ペストロジー学会誌
Online ISSN : 2432-1532
Print ISSN : 0916-7382
8 巻, 1 号
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原著
  • 草野 忠治, 平井 泉
    原稿種別: 本文
    1993 年 8 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1993/10/20
    公開日: 2019/07/11
    ジャーナル フリー

    ウイスター系ラットを用いて,多数の塩化物および亜鉛化合物の味識別閾値(M)を2瓶選択法により測定した.その値の逆数の大きいものから順に配列すると次の系列が得られた:

    HgCl2>ZnCl2>PbCl2≧CuCl2>NiCl2>BaCl2>FeCl3>SnCl2>LiCl>AlCl3>MgCl2>CaCl2
    >SrCl2>CsCl>KCl>NH4Cl>NaCl.亜鉛化合物の味識別閾値の逆数でも次の系列が得られた: ZnCl2≧ZnSO4≧Zn(NO3)2≧Zn(CH3COO)2

    ウイスター系ラットの鼓索神経幹に対する17種類の無機塩化物の味覚効果を測定した.それらの積分反応曲線の初期反応の最高の高さに基づく味覚効果の強さの配列は上記の無機塩化物の系列と一致しなかった.これは上記の供試化合物の飲水行動に基づく味刺激効果の強さ(味識別閾値の逆数)は鼓索神経に対する味覚効果の大きさのみで決まるものではないことを示している.

    供試した化合物の一部で,味識別閾値よりも低い濃度でラットが選好性を示した.

  • 渡辺 護, 品川 保弘, 荒川 良, 稲岡 徹
    原稿種別: 本文
    1993 年 8 巻 1 号 p. 6-9
    発行日: 1993/10/20
    公開日: 2019/07/11
    ジャーナル フリー

    クサギカメムシに対する薬剤効果判定試験のために,幅30×高20cmの小型アルミサッシを取り付けたアルミフレーム・透明アクリル板製のアルミサッシ箱による試験装置を作製した.この装置を用いて,窓枠重点処理法に用いる殺虫剤の適否を試験したところ,本装置はクサギカメムシの隙間に潜む性質を容易に利用出来,小型で扱い易く,しかも試験結果の再現性も確認された.

    1%シフェノトリンを処理したサッシに潜んだクサギカメムシは,確実に仰転・死亡することが確かめられ,速効力に優れ,掃除の回数も少なくて済む利点が認められた.しかし,シフェノトリン濃度が低いとサッシの隙間で死亡する個体よりも,サッシ箱の内部で死ぬ個体が多くなることが観察された.また,deetの忌避効果も,本装置を用いて確認することが出来た.

  • 谷川 力
    原稿種別: 本文
    1993 年 8 巻 1 号 p. 10-12
    発行日: 1993/10/20
    公開日: 2019/07/11
    ジャーナル フリー

    52組で173回の分娩を記録したクマネズミの新生個体を解析したところ,以下のことが推察された.

    つがい当たりの分娩頻度は 2月に低く12.5%で,これは5月と7月のそれぞれ35.7%に比べ,約3分の1の値であった.すなわち,寒くなると激減する傾向を示した.

    各月の平均室温(X)と分娩頻度(Y)との相関関係を調べたところ,Y=1.0 X-5.9の関係が認められた.(r=0.69, p<0.01).すなわち,クマネズミの繁殖には温度が関与し,温度が低下すると繁殖率が下がると判定された.

    一方,一つのビルで室温の年変化を調べたところ,年間を通して差が少なく22.3~25.8℃の範囲であった.このように年中温暖なビルでは,クマネズミの年間を通して高い繁殖率を可能にしていると推定された.

  • 辻 英明, 伊藤 秀子, 山口 杲
    原稿種別: 本文
    1993 年 8 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 1993/10/20
    公開日: 2019/07/11
    ジャーナル フリー

    以上の結果から,冬に加温しない(または加温の少ない)家屋内でのキョウトゴキブリの周年経過は以上のようにまとめられる.

    成虫は初夏に出現し産卵を開始する.夏までにふ化した幼虫は大型幼虫(亜終齢~終齢幼虫)まで生長して越冬し,翌年成虫になる.この時成虫にならず,あるいは過剰脱皮して再度越冬することもある.

    秋にふ化した幼虫は,ある程度生長した状態(2~4齢幼虫)で越冬し,翌年大型幼虫になるが羽化せず,終齢または過剰脱皮個体として再度越冬した後,次年の夏に羽化する.いずれにせよ,過剰脱皮した幼虫は巨大幼虫となり,巨大成虫にもなる.

    越冬時には,幼虫サイズが上記2サイズに2極化し,成虫,卵,1齢幼虫は認められず,中間サイズの幼虫も少ない.これは,2極それぞれのサイズで生長を遅らせ,それ以下のサイズ個体が追い付いてくるのを待つタイミング・メカニズム,すなわち休眠現象の存在を強く示唆するものである.類似の周年経過が,ヤマトゴキブリやクロゴキブリで推定されており(辻・種池,1990),温帯ゴキブリの共通性を感じさせる.

  • 高山 渉, 山内 章史, 小長谷 貴昭, 稲本 真佐子, 高橋 朋也
    1993 年 8 巻 1 号 p. 18-21
    発行日: 1993/10/20
    公開日: 2019/07/11
    ジャーナル フリー

    Two kinds of pheromone traps,Biolure® for pyralid moths and New Serrico® for cigarette beetles, were used in a factory producing animal foods and three ordinary houses in Shizuoka Prefecture, Japan, from spring through the fall in 1992.

    Three species of pyralid moths were caught in high numbers in the factory. The most abundant was Ephestia kueniella, followed by E. cautella and then Plodia interpunctella. In the three houses, however, only P. interpunctella moths were caught abundantly ; seven E. cautella moths and no E. kueniella moths.

    Many cigarette beetles, Lasioderma serricorne, were caught in the factory from May to October (inclusive) with the first peak in July and the second in October. Each of the three houses showed only one peak late in August or early in September, no or very few individuals in the other months.

    No breeding site for the species was found in the three houses. One of the houses that had an especially high density of the insects during the peaks had poorer seailing conditions, having so many voids and crevices in the wall as well as ill―fitting doors and windows.

    These facts suggest that the insects may invade consumers' houses from outdoors or nearby fascilties, causing insects contamination of foods at home.

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