、厚みを有しており、本来廃棄物の埋立が可能である空間を同土質材料により占有させることで、最終処分場の廃棄物自体の埋め立て容量を削減する要因となっていた。また、土質材料を遮水シート上に巻き出す際、重機により保護の目的物である遮水シートを損傷する恐れがあることや、従来の土質材料による法面部遮水工の保護は締め固められると、十分なガス移動ができないばかりか、廃棄物中のガスを排気し、酸素を供給するために、処分場内の法面上設置されているガス抜き管の周囲が同土質材料により占められ、直接廃棄物に触れないことから、埋立てた廃棄物の安定化の進行を阻害するという欠点があった。  また土質材料の遮水シートに対する保護材として機能するはずの工事として敷設されている遮光性保護マットは、場所により中長期間露出された状況にあり、損傷を受けている場合が多く、実際に埋立が進行した時点では、張替えが必要となっている場合も少なくない。 また古畳を使用した例では、形状が一定であることから、保護されない隙間が生じることや、素材が有機物であることから、時間経過に伴い分解し、処分場から発生する浸出水の水質を悪化させる可能性があるという欠点があった。  本研究はこれらの実情に鑑みて、施工性に優れ、遮水シートに作用する外力を緩和できる法面保護材代替マットを、維持管理において使用し易い形状として開発することで、最終処分場の遮水工の安全性向上、延命化及び早期安定性を目的としたものである。
  • 大野  文良, 下村  徹, 朝比奈  達
    セッションID: P2-D5-9
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、埋立跡地の有効利用や植生など、キャッピング材料の上に最終覆土をするニ-ズに対応できる雨水浸透量を制御するシート系材料が開発できたのでその室内/屋外試験結果について報告する。
D6 埋立地安定化(2)
  • 今井 敏夫, 高野 博之, 朝倉 宏, 遠藤 和人, 井上 雄三
    セッションID: P1-D6-1
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
     都市ごみ焼却主灰が埋立てられる最終処分場において、主灰の固化が降水の均一な浸透を妨げることにより処分場全体の安定化が遅延するとの指摘がある。異なる焼却施設から得た9種類の都市ごみ焼却主灰の固化の発達を実験室内で経時的に観察するとともに、鉱物組成の変化と関連づけた。 主灰の乾湿の繰返しによる固化の発達は、エトリンガイト、フリーデル氏塩の分解とそれらの炭酸化により進行した。炭酸化は主灰の上部から下部に向かって進行するが、水の浸透のし易さよりも主灰の保水性と密接に関係した。 処分場現地の主灰の固化は、白色の上部層は炭酸カルシウムの再結晶化で、灰色の下部層はエトリンガイトまたはC-S-Hゲル相の発達により起こった。
  • 張 瑞娜, 島岡 隆行
    セッションID: D6-2
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    日本では、大量の焼却残渣が埋立処分されることになるが、埋立て後の焼却残渣に作用する各種の反応や、埋立廃棄物層の経時的な環境の変化に伴う焼却残渣の性状変化については、未だ、十分に明らかにされていない。 本研究では、焼却残渣が主体的に処分された埋立地において3回にわたりボーリング調査を実施し、埋立期間および埋立深度の異なる埋立焼却残渣をサンプリングし、物理・化学的性状の変化を把握し、焼却残渣の風化現象を明らかにすることを目的した。風化作用は物理的風化、化学的風化、生物的風化に大別され、本報は都市ごみ焼却残渣主体の埋立地における物理的風化および化学的風化作用を主に調査した。埋立焼却残渣の風化の程度を把握するため粒度分布、比表面積、鉱物組成、化学組成、元素組成、塩基置換容量、各成分の溶出量等を求め、若干の知見が得られたので報告する。
  • 今井 敏夫, 朝倉 宏, 遠藤 和人, 井上 雄三
    セッションID: D6-3
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    廃棄物最終処分場の安定化の遅延の原因のひとつに、埋立て処分された都市ごみ焼却主灰の固化がある。有機物を豊富に含むコンポストと混合して埋立てることで、主灰の埋立後の固化を抑制できることが期待されたので、混合試験を行い固化抑制効果について調べた。 主灰とコンポストとの混合により主灰中のエトリンガイトおよびフリーデル氏塩の分解が促進された。この結果は、主灰とコンポストとを混合して埋立てることで、埋立て後の透水性を改善できることを示唆した。
  • 立藤 綾子, 松藤 康司, 谷村 年基
    セッションID: D6-4
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は有機資材を覆土助材化として利用することによって焼却残渣の土壌還元化を促進するものである。覆土助材として利用する場合高い品質は不要で、毎日確実に需要が見込めるといった利点を持っており、有機循環資源のバックアップシステムとしても有効である。これまでの研究によって、焼却残渣にコンポストを有機物含有率15%となるように混合添加することによって、廃棄物層の微生物活性が高くなり、焼却残渣の土壌還元化が進行することを確認した。本報告では微生物の餌となる易分解性有機物量が異なる2種類の堆肥化物を用い、有機物性状の違いと土壌還元化の関係について検討した。その結果、_丸1_ 易分解性有機物を多く含んだ有機資材は焼却残渣の土壌還元化を促進させる。_丸2_ 発酵が進んだ堆肥化物は易分解性有機物量が少ないばかりでなく、含有される硝酸性窒素が焼却残渣中の金属成分とアルカリ条件下で反応し、亜酸化窒素の生成を促進しすることがわかった。
  • 土手 裕, 関戸 知雄
    セッションID: P2-D6-5
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    一般廃棄物の焼却灰、焼却飛灰処理物、溶融スラグからのアルカリ度の溶出メカニズムを明らかにするため、反復溶出試験(拡散溶出試験)を行った。その結果以下の結論が得られた。1)焼却灰および処理飛灰では、全アルカリ度の98%以上が残存アルカリ度であった。スラグの場合、全アルカリ度に対する残存アルカリ度の寄与率は、pH5溶媒の場合、2回目の採水以降85%であり、pH4溶媒の場合は50%であった。2)全アルカリ度を構成する物質として、焼却灰についてはICとOH―で全アルカリ度の70%を占めると考えられた。処理飛灰についてはほぼ全量がOH―と考えて良いと思われる。飛灰についてはICとOH―の占める割合はごくわずかであった。3)全アルカリ度の溶出速度と時間の間にはべき乗の関係が認められた。溶媒pHによる溶出速度には大きな違いは見られなかった。4)全アルカリ度の溶出メカニズムとして、溶解律速が示唆された。
  • 向井 一洋, 小瀬 知洋, 姉川 彩, 毛利 紫乃, 小野 芳朗
    セッションID: D6-6
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    最終処分場の浸出水中には多様な有害有機化学物質が溶出することが知られており、遮水工破損等による漏水が生じた場合の周辺環境の汚染が懸念されるが、処分場内部に透水性反応層(PRB)を敷設することで、浸出水への有害有機化合物の溶出を抑える効果が期待できる。本研究においては、黒ぼく土、鉄粉、ゼオライトの3資材を混合して構成したPRBによる、多環芳香族炭化水素類(PAHs) 、ビスフェノールA(BPA)及び1,4-ジオキサンの吸着機構や処分場内部の条件下での除去効果の検討を行った。その結果、黒ぼく土に対するPAHs及びBPAの吸着、鉄粉に対するBPAの吸着は疎水性相互作用による分配、鉄粉に対するPAHsはπ電子が鉄の遷移電子軌道に対し反応するサイト吸着であると推察された。黒ぼく土、鉄粉の混合PRBは、処分場内部で起こりうる高温、高pH条件下でも有効に機能するPRBであることがわかった。
  • 吉岡 岳志, 鈴木 和将, 毛利 紫乃, 小野 芳朗
    セッションID: D6-7
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    最終処分場の安定化促進の為、覆土に浸透性反応層(Permeable Reactive Barrier)の機能を付加する技術が提案されている。本研究では、鉄粉・黒ボク土を用いて吸着試験を行い、PRBによる重金属捕捉に及ぼす温度等の影響について検討を行った。また、電子顕微鏡による試料表面観察により吸着機構の検討も行った。Freundlich式の吸着容量を表すKFで評価したところ、鉄粉による重金属吸着に及ぼす温度の影響は、重金属ごとに異なる挙動を示した。Cu2+ では吸着容量が減少し、Zn2+ ではやや増加した。特に、Pb2+ の吸着容量は25℃から80℃で倍増した。一方、黒ボク土は温度にほとんど影響されずに一定の吸着容量を保った。さらに、高温環境下での鉄粉によるPb2+ 吸着量の増加は、鉄酸化物の形成によると推測された。以上より、PRBは高温環境を有する処分場に適応可能であるといえる。
  • 久保田 洋, 矢島 聡, 岡本 太郎, 酒向 信一, 山田 裕己
    セッションID: P1-D6-8
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では最終処分場に埋立てられる焼却灰を埋立て前に、前処理を行い溶出しやすい有機物や塩類等を除去することで、閉鎖した処分場を早期に廃止することを可能にする埋立管理方法の検討を行っている。本報告では散水及び通気による前処理を行った焼却灰と未処理焼却灰をそれぞれカラムに3回に分けて積み増し、その長期的な溶出特性について調査を行った。結果、未処理焼却灰ではEC、TOC等で大きな濃度変動が見られ、積み増し回数が増えるに従い、それら濃度のピーク出現が遅れた。未処理焼却灰では積み増しにより浸出水水質の改善に時間がかかることが本実験で明らかとなった。一方、前処理済みの焼却灰では水質は安定しており、EC、TOC等の濃度は積み増し後、500日以上経過しても未処理区より低い値を示した。また本報告では本研究で提案している前処理をさらに効率的に行うための散水方法についても実験および考察を行った。
  • 大嶺 聖, 落合 英俊, 安福 規之, 岩永 信太郎, 小林 陽介
    セッションID: D6-9
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    管理型最終処分場では、難分解性有機物の長期にわたる溶出が処分場の廃止を遅らせる原因の一つと考えられる。本研究では、難分解性有機物の分解促進による焼却灰の早期安定化を目的として電解法の適用を考える。焼却灰浸出水を対象とした電解水による有機物分解効果とともに、電解水を循環することによる焼却灰の安定化効果を実験的に明らかにする。焼却灰浸出水を対象とした電解法による有機物質分解効果は、電極間隔の違いによらず大きな効果が得られた。また、電極間隔を小さくすると抵抗が小さくなるため、少ないエネルギーで分解が可能である。さらに、電気分解により生じる電解水を焼却灰へ通水し、循環させることにより、短時間でCOD濃度が低下することから焼却灰を早期に安定化させることが可能であると考えられる。
D7 埋立ガス/安定化指標/跡地利用
  • 古田 祐介, 占部 武生, 石垣 智基, 中村 義世, 山田 正人, 小野 芳朗
    セッションID: D7-1
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    廃棄物分野において温室効果ガス排出挙動に関する知見が十分ではなく排出量の不確実性が高いことから、地球温暖化対策の実効性についての評価が難しく、大きな問題となっている。温室効果ガス排出量の算定手法についてはIPCCによるガイドラインで定められており、例えば、埋立地での廃棄物の生物分野に伴って発生するメタンの算出において、埋立量、排出係数、および排出挙動の変化を示す速度定数が用いられる。排出係数としてはガス化率や構造係数など、埋立地の形状や廃棄物の性状、地域性を考慮したパラメータが与えられているが、その精度は不十分であるといえる。廃棄物分野からの温室効果ガス排出量算定式をより高度化することが必要な一方で、算定法を現地調査で得られた実測値で検証した事例は少ない。本研究は廃棄物分野における温室効果ガス算定手法の改善を目的として、特に算定手法を検証するための温室効果ガス排出挙動に関する知見の集積を試みた。
  • 荒川 研佑, 間宮 尚, 小澤 一喜, 浜村 憲, 阪東 浩造, 三浦 一彦, 藤井 秀樹, 曽根 佑太
    セッションID: P2-D7-2
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    廃棄物処分場からのメタンガス発生ポテンシャルはIPCCのガイドラインによって試算されるが、そのパラメータ設定は机上の仮定に過ぎず、試算値が事業性を保証するとは必ずしも言えない。そこで、実際の処分場の廃棄物層から採取した試料を用いた処分場ガス発生量ポテンシャル評価試験を行った。廃棄物試料はインドネシア国Bekasi市、Bandung市処分場におけるボーリング調査により深度方向に数点採取したものを混合し、試験に供した。 その結果、IPCCのガイドライン中のパラメータでは廃棄物からのガス化率を一律としているが、今回の試験では条件により処分場ごと、あるいは深度ごとによって異なること。CODは処分場ガス発生ポテンシャルの指標とされるが、必ずしも廃棄物中有機物の全てが分解されガス化されるわけではないため、分解率を示す指標の提案が必要であることがわかった。
  • 石垣 智基, 佐野 準治, 白井 啓一, 山田 正人
    セッションID: D7-3
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    現在東南アジア地域では人口増加や経済発展に伴って、廃棄物発生量も増加することが予想されている。現段階では収集・運搬システムの整備や衛生埋立地の普及など、旧来のシステムから脱却するための対策が必要であるが、将来を見据えた場合、廃棄物の発生抑制および温室効果ガスの削減など、廃棄物管理分野に係る環境負荷をトータルで削減することが望まれる。現在のところ、東南アジア諸国の廃棄物処理は直接埋め立て依存しており、排出される温室効果ガスもほぼ埋立地からのメタンである。埋立地におけるメタン排出量の削減方法としては、分別収集・資源化または焼却などの処理による、有機性廃棄物の埋め立て回避、埋立地の好気的な管理によるメタン発生量の低減、発生したメタンをエンドオブパイプ的に回収または酸化分解させる方法があげられる。このうち、埋立地の構造の変更、通気装置やメタン回収装置の設置などは技術的・経済的な問題があり、ならびに有機物の埋立回避にかかる発生源分別の徹底や中間処理(熱処理等)施設の設置には、経済的な問題に加えて社会的な問題が加わり、東南アジア諸国への適応は現実的に非常に厳しい。安価で維持管理も容易なメタン削減手法として埋立地覆土層におけるメタン分解プロセスの東南アジア諸国への通用が注目される。しかし現状では、覆土の設計また適切な管理が十分に行われているとはいえず早急な対応が望まれる。また東南アジア地域は赤道に近いため、大部分が熱帯であり、一年中降水量が多く熱帯特有の急な雷雨、スコールが夏に多く見られるといったように気温や降水量の状況がメタン酸化細菌の活動に与える影響についても考慮する必要がある。 本研究では東南アジア特有の現地の気候や風土ならびに経済状況にも配慮した埋立地覆土を開発することを目的として現地調達可能な材料を覆土材として利用するとともにメタン放出抑制の促進についても検討した。メタン分解を担う覆土中のメタン酸化細菌群(MOBs)の有効利用により、メタン酸化を効率的に利用する覆土工法および処分場管理手法を提案する。その妥当性を室内カラム実験により検証するとともに、工学的手法の適用によるMOBsの生態遷移に関する知見を集積し、微生物生態系管理を視野に入れた温室効果ガス放出抑制対策として提案する。
  • 吉田 英樹
    セッションID: D7-4
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    埋立が終了し、集水管およびガス抜き管が十分機能していない、古い一般廃棄物処分場において、安定化を目的とした受動型ガス抜き管が新設され、これらのガス抜き内の温度および埋立ガス成分の調査を行った。まず、処分場中心部に位置するガス抜き管では顕著な温度上昇が見られ、メタンガスの含有率も低くなっており、好気性反応による安定化が進行しているものと予想された。一方、処分場周縁部に位置するガス抜き管では常温でかつメタンガス含有率が高く、ゆっくりした嫌気性反応が進行しているものと推定された。全体をまとめると、ガス抜き管内の埋立ガス中のメタンガスの含有率が10%以上となっているのが31カ所(67カ所中46%)、また内部の最高温度が40℃となっているのが10カ所(67カ所中15%)であり、嫌気性反応が支配的であるが、一部は好気性反応による安定化が進行しているという状況であった。
  • 武下 俊宏, 樋口 壯太郎
    セッションID: P1-D7-5
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    石膏ボード各構成部位からの硫化水素の発生を浸漬条件下で確認したところ,板紙および芯材の双方から硫化水素が発生し,特に板紙から高濃度の硫化水素が発生することが明らかになった.石膏ボードに含まれる有機物として澱粉,セルロース,パラフィンワックスなどが報告されている.これらの有機物の中で,澱粉だけが硫酸カルシウム二水和物との組み合わせにより硫化水素を発生させることが確認された.一方,石膏ボードに含まれる分解性有機物を予め曝気処理することで硫化水素の発生抑制が可能か検討したところ,予想に反し曝気期間が長くなるほど嫌気条件に移行後硫化水素の発生が急速に進行し高濃度化することが明らかになった.最後に硫化水素発生抑制剤(SC剤)の最適添加量の検討を行った.結果,石膏ボードの面積(100mm×100mm)当たり5%SC剤を0.18ml添加すれば硫化水素の発生を抑制できることが確認された.
  • 山田 育寛, 小野 等, 小野 諭, 末宗 克浩
    セッションID: D7-6
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    田辺西バイパスは一般国道42号の交通混雑の解消を目的に計画している。当バイパスは田辺市三四六地区において廃棄物処分場を通過する計画である。環境に配慮した工事の実施が必要となる。そこで,現場内で分別を行い廃棄物の減容化を模索している。本論文は,事前施工としての室内および現場分別試験の検討結果について報告する。なお環境対策等については学識経験者等からなる委員会を設置し検討を行っている。
  • 宇良 直子, 則松 勇, 池田 通陽, 岩本 浩, 樋口 壯太郎
    セッションID: D7-7
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    RP工法(埋立廃棄物静的圧縮減容化工法)は既存処分場の延命化技術であり、埋立廃棄物を原位置で静的に圧縮することによって減容化・高密度化し、埋立可能容量を増加する工法である。一方、埋立廃棄物が安定化するまでには長時間を要し、廃棄物最終処分場は埋立完了後も廃止するまでに極めて長い期間を必要としている。このような状況から、最終処分場の廃止までの維持管理コストを削減するため、埋立廃棄物を早期に安定化させる技術を開発する必要がある。本研究は、RP工法で形成した掘削孔の一部に砕石を投入し、水および空気が廃棄物層内部に浸透しやすい構造を作ることで、埋立廃棄物の好気性分解を進行させ、安定化を促進することを目指している。本報は約2年間に及ぶ大型実験において得られたデータをもとに、埋立廃棄物の高密度化が安定化に及ぼす影響や、砕石孔の及ぼす影響とその範囲について考察を行なったものである。特に、砕石孔による安定化促進速度についての考察結果について報告する。
  • 川嵜 幹生, 渡辺 洋一, 小野 雄策
    セッションID: P2-D7-8
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    固形廃棄物の生分解性指標は廃棄物の質の評価法として今後重要になることが考えられる。そこで、建設廃棄物篩下残渣の好気性培養試験を行い、培養容器内に取り込まれる酸素量から、廃棄物の生分解性について検討を行った。また、廃棄物の早期分解手法についても検討を行った。その結果、建設廃棄物篩下残渣中の易分解性有機物は質及び量とも試料によってかなりの差異があること及び腐葉土が篩下残渣中の有機物分解を促進するための適切な共存有機物となる可能性があることがわかった。
  • 東條 安匡, Pueboobpaphan Suthatip, 松尾 孝之, 松藤 敏彦
    セッションID: P1-D7-9
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    埋立処分場の閉鎖後維持管理では,廃棄物が安定化するには将来どのくらいの時間がかかるのか,あるいは閉鎖時に埋立物がどの程度の生物分解性を有するのかといった情報は極めて重要である.しかし,難分解性有機物を主な構成物とするため,既往の試験法では分解性ポテンシャルを把握することは困難である. 本研究では,埋立から長期間が経過した廃棄物の生物分解性を把握するための妥当な手法を見出すことを目的に,閉鎖後の処分場から得た廃棄物を対象に,既往の試験によりその分解特性について議論すると共に,試料に水熱処理を施すことで生物分解性試験の試験期間短縮と全分解性ポテンシャル把握が可能となるかについて検討した.従来の試験法のみでは,試料中炭素の分解率は17%程度と低く,120日間の試験でも多くが未分解のまま残存した.水熱処理を施した試料では,半分の期間で有機炭素の50%がガスに転換し,前処理の効果が認められた.
  • 藤田 昌史, 今井 健太郎, 辻 幸志, 坂本 康
    セッションID: P2-D7-10
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    廃棄物処分場の維持管理の観点から、埋立廃棄物の安定化がどの程度進行したかを容易に把握できる安定化指標の構築が望まれている。浸出水水質や発生ガスなども有効な情報となるが、筆者らは、埋立地内部から浸出水とともに流出する微生物群は、埋立廃棄物の分解に直接係わっていたとともに、比較的長い期間の内部の環境条件を反映していると考えられることから、従来にはない新しい情報を提供し得ると考え、注目している。これまでに、廃棄物の分解の進行状況と関係すると考えられる微生物呼吸活性と対応するキノンバイオマーカーが見出されていることから、キノンプロファイルには、安定化の情報が含まれている可能性がある。そこで本研究では、対象とした9ヶ所の管理型処分場を、浸出水中の微生物呼吸活性と水質により分類し、それを参考にしながら、キノンバイオマーカーの安定化指標としての有効性を検討した。
D8 不法投棄/土壌・地下水汚染
  • 粟屋 かよ子, 高橋 正昭, 井岡 幹博, 武本 行正
    セッションID: D8-1
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    廃棄物の不法投棄が全国的に発生し、多くで土壌や地下水の汚染が引き起こされている。四日市北部においては全国最大の不法投棄が見いだされ、地下水等の汚染が懸念されている。演者らは当該地区周辺(約8km四方)において地下水および土壌の調査を06年7月から開始した。今回は1年間にわたる調査の結果を報告する。地下水から鉄、マンガン、ヒ素などが検出された。廃棄物との関連について検討している。
  • 阿部 直也
    セッションID: D8-2
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    利便性の高い自動車社会の一側面は、大量のタイヤが販売・使用され、結果として大量の廃タイヤが発生することであり、その不法投棄や集積は時として大きな社会問題となってきた。本研究は、我が国おける廃タイヤの不法投棄・集積状況を日本自動車タイヤ協会のデータより概観し、同協会がこれまで実施してきた原状回復支援制度の実績値より、廃タイヤ原状回復単価を求めた。この単価に、全国レベルで不法投棄・集積管理されていると推計されている廃タイヤの数を乗じることにより、必要となる原状回復費用の総額を推計した。
  • 金 相烈, 古市  徹, 谷川  昇, 石井 一英, 西  則雄
    セッションID: D8-3
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、大規模不法投棄事案のアーカイブス化の一環として、産廃特措法の適用になった事例(8件)と申込み準備中の事例(1件)を対象に、事案の概要、不法投棄廃棄物の種類及びそれに起因する汚染物質、事前調査、及び修復方法の特徴を整理した。 汚染物質として、VOC、重金属、高濃度の硫化水素、ビスフェノールAなど様々であり、事前調査として、高密度電気探査、井戸の水位変化調査、現場透水実験、地質・地形調査が多く行われた。全量撤去処理が決まった3つの事案は掘削作業中に汚染拡散防止のために、キャッピングと遮水壁を一部に設置し、水処理を行った。これに対して、現位置処理に決まった事案は、雨の浸透防止のためにキャッピングを設置し、また、不法投棄現場の全周を遮水壁で囲んでから、揚水井戸から地下水を汲み上げて水処理をした。高濃度の硫化水素が問題となった事案は、透過性反応浄化壁や多機能性覆土が用いられた。
  • 長山 真子, 古市 徹, 石井 一英, 谷川 昇
    セッションID: E8-4
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    大きな社会問題となっている不法投棄現場で,テトラクロロエチレン(以下PCE)などVOC類に汚染されているケースがある。本研究では,現地で汚染を浄化する『リスク低減化プロセス』のための手法として、原位置バイオレメディエーション法に注目し、A県不法投棄現場の廃棄物をサンプルとして,本手法の現場の修復可能性を検討することとした。 はじめに,廃棄物層内での浄化を模擬したカラム試験によりPCE及びその分解生成物の反応経路を確かめた。次に、移流分散・吸着・脱塩素化反応によるPCE及びその分解生成物の濃度変化をモデル化し、実験結果から,モデル内のパラメータを決定した。まず,非吸着・非微生物分解性のトレーサを用いたトレーサ試験により,移流分散に関するパラメータを算出した。そして,カラム分解試験での,カラム内のPCE及び分解生成物濃度の定常分布により,分解速度定数を求めた。これより,カラム連続分解試験でのPCE及びその分解代謝物の挙動をモデルにより表現することができた。 最後に、得られたパラメータを用いて現場スケール(均一性を仮定)を想定した浄化効果予測を行った。帯水層に注入井と揚水井を設置し、地下水流を制御する工法を想定した。分解速度定数とDarcy流速を変化させた6つのケースでシミュレーションを行った結果,汚染濃度変化を推定できたとともに、浄化にかかる日数に対し分解速度定数とDarcy流速が及ぼす影響を確かめることができた.
  • 鈴木 拓也, 古市 徹, 福士 憲一, 石井 一英, 谷川 昇
    セッションID: P1-D8-5
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    複合汚染された廃棄物土壌へ原位置嫌気性バイオレメディエーションの適用を目指し、実不法投棄廃棄物を対象に大型実験槽を用いたスケールアップ試験による嫌気性バイオレメディエーションの実行可能性の検討を行った。達成目標として、数ヶ月間の連続運転で当該物質の十分な減少がスケールアップ実験でも可能であることを確認し、現場での適用や課題を明確にする。  実験の結果、循環水濃度が減少傾向にあり、比較的早い速度で当該物質の生分解が進んでいることが明らかになった。このことから浸出水を循環運転するのみで当該物質の分解に効果的であることが示唆された。 今後は、栄養塩の添加や他手法を組み合わせた検討を行う予定である。
  • 日高 厚, 保賀 康史
    セッションID: D8-6
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    重金属を含有する岩盤等が存在する地域において,トンネル工事や山間部における造成工事から発生する掘削ズリから環境基準値を超える重金属汚染が確認され,対策方法の一つとして,現場内における不溶化処理の適用が検討される事例が増加している.筆者らは,大量に発生する「建設系廃棄物の掘削ズリ」の安全な再利用の一助にすべく,実際にトンネル工事において重金属(ヒ素,セレン,ふっ素)による複合汚染が確認された掘削ズリに対するマグネシウム系固化材を用いた固化・不溶化処理の適用性について,室内トリータビリティ試験における検討を行った.その結果,マグネシウム系固化材が,汚染物質に対して高い不溶化効果を発揮すること,長期間にわたり不溶化効果を安定的に持続することが確認できた.
  • 黒木 泰貴, 峠 和男, 古市 徹, 谷川 昇, 石井 一英
    セッションID: P2-D8-7
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    不法投棄等で不適正に処分された廃棄物の修復再生事業では掘削除去作業が必要となる。しかし、高濃度の有害ガスが発生している事例や可燃性ガスによる爆発のおそれがある事例などが認められており、これらのガスによる危険性や環境影響を事前に処理する技術の確立が望まれている。我々は、このような問題解決のため、不飽和帯にパルス状の高圧空気を強制的に間欠注入する好気分解促進と真空吸引によって原位置で有害ガスを分解除去する工法の研究開発を行っている。ここでは、実際の不法投棄現場で採取した廃棄物を用いたカラム通気試験によって、地盤中に滞留している有害ガス、分解生成ガス等が除去されること、好気分解の促進によって通気終了後のリバウンド(嫌気分解)によるメタンガス生成等が抑制されることが示唆されたこと、好気分解の促進によって浸出液の環境負荷も低減されることが示唆されたことを報告する。
  • 福田 弘之, 渡辺 邦男, 箱崎 忍
    セッションID: P1-D8-8
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
     現在、不法投棄廃棄物は発見量だけでも1,567万トンとなっており、早期撤去が望まれている。この不法投棄廃棄物のうち、汚泥・燃え殻・ばいじんは撤去作業時に飛散や漏洩等の問題が起こりやすい。そこで、当社ではこれら廃棄物の飛散や漏洩を防止しつつ容器へ回収することができる吸引装置を開発した。  この装置を使用して、土壌のような硬い固形物の撤去効率を上げることを目的とした吸引テストを実施した。  その結果、固形物の吸引回収量は平均粒径と良い相関があり、固形物の平均粒径が大きいほど回収速度が低下することが確認できた。固形物をほぐす前処理をして吸引物の平均径を概ね10mm以下にすれば、1.5t/hの回収量を確保できることが確認できた。
  • 石井 一英, 古市 徹, 谷川 昇, 上村 友美
    セッションID: P2-D8-9
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、大腸菌の遺伝子型が生息動物の種類によって異なることを利用し、株単位まで識別可能な高精度のAFLP法を用いてウシの糞便と河川中の大腸菌群遺伝子を比較することによって、家畜ふん尿による汚染の有無を判別することを試みた。まず、ウシの糞便と下水汚泥を用いてAFLP分析を行い、ウシの大腸菌群を区別するための指標遺伝子を見出した。次に、畜産農家が集中しているY川を対象に、本手法を用いて調査を行った。その結果、河川水中の大腸菌群遺伝子からウシの指標遺伝子が検出され、流域周辺の家畜ふん尿が河川に流入していることがわかった。そして、河川中で検出された大腸菌群遺伝子から、家畜ふん尿汚染に対する寄与の高い畜産農家を明らかにすることを試みた.
  • 大川 清和, 武下 俊宏, 中野 勝之
    セッションID: D8-10
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では過酸化水素を用いた湿式酸化処理(高圧・高温水中酸化処理)による有機物の分解機構を検討することを目的として、OHラジカル生成の確認、処理対象物質の分解生成物濃度の経時変化を調べた。その結果、本処理法によりOHラジカルの生成が確認され、OHラジカルの発生量は過酸化水素の添加量に伴い増加した。本実験条件下(150~180℃)では、反応温度が高いほどOHラジカル生成速度が大となった。また、反応溶液の初期pH4.0ではpH2.5, 3.0と比較して著しくOHラジカルの生成速度が低下しており、pHも重要なファクターであることがわかった。2,4-ジクロロフェノールとp-クロロフェノールを用いて本処理をおこなった結果、中間生成物としてヒドロキノン類や4-クロロカテコールなどが生成した。これらはクロロフェノール類のOHラジカル分解における生成物であることが報告されており、本処理法では主としてOHラジカルによって有機物の分解が進行することが推測された。
  • 早川 国男, 竹岡 由積, 楫 富久也, 池田 幸一郎
    セッションID: D8-11
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    廃棄物処分場の跡地の活用を図るに際し、事前に実施された調査で重金属類による土壌および地下水汚染が確認された。その拡散を防止するため、鉛直遮水壁の造成工事を行った。遮水壁は地中障害物や施工性を勘案し、エコクレイ(EC)ウォール工法を採用した。これは膨潤度の高い遮水材であるECウォール材と、原位置の土砂と混合して造成し、不透水性能の高い壁体を造成するものである。エコクレイウォール工法により造成された壁体は、壁体透水係数1×10-7(cm/s)以下の遮水性能を持ち、セメントにより造成された壁体に比べ追随性を保有するため、地震等による破損が生じにくい。
E1 有害廃棄物処理(1)
  • 小山 秀美, 小林 政行
    セッションID: E1-1
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    国内では、原子力分野のみならず多くの分野(研究、医療等)で放射性同位元素(RI)が利用されている。現在、RIを利用している事業所数は約5,000事業所ある。RIの利用に伴って、注射器、試験管、作業着、廃液、実験動物等が低レベル放射性廃棄物として大量に発生し、処理方法を含め大きな問題になっている。著者らは、放射性廃棄物焼却灰と廃ガラス(カレット)の低温焼結法による焼却灰の固化及び安定化方法を検討し,放射性廃棄物焼却灰の重要課題である減容化,安定化,固定化に対し画期的な成果が得られた。さらに、耐化学性の高いホウケイ酸ガラス(Bガラス)を用いた場合、どのような特性の違いが出るかを検討したので、その成果について発表する。
  • 為田 一雄, 趙 銀娥, 樋口 壯太郎, 大和 竹史, 花嶋 正孝, 李 南勲, 張 廷熹
    セッションID: E1-2
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    現在、日本においては、一般廃棄物の中間処理方法として、焼却処理が主流となっている。この過程で焼却残さ(飛灰及び主灰)が発生しており、これらには重金属類等が濃縮され、特に飛灰については重金属類及びダイオキシン類を高濃度に含むなどの問題があり、安定化・無害化が義務付けられている。 この様な状況の中、焼却灰及び飛灰の安定化・資源化は必要な課題の一つである。これまで我々は焼却灰等資源化等技術として焼却灰等洗浄分級技術による確認実験を行った。その結果、液固比1倍で塩素については安定的に1000mg/kg以下に低減でき、安定的に洗浄分級効果を確認することが出来た。 今回、塩素、重金属類或いはダイオキシン類が高濃度に濃縮し、環境負荷に大きく影響する飛灰の洗浄分級による資源・安定化技術開発を行った。その結果、液固比7.6倍の条件で安定的に塩素については、10000mg/kg以下に低減化できセメントへの資源化等への可能性が見えてきたので報告する。
  • 溝田 景子, 佐藤 研一, 藤川 拓朗
    セッションID: E1-3
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    現在、全国で年間合計約809万トンの一般廃棄物の焼却残渣等が最終処分されている。また、最終処分場にも限りがあることから、特に排出量の多い焼却底灰の有効利用は不可欠な問題と考えられる。この焼却底灰中には重金属類が含まれるため有効利用時にはその安定化が必要不可欠な課題となる。現在、焼却灰を安定化させる技術として、(1)薬剤による方法、(2)炭酸ガスを用いる方法、(3)水洗いによる方法が研究されている。一方、欧米では、焼却灰を一旦ストックヤードに3ヵ月程度仮置し、雨、風、大気中のCO2により、安定化させるウェザリングによる方法が主流となっている。そこで、本研究では、このウェザリングによる安定化方法において未だ研究が着手されておらず、一般廃棄物焼却底灰が大気中に放置される際に直接的に受ける太陽光に着目した。太陽光中の特に紫・赤外線の光エネルギーによる安定化効果の検討を行った結果について報告する。
  • 小野 雄策, 渡辺 洋一, 川嵜 幹生, 磯部 友護, 福島 勤, 菅井 敬二, 野中 克彦, 金子 亮, 細井 知之, 大嶋 公久
    セッションID: E1-4
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    埼玉県内の工場内に232本のドラム缶と32.5m3のステンレスタンク内に放置された硫酸ピッチを、埼玉県の行政代執行により撤去を行った。本稿では、多重安全対策に基づいた撤去作業における環境への影響と注意点、周辺環境への安全性の確認方法や亜硫酸ガスの発生防止措置について報告する。ステンレスタンク内は40,000ppmの亜硫酸ガスで満たされており、6.7%の硫黄分が含まれている表層の油分の影響が大きいことが明らかにされた。室内実験の結果から、消石灰添加により油分や硫酸ピッチからの亜硫酸ガスの発生を防止でき、温度上昇もないことが確認された。これより、周辺環境への影響を最小限に抑えるため、消石灰を混合せずに覆うようにして中和を行いながら撤去作業を実施した。
  • 大塚 美夏, 古市 徹, 石井 一英, 谷川 昇
    セッションID: E1-5
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、不法投棄廃棄物を対象とし、テトラクロロエチレン(PCE)の微生物分解経路を定量的に確認し、その分解速度に及ぼす影響因子について考察を行った。まず、対象廃棄物を用いてPCE及び分解生成物の気-液及び液-固分配係数を測定し、PCE分解実験を行った。次に、廃棄物種類や栄養添加、温度といった影響因子が微生物分解速度に及ぼす影響を検討した。その結果、分解実験において注入PCEの約9割が、VC、エチレンにまで脱塩素されていることを確認した。また、汚泥主体の廃棄物はバーク堆肥主体の廃棄物よりも分解が遅かったが、栄養添加によって脱塩素反応促進効果を確認した。さらに、温度を上げることによる脱塩素反応促進効果も示された。
  • 湯川 恭啓, 北村 豊, 佐竹 隆顕
    セッションID: P1-E1-6
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    有害物質を含む液状廃棄物を蒸発乾燥させる処理方法は、廃棄物の発生量を削減できる方法のひとつである。しかし、液状廃棄物の水分を蒸発させるには乾燥機の蒸気圧を0.3MPa以上で供給する必要があり、投入エネルギーは理論エネルギーを大きく上回る。次に、高い蒸気圧を投入すれば水分の蒸発は可能であるが、乾燥残渣は結晶状態となり伝熱面へ固着し熱伝導を悪くさせるため、乾燥不良が起こったり処理能力が低下したりする課題が残されている。そこで、課題を解決するため有機触媒に多糖類を用いて乾燥残渣の結晶化を抑制させる乾燥方法の研究を行った。有機触媒はカルボキシメチルセルロースを使用し、液状廃棄物中で塩析効果によってゲル化させ、そのゲルに各種イオンを包接させて結晶化を抑制させることに成功した。その結果、乾燥残渣の結晶が伝熱面に固着することは解消され、乾燥効率が高くなり蒸気圧を0.2MPa以下まで下げることが可能となった。
  • 山田 功, 鳥羽 美雪, 菅谷 和寿, 友部 正志
    セッションID: P2-E1-7
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/23
    会議録・要旨集 フリー
    自動車排ガスやタイヤ等に含まれる多環芳香族炭化水素(PAHs)が水環境の主要な汚染源と考えられている。茨城県においては国道などの主要道路は定期的な路面清掃が行なわれているが,多くの県道については実施されていない。そこで路面堆積物中のPAHsの知見を得るため,交通量や通過車両の車種が異なる道路4地点で路面堆積物を採取し,米国環境保護局(EPA)が指定するベンゾ(a)ピレン等16項目のPAHsについて,PAHsの含有量と交通量との関係を調べた。その結果,試料あたりのPAHs濃度は交通量の少ない住宅地で高かった。この地点では,PAHsがより多く含まれる微小粒子の組成割合が多かったことから,住宅地の近くを通る道路上で発生し,路面に堆積している粒子が風等によって運ばれたことが考えられた。このように交通量とPAHs含有量との関係は明確ではなかった。
feedback
Top