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クエリ検索: "プロテオーム"
6,245件中 1-20の結果を表示しています
  • 石井 克典, 鈴木-吉橋 幸子, 千原 國宏, 粟津 邦男
    レーザー研究
    2004年 32 巻 1 号 43-47
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/03/17
    ジャーナル フリー
    Phosphorylation and dephosphorylation that are most remarkable posttranslational modifications are important to the activation and deactivation of protein in living system. In the first approach, we showed first that it is possible to distinguish a phosphate group in a peptide using Fourier Transform Infrared Spectrometer (FT-IR). In this study, we used Free Electron Laser (FEL) at the wavelength of 9.4 μm corresponding to the peak of infrared absorption spectra derived from a phosphate group in phosphorylated peptides to explore the irradiation effect of FEL on the phosphorylation of a peptide (experimental condition). This study demonstrated that the FEL irradiation had effects of some kind on the organization of infrared absorption of a phosphate group. The promotion of the phosphorylation by FEL irradiation is supposed via the excitation of both protein and phosphate reactant.
  • 山内 芳雄, 新川 高志, 田岡 万悟, 礒辺 俊明
    ファルマシア
    2001年 37 巻 11 号 999-1003
    発行日: 2001/11/01
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
  • 野村 文夫
    日本内科学会雑誌
    2008年 97 巻 8 号 1888-1894
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    ポストゲノム時代となり,発現しているすべての蛋白質を網羅的に解析する
    プロテオーム
    解析の臨床応用がはじまっている.本稿ではまず,
    プロテオーム
    の定義,血清
    プロテオーム
    の特徴,
    プロテオーム
    解析の代表的な手法について述べた.その解析には質量分析法と二次元電気泳動法を有効に組み合わせることが不可欠である.筆者らは血清,血漿,尿,脳脊髄液などの体液や腫瘍組織などを対象とした包括的
    プロテオーム
    解析による新しい疾患マーカーの探索に取り組んでいる.これまでに得られた知見のうち,消化器・肝胆膵疾患に関連するものとして,1)習慣飲酒により減少する血清マーカーでγ-GTPのノンリスポンダーの検出にも役立つと期待されるペプチド,2)膵癌切除術前後の血清の比較
    プロテオーム
    解析により見出され,その予後に関連すると考えられるアポC1,3)食道がん切除組織の癌部・非癌部の蛍光標識二次元ディファレンス電気泳動法解析結果,について述べた.
  • 吉田 豊
    日本
    プロテオーム
    学会誌

    2017年 2 巻 1 号 27-35
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    腎疾患のバイオマーカーと治療ターゲット分子の発見を目的として,質量分析計を用いたタンパク質解析が熱く語られ始めた頃からおよそ15年にわたり主に腎糸球体の

    プロテオーム
    解析に関わってきた.この間研究することの喜びとともに多くの挫折も味わってきた.本論では,我々のこれまでの研究成果について概説するが,その前にこれまで糸球体
    プロテオーム
    解析に携わってきた経験から,プロテオミクスについていくつか意見あるいは感想を述べる.最初に
    プロテオーム
    解析の限界と課題について私見を紹介する.
    プロテオーム
    解析の課題として依然として解決されていない同定のあいまいさと,対象としての
    プロテオーム
    の絶望的な複雑さが中心的な話題になる.つづいて
    プロテオーム
    解析の目的について述べ,これに関連することとして,これまで
    プロテオーム
    研究が歩んできた道と現在の状況について整理することを試みる.次に我々の糸球体
    プロテオーム
    の研究の歴史と,最新の結果も交えて,これまで得られたささやかな成果について概説する.研究の当初抱いていた夢とは少しばかりずれてしまったが,質量分析を楽しんだことは間違いない.最後に,
    プロテオーム
    研究の今後の展望について私見を述べる.

  • 進藤 直哉, 王子田 彰夫
    ファルマシア
    2019年 55 巻 10 号 963_4
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/01
    ジャーナル フリー
    SILACは,細胞タンパク質を安定同位体標識することで,それらを質量分析計によって比較定量する
    プロテオーム
    解析法である.SILACでは,13Cまたは15Nなどの安定同位体を含むアミノ酸(リジン,アルギニンなど)に置き換えた培地中で細胞を培養し,代謝的に同位体標識された細胞
    プロテオーム
    (Heavyサンプル)を調整する.このHeavyサンプルと同位体標識されていないLightサンプルを混合し,酵素消化後に質量分析計で解析することで,両サンプル間での複数タンパク質の同時比較定量が可能となる.低分子標識された細胞タンパク質の同定を行うケミカル
    プロテオーム
    解析において,頻繁に用いられる.
  • 戸田 年総
    日本老年医学会雑誌
    2002年 39 巻 1 号 8-13
    発行日: 2002年
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    プロテオーム
    とは, 特定の細胞が特定の状態にあるときに発現している全蛋白質の集合を意味し,
    プロテオーム
    科学とは, これらを解析し, 生物学的, 医学的知見を得る研究手法のことである. 近年, 高齢者の孤発的神経変性疾患が蛋白質のコンフォメーション病としての側面を持つことが次第に明らかになり, これを解析するには, ゲノム情報だけでは不十分であることもわかってきた.
    プロテオーム
    科学は, このような翻訳後修飾の過程が関わる様々な疾患の解析に有効な手法であり, 今後, 老化の基礎研究や老年病の臨床研究において広く利用されるようになるものと期待される.
  • *吉田 豊, 行田 正晃, 山本 格
    日本
    プロテオーム
    学会大会要旨集

    2009年 2009 巻 S5-3
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/09/14
    会議録・要旨集 フリー
    我々は現在、国際ヒト
    プロテオーム
    機構(HUPO)の公認プロジェクトの一つである、Human Kidney and Urine Proteome Project (HKUPP, http://hkupp.kir.jp/)に参加して共同研究を実施している。HKUPPは米国、欧州、アジアにまたがる150人以上の研究者からなる国際共同研究プロジェクトであり、尿
    プロテオーム
    解析の標準化を最初の目的として、国際シンポジウム(2回)と国際ワークショップ(3回)における討議を重ね、尿
    プロテオーム
    解析標準化のためのガイドラインを発表する段階に達している。尿は非侵襲的に入手できる試料であり、疾患関連タンパク質・バイオマーカーの発見、治療ターゲット分子の探索のために有用であるとみなされている。しかし、人種差、性差、年齢差、個体差をはじめ、採尿時期、採尿方法、保存法、尿タンパク質調製法など、
    プロテオーム
    解析に影響する多くの因子があり、多くの研究室で得られている尿
    プロテオーム
    解析のデータの共有という観点からも、標準化の必要性は極めて高い。本シンポジウムでは、HKUPPでの情報交換と収集、討論を通じて策定が試みられている標準化に向けたガイドライン(案)を紹介するとともに、我々が現在すすめている尿試料のバンキングについても紹介する。
  • *森澤 拓, 廣田 三佳子, 中村 愛, 戸田 年総
    日本
    プロテオーム
    学会大会要旨集

    2007年 2007 巻 P2-1
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/29
    会議録・要旨集 フリー
     生命科学研究のためのデータベースを国際的に共有することは、ゲノム研究において非常に有用であることが実証されたが、ポストゲノム時代における
    プロテオーム
    研究においても、きわめて有用である。そのため、研究者間のデータ共有につなげるために2次元電気泳動データ、質量分析データ等の標準化の努力が行われている。ヒト
    プロテオーム
    学会(HUPO)では、Proteomics Standards Initiativeが中心となりデータ交換を目的とした標準XMLフォーマットの作成がおこなわれている。特に、質量分析結果の標準フォーマットmzXMLは、多くの質量分析機器メーカーがサポートを開始し、最近注目されている。東京都老人総合研究所では、
    プロテオーム
    実験データやプロトコルの記録、そして保存、さらにデータマイニングのために、
    プロテオーム
    用研究情報管理システム(LIMS)の開発を行っている。そこで、島津製作所AXIMA TOF2から出力されるmzXMLデータのビュワーの作成等をとおして、
    プロテオーム
    用研究情報管理システムに対するmzXMLフォーマットの適合性を検討した。mzXMLは、研究情報管理システムのデータとしては、質量分析機器に関する情報が不足しており、また内包するBase64方式のデータは変換する必要があると考察した。
  • 山川 克典, 吉田 薫, 岩本 晃明
    日本泌尿器科学会雑誌
    2001年 92 巻 2 号 293-
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2017/04/06
    ジャーナル フリー
  • *森澤 拓, 廣田 三佳子, 中村 愛, 戸田 年総
    日本
    プロテオーム
    学会大会要旨集

    2006年 2006 巻 P1-10
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/01/16
    会議録・要旨集 フリー
     
    プロテオーム
    研究では、細胞が持っているタンパク質の全体像を調べることを目的とし、タンパク質情報を有効に活用することが極めて重要である。東京都老人総合研究所では公開
    プロテオーム
    データベースTMIG-2DPAGEの開発を行うとともに、
    プロテオーム
    情報の有効活用を提案してきた。本報告は、情報交換、データマイニングなどの基盤として重要な、研究施設内で利用する実験情報管理システム(Laboratory information management system : LIMS)と、その実験情報管理システムと解析装置の間のデータ入力インターフェースクライアントを開発し、
    プロテオーム
    実験のオートメーション化を試みたので報告する。  開発した実験情報管理システムは、2次元電気泳動を用いた
    プロテオーム
    実験の解析フローに対応し、閲覧あるいは検索用画面をグラフィカルに開発した。ハードウエアは、安価なPCサーバであり、Linuxをインストールし、Apache-PHP-PostgreSQLシステムとして開発を行った。インターフェースの開発を行った解析装置は、Biorad社の2次元電気泳動画像解析ソフトウエアPDQuestである。PDQuestから出力されるXML形式のファイルを取り込み、LIMSサーバにアップロードするWindowsアプリケーションをBorland Delphi言語で開発した。2次元電気泳動画像上のスポット位置情報、電気泳動ゲルのカッティングを行ったときの消化ウェル上のウェルナンバー情報などをLIMSサーバにアップロードすることができる。今後質量分析装置のデータ入力インターフェースなどを開発することで、
    プロテオーム
    実験フローの自動化をより推進できると考えられる。
  • *戸田 年総
    日本
    プロテオーム
    学会大会要旨集

    2009年 2009 巻 EL2
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/09/14
    会議録・要旨集 フリー
     1990年代にスタートしたヒトゲノム計画は2003年に全作業が終結し、結局ヒトの遺伝子は高々2万数千であることが明らかとなったが、alternative splicingやprocessing, 翻訳後修飾などの結果、実際に細胞内で機能しているタンパク質の数は少なく見積もっても10万種以上はあるものと推定されている。折しもヒトゲノム計画の真っ只中でスタートした
    プロテオーム
    研究(特にヒト
    プロテオーム
    研究)は「ヒトゲノムの翻訳産物を網羅的にプロファイリングしよう」という考え方に基づくものであり、そのための網羅的なタンパク質分離分析手法として最初に選ばれたのが二次元電気泳動であった。その後様々な技術開発やシステムの改良がなされ、LC-MS/MS法によるショットガンプロテオミクスや、SELDI-TOF-MS法に代表されるプロテインチップを用いたプロテオミクスなど、二次元電気泳動に依らない
    プロテオーム
    解析も盛んに行われるようになったが、いまだに二次元電気泳動には他の方法にない多くの利点や特長があり、今後も
    プロテオーム
    研究のコア技術の一つとして利用され続けることは間違いない。そこで本講演では、二次元電気泳動の特長をあらためて見直しながら、『
    プロテオーム
    研究において二次元電気泳動が果たしてきた役割と今後の課題』について議論してみたい。
  • 荒木 令江
    日本
    プロテオーム
    学会誌

    2024年 9 巻 2 号 47-63
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/03/29
    ジャーナル フリー

    近年,がん幹細胞の存在が示され,がんの化学療法耐性や再発に関わる根源として注目されている.がん幹細胞とその微小環境(ニッチ)を標的にする事によって画期的な治療法の開発が大きく期待されているが,開発に必要不可欠な実験モデル細胞の取得が容易でないことや,特異的がん幹細胞マーカーのみならず,ゲノムや

    プロテオーム
    情報などが断片的であることなどから,がん幹細胞の機能分子情報は非常に乏しく,治療標的の開発は困難を極めている.我々は,独自に各種の患者がん組織細胞からがん幹細胞の樹立と分化誘導モデルの作製に成功し,これらの
    プロテオーム
    とmRNA情報を融合した発現比較解析から詳細ながん幹細胞の分子情報を得ることを試みている.本稿では,主に悪性glioma幹細胞を解析モデルにして,これらの定量的分子情報から,glioma幹細胞の維持と分化誘導のスイッチングに関わる分子ネットワークダイナミックスの全体像を把握するための方法論を紹介する.さらに,これらから抽出した興味深いがん幹細胞-がん細胞の相互誘導の鍵因子,および治療標的候補となる特異的シグナルを抽出した例を紹介し,がん幹細胞の翻訳後修飾を含むプロテオミクスが如何にがんの根治につながる標的分子群同定に有用であるかを解説する.

  • 木村 弥生, 井野 洋子
    日本
    プロテオーム
    学会誌

    2024年 9 巻 2 号 43-46
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/03/29
    ジャーナル フリー

    翻訳後修飾の一つであるタンパク質のリン酸化は,特定のアミノ酸に負電荷と親水性を付加し,立体構造や安定性,他の分子との相互作用などを変化させてタンパク質の機能に影響を及ぼす.このためタンパク質のリン酸化は,様々な細胞内プロセスにおける制御機構として重要な役割を果たしている.そこでタンパク質の機能を正確に理解するためには,リン酸化部位の同定だけでなく,リン酸化タンパク質の定性的・定量的変動の詳細を明らかにする必要がある.近年,タンパク質のリン酸化状態を解析するための様々な分析戦略が提案され,非常に多くの研究が実施されている.本稿では,電気泳動と質量分析を活用した,これらリン酸化プロテオミクスのための分析技術について,「Phos-tag」を中心に紹介する.これら分析技術は,生物学的プロセスに関与するタンパク質の機能理解に役立つと考える.

  • 小形 公亮, 石濱 泰
    日本
    プロテオーム
    学会誌

    2024年 9 巻 2 号 33-41
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/03/29
    ジャーナル フリー

    LC/MS/MSを基盤としたボトムアッププロテオミクスにおいて,ペプチドの分離・精製は分析結果に大きく影響する重要なステップである.ペプチドの分離はさまざまな要因に影響されるが,LCやMSを個別に考えるのではなく,両者を組み合わせた条件を開発する必要がある.また,LCにおける保持時間情報を最大限に活用するためには,各種条件での保持時間を高精度に予測することが求められる.さらに,近年のイオン移動度分光法の進展により,イオン移動度情報の重要性も増してきた.本稿では,我々が明らかにしてきた逆相クロマトグラフィーやtrapped ion mobility spectrometry(TIMS)におけるリン酸化ペプチドの条件特異的な分離挙動をまとめ,これらの知見が試料調製や定量解析にどのように役立つかを議論する.

  • 峯岸 ゆり子, 植田 幸嗣
    日本
    プロテオーム
    学会誌

    2024年 9 巻 1 号 21-32
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/08/27
    ジャーナル フリー

    質量分析分野は現在,次世代シークエンス技術との融合によりマルチオミクス化が進み,ペプチド検索領域が拡大した.質量分析装置自体の性能向上もあり,生データのサイズ量も増大している.そのような巨大データの検索に対応すべく,機械学習を用いた支援アルゴリズムも相乗的に進化を遂げた.また,近年がん免疫研究分野で注目を集めているHLA(Human Leukocyte Antigen,ヒト白血球抗原)複合体の構成分子であるイムノペプチドの分析において,イオンモビリティを応用した分離技術がその存在感を増しており,先に述べた質量分析技術の革新とともに,より精度の高い個別化がん免疫医療の実現のため,臨床検体を用いた解析が急速に進められている.本総説では,イムノペプチドミクスの背景と現状を概説し,なぜイオンモビリティがイムノペプチドミクスにおいて有用であるのか,微分型イオンモビリティの分析系を例に紹介する.また,サンプル調製,質量分析条件,同定後のデータ解釈などについても解説する.

  • 佐藤 久子
    日本
    プロテオーム
    学会誌

    2024年 9 巻 1 号 13-20
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/08/27
    ジャーナル フリー

    右手左手の関係のような分子不斉(キラリティ)を検出する方法として,赤外領域での円二色性分光法(VCD法)がある.本稿では,VCD法を用いた最近の我々の研究例を紹介する.特に着目したのは,ゲルや分子結晶にみられるような多数の分子が連結することによってはじめて現れる不斉構造(“超分子キラリティ”と呼ぶ)である.その解明のためのVCD法の開発を行ってきた.特に最近,従来の波数軸に時間軸と空間軸を加え,顕微機能を備えた多次元VCD法を開発した.高輝度の赤外光を発する量子カスケードレーザーを用いて空間分解能100 μmを達成した.これまで測定が困難であった高吸収物質や生体試料のその場観察などに応用している.ここではまず,固体VCD法によるアミノ酸やペプチドへの応用を述べる.次に顕微手法を用いた生体試料の例として,昆虫翅に適用した結果を紹介する.昆虫翅の場合,大きさ10–100 μmの各部位(翅膜,翅脈等)ごとに種々の高次構造(コイル,β-シート,α-ヘリックス等)のタンパク質ドメインが二次元的に分布していることを見出した.

  • 金光 祥臣, 小林 大樹, 中谷 航太, 和泉 自泰, 馬場 健史, 松本 雅記
    日本
    プロテオーム
    学会誌

    2024年 9 巻 1 号 1-11
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/08/27
    ジャーナル フリー

    がんは特有の代謝状態の可塑性と多様性を有しており,その理解には複数のオミクスデータを活用したシステム的な解釈が必要となる.メタボロミクスにおいては,がん細胞内外の量的変動を正確かつ網羅的に捉える分析技術が必要であるが,主要代謝物であるアミノ酸や有機酸などは化合物極性が高く,一般的な逆相系分析カラムを用いたLC-MS測定系では定量が困難なものが多い.そこで筆者は,アミノ基混合修飾ポリマー粒子充填カラムを用いたアミノ酸,ATP類,NAD類の同時測定系と2-ピコリルアミン誘導体化法とアダマンチルエチル基カラムを用いた有機酸測定系を駆使することで,同位体希釈法によるがん主要メタボロームの絶対定量を可能にした.3種の前立腺がん細胞株に応用し,Data Independent Acquisition(DIA)プロテオミクスデータと照合させると,細胞株特有の代謝システム変遷が見えてきた.本手法は,がんメタボロミクスの重要な分析基盤として活用が期待できる.

  • 渡辺 栄一郎, 川島 祐介
    日本
    プロテオーム
    学会誌

    2023年 8 巻 2 号 53-62
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/28
    ジャーナル フリー

    近年,急速に発展しつつある

    プロテオーム
    解析技術に着目し,糞便
    プロテオーム
    解析技術を独自に構築して,腸内細菌が消化管内溶液に含まれる宿主由来タンパク質に与える影響を検討した.細菌・ウイルス・真菌が存在しない無菌(GF: germ-free)マウスとspecific-pathogen-freeマウスの盲腸内容液を
    プロテオーム
    解析で分析した.同定できた713種類のマウス由来タンパク質の中でGFマウス盲腸以遠に多く存在し,炎症性腸疾患やprotease activated receptorを介した炎症カスケードへの関与が示唆されていた消化管酵素のトリプシンに着目した.健康なヒト便を投与したヒト菌叢模倣マウスを用いてトリプシン分解菌の同定を進めParaprevotella claraP. clara)がトリプシン分解菌であることが判明した.P. claraはType 9 secretion system(T9SS)依存的な機構でトリプシンの自己消化を誘導し,経口的に侵入する細菌やウイルスなどの病原体に対する宿主の防御機構を高めている可能性が示唆された.本研究はプロテオミクスが次世代の腸内細菌研究に欠かせいない解析技術であることを示した研究である.

  • 松井 崇
    日本
    プロテオーム
    学会誌

    2023年 8 巻 2 号 43-51
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/28
    ジャーナル フリー

    近年,水素重水素交換質量分析法やフットプリンティング質量分析法で得た相互作用分子の結合によるMS信号の変化をX線結晶構造にマッピングすることで,複合体の結晶構造解析に依らずに相互作用などを捉えることが可能となってきた.このような成功がある一方で,これらの質量分析計による手法で得た情報が構造生物学で得た立体構造と一致しない矛盾も生じている.本研究では,質量分析からの構造情報と,ヒト血清アルブミンの27個の高分解能なX線結晶構造を比較してこの矛盾が何によって起因しているかを考察し,質量分析で得られる構造情報は溶液NMRのように溶液中のアンサンブル状態を解析できる可能性を明らかにした.本研究で得られた知見は,質量分析計がさまざまな生理条件下での溶液中のタンパク質の構造状態を解明する上で有用なツールとなる可能性を示唆している.

  • 大槻 純男
    日本
    プロテオーム
    学会誌

    2023年 8 巻 2 号 35-42
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/28
    ジャーナル フリー

    標的プロテオミクスは標的とするタンパク質のみを質量分析で測定し定量をおこなう技術である.感度や定量性,スループットにおいてノンターゲットプロテオミクスより優れた性能を有する.ノンターゲットプロテオミクスで同定した候補タンパク質群をさらに高精度に定量する技術として両プロテオミクスは補完的関係である.さらに,高特異性や多分子定量の点で抗体によるタンパク質定量に対して優れた点を有するため,抗体がないタンパク質の定量に有効である.このような特徴のためバイオマーカー候補分子の検証や翻訳後修飾タンパク質の定量などに利用されている.一方で,標的プロテオミクスの実施においてはノンターゲットプロテオミクスとは異なるノウハウが必要となる.そこで,本総合論文では標的プロテオミクスの概要と実施における注意点などの技術的基礎をまとめるとともに標的プロテオミクスを応用した我々の成果について紹介する.

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