タウリン合成能の低いネコやキツネなどの種では、タウリンの欠乏や利用障害を生じると拡張型心筋症の様相を呈すると言われている。そこで我々は、ヒトの不全心におけるタウリンの役割を明らかにする目的で、拡張型心筋症患者における血漿タウリン濃度を測定し、心機能との関係を比較検討した。心機能が比較的保たれているコントロール群では、タウリンと心エコー上の心機能パラメーターの間に有意な関連は認められなかったが、拡張型心筋症群では血漿タウリン濃度と左室駆出率( rS=0.369,p=0.0040)、内径短縮率(rS=0.367, p=0.0040)および左室収縮末期径(rS=-0.282, p=0.030)にそれぞれ有意な相関を認めた。以上より拡張型心筋症において血漿タウリン濃度は、心機能や病状の進展を反映するバイオマーカーとなり得ると考えられた。
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