本研究では過酸化水素を用いた湿式酸化処理(高圧・高温水中酸化処理)による有機物の分解機構を検討することを目的として、OHラジカル生成の確認、処理対象物質の分解生成物濃度の経時変化を調べた。その結果、本処理法によりOHラジカルの生成が確認され、OHラジカルの発生量は過酸化水素の添加量に伴い増加した。本実験条件下(150~180℃)では、反応温度が高いほどOHラジカル生成速度が大となった。また、反応溶液の初期pH4.0ではpH2.5, 3.0と比較して著しくOHラジカルの生成速度が低下しており、pHも重要なファクターであることがわかった。2,4-ジクロロフェノールとp-クロロフェノールを用いて本処理をおこなった結果、中間生成物としてヒドロキノン類や4-クロロカテコールなどが生成した。これらはクロロフェノール類のOHラジカル分解における生成物であることが報告されており、本処理法では主としてOHラジカルによって有機物の分解が進行することが推測された。
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