防虫ネットを通過して侵入する昆虫を調べるため,ライトトラップに16メッシュ・30メッシュ・40メッシュの3タイプの防虫ネットを取り付けて捕虫を行った結果,以下の知見が得られた.
1.防虫ネットを取り付けることにより,コントロール区の捕虫数と比較して,16メッシュ区で76.0%,30メッシュ区で94.8%,40メッシュ区で99.1%の捕虫数減少が見られた.
2.16メッシュ区では最大で体長4mm,幅1.5mmまでの昆虫がネットを通過したが,体長3mm,幅1mm以上の昆虫に関しては90%以上の侵入を阻止した.
3.30メッシュ区では最大で体長4.3mm,幅1.3mmまでの昆虫がネットを通過したが,体長1mm以上の昆虫に関しては80~90%の侵入を阻止した.
4.40メッシュ区では最大で体長2.5mm,幅1mmまでの昆虫がネットを通過したが,体長0.5mm以上の昆虫に関しては80~90%以上の侵入を阻止した.
5.今回捕獲された昆虫の中で,防虫ネットによって鱗翅目・カゲロウ目・チャタテムシ目・半翅目・トビケラ目では阻止効果が高かった.一方40メッシュで双翅目・膜麹目・鞘翅目が捕獲され,アザミウマ目ではコントロールの2.3倍の捕虫率であったことから,微小なサイズの昆虫に対しては,完全に阻止することは難しいと考えられた.
6.防虫ネットの使用により昆虫侵入の制限は可能であり,メッシュ数が多くなることによって昆虫の侵入率は低くなったが, 40メッシュでも微小なサイズの昆虫は侵入する可能性が考えられるため,使用する場所の防虫レベル(その場所の重要度による昆虫侵入数の許容範囲)を検討する必要がある.
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