抗悪性腫瘍薬carboplatinを1, 2及び4 mg/kg/日の割合でCrj: CD(SD)ラットに, 妊娠7日目より17日目までの11日間反復静脈内投与し, 概略次の結果を得た. 1. Carboplatin 4mg/kgの投与により, 母獣(F
0)の体重増加は妊娠13から20日目まで抑制され, 摂餌量は妊娠8日目から分娩後3日目に対照群を下回った. 2. Carboplatin 4mg/kg群で母獣(F
0)の子宮重量が減少した. 3. Carboplatin 4mg/kg群で胎盤重量及び胎仔(F
1)の体重・体長・尾長は低値であり, 発育は抑制された. 更に, 同群で第5・6胸骨未骨化の発現率が高く胸骨及び仙尾椎に骨化遅延が認められた. 4. Carboplatin 4mg/kg群で新生仔(F
1)の出生率が低値であった. 5. Carboplatin 4mg/kg群の雄F
1ラットで4から8週齢時に体重の増加抑制が認められ, 摂餌量は5から7週齢時に対照群を下回った. 6. Carboplatin 4mg/kg群の雌F
1ラットで脳実重量の減少がみられたが, 育成仔(F
1)の分化の状況, 初期行動発達, 学習能力, 運動性及び情動性に及ぼすcarboplatinの影響はみられなかった. 7. 雌雄F
1ラットの生殖能に及ぼすcarboplatinの影響はみられなかった. 8. F
1ラットより得られた胎仔(F
2)に対するcarboplatinの影響はみられなかった. 以上のように, ラット胎仔の器宮形成期に投与されたcarboplatin 4mg/kgは, 母獣の体重増加を抑制し, 胎仔(F
1)に対しては骨化遅延を伴う発育抑制, またF
1ラットに対しては出生率の低下, 雄ラットの体重増加の抑制及び雌ラットの脳実重量の減少を誘起したが, 胎仔に対する催奇形作用は認められず, F
1ラットの生殖能にも影響を及ぼさなかった. 一方, 2mg/kg以下の投与量では親動物, 胎仔及びF
1ラットとも影響を受けないことが示唆されたため, 本試験における親動物及び次世代(F
1)に対するcarboplatinの無影響量は2mg/kg/日と考えられた.
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