セラミック膜(CM膜)の利用を目的として,高分子-低分子混合溶液からの低分子分離,本報では
デンプン糖
化液からグルコース分離に応用することを試みた。CM膜はそのままでは酵素の排除率の低いことがわかった。そのためCM膜上にジルコニウムのダイナミック膜(DM膜)を形成させることにした。酵素排除率,透過流束との兼ね合いから,0.05mol/dm
3ZrOCl
2水溶液を用いてCM膜上に形成させたDM膜が,線速度0.27m/s,ゲージ圧1kg/cm
2以上で排除率が0.95以上になり最適と判断した。この条件で90g/dm
3トウモロコシデンプン3dm
3に1gグルコアミラーゼを加えて,55℃で加水分解させ,グルコース分離を行なった。デンプンの連続糖化,グルコースの連続分離を期待して,分離されたグルコースに見合うだけデンプンを水分とともに糖化槽に加え,糖化液量を一定に保持した。その結果,つぎのことがわかった。(i)反応初期(15時間)を過ぎると15~40時間の間,透過してくるグルコース濃度はほぼ一定になる。(ii)この間,酵素が少しずつ活性を失う。(iii)酵素の排除率はつねに0.90以上である。以上から,酵素を固定化せず,デンプン連続糖化,グルコース分離を行なうためにジルコニウム-DM膜が応用できることを明らかにした。
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