横浜市内のビル地下街にある和風食堂(7×9m3)を例に取り,ゴキブリ防除を難しくしているいくつかの要因を検討した.
1.環境要因
①店内の構造:一般に,多くの食堂でその構造は復雑である.複雑な構造は,ゴキブリにとって快適な潜伏場所となる.また,清掃の不備,殺虫剤処理を困難にし,薬剤効率を低下させる.
②隣接店との関係:隣接する店舗とはダクト,天井等でつながりがあり,店間のゴキブリの自由な移動を可能としている.
③温度:保温性のよいビル地階で,常に調節された温度は,年聞を通じてのゴキブリの繁殖を可能とする.対象とした食堂での最低気温は,冬期でも20℃を上回った.
④営業時間:深夜近くまで続く常業では,閉店後の片付けが不十分となる.残された食べ物はゴキブリの食べ物となる.
⑤取り扱う食品:生ものを主に扱う店では,食品は厳重に保冷庫等で管理するが,熱を加える食べ物はそのまま放置される場合が多い.その際,保管が不十分であるとゴキブリのエサとなる.
2.殺虫剤抵抗性
殺虫剤の使用が頻繁であると,やがてゴキブリは抵抗性を持つ.対象とした食堂のチャバネゴキブリは,ピレスロイド系に対し強い抵抗性を示した.
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