ペストロジー学会誌
Online ISSN : 2432-1532
Print ISSN : 0916-7382
14 巻, 2 号
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原著
  • 奥田 寿男, 桜井 誠, 渡辺 登喜郎, 新庄 五朗
    原稿種別: 本文
    1999 年 14 巻 2 号 p. 1-8
    発行日: 1999/10/22
    公開日: 2019/07/11
    ジャーナル フリー

    1.供試薬剤の直接接触による致死効果は,直接噴霧したり,処理を施した濾紙や土壌に接触させることで発現されたが,致死効果は直接噴霧試験や土壌接触試験において顕著であった.これは虫体への分生子付着量が多いためと考えられた.

    2.供試薬剤の水平伝播による致死効果を調査した結果,健全個体への伝播は,直接噴霧による感染個体と2時間混在することで成立し,また健全個体の10%に相当する職蟻に直接噴霧できれば,水平伝播効果により健全個体も全滅した.

    3.供試薬剤処理濾紙への接触による感染個体に,健全個体を混在させた場合, 直接噴霧による場合に比べて水平伝播効果はあまり発現されず,これは濾紙接触による感染個体自身の付着分生子数が少ないことに起因すると考えられた.

    4.活動場所への噴霧試験では,多くの供試虫が集まる場所に直接噴霧できれば,水平伝播効果が発揮されることが示され,この点が実用場面における使用方法のポイントになることが類推された.

  • 平尾 素一
    原稿種別: 本文
    1999 年 14 巻 2 号 p. 9-12
    発行日: 1999/10/22
    公開日: 2019/07/11
    ジャーナル フリー

    1 .室内照明に誘引され,53m2の部屋に入った走光性昆虫は,室内に設置された1~3台のライトトラップに誘引され,粘着テープに捕獲された.その捕獲率は図1のように台数がふえるにつれ増加した.しかし3台設置しても約25%は捕獲されず床に落下した.

    2.ライトトラップに捕獲されなかった個体の96.1~98%は床に落下,死亡した. 2.0~5.2%は翌朝も生き残った.

    3.落下死亡個体は室内全体に分布したが,ライトトラップの下に多く分布した.

事例報告
  • 高橋 朋也, 藤野 全弘, 白神 弘介, 辻 英明
    原稿種別: 本文
    1999 年 14 巻 2 号 p. 13-15
    発行日: 1999/10/22
    公開日: 2019/07/11
    ジャーナル フリー

    蚊の被害が著しい,関東のある工場で調査を行い,次の結果を得た.

    1.アンケート調査の結果,蚊の被害は工場全域に及び,その度合は労働環境悪化にまでもつながるものであった.主要加害種はイエカ属,特にチカイエカで,その発生源も確認できた.

    2.捕獲調査の結果,捕まった蚊の99%がイエカ属で,捕獲地点近くのし尿浄化槽でチカイエカの成虫が多発活動していることが確認され,本工場の主要加害種はこれらであると云える.

  • 山田 英夫, 神戸 隆, 田中 千賀子, 乾 守裕
    原稿種別: 本文
    1999 年 14 巻 2 号 p. 16-19
    発行日: 1999/10/22
    公開日: 2019/07/11
    ジャーナル フリー

    1993年から1997年にわたって行った捕獲調査で,食品工場におけるチョウバエについて以下の知見が得られた.

    1.食品関係工場で捕獲されたチョウバエはユスリカについで多く,全体の18%を占めた.この事から食品工場でのチョウバエ対策は重要だと考えられる.

    2.粘着トラップはライトトラップに比べ設置数や設置場所の自由がきき,チョウバエを多くのポイントで効率的に捕獲できることから,建物内部の本種を対象とした発生源探索調査を行う場合,粘着トラップ使用法の方が良いと思われる.

    3.粘着トラップで捕獲されたチョウバエの場所別の捕獲数より,チョウバエの発生源を特定し,清掃,構造改善や薬剤散布を行うことによりチョウバエの発生を抑えることができた.

  • 坂下 琢治, 高橋 宏英, 羽原 政明
    原稿種別: 本文
    1999 年 14 巻 2 号 p. 20-21
    発行日: 1999/10/22
    公開日: 2019/07/11
    ジャーナル フリー
    This paper purposes to investigate the effect of the partitions to prevent the invation of flying insects. Four partitions, room, door, vinyl curtain and speed shutter, prevented the invasion of flying insects than control (no partition). The most effective partition was room. On the other hand, the speed shutter was worst effective partition.
  • 山田 英夫, 神戸 隆, 田中 千賀子
    原稿種別: 本文
    1999 年 14 巻 2 号 p. 22-26
    発行日: 1999/10/22
    公開日: 2019/07/11
    ジャーナル フリー

    名古屋市内の事務所ビル2ヵ所において,掃除機を用い1m2あたり30秒かけて採塵を行い,ダニ調査を行った.

    1.今回,調査したビルから検出されたダニ相は貧弱で,その約70%がコナヒョウヒダニ,約20%がヤケヒョウヒダニであった.

    2.ヒョウヒダニ数について場所別に見ると,ロッカー室が一番多くなっていた.これは,ロッカー室が,他の部屋に比べてダニの餌になるようなものが多いためと考えられる.

    3.床材等についてダニの平均検出数で比較すると,ソファーが最も多く検出された.ついで,タイルカーペットとPタイルの順で,両者に差はほとんど認められなかった.

    4.階層別にコナヒョウヒダニ数を比較し,その発育ステージ別で見たところ,階層によっては全発育ステージが検出されるところがあり,ビル内でダニが生息していることが考えられた.

    5.刺校性のダニであるミナミツメダニが検出されたが,数は少なく,ビル内で生息している可能性は低いと思われる.また,一部でハダニやヒメハダニが検出されたが,これらの個体は外部より持ち込まれたものと思われる.

  • 辻 英明
    原稿種別: 本文
    1999 年 14 巻 2 号 p. 27-28
    発行日: 1999/10/22
    公開日: 2019/07/11
    ジャーナル フリー
    大阪の集合住宅で採取したチャバネゴキブリ雌成虫(P)の1卵鞘から発生した個体をF1世代 とし,F2世代の成虫をフェニトロチオン10%乳剤の希釈液で処理したベニヤ板に80分間,または,継続的に接触させると,同時に比較した東京近郊の薬剤防除の困難な系統にほぼ匹敵するフェニトロチオン耐性を示した.一方,予研系(感受性)も含めていずれの系統も,ホウ酸やヒドラメチルノンを殺虫剤成分とするベイト剤には感受性を示した.
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