The Journal of Toxicological Sciences
Online ISSN : 1880-3989
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13 巻, SupplementII 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 河野 茂生, 河村 寿, 太田 敏, 高橋 紀光
    1988 年 13 巻 SupplementII 号 p. 1-21
    発行日: 1988/07/20
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    Carboplatinの抗原性について, モルモット及びマウスを用いて検討し以下の結果を得た. 1. Carboplatinあるいはそのたん白混合物を免疫補助制であるFCAと共にモルモットに感作したところ, carboplatinに特異的なIgGやIgM型抗体は産生されなかった. 2. Carboplatinあるいはそのたん白混合物をAlumと共にマウスに感作したところ, carboplatinに特異的なIgE型抗体は産生されなかった. 3. 陽性対照として用いたOVAあるいはDNCBとたん白との結合物では, 抗原に特異的なモルモットIgGやIgM型抗体及びマウスIgE型抗体が産生された. 以上の結果から, 本実験条件においてcarboplatinは単独あるいはたん白存在下で抗原性を有しないと考えられた. なお, 本試験におけるcarboplatinの感作用量では, 免疫抑制効果を誘起しないことが受身皮膚アナフィラキシー反応により確かめられた.
  • 甲斐 修一, 河村 寿, 石川 克己, 竹内 友佳子, 太田 敏, 黒柳 幸司, 門田 利人, 河野 茂生, 近沢 弘隆, 近藤 博志, 酒 ...
    1988 年 13 巻 SupplementII 号 p. 23-34
    発行日: 1988/07/20
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    抗悪性腫瘍薬carboplatinを1, 2及び4mg/kg/日の割合でCri:CD(SD)ラットに, 雄では63日間, 雌では14日間連日静脈内投与した後投与を継続しながら雌雄を同居させ, 妊娠の成立した雌には更に妊娠0から7日目まで投与を続け, 概略次の結果を得た. 1. Carboplatin 2 mg/kg以上の投与により雄ラットでは摂餌量及び摂水量の減少を伴う体重の増加抑制, 雌では摂餌量の減少を伴う体重の増加抑制が認められた. 2. 雌雄ラットの器官重量にはcarboplatin投与の影響はみられなかったが, 4 mg/kg群の雄で投与部位である尾部の壊死が認められた. 3. 雌雄ラットの生殖能に対するcarboplatinの影響はみられなかった. 4. Carboplatin 2 mg/kg以上の投与群で発生初期の胚・胎仔死亡率の上昇, 4 mg/kg群で生存胎仔数の減少が認められたが, 生存胎仔の発育に対するcarboplatinの影響はみられなかった. 以上のように, ラットの妊娠前及び妊娠初期に投与されたcarboplatinは2 mg/kg以上の投与量で, 雌雄ラットの体重増加を抑制し, 雄ラットの投与部位である尾部を壊死させ, 更に胎仔に対しては死亡率を上昇させたが, 1 mg/kg群では親動物及び胎仔ともに影響を及ぼさないことが示唆された. 従って, 本試験における雌雄ラットの生殖能及び胚・胎仔の発育に対するcarboplatinの無影響量は1 mg/kg/日と考えられた.
  • 甲斐 修一, 河村 寿, 石川 克己, 竹内 友佳子, 太田 敏, 黒柳 幸司, 門田 利人, 河野 茂生, 近沢 弘隆, 近藤 博志, 酒 ...
    1988 年 13 巻 SupplementII 号 p. 35-61
    発行日: 1988/07/20
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    抗悪性腫瘍薬carboplatinを1, 2及び4 mg/kg/日の割合でCrj: CD(SD)ラットに, 妊娠7日目より17日目までの11日間反復静脈内投与し, 概略次の結果を得た. 1. Carboplatin 4mg/kgの投与により, 母獣(F0)の体重増加は妊娠13から20日目まで抑制され, 摂餌量は妊娠8日目から分娩後3日目に対照群を下回った. 2. Carboplatin 4mg/kg群で母獣(F0)の子宮重量が減少した. 3. Carboplatin 4mg/kg群で胎盤重量及び胎仔(F1)の体重・体長・尾長は低値であり, 発育は抑制された. 更に, 同群で第5・6胸骨未骨化の発現率が高く胸骨及び仙尾椎に骨化遅延が認められた. 4. Carboplatin 4mg/kg群で新生仔(F1)の出生率が低値であった. 5. Carboplatin 4mg/kg群の雄F1ラットで4から8週齢時に体重の増加抑制が認められ, 摂餌量は5から7週齢時に対照群を下回った. 6. Carboplatin 4mg/kg群の雌F1ラットで脳実重量の減少がみられたが, 育成仔(F1)の分化の状況, 初期行動発達, 学習能力, 運動性及び情動性に及ぼすcarboplatinの影響はみられなかった. 7. 雌雄F1ラットの生殖能に及ぼすcarboplatinの影響はみられなかった. 8. F1ラットより得られた胎仔(F2)に対するcarboplatinの影響はみられなかった. 以上のように, ラット胎仔の器宮形成期に投与されたcarboplatin 4mg/kgは, 母獣の体重増加を抑制し, 胎仔(F1)に対しては骨化遅延を伴う発育抑制, またF1ラットに対しては出生率の低下, 雄ラットの体重増加の抑制及び雌ラットの脳実重量の減少を誘起したが, 胎仔に対する催奇形作用は認められず, F1ラットの生殖能にも影響を及ぼさなかった. 一方, 2mg/kg以下の投与量では親動物, 胎仔及びF1ラットとも影響を受けないことが示唆されたため, 本試験における親動物及び次世代(F1)に対するcarboplatinの無影響量は2mg/kg/日と考えられた.
  • 甲斐 修一, 河村 寿, 石川 克己, 竹内 友佳子, 太田 敏, 黒柳 幸司, 門田 利人, 河野 茂生, 近沢 弘隆, 近藤 博志, 酒 ...
    1988 年 13 巻 SupplementII 号 p. 63-81
    発行日: 1988/07/20
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    抗悪性腫瘍薬carboplatinを1, 2及び4 mg/kg/日の割合で妊娠Crj: CD(SD)ラットに妊娠17日目より分娩後21日目まで反復静脈内投与し, 概略次の結果を得た. 1. 母獣(F0)の体重はcarboplatin 2mg/kg群で分娩後4から8日目に, 4mg/kg群で分娩後4から11日目に増加抑制がみられ, 摂餌量は4mg/kg群で分娩後1から7日目に対照群を下回った. 2. Carboplatin 2mg/kg以上の投与群で母獣(F0)の胸腺重量の減少と肺重量の増加, 4mg/kg群で卵巣重量の減少が認められた. 3. 新生仔(F1)の出生に対するcarboplatinの影響はみられなかった. 4. 育成仔(F1)の生存率, 分化の状況, 初期行動発達, 学習能力, 運動性及び情動性に及ぼすcarboplatinの影響はみられなかった. 5. Carboplatin 4 mg/kg群の雄F1ラットで交配後の剖検において甲状腺重量, 雌F1ラットで離乳時の剖検において副腎及び生殖器重量の減少が認められたが, 生殖能に対するcarboplatinの影響はみられなかった. 6. 妊娠F1ラットより得られた胎仔(F2)に対するcarboplatinの影響はみられなかった. 以上のように, ラットの周産期及び授乳期に投与されたcarboplatinは2mg/kg以上の投与量で母獣の体重増加抑制, 胸腺重量の減少と肺重量の増加が認められ, 4mg/kgで母獣の摂餌量の減少と卵巣重量の減少, 交配後の剖検においてF1雄ラットの甲状腺重量の減少, 離乳時の剖検においてF1雌ラットの副腎及び生殖器重量の減少を誘起するが, F1ラットの機能, 行動的発達及び生殖能には影響を及ぼさないことが示唆された. 従って, 本試験におけるcarboplatinの無影響量は母動物に対しては1mg/kg/日, 次世代(F1)に対しては2mg/kg/日と考えられた.
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