フォーラム現代社会学
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論文
  • 谷本 奈穂
    16 巻 (2017) p. 3-14
    公開日: 2018/06/13
    ジャーナル フリー

    美容整形は「劣等感」や「他者に対するアピール」のために行われると信じられてきたが、むしろ実践者たちは「自己満足」を最も重視する。ただし同時に、「他者」による外見の評価を気にしてもいた。先行研究では、この他者を「異性」や、より一般的な「社会」(一般化された他者)と措定し、日常生活において「具体的に誰なのか」は見落としてきた。そこで、本論は、美容整形希望者・実践者が外見について準拠する「具体的な他者」を明らかにすることを試みる。

    なお、先行研究では実践者の「動機」に注目されがちだったが、本稿では実践者たちの「コミュニケーション」のレベルに注目した分析を行う。さらに先行研究の調査は、美容整形経験者だけを対象としたものが主だが、本論では実践者へのインタビューを行いつつも、希望者/非希望者や、あるいは経験者/非経験者の比較分析も行う。実際に「美容整形経験と何が結びつくか」は、両者の比較をしてこそ見出しうるからだ。

    さて分析から明らかになったのは、希望者・実践者が重視する他者とは、第一に「同性友人」であり、次いで「母」や「姉妹」であることだ。美容整形にコミットするのは男性より女性が多いことを踏まえるなら、「女性同士のネットワーク」が重要であるともいえる。女性にとって、異性や社会(一般化された他者)ではなく、「身近にいる同性」とのコミュニケーションの中に、外見を変える「地平」が成立しているのである。

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  • 伊藤 理史
    16 巻 (2017) p. 15-28
    公開日: 2018/06/13
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は、政治的疎外意識の長期的変化とその規定要因を、コーホート分析によって明らかにすることである。「政治的有効性感覚の低い状態」と定義される政治的疎外意識は、政治参加の減退をもたらす主要な要因として、様々な実証研究が蓄積されてきた。しかし日本における政治的疎外意識の長期的変化とその規定要因については、ほとんど研究されていない。そこで本稿では、「日本人の意識調査,1973~2008」の個票データの二次分析によって、政治的疎外意識の長期的変化の実態、規定要因としての世代効果と時代効果の大きさ、高齢世代と比較した若齢世代の政治的疎外意識の特徴を、明らかにする。

    線形要因分解と重回帰分析の結果、次の3点が明らかになった。(1)政治的疎外意識は、1973年から1998年にかけて上昇したが、1998年から2008年にかけて低下・停滞する。またその変化の傾向は、世代間で共通する。(2)1973年から1998年までの政治的疎外意識の上昇は、正の世代効果と正の時代効果から生じていたが、1998年から2008年までの政治的疎外意識の低下・停滞は、負の時代効果が正の世代効果を上回ることで生じていた。(3)団塊世代と比べて若齢世代では、政治的に疎外されていると感じやすい。以上の結果を踏まえた上で、世代効果は戦争・民主化体験の有無、時代効果は55年体制崩壊による政権交代可能性の上昇として解釈した。

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  • 鈴木 彩加
    16 巻 (2017) p. 29-42
    公開日: 2018/06/13
    ジャーナル フリー

    1990年代以降に草の根レベルで展開されるようになった保守運動に人びとが参加する理由は、「癒し」や「不安」といった言葉で論じられてきた。しかし、冷戦体制の崩壊やグローバル化の進展などの社会変化に由来する「不安」がナショナリズムへと接続することで解消されるという説は、「不安」が運動を通してどのように「癒される」のかという点について明らかではない。さらに、国内や海外の先行研究では、女性参加者らが運動内で性差別に遭遇していることが示されており、「癒し」と「不安」という説明は女性参加者にも適用できるのか、ジェンダーの観点から慎重に検討する必要がある。本稿では女性の動きが活発だと言われている「行動する保守」を対象に、女性団体A会の非-示威行動で実施した調査から、保守運動の参加者同士の相互行為をジェンダーの観点から考察することを目的とした。

    A会の非-示威行動の場で参加者たちは様々なジョークを話していることから、本稿ではジョークの持つ機能に着目した。「嫌韓」や「愛国心」といった政治意識上「右」に位置するジョークは、参加者たちが共有する知識や価値観をもとに成立しており、参加者同士の交流を円滑にする機能を有していた。しかしながら、「慰安婦」問題に関しては高齢男性の性差別的ジョークに女性参加者たちが「沈黙」する場面が見られ、ジェンダーに関するトピックは参加者間の相違を顕在化させることが明らかとなった。

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  • 池田  裕
    16 巻 (2017) p. 43-58
    公開日: 2018/06/13
    ジャーナル フリー

    日本では、有権者のイデオロギー的立場が、社会福祉への選好や小さな政府への選好とほとんど相関しないとされている。すなわち、先行研究の結果は、保守と革新が政府支出の増加を同じ程度に支持することを示唆している。それに対して、本稿は、イデオロギーが依然として福祉支出選好の重要な規定要因であることを示す。具体的には、イデオロギーは、市場制度への信頼と福祉支出選好の関係を条件づけるという、調整変数としての役割を果たす。イデオロギーは福祉支出選好に直接影響しないが、市場制度への信頼が福祉支出選好に影響する文脈を提供するというのが、本稿の主張である。

    日本版総合的社会調査(JGSS)のデータを用いた分析によって、以下の知見が得られた。福祉支出に関して、日本では保守と革新のあいだに意見の隔たりが存在しない。重要なのは、保守と革新の対立ではなく、市場制度を信頼する保守と市場制度を信頼しない保守の対立である。ほかの条件が等しければ、社会保障への支持と雇用対策への支持の予測確率は、市場制度を信頼する保守のあいだで最も低く、市場制度を信頼しない保守のあいだで最も高い。社会保障と雇用対策が福祉国家の主要な活動であることを考慮すると、福祉国家の熱心な支持者が革新であるとは限らない。本稿の結果は、葛藤する保守が福祉国家の潜在的反対者であると同時に、福祉国家の潜在的支持者でもあることを示唆している。

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  • 有本 尚央
    16 巻 (2017) p. 59-71
    公開日: 2018/06/13
    ジャーナル フリー

    本稿は、大阪府南部・岸和田市で行われる岸和田だんじり祭を事例に、都市祭礼の近代化の歴史を「暴力の抑制」という観点から分析することを通して、現代日本社会における祭りの変化について考察する。

    現在の岸和田だんじり祭は、地車(だんじり)と呼ばれる山車が事故を起こすほどの激しい曳行をする点に特徴があり、「やりまわし」と称される過激な地車の曳行が祭りの代名詞となっている。岸和田だんじり祭におけるけんかや事故などの過激で暴力的な特徴は、世間の耳目を集めると同時に、警察による規制の対象としても取り沙汰されてきた。こうした状況のなか、特に近年の岸和田だんじり祭ではやりまわしの高速化が指摘され、地車の曳行はますます過激なものへと変化する傾向にある。

    本稿では、現代社会においてなぜこのような祭りの変化が生じたのかという問いについて、祭礼組織と警察が暴力の規制をめぐって展開してきた過程に注目することで明らかにする。いわば、それぞれの時代における警察との関係のなかで、祭りの挙行に関してなにが問題とされたのか―祭りの渉外の焦点はどこにあったのかをたどることによって、祭りがどのようにかたちづくられてきたのかを分析する。その結果、現代社会における祭りが「スポーツ化」(Elias & Dunning 1986=1995)していることを明らかにする。

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  • 白川 俊之
    16 巻 (2017) p. 72-84
    公開日: 2018/06/13
    ジャーナル フリー

    本論文では高校生の教育期待の分析をとおして、教育機会の不平等が生じるメカニズムについて考察をすすめる。不平等の生成に関して社会学では、階層間の学力差がもたらす不平等(1次効果)と、学力が同じ場合でも階層が異なることで生まれる教育選択の差異(2次効果)という2段階の過程が区別して扱われる。1次効果と2次効果を識別するための標準的な手法である反事実的アプローチをPISAの2003年調査のデータに適用し、日本社会における両者の相対的影響を推定する。さらに、同様のアプローチを海外のデータにも当てはめ、階層の総効果や1次効果と2次効果の相対的な優劣が、各社会の教育制度の特徴とどのように関係しているかを見ていく。

    反事実的アプローチでは学力と教育選択性向のいずれか一方について階層差が除去された仮想状況を設定し、取り除かれた階層の影響が不平等全体にとってどの程度の重要性をもつかが評価される。分析の結果、日本の場合、階層間の学力差が除去された状況でも、階層が教育期待に対して与える直接的な影響が強く、2次効果が優勢であることが示された。国際比較では教育制度が高度に階層化されている社会において、階層の1次効果が大きくあらわれていた。階層化の度合と2次効果とのあいだには有意な共変動がなく、教育制度の階層性が高い社会では、不平等過程の比重が学力差をとおした間接効果の方向へと偏りがちであることが見て取れた。

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  • 尾﨑 俊也
    16 巻 (2017) p. 85-97
    公開日: 2018/06/13
    ジャーナル フリー

    本稿は、社会学的行為理論の枠組みから男性性概念を用いて男性のDVや性暴力を研究しているメッサーシュミットから知見を得て、暴力行為と男性性の関係を明らかにすることを目的とする。行為理論の枠組みから、男性の暴力行為がどのように理解されうるのかは大きく問われてこなかった。他方、犯罪心理学の分野において、男性の暴力行為の原因が個人の病理的な特性や性衝動に回収される傾向にあった。そのなかで、メッサーシュミットの研究からは、暴力行為に極めて社会的な過程があることが理解できる。メッサーシュミットは暴力行為の社会的意味が暴力行為者にとって重要なものであり、暴力行為を通じて、男性性が実践される側面を解明した。この意味で、われわれの社会が構築してきた男性性が、暴力加害に作用していると言える。男性の女性に対する暴力については、支配的な男性性をめぐる男性同士の社会的な闘争で周縁化された男性が、女性に対する暴力を行使することで、支配的な男性性を実践する社会過程があると分かった。さらに、性暴力は異性愛に特徴づけられた男性性を行為することを通じて、より支配的な男性性を実践できる傾向にあることも読み取れた。このように、女性に対する男性の暴力が発生する背景に、社会的に構築された男性性があり、また性的な意味を経由することで、よりその支配性が暴力行為者によって見出されるのである。

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特集 戦争と軍事文化の社会学
  • 吉田  純
    16 巻 (2017) p. 98-103
    公開日: 2018/06/13
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  • 福間 良明
    16 巻 (2017) p. 104-115
    公開日: 2018/06/13
    ジャーナル フリー

    本稿では、ポピュラー・カルチャーにおける「戦争の記憶」の「継承」と「断絶」のポリティクスを捉え返すべく、「特攻の町・知覧」が戦跡観光地として成立するプロセスについて、検討する。かつて陸軍特攻基地があった知覧は、交通アクセスの悪さにもかかわらず、特攻隊員の「思い」への感情移入を促す場として、近年ますます多くの観光客を集めている。

    だが、知覧は戦後の初期から「特攻の町」であったわけではない。さらに言えば、特攻体験は知覧住民の戦争体験ではない。特攻出撃したのは、全国各地から集められた陸軍パイロットであって、知覧の住民ではない。にもかかわらず、なぜそれが「知覧の記憶」として位置づけられ、多くの来訪者の感涙を誘うに至ったのか。

    こうした事例を考察することは、観光や映画を含む近年のポピュラー文化における「継承」のポリティクスを捉え返すことにもつながるだろう。本稿は「特攻の町・知覧」が創られていくプロセスを概観しながら、「継承」の語りが何を覆い隠してきたのかについて、検討する。そのうえで、これらの力学が戦後ポピュラー・カルチャーのいかなる変容を象徴するものなのかを考察する。

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  • 福浦 厚子
    16 巻 (2017) p. 116-130
    公開日: 2018/06/13
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、軍隊と社会との関係についてのこれまでの研究を概観したうえで、個別的日常的な民軍関係に着目し、社会学や文化人類学での成果を紹介し、近年の研究の特徴をみていく。そのうえで、日常に埋め込まれた軍隊と社会や個人との関係性を文化人類学的な視点からみることで、軍隊研究に新たな議論の局面を示したい。その一つの例として、自衛隊を取り上げ、これまで行われてきた自衛隊研究を、1:政軍関係その1、自衛隊を取り巻く政治状況の視点から検討する研究、2:政軍関係その2:医療や災害・メンタルヘルス対策として自衛隊でどんな対処が可能かについて検討する研究、3:ノンフィクション・ルポ、自衛隊員の視点に近い立場からの提言や報告、4:民軍関係の4つに大別し、そのなかの民軍関係について概観する。自衛隊の普通化、ソフト路線に注目し、その例として自衛官の婚活に着目し、雑誌MAMORや実際の自衛隊婚活のなかで語られる自衛官像や希望する交際相手や配偶者像がどのように表象されているのか検討する。その結果、従来の軍人妻研究にみられるダブルの役割期待が婚活にも存在するにも関わらず、言及されないままになっていることが明らかになった。

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