名古屋市内の事務所ビル2ヵ所において,掃除機を用い1m2あたり30秒かけて採塵を行い,ダニ調査を行った.
1.今回,調査したビルから検出されたダニ相は貧弱で,その約70%がコナヒョウヒダニ,約20%がヤケヒョウヒダニであった.
2.ヒョウヒダニ数について場所別に見ると,ロッカー室が一番多くなっていた.これは,ロッカー室が,他の部屋に比べてダニの餌になるようなものが多いためと考えられる.
3.床材等についてダニの平均検出数で比較すると,ソファーが最も多く検出された.ついで,タイルカーペットとPタイルの順で,両者に差はほとんど認められなかった.
4.階層別にコナヒョウヒダニ数を比較し,その発育ステージ別で見たところ,階層によっては全発育ステージが検出されるところがあり,ビル内でダニが生息していることが考えられた.
5.刺校性のダニであるミナミツメダニが検出されたが,数は少なく,ビル内で生息している可能性は低いと思われる.また,一部でハダニやヒメハダニが検出されたが,これらの個体は外部より持ち込まれたものと思われる.
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