Strength and Conditioning Journal Japan
Online ISSN : 2759-0674
Print ISSN : 1883-4140
31 巻, 10 号
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特集
Sports Nutrition Academy
From Strength & Conditioning Journal
CEU クイズ関連記事
  • Ian J. Bonder, Michael Waller, Andrew L. Shim, Marc A. Tangeman
    2024 年31 巻10 号 p. 21-33
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル 認証あり

    推奨される身体活動や望ましいトレーニング目標を達成する際、たびたび障害となるのは時間である。これは、レクリエーションレベルのトレーニングを行なっている成人やアスリート、特に、練習やトレーニングの時間に大きな制限のある大学生アスリートに当てはまる。可能な解決策のひとつは、望ましい生理学的適応を達成するために必要な時間を制限する、時間節約トレーニングや時間効率化トレーニングのルーティンや方法を取り入れることである。それは、トレーニングに必要な時間を短縮することや、週を通して短時間のワークアウトを高頻度で行なうこと(「マイクロドージング」など)によって実現できる。最適なトレーニング刺激を与えるためには、正しい方法を用いなければならない。残念なことに、現在入手可能な研究では、ルーティンや方法が数多くの用語を用いて論じられ、その多くが一見類似しているために混乱を招いていると思われる。本稿の目的は、数多く存在する、時間節約および時間効率化トレーニングのルーティンや方法について、それらの共通点と相違点を概説することである。最終的に、本稿は、ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチやパーソナルトレーナーのために、現在の研究を統合し、プログラム作成の選択肢となる実践的な助言を提供する。また、提供される情報は、時間節約および時間効率化トレーニングに関する将来の研究機会の基盤としても役立つだろう。

  • John P. Wagle, Aaron J. Cunanan, Matt L. Sams, Austin R. Driggers
    2024 年31 巻10 号 p. 34-39
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル フリー

    近年、ハイパフォーマンススポーツが重視するものは、エビデンスに基づく実践と、システム科学、ビジネスマネジメント、急速に拡大するスポーツテクノロジーの統合によって促進される学際性である。パフォーマンスサポートに対する現在のアプローチがもつ主な制限のひとつは、厳格な境界線によってハイパフォーマンスの捉え方が過度に束縛されていることである。本稿ではこれに対して、優れた運動能力の追求とサポートを導くものとして平行漸進主義(parallel incrementalism)の概念を取り上げる。パフォーマンスの制限因子(PLFs)の考えを導入して、重要なパフォーマンス指標(KPIs)を補完し、パフォーマンスサポートに役立てることを目指す。KPIsはパフォーマンスに直接影響を及ぼす、あるいは、パフォーマンスを説明するものである。一方PLFsは、現状のパフォーマンスに間接的に影響する特性である。KPIsとPLFsの複雑な相互作用を通してヒューマンパフォーマンスを考えることによって、ハイパフォーマンススポーツの限界を押し上げ続けることができるであろう。

  • Lorena Torres-Ronda, Ryan M. Curtis
    2024 年31 巻10 号 p. 40-47
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル 認証あり

    スポーツ科学の中心的な要素は、知見を生み出すために、データ収集と分析を含むプロセスを通して、パフォーマンスを促進する体系的な分析の枠組みを開発することである。さらにスポーツ科学者は、より良い意思決定を支援するために、情報をステークホルダーに伝達する準備を整える責務を担う。視覚表現を用いた情報伝達は、スポーツ科学者に最も求められるスキルのひとつとなりつつあるが、これはより複雑なプロセスの一部にすぎない。効果的な情報伝達には、図表やレポートを作成する以上のものが求められるためである。効果的なコミュニケーションを促進するために、現代のスポーツ科学者は、多様なデータの構造と、それらを表現する最良の方法を明確に理解できなければならない。また、データ管理、視覚的デザイン、および情報配信といった専門分野の能力を身につけることで、可視化、レポート、およびストーリーテリングのプロセスを改善しなければならない。本稿では、情報の収集と結果の伝達に関連する重要な要素に焦点を当てる。

  • Benjamin H. Gleason, Christopher R. Bellon, David J. Szymanski
    2024 年31 巻10 号 p. 48-61
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル 認証あり

    本稿の目的は、アスレティックデパートメントの運営管理者と上級コーチが、彼らの監督下のストレングス&コンディショニングコーチ(SCC)を評価するために利用できる実用的な枠組みを提供することである。正式で客観的な評価プロセスは、トレーニング成果の向上をもたらし、現場で起こりがちな厄介な問題を未然に防ぎ、説明責任を高め、組織の力学を最適化する可能性がある。提言には、実行された職務に関する計画的かつ体系的で、文書に記録された観察が含まれ、また、パフォーマンステストのデータの検討およびSCCとスーパーバイザーの間の発展的なフィードバックも含まれる。現場のそれぞれの部門により、若干の修正が必要な場合もあるが、スーパーバイザーは一般的な主題はなお踏襲できるだろう。

  • Rhiannon Lord, Mykolas Kavaliauskas
    2024 年31 巻10 号 p. 62-72
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル 認証あり

    ストレングス&コンディショニング(S&C)のコーチングに携わる女性の割合は低く、おそらくスポーツのコーチングに携わる女性よりさらに少ない。あらゆるレベルのS&Cコーチングにおいて、女性の割合は約6~16%であり、S&C分野で働く女性の性差にかかわる経験に否定的な影響を及ぼしている。コーチング研究のエビデンスに基づくと、これは長年にわたりスポーツに内在する構造的な偏見や差別のパターンによるものと考えられる。しかし、将来のストレングス&コンディショニングコーチ(SCC)にとって、男女を問わず、より公平な活動や機会を実現することが重要である。本稿では、個々のコーチや教育者、運営組織、団体など、S&Cに携わる人々が、男女格差にかかわる現場の活動や環境を批判的に検討するためのツールとして、3つの社会学的視点を紹介する。我々は、日々の活動の中で社会学を活かすことにより、S&Cで働く人々が、女性SCCの経験に影響を与えている構造的な偏見や差別の形態について意識を高め、可能であれば、現場で働く女性のために積極的な変化を起こすことを期待している。

  • Jonpaul Nevin, Martin Ian Jones
    2024 年31 巻10 号 p. 73-82
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル 認証あり

    過去20年間、西側諸国の軍隊は、ほぼ絶え間なく世界中で軍事作戦に従事してきた。この間、テクノロジーの進歩と相まって紛争の性質も変わり、現代の軍事作戦環境がかつてないほど不安定で、不確実で、複雑で、不透明になっていることは間違いない。しかし、紛争の性質が変わったとしても、紛争という人間の行為が、兵士に独特で強烈な生理学的、心理学的、認知的要求を課すことは、基本的に変わらない。その結果、軍事および科学分野では、ヒューマンパフォーマンスの最適化という概念がますます重視されるようになった。さらに、専門職としてのストレングス&コンディショニング(S&C)業界でも、兵士をはじめ、極限環境で働く人々を意味する“タクティカルアスリート”という概念が発展してきた。したがって、本ナラティブレビューの目的は、ヒューマンパフォーマンスの最適化の概念を概説すること、また現代の軍事作戦環境において要求されることは何かを検討すること、そして、兵士の指導を担当する現場のS&C専門職に、兵士の生理学的、心理学的、および認知的パフォーマンスを最適化するための、エビデンスに基づく推奨事項を提案することである。

  • James R. Mckee, Olivier Girard, Jeremiah J. Peiffer, Brendan R. Scott
    2024 年31 巻10 号 p. 83-93
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル 認証あり

    チームスポーツのアスリートは、通常、短い回復時間で区切られた、持続時間の短いスプリント(10秒以下)を繰り返し行なう。一連のスプリントパフォーマンスを維持する能力は、反復スプリント能力(RSA:repeated-sprint ability)と呼ばれる。RSAを生理学的に制限するのは、力発揮能力の低下、エネルギー供給の不足、代謝産物の蓄積などである。これらの制限因子は、反復スプリントトレーニングによって改善することが可能であり、このトレーニングを全身低酸素状態(吸入酸素率が減少した状態)で実施すると、RSAがより大きく向上する。血流制限(BFR)を用いたエクササイズは、局所的な低酸素状態と代謝産物負荷をもたらし、RSAを改善する補助的なトレーニング方法となる可能性がある。BFRによるトレーニングは、筋力とアデノシン三リン酸の供給を増強し、その後のスプリントパフォーマンスを向上させる可能性がある。BFRトレーニングによる有酸素性フィットネス、クレアチンリン酸(フォスフォクレアチン)の再合成、および代謝産物除去能力の改善は、スプリント間の回復を促進し、疲労耐性を高める可能性がある。反復スプリントBFRトレーニングには、RSAの向上をもたらす、このような生理学的利点の可能性があるにもかかわらず、これらの情報を集約したレビューは公表されていない。そこで本レビューでは、反復スプリントトレーニングとBFRの生理学的効果に関する現在の知見に基づき、BFRトレーニングがいかに疲労要因に対抗し、RSAの向上をもたらしうるかに関して、理論的枠組みを提案する。最後に、RSAの向上のためにBFRトレーニングを導入する方法について、現場の専門職に指針を提供する。

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