天理医学紀要
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24 巻, 2 号
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原著
  • 茶木 善成, 林田 雅彦, 片岡 直紀, 前川 ふみよ, 竹岡 加陽, 増谷 弘, 大野 仁嗣
    2021 年 24 巻 2 号 p. 76-90
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/24
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    【背景と目的】成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)では,CCケモカイン受容体4(CCR4)のC末端の細胞内ドメインにCCR4遺伝子変異による機能獲得型変異が高頻度に認められ,ヒト化抗CCR4抗体モガムリズマブの治療効果に影響を与える可能性が示唆されている.本研究では,天理よろづ相談所病院で診療したATLL症例におけるCCR4遺伝子変異と臨床病態・腫瘍細胞の免疫形質との関連を明らかにすることを目的とした. 【方法】1993年から2021年の間に診療したATLL症例のなかで,マルチカラー・フローサイトメトリー(M-FCM)で検出した検体中の異常細胞分画(unusual cell population; UCP)が40%以上であった20例を対象とした.CCR4遺伝子変異はPCR・ダイレクトシークエンシングで解析し,CCR4遺伝子の部分欠失を認めた症例ではフラグメント解析を追加した.さらにヘテロ2本鎖移動度解析の検出能力についても検討した. 【結果】20例中8例にCCR4遺伝子変異を認めた.6例は1塩基置換によるナンセンス変異(Q330*,2例;Y331*,4例),1例は1塩基多型バリアントアリルのコピー数増加, 残りの1例はQ336–T342の欠失を伴うミスセンス変異(Q336H)で,フラグメント解析で18塩基の欠失を確認した.ヘテロ2本鎖移動度解析では8例中6例でheteroduplex DNAを認めた. 臨床病型との関連は,急性型11例のうち6例(55%)とリンパ腫型5例のうち2例(40%)が変異陽性であったのに対し,慢性型・くすぶり型の4例には変異を認めなかった. CCR4の発現レベルが強陽性であった8例 中4例(50%)がナンセンス変異陽性,ナンセンス変異陽性6例中4例(67%)がCCR4強陽性であった.CCR4遺伝子変異陽性であった1例ではサルベージ治療としてモガムリズマブが投与され,部分奏効の効果が得られた. 【結論】CCR4の発現レベルとCCR4ナンセンス変異が相関する可能性が示唆された.CCR4遺伝子変異とモガムリズマブの治療効果の関係を明らかにするためには,M-FCMによるCCR4の発現レベルや%UCPの評価を含めた前向きの臨床試験が必要である.

  • 田中 良, 児嶋 剛, 児玉 貴弘, 山口 舞衣, 角田 すみ代, 福原 真美, 石井 康世, 畠中 英理子, 清水 佐幸, 尾﨑 佐和子, ...
    2021 年 24 巻 2 号 p. 91-99
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/24
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    背景・目的:嚥下障害患者に対して適切な食事形態ととろみ調整食品の提供が推奨されている.水のとろみに関しては日本摂食嚥下リハビリテーション学会より3段階の基準が出されているが, 経腸栄養剤の基準はない.経腸栄養剤は種類によってとろみの付き方が異なり, とろみの評価は主観的に行われていることが多い.今回我々は, 経腸栄養剤のとろみ付けについて院内基準を設定することを目的として, 院内採用の経腸栄養剤ととろみ調整食品を用いたとろみ付け調整法を検討した.とろみ粘度の主観的評価と客観的評価の裏付けに基づく調整マニュアルを作成し, 院内での実行性を測ることを目標とした. 方法:とろみ調整食品ソフティア®Sを用いたとろみ水を作成し主観的評価と客観的評価法であるFlow testやLine Spread Test (LST)値を比較した.経腸栄養剤のとろみ付けの攪拌方法や静置時間を検討し, 多職種による主観的評価とFlow testによる客観的評価を行った.とろみ付けに関するマニュアルを作成し, 各病棟に配布10ヵ月後8項目にわたるアンケート調査を行った. 結果:とろみ水を主観的に過大評価する傾向を示したが, Flow testとLST値はソフティア®Sの基準添加量を正確に反映していた. 経腸栄養剤の種類によりソフティア®S添加量に差があるものや攪拌後の静置時間によりとろみ度の増すものがあった.主観的評価は検者間に差があったが, Flow testでは一定の傾向を示していた.アンケート調査では, とろみ調整食品の使用頻度に差があり, 注意点を順守しているのが63%にとどまった. 結論:経腸栄養剤のとろみ付けに関する院内基準法の作成に際し, 客観的簡易評価法であるFlow testを利用することで主観的評価の曖昧さを見直すことができた.経腸栄養剤はとろみ付加の操作方法により粘度が上昇する特徴があるため, 実際の調整法に関して病棟スタッフへの情報提供や啓蒙が必要である.

症例報告
  • 大野 仁嗣, 竹岡 加陽, 岸森 千幸, 前川 ふみよ, 中川 美穂, 福塚 勝弘, 林田 雅彦, 本庄 原
    2021 年 24 巻 2 号 p. 100-107
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/24
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    当院で診療したALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫(ALK+ LBCL)の1例を報告する.患者は 61歳の男性で,病期Ⅲ期で発症し,生検の結果,免疫芽球性リンパ腫と診断した.患者は6サイクルのCHOP療法(シクロホスファミド,ドキソルビシン,ビンクリスチン,プレドニゾロン)に速やかに反応し,長期間完全寛解を維持した. 5年半後に左腋窩リンパ節に再発した.生検では,免疫芽球または形質芽細胞の形態を示す腫瘍細胞の増殖を認め,ALK免疫染色で細胞質に限局した顆粒状の染色パターンを示した.腫瘍細胞はCD20陰性,細胞質κ鎖陽性,CD138陽性であった.初回生検の免疫染色も同様の結果であった.染色体分析でt(2;17)(p23;q23)転座を認め,RT-PCRとシークエンシングでCLTC-ALK融合遺伝子を検出した.再発病変は放射線治療で消失し,初診後13年経過した時点でリンパ腫の再燃を認めない.本症例の治療経過は,進行病期ALK+ LBCLの治療予後は必ずしも不良ではなく,従来の化学放射線治療によってコントロール可能であることを示唆している.

天理よろづ相談所 学術発表会2020
  • 鈴木 拓真, 後藤 健一, 丸岡 満, 前岡 伸吾, 岡本 敦, 西村 理
    原稿種別: 天理よろづ相談所 学術発表会 2020
    2021 年 24 巻 2 号 p. 110
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/24
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    【背景】回復期リハビリテーション病棟( 回復期病棟) では疾患別に入院期間が決められており,その期間内での適切なリハビリテーション目標の設定が肝要である.脳卒中患者では自立歩行の獲得は重要な目標の1 つであり,入院時に歩行自立が獲得可能かを予測・推定することはプログラムを立案する際に重要となる.近年,回復期病棟入院時の基礎情報,身体・認知機能評価から歩行獲得に関連する因子の報告は散見されるが,観察期間の相違や小脳・脳幹病変,くも膜下出血や高次脳機能障害の評価が含まれていないことから,歩行自立の獲得を予測・推定することはしばしば困難である.そこで,今回我々は,自立歩行の目標設定に有用な歩行自立の獲得に関連する因子の解明を試みた. 【対象および方法】2017年4月から2018年10月までの期間に当院を入・退院された脳卒中患者105名(男性53名,女性52名,平均年齢73.6±11.3)を対象とした.発症7 ヶ月までの機能的自立度評価法(FIM)6 点以上を歩行自立可として2 群に分け,入院時の身体機能(端座位の可否・下肢麻痺レベル[BRS]・非麻痺側の下肢筋力[MMT]),認知機能(注意障害・FIM 認知項目[認知FIM]),基礎情報(年齢,性別,体重,脳卒中のタイプ,発症部位,下肢疼痛,糖尿病)を調査し比較した.統計解析は,入院時の身体・認知機能評価,基礎情報を用いた2 変量解析にて有意であった項目を独立変数に,歩行自立の可否を従属変数に,発症から歩行自立までの日数(歩行非自立群は観察日数)を時間変数としてCox 比例ハザード分析を行い,歩行自立と関連する因子を抽出した.抽出された因子については,ROC 曲線を用いてarea under curve (AUC)とcut off 値を算出した.なお本研究は天理よろづ相談所病院倫理委員会で承認を得た(承認番号973). 【結果】FIM 6点以上の歩行自立群は41名(39.0%)であった.Cox比例ハザード分析の結果,自立歩行と関連する因子として,認知FIM(ハザード比[HR]1.06, P <0.01),BRS(HR 1.62, P = 0.02) ,端座位の可否(HR 7.92, P = 0.04)が抽出さ れた. ROC 曲線によるAUC とcut off 値は,認知FIM では AUC 0.81, cut off 値は27 点(感度0.63, 特異度0.82),BRS ではAUC 0.77,cut off 値は ステージⅤ(感度0.89, 特異度0.50)であった. 【考察】本研究で抽出された下肢麻痺レベルおよび座位能力は,歩行自立への関連因子として先行研究でも報告されており,同様の結果であったが,認知FIMと歩行自立との関連に関する報告は見当たらず,新しい知見と考えられた.今後,臨床応用を目的に認知FIM の詳細項目と歩行自立との関連を,さらに対象者を増やし検討を行いたい.

  • 岸 秀子
    2021 年 24 巻 2 号 p. 111-116
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/24
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    【目的】経管栄養患者が下痢を起こさない経管栄養法の探求のため,先行研究を概観し,これまでの知見から残される課題を明らかにする.【方法】国内文献から,「経管栄養」・「排便」をキーワードとして医中誌Web版で検索可能な1985年から2017年までの看護に関する60文献を分析対象とした.【結果】研究件数の推移:今回の検索では1991年が初見,2002年から年間2–6件が報告され,2007年の8件をピークにその後は年間1–7件が報告されている.研究方法:事例研究が31件で,量的研究が29件であった.研究内容:「栄養剤」に関する研究が最も多く,注入する栄養剤は室温程度が適切である,半固形物の注入で下痢が改善する,グアーガム分解物配合の栄養剤は短鎖脂肪酸の産生により悪玉菌の繁殖が抑制され腸内環境が改善されることで下痢と便秘の改善に有用である等が報告されている.「注入方法」に関する研究では,注入速度が400–800 ml/30分でも消化器症状やバイタルサインへの影響がない,栄養剤注入前の水投与で胃内停留排出時間短縮・胃内容量減少・胃内圧低下に効果がある等が報告されている.「とろみ剤」に関する研究では,とろみ剤の中でも寒天が有効であり少量で凝固力が高く,胃内でも固形化を維持でき,腸内では容易に崩壊するという特性に優れていること等が報告されている.「食品」に関する研究では,食物繊維の大腸運動促進作用や,レモン汁に蛋白凝固作用があること等が報告されている.その他,固形化栄養法の導入に関するマニュアル作成,注入使用物品の細菌汚染に注目した適切な器具洗浄方法の検討等であった.【結論】過去30年に渡る継続的な研究において,経管栄養患者の排便コントロールに効果的な栄養剤や注入方法は示唆されているが,画一的な方法はない.経管栄養患者の排便の問題について患者の個別的な要因をアセスメントし何が原因となっているのか,今後さらに調査が必要であると考える.

  • 上田 政克, 横関 仁志, 星山 秀泰, 藤原 真希, 高島 靖, 川西 博晃, 奥村 和弘
    原稿種別: 天理よろづ相談所 学術発表会 2020
    2021 年 24 巻 2 号 p. 117
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/24
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    排尿障害のうち,夜間頻尿は男女ともに最も多くの人が訴える症状である.夜間頻尿とは夜間に排尿のために少なくとも1 回以上起きなければならないという状態を指し,かつそれを煩わしいと感じている状態である.日本における40 歳以上の人を対象とした疫学調査にて,夜間排尿回数1 回以上が69.2%,3 回以上が13.5% と報告されており,高齢になるにつれその割合は上昇する.夜間頻尿の病因としてこれまで夜間の膀胱の畜尿障害,夜間多尿,および睡眠障害が挙げられており,これらが複合的に影響しているケースも多い.原因毎の治療法はある程度確立されており,夜間頻尿診療ガイドライン(日本排尿機能学会編)において診療アルゴリズムが公開されている.今回,これらの治療について概説する.しかしながら,ガイドラインに沿った治療を行った場合においても難治性の症例は一定の割合でみられ,まだ未解明の夜間頻尿の病態,病因があることが示唆される. その一端を解明するためのアプローチとして,近年,概日リズムに着目した基礎研究が進められており,新たな知見が得られてきている.視交叉上核にある中枢時計が末梢の各臓器に存在する末梢時計を調律することで体全体の概日リズムが形成されている.尿の産生量が夜間に低下することや畜尿量が夜間に増大することが知られていたが,これらは腎臓および膀胱の概日時計による調整機能が働いていることによるものであることが明らかとなってきた.すなわち,高齢者では概日リズムの破綻により本来尿の産生が低下し,畜尿量が増大すべき夜間に尿産生量が低下せず,畜尿量が増大しないため,夜間頻尿が増悪する原因となっている可能性が考えられている.これらのことから腎臓で尿産生に関与し日内変動する分子をターゲットとする新たな創薬が期待される.一方,膀胱ではギャップジャンクションの構成タンパクの1 つであるコネキシン43 が日内変動し,時計遺伝子の制御下にあることが近年報告され,ギャップジャンクションの阻害薬が新規の治療薬となりうる. また,概日時計と夜間頻尿の関連を一元的に考えると,末梢臓器をコントロールする中枢時計のリズムが崩れるとその結果として夜間頻尿という症状がみられるという考え方も可能である.疫学的に夜間頻尿は高血圧,心疾患,糖尿病,脳血管障害,うつ病といった全身疾患が危険因子とされており,これらの因子は概日リズムとの関連が明らかになってきている.概日リズムを通した視点により個別にとらえられていた病態を根本的に突き止められる可能性があり,今後さらに研究が進むことが望まれる.

  • 橋本 和典
    2021 年 24 巻 2 号 p. 118-122
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/24
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    高齢者における睡眠障害の影響として,心血管系リスクの上昇,高血圧の発症,耐糖能の低下,抑うつ症状の惹起に関連するとの報告があるが,認知機能低下や認知症発症への影響はどうだろうか.Tsapanouらの報告では睡眠不足と認知症発症との関連が示されており,その機序として,睡眠障害により脳脊髄液中のアミロイドβ(Aβ)のクリアランスが低下することによりAβの増加や沈着が生じ,アルツハイマー型認知症のリスクが高まると考えられている. また,ベンゾジアゼピン系薬剤が認知機能に与える影響についての研究も多数報告されている.Billioti de Gageらのベンゾジアゼピン系薬剤の服用と認知症リスクの関連についての10報の研究をレビューした報告では,ベンゾジアゼピン系薬剤の服用により認知症のリスクが1.5–2倍程度高まるという結果であった.しかし,Grayらの報告では,ベンゾジアゼピン系薬剤の使用量が低用量,中等量の時は認知症発現リスクの上昇が見られたが,高用量では上昇しないことが示された.また,Imfeldらの報告では,ベンゾジアゼピン系薬剤が認知症発症の前駆期使用されたとき,そのリスクが上昇する傾向が示され,認知症発症の前駆期に出現する睡眠障害に対して,睡眠薬を使用していることが,認知症発症に睡眠薬が関連しているように捉えられる可能性が考えられた.この様にベンゾジアゼピン系薬剤の使用による認知症リスクの上昇については明確な結論は出ていない. 睡眠障害の治療にはベンゾジアゼピン系,非ベンゾジアゼピン系睡眠薬,メラトニン受容体作動薬,オレキシン受容体拮抗薬などの薬物治療と睡眠習慣の見直しなどの非薬物的なアプローチがある.睡眠障害と認知症の関連を考慮すると、それぞれをバランスよく組み合わせた不眠治療が必要である.

  • 長谷部 孝毅
    原稿種別: 天理よろづ相談所 学術発表会 2020
    2021 年 24 巻 2 号 p. 123
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2021/12/24
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    近年,医療現場では,主に画像認識などの分野で人工知能の活用が広がっている.音声や顔面運動を人工知能によって評価することができれば,検者によらず,誰が評価しても同じ評価が可能となる.音声障害や顔面神経麻痺に対して,重症度評価,治療法選択や治療効果判定のために正確な評価は大変重要であり,音声そのものや顔面の動き自体を評価するために様々な方法が提唱されている.それぞれに利点,欠点が存在するが,広く診察室で臨床的に使用されている方法として,音声では嗄声の聴覚心理学的評価(GRBAS 尺度),顔面運動評価では40 点評価法( 柳原法) が挙げられる.いずれも簡便かつ手軽に使えるため,何十年にも渡って耳鼻咽喉科での評価方法の主流として扱われている が,欠点も存在する.まず,評価方法自体が専門医による評価を想定しており,ある程度正確な評価を行うためにはトレーニングを要し,患者やその家族はもちろん,非専門医で判断することが困難という欠点がある.また,あくまで主観的評価のため,専門医の間でも評価点数にばらつきが生じることが知られており,指標として目安とはなるものの細かい評価には不向きである.  主観的評価法を客観的に評価する方法が今までにもいろいろと発表されているが,問題となるのが臨床現場への応用であり,今のところ広く使われている方法はない.例えば,音声を機械学習で正確に評価できるといっても,一般に,ディープラーニングは利用するためには専用のソフトウェアが必要で手軽に使えるとは言い難く,また,レーザーで精密に顔の3 次元構造を把握する装置を作ったとしても,そういった装置が広く一般に普及するにはコストや設置場所の面で難がある.  そこで,今回我々は,音声および顔面運動を評価するiPhone アプリを開発した.iPhone は機械学習に特化したニューラルエンジンを搭載しており,機械学習で得られた成果をiPhone に移植することが可能となっている.当院にて収集した1000 件を超える音声障害患者を含む音声データに対してディープラーニングによる学習を行い,GRBAS 評価を行うモデルを作成した.検証にて十分な正答率が得られたためiPhoneアプリへ組み込み,リアルタイム解析を行えるようにした.また,電子決済などにも用いられる顔認証システムを応用し,顔面の動きをリアルタイムに評価可能なアプリを開発した.いずれも,従来の主観性を排し客観的評価が可能となったばかりでなく,使用は簡便であるため,外来の臨床現場でも手軽に用いることが可能であった.また,デバイスは比較的普及しているので,例えば,患者自身もアプリをダウンロードして評価が可能となるため,さらに頻回な評価や早期発見,自宅でのリハビリテーションでの活用も期待でき,今後の耳鼻咽喉科診療の形が変わっていく可能性を秘めている.
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