人間と環境
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41 巻, 2 号
人間と環境 第41巻第2号通巻107号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
原 著
  • 田村 和也, 東 信行
    2015 年 41 巻 2 号 p. 2-16
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究は,新しい流域変遷の検討法を用い,過去20-30年間における河川流域環境及び物質循環の変遷とその要因について推定することを目的とした。青森県内を流れる17か所の小河川を対象に,1980年代と2000年代に採集された魚類ホルマリン標本の炭素・窒素安定同位体比を比較した。また,河川流域における農地や市街地などの土地利用状況の変化や河川改修履歴を調査し,結果を照らし合わせた。その結果,土地利用の変化に伴う人為的影響の増減や下水道整備の推進に伴うδ15N値の変化が確認された他,河川改修が行われた河川では複数種の魚類で同位体特性が類似するようになり,魚類を中心とした食物網の単純化が認められた。
  • 中澤 亮二, 佐々 木直里, 田中 真美, 小山 秀美, 平井 和彦, 坂本 浩介, 松浦 里江, 金牧 彩, 南 晴文, 阪口 員一, 高 ...
    2015 年 41 巻 2 号 p. 17-27
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/04/06
    ジャーナル フリー
    ブラウン管パネルガラス粉末70wt%および貝殻粉末30wt%を混合したものを粒径φ5mmに加圧造粒後, 650°Cにて20分間焼成することで, 高いリン吸着能を有する焼結体を作成した。作成した焼結体のリン吸着能を評価するため, 畜産排水を活性汚泥法にて処理した排水(3~30mgPO4-P/Lを含む)を対象とし, この被処理水に焼結体を投入し, 経時的に焼結体中リン含有率を測定した。その結果, リン含有率は処理開始後9週で約0.45wt%-P2O5で飽和に達した。前処理として不織布を用いて被処理水中の懸濁物質(以下SS分とする)を除去すると, リン含有率は処理開始2週で最大値(約0.45wt%-P2O5)に達した。焼結体のリン吸着反応は被処理水中のSS分によって阻害されることが確認された。排水中SS分による孔隙閉塞による影響で, 焼結体内部の吸着サイトが有効に機能していない可能性が示された。排水処理試験済のリンを保持した焼結体からのリン回収を行った。排水処理試験後の焼結体をK2SO4水溶液(0.8w/v%, pH7.0)でリンを交換溶出後, 溶出液にリンと等モルのCaCl2を添加するともにNaOHを添加しpH11.5に調整することでリン酸カルシウム沈澱として回収した。回収したリン酸カルシウムの溶解性による区分では可溶性リン酸が主成分であることが確認された。このリン酸カルシウムの施肥効果についてホウレンソウを対象として検討した。土壌中トルオーグリン酸量の向上効果は市販リン酸肥料(過リン酸石灰, 重焼リン, 熔成リン肥)と同程度であった。ホウレンソウの生育におよぼす肥料効果は他の3種類のリン酸肥料と同等であった。植物体リン酸含有率におよぼす分離リン酸カルシウムの影響は他の3種類のリン酸肥料と比較して中間的な効果であった。以上の結果から, ブラウン管パネルガラスおよび貝殻粉末を原料とするリン吸着能を有する焼結体の製造が可能であった。この焼結体は排水中のリン酸を吸着し, 放出する機能を持ち, 繰り返し使用可能である。これらはガラスリサイクル・排水処理・リン酸肥料の再資源化の3つのサブシステムからなるリン再循環利用システムであり, 資源環境問題に貢献できる新技術である。
研究ノート
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