フォーラム現代社会学
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17 巻
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巻頭言
論文
  • ―1999年シアトルWTOと2009年ピッツバーグG20を事例に―
    濱西 栄司
    2018 年17 巻 p. 5-18
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/11
    ジャーナル フリー

    路上での政治的デモンストレーション(デモ)は、現在では世界中でみられ、日本でも全国で数多くのデモが実施されてきた。近年、デモなどの抗議行動を、組織化よりも優先する傾向もさらにみられている。ただし、デモの空間的展開を描く研究は国内外をみわたしてもほぼ存在しない。例外的にジャオ(2001)は天安門事件をめぐる学生運動の特徴を説明するために、大学配置とデモルートの関係を明示し、濱西(2016a)はサミット・プロテストの特徴を説明するために、密集するアクションの展開図を描いているが、かなり限定されている。そこで本稿では、方法論的検討を通してデモの展開をより精緻に記述し、デモに物理的な環境が及ぼす作用について考察することを課題とする。まず第2節において、デモのルート(特に合流・方向性)とその環境を記述する方法論について検討をおこない、その上で第3節では、1999年シアトルWTO、及び2009年ピッツバーグG20に対する抗議行動を取り上げ、デモの空間的展開を、その物理的環境とともに描く。第4節では2事例の特徴を示しつつ、大学・スタジアム・公園等の配置や高速道路・海・川、抗議目標の位置などの物理的環境が、デモの合流や方向に及ぼす作用について考察する。

  • ―性差に着目した分析―
    伊達 平和
    2018 年17 巻 p. 19-32
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/11
    ジャーナル フリー

    ボランティア参加行動の研究では、社会経済的資源がボランティア行動に影響すると考える資源理論が検証されてきたが、未だに論争的となっている。また、高齢期のボランティア行動を対象とした研究は乏しく、基本的な分析視角である性差も明らかになっていない。さらに、近年のボランティア参加行動の議論では、資源理論の中では、女性のほうが男性よりも職業の影響が強いとする性同一性波及(Gender-identification Spillover)仮説が注目されている。そこで本稿では、高齢者を対象として、資源理論の中でも職業の効果について、性差に着目して明らかにする。その際、分析対象が高齢者であることを考慮して、これまで最も長くついた職業を表す「最長職」とボランティア参加行動との関連を検討する。

    分析の結果、第1に、女性では現職ではなく最長職が関連しているが、男性では現職も最長職も共に関連する。第2に、女性では最長職「ブルーカラー」と「農業」に対して「専門・管理職」がボランティアに参加しやすいが、男性では「専門・管理職」だけでなく「事務・販売職」もボランティアに参加しやすい。第3に、女性の方が男性よりも「専門・管理職」であれば、ボランティアに参加しやすく、性同一性波及仮説が成立することが明らかになった。以上の知見より、高齢期において、資源理論は職業という側面において重要であること、また最長職に焦点を当てることの重要性が示された。

  • ―「多文化共生」論への接続に向けた在日朝鮮人教育言説の再読―
    孫・片田 晶
    2018 年17 巻 p. 33-47
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/11
    ジャーナル フリー

    本稿は、今日の「多文化共生」をめぐる議論において、政府の「上からの」外国人住民統治策に対置される形で、その先進性を高く評価されている「下から」の「共生」の運動・実践の中に潜む問題点を明らかにすることを試みる。具体的には、公立学校の日本人教師による、在日朝鮮人の子ども達に関わる教育実践(在日朝鮮人教育)の先進的な取組みに内包された問題点を、その支配的な言説の立ち上げの時点に遡って検証していく。在日朝鮮人教育の主流の実践は、マイノリティ側のありようを変革の対象としてきた―文化的(民族的)差異の不在を「問題」とみなし、その差異の回復を志向してきた。それは同時にマイノリティ側の社会の不公正や不平等を問題化しようとする声を隠蔽してしまうものでもあった。

    1970年代以降の大阪市の在日朝鮮人教育運動の「指標」となり、全国的にもこの教育の支配的な言説の原型となった、大阪市立長橋小学校の運動は従来、朝鮮人の「生活現実」からの声に耳を傾け、その要求に応える教育をうちたてた動きとされてきた。しかし、朝鮮人の子ども・親の「現実」をまなざし、教育が取組むべき「問題」を語るのは日本人教師であるという権力関係に注目すると、異なる側面が見えてくる。本稿では、「ウリマルを返せ!の要求に応えて」というフレーズで知られるこの運動の語りの背後に存在した、問題の所在をめぐってすれ違う認識の行方に注目する。

  • ―1955年~2015年SSM調査を用いた計量分析―
    仲 修平
    2018 年17 巻 p. 48-62
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/11
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は、戦後日本における自営業の職業構成の趨勢を対数線形・対数乗法モデルとイベントヒストリー分析によって明らかにすることである。日本の自営業は販売職や熟練職の比率の高さが一つの特徴として知られてきた。そうした自営業は1980年代の後半以降に減少してきたが、近年は専門職が増加することによって自営業の職業構成が変化の途上にあることが指摘されてきた。ところが、自営業の職業構成が長期的にどのように変化してきたのかについてはほとんど研究がなされていない。そこで本稿では、自営業と専門職の関連の強度が1955年から2015年にかけて常時雇用と比べると次第に強まったのか、個人の職業移動において専門的・技術的職業の自営業(自営専門職)への参入が他の職種の自営業への参入に比べて近年になるほど生じやすくなっているのかを、1955年から2015年に実施された社会階層と社会移動全国調査データの二次分析によって検討する。

    分析の結果、次の二点が明らかになった。第一に、自営業と専門職の結びつきは職業構造の変動の影響を考慮したとしても、1955年から2015年にかけて強まっていることがわかった。第二に、自営専門職への参入は近年になるほど生じやすい傾向が高まっているのに対して、販売職や熟練職の自営業への参入は生じにくい傾向となっていることが示された。以上の結果を踏まえると、自営業の職業構成は徐々に専門職化していると判断することができる。

  • ―フランス市民の「パリテ」解釈を事例に―
    村上 彩佳
    2018 年17 巻 p. 63-77
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/11
    ジャーナル フリー

    ジェンダー平等推進政策上で用いられる男女平等理念が社会に普及する過程で、市民によって独自の解釈が加えられる例はしばしばある。例えば、男女平等理念が男女の友好的関係や異性愛主義の理念として解釈される。こうした解釈がもたらす危険性に警戒を促す研究が蓄積されてきた一方で、実際に市民の男女平等理念の認識・解釈を検討した研究は少ない。

    本稿はフランスの男女平等理念であり50%クオータ制の名称でもある「パリテ」を事例に、①パリテを推進する女性団体Elles aussiと、②同性婚反対運動を行う市民団体Manif pour tousに着目し、市民がパリテの理念をどのように認識・解釈しているのかを検討する。

    ①の女性たちはパリテを男女の友好的協働関係として解釈した。こうした「穏健な」解釈は、保守派を含めた幅広い女性からのパリテ支持を生んだ。一方②のデモでは、異性婚の正統性を主張するために、パリテが「結婚のパリテ」といった形で用いられた。

    既にクオータ制として法制化されていたパリテは、十分な社会的コンセンサスを得ていたため、②のデモがパリテの理念を損ないはしなかった。しかし男女平等理念が異性愛主義と結びつき、ジェンダー平等推進にとって反動的に利用される危険性が示唆された。

    日本の「男女共同参画」もこうした危険性と無縁ではなく、クオータ制の導入と男女共同参画の理念に対する社会的コンセンサスの形成が急務である。

  • 鹿島 あゆこ
    2018 年17 巻 p. 78-92
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/11
    ジャーナル フリー

    サラリーマンという言葉の一般への普及は大正期から昭和初期といわれている。本稿の目的は、この普及に一役買ったといわれる『時事漫画』の検討を通じて、当該時期におけるサラリーマンイメージの形成と展開を明らかにすることである。『時事漫画』から選出した計297の漫画作品を、3つの時期に区分して分析した。その結果、サラリーマンという言葉の下で一定のイメージが共有されるようになっていく過程には、失業と消費という2つの要素が関係していたことが明らかになった。まず大正初期から大正中期にかけて、「サラリーメン」という言葉のもとで、社会状況や雇用主によって生活基盤を左右されやすい被雇用者という側面が焦点化された。それは、当時の日本社会においては相対的に上層の階級とみなされていた「サラリーメン」階層が、乱高下する経済状況によって次第に困窮していく過程で形作られたイメージであった。このイメージを下地にして、大正後期から昭和初期にかけては、主に広告漫画の中で、新しい消費財を消費することでよりよい生活を営む代表的な主体としての「サラリーマン」が描かれた。それは、当事者ではない他者の目線から描いたイメージが、広告という媒体によって自己のイメージに変換されはじめる過程でもあった。こうして、「私的生活においては消費者であり、公的生活においては被雇用者であるサラリーマン」という表現が誕生した。

  • 竹内 麻貴
    2018 年17 巻 p. 93-107
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/11
    ジャーナル フリー

    労働力不足の解消・出生力の回復・低成長時代での家族形成という超高齢社会の日本が抱える政策的課題へ対応するには、男性稼ぎ手モデルから脱却することが必要とされている。本稿ではそれを阻む要因として考えられる、母親であることが低賃金に結びつくMotherhood Penalty(以下、MP)について検証した。男女の賃金格差の要因としてMPを盛んに研究してきた欧米に比べ、日本での蓄積はまだ浅い。そこで本稿では、最新の大規模パネル調査を用い、現代日本におけるMPの計量的検証を行った。被説明変数を時間あたり賃金、主な説明変数を子ども変数とした固定効果推定の結果、子ども1人につき約4%のMPが確認された。また、子どもが2人いると約12%、就学前の子ども1人につき約4~6%、子どもがいない女性よりも賃金が低いことが明らかになった。とくにMPの検出において、労働環境の質的特性が重要であることが示唆された。ただし、MPに関連する要因を統制することでMPを検出することはできたが、MPのメカニズムはそれらの要因によって説明されなかった。この結果には出産・育児離職によるセレクションが日本で大きいことが背景にあると考えられる。本稿で確認されたMPを予期し出産をしない女性や出産前に離職する女性が存在している可能性も鑑みれば、単に女性の労働参加を促すだけでなくMPを小さくすることが政策的に重要である。

  • ―京都・西陣織の事例から―
    金 善美
    2018 年17 巻 p. 108-121
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/11
    ジャーナル フリー

    本稿では、西陣織の若手職人らによる近年の取り組みを事例に、現代における伝統産業の変容を論じる。西陣織は日本を代表する高級織物であるが、1990年代以降、需要の縮小とともに衰退してきた。しかしながら、近年では過去の職人層と異なる属性を持つ若手職人の参入が見られ、既存の産業内秩序への挑戦と伝統産業の革新が試みられている。

    西陣織とその産地である西陣をめぐっては、産業・地域構造の前近代性や垂直的関係性が繰り返し指摘されてきた。その中、若手職人らの取り組みはどのような背景の下で可能となり、西陣織の世界にいかなる変化をもたらしているのだろうか。この問いに答えるために、本稿では若手職人らへのインタビューを行い、その取り組みを「企業家型」「技術伝承型」「クリエーター型」の3類型に分類しながら具体的展開を分析した。

    本稿の知見は、次の2点である。第一に、1990年代以降、西陣織業はインナーエリアの地域社会変動に巻き込まれ、産業-地域の特殊性が弱まる一方で新たに芽生えた活動やその担い手をめぐるダイナミズムが展開されるという、複雑な変容の過程を辿った。第二に、変わりゆく現代社会において、伝統産業の振興を目指す試みが直面する課題の複合性である。以上から見えてくるのは、単に衰退するのではなく、現代の様々な社会変動を反映し、新たな可能性と課題を同時に抱えながら生き残りを図る今日の伝統産業の姿である。

特集I 歴史経験の語られ方、記憶のされ方
  • 蘭 信三
    2018 年17 巻 p. 122-126
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/11
    ジャーナル フリー
  • 伊地知 紀子
    2018 年17 巻 p. 127-136
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/11
    ジャーナル フリー

    本シンポジウムのテーマである「歴史経験の語られ方、記憶のされ方」について、済州4・3を事例として報告した。済州4・3をめぐる語りは、語り手である個人、その家族あるいは親戚姻戚が何をしていたのか、どこにいたのか、どのように犠牲となったかといった事件当時だけではなく、事件後にこれらの人びとがどこでどのように暮らしたのかによっても規定される。他二本の報告は、東北大震災(金菱報告)と三池炭鉱報告(松浦報告)であった。各報告と合わせて議論することにより、歴史経験の語られ方、記憶のされ方についての論点として気づいたことがある。それは、歴史経験や記憶を開いていく場をどのように設定するのか、別の表現をとるとすればpublic memoryの時間軸をどう設定するのか、空間をどこまで広げるのか、つまりpublicと形容する時どのような枠組みを前提として論ずるのかということだ。この問いは、ある地域のある時期における歴史経験が、後の生活にいかなる影響を及ぼすのかという視点を複眼的に置くことなくしては深めることが困難なものである。この気づきを踏まえて、済州4・3とはいかなる歴史経験であり、体験者や遺族などがどのように語り、さらに済州4・3から何を語りうるのか、本稿は在日済州島出身者の生活史調査からの試論である。

  • ―オーラル・ヒストリーの敗北宣言―
    金菱 清
    2018 年17 巻 p. 137-148
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/11
    ジャーナル フリー

    ライティング・ヒストリーは、調査者の介在を必要としながらもその関与を無効にし、当事者のなかで抑圧されていた無意識に対して、当事者が自らの手で意味のある「歴史」として刻むことができる新たな実践です。

    現場の当事者は、こんなことを話すべきではない、書くべきではないという形で感情を抑圧している場合があります。いわゆる沈黙状態です。それを二人称で亡き人に対して「手紙」という形で書き記してもらいます。予め書かれたものがあってそれを分析するといった書かれた(written)文章資料主義ではなく、書こうとする(writing)意思に重点を置きます。ライティング・ヒストリーは、自分でわけのわからないぐちゃぐちゃしていた感情を自分のなかで咀嚼しながらなんとかそれを理解可能なものへと導いてくれます。そのことで、これまで歴史のなかで沈黙を強いられてきた問題が何であるのかを明らかにする試みです。

  • ―三池炭鉱をめぐる集合的な表象と実践―
    松浦 雄介
    2018 年17 巻 p. 149-163
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/11
    ジャーナル フリー

    「負の遺産」という言葉は、過去から現在に受け継がれるもののうち、なんらかの否定性を帯びたものを表すが、その含意は用いる主体や用いられる文脈によって多様である。大別すれば、この言葉には現在に否定的影響をもたらし続けるがゆえに清算されるべき過去の状況という意味(負のレガシー)と、人々に多大な犠牲や災禍をもたらし、その道徳的・教訓的価値ゆえに継承されるべき過去の出来事という意味(負のヘリテージ)の二つがある。戦争や近代工業のように、同じものがある文脈では負のレガシーとされ、別の文脈では負のヘリテージとされることもある。本稿では、負の遺産という語の多義性を、否定性を帯びた社会的記憶の多様性を表す感受概念として捉え、メディアや日常生活世界におけるその語の用いられ方を分析する。まず、負の遺産の意味を負のレガシーと負のヘリテージとに区別したうえで、その意味の時代的な変化を新聞記事の分析をつうじて辿る。さらに、負の遺産が社会のなかでどのように記憶/忘却されるかを、三池炭鉱をめぐる集合的記憶の分析をつうじて論じる。これらの議論をふまえて、負の遺産が公共的記憶になるための条件について考察するのが本稿の目的である。

  • ―岐阜県瑞浪市「化石山」の中国人犠牲者の慰霊碑をめぐって―
    坂部 晶子
    2018 年17 巻 p. 164-169
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/11
    ジャーナル フリー
  • 今井 信雄
    2018 年17 巻 p. 170-171
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/11
    ジャーナル フリー
特集II 社会学と障害学の対話
  • 山田 富秋
    2018 年17 巻 p. 172-174
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/11
    ジャーナル フリー
  • 秋風 千惠
    2018 年17 巻 p. 175-187
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/11
    ジャーナル フリー

    本稿では軽度障害当事者の語りから、彼/彼女らのディスアビリティ経験をみていくこととする。まず軽度障害者が浮上してきた経緯を述べ、その背景となったイギリス社会モデル批判を検討し、アメリカ社会モデルが妥当であると結論する。

    これまで社会モデルへの批判は主にインペアメントの扱いについての批判であったが、星加良司はディスアビリティについて再検討し、障害者が蒙る不利益を集合としてみる“不利益の集中”という概念を持ち込んだ。本稿では星加の不利益理論を補助線として、軽度障害者の語りを検討する。『社会的価値』『個体的条件』『利用可能な社会資源』『個人的働きかけ』といった諸要素を考慮に入れながら、主に性別役割分業に照準したディスアビリティ経験を分析してみる。

  • ―全盲児の学級参画とメンバーシップの配分実践―
    佐藤 貴宣
    2018 年17 巻 p. 188-201
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/11
    ジャーナル フリー

    1990年代後半以降、社会学的な視座から質的な調査手法に依拠して、障害カテゴリーに関わる教育現象にアプローチしようとする経験的な研究が蓄積され始める。本稿では、こうした動向を念頭に、障害児の教育を対象とする社会学的な先行研究をレビューし、今後の障害児に関わる教育現象の調査において採用しうる研究指針を提案する。

    第2節では、1970年代以降に高揚する障害者の就学運動を題材とする諸研究を検討し、障害児のインクルージョンを要求する運動がどのように推進されたのかを整理する。第3節では、通常学校での障害児教育をテーマとして蓄積されてきた主要な先行研究を素描し、加配の配置による通常学級での障害児支援に伴う問題を析出する。

    その後に、とある小学校を事例とし、エスノメソドロジー研究における成員カテゴリーに関する知見を手掛かりとしながら、全盲児の処遇について分析し、メンバーシップの配分という水準でインクルージョンについて考察することの重要性を提起する。ここでの考察から改めて浮き彫りとなるのは、共成員性を基盤として障害児と健常児との間に生起する日常的な相互作用・コミュニケーションに照準した経験的研究の必要性である。

    最後に、教室空間でのインタラクションに加え、障害児支援のネットワークが構築されていく過程もまた、障害児の教育を対象とする社会学的調査研究にとって重要な探求課題となることを指摘する。

  • ―トラブル経験の記述をめぐる実践―
    浦野  茂
    2018 年17 巻 p. 202-215
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/11
    ジャーナル フリー

    生活のなかにおける障害をどのように記述し説明するかという課題は、認識上の課題であると同時に、それが障害をめぐる社会関係の一部をなしているがゆえに道徳的な課題である。したがって、その記述と説明をどのように組織するかという課題は、社会学者以前に社会成員の課題である。

    本稿はこうした視点のもとに、ある精神障害者を対象とした当事者研究会における相互行為を検討する。そこでは、感情的なトラブルの経験について、その経験そのものに対してではなく、それを記述・説明する仕方そのものが主題化され、その方法の転換が成し遂げられる。当初、家族における道徳的問題として記述されていたトラブルは、この結果、身体を原因したそれへと、本人自身によって書き換えられていく。

    本稿は、このような相互行為を記述することにより、精神障害にかかわるトラブルの記述・説明方法の転換を共同で成し遂げるための技法のひとつを明らかにする。そのうえで最後に、こうした技法が精神障害者の地域生活支援に対していかなる意義をもつのか考える。

  • ―「社会学と障害学の対話」に向けて―
    西倉 実季
    2018 年17 巻 p. 216-221
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/11
    ジャーナル フリー
書評
編集後記
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