日本女性科学者の会学術誌
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10 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
総説
  • 田中 富士枝
    原稿種別: 総説
    2009 年 10 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/09/29
    ジャーナル フリー
    エナミンは、有機合成化学においても酵素反応においても、炭素-炭素結合形成反応をはじめとする種々の反応に用いられる重要な中間体である。本稿では、エナミン生成を鍵として反応を触媒する蛋白質触媒から低分子有機触媒までを含めた有機分子触媒の開発と利用における、触媒開発戦略、触媒設計、生成物制御のための工夫についての筆者らの研究を概説する。
  • 稲田 明理
    原稿種別: 総説
    2009 年 10 巻 1 号 p. 10-16
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/09/29
    ジャーナル フリー
    ヒト、ラットやマウスなどにおいて生後の成長期には、体重増加に伴ってβ細胞数やランゲルハンス氏島(ラ氏島)数が急激に増加する。また、ラットやマウスの膵臓組織障害モデルにおいては、既存の細胞の増殖と組織再生が見られる。さらにNeogenesis(ネオジェネシス)も報告されている。しかし、幹細胞の存在の有無についてはこれまで議論されてきた。私たちは、複製後に脱分化して未分化状態になった膵管上皮細胞が幹細胞であり内分泌細胞や外分泌細胞を新生するのでないかと仮説を立てた。膵管上皮細胞が生後、幹細胞として機能しラ氏島を新生することができるのか、直接証明するために、ヒトCAIIプロモーター下(膵管上皮細胞特異的)にCre、CreERタンパクを発現する2種類のトランスジェニックマウスを作製し、これらのマウスにRosa26リポーターマウスを掛け合わせた。その結果、生後の成長期においても成体の組織障害モデルにおいても、膵管上皮細胞からラ氏島や腺房細胞が新生されることが証明された。
  • 大隅 正子
    原稿種別: 総説
    2009 年 10 巻 1 号 p. 17-40
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/09/29
    ジャーナル フリー
    酵母細胞の機能と結び付けてその微細構造を正しく視るために、著者を中心として開発してきた固定法の変遷を紹介し、「無コーティング超高分解能低加速電圧走査顕微鏡法」、「加圧凍結・極低温低加速電圧走査電子顕微鏡法」の開発と、それにより解明された、酵母細胞の微細構造について概説した。それらの研究成果を基にして、分裂酵母の細胞壁再生のモデル系を構築し、細胞壁の形成機構について細胞表層と細胞内小器官の挙動から解析し、これに関与するアクチン細胞骨格の役割について理解を深めた。さらに、集束イオンビームによるマイクロサンプリング法を応用して、細胞壁の分子構造を可視化する手法の開発における最新の成果を記述し、合わせて、酵母細胞内のF-アクチンのやじり構造の可視化をミオシンS1修飾により成功させ、細胞分裂におけるアクチンの役割について究明した。最後に、酵母研究の今後の展望を論じた。
  • 長塚 靖子, 平林 義雄
    原稿種別: 総説
    2009 年 10 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/09/29
    ジャーナル フリー
    私達は新しいグルコース含有グリセロリン脂質ホスファチジルグルコシド(PtdGlc)をほ乳類で初めて見いだした。PtdGlcは胎生期のマウス、ラットの脳に強く発現しており、その発現様式は細胞種及び発生のステージに特異的である。PtdGlcはグリセロールのsn-1位にC18:0;sn-2位にC20:0の飽和脂肪酸のみを含む単一分子種からなり、この分子種組成から予想されるように、脂質マイクロドメイン(ラフト)を構成する。PtdGlcを含むラフトをPtdGlc特異抗体DIM21で刺激すると神経上皮細胞はEGFレセプターの活性化からJak-Stat経路の活性化を経てGFAP陽性のアストログリアへと分化する。さらに、PtdGlcはリン脂質であるためホスホリパーゼA2により消化されてリゾ-PtdGlc (LPG)を生じ、LPGはニューロン成長円錐に働いて縮退や反発応答を引き起こす。すなわち、PtdGlcはラジアル/アストログリアで産生されてLPGを介してニューロンに働く新しい生理活性脂質である。
総説
レポート
  • ― 2006年度以降を振り返って ―
    谷 由美
    原稿種別: レポート
    2009 年 10 巻 1 号 p. 52-56
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/09/29
    ジャーナル フリー
    本レポートでは、独立行政法人理化学研究所(以下、「理研」という。)における男女共同参画推進の取組を振り返り、その内容、効果、問題点などをまとめた。2006年より開始された、文部科学省振興調整費による「女性研究者支援モデル育成事業」の実施などにより、現在では多くの大学や研究機関が女性研究者支援に取り組んでいるが、その具体的な取組内容は、機関ごとの人員構成、現状の問題点などにより、1つ1つ異なっている。理研の取組もそれらの一例であるが、この3年間の男女共同参画推進への取組は、女性研究者支援、仕事と家庭の両立支援、ワーク・ライフ・バランスなどの観点から、何故その取組を行ったのか、実際に利用した職員にとって、果たして効果はあったのか、などについて、具体的な取組をもとに紹介する。
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