集団給食で冷凍食品を利用するには,まだまだ問題点も多い。そこで,現場での利用状況,問題点を調査し,次の結果が得られた。
1) 利用状況は,全施設のうち87.2%の施設が何らかのかたちで利用している。施設の種類別では,産業,その他,病院,福祉の順に,規模別では規模が大きくなるにしたがって利用率が高かった。
2) 利用する理由のうち,労力,価格,保存の面で有利性が示され,利用者側が冷凍食品に期待しているところは,省力化,価格安定,長期保存可能の点に集約される。
3) 問題点としては,味がまずいという点が最上位で,全施設の約半数(50.5%)が答えている。次に栄養面,内容の不安があげられた。
4) 1回の購入量は,1日分ずつが最も多く,利用施設数の68.8%が概当する。長期になるにしたがって利用率は低下してゆき,長期間在庫できるという特徴を生かしきっていないのが実状である。
5) 冷凍貯蔵設備は,冷凍庫を備えている施設は30.5%にすぎない。冷凍食品の保存には,衛生面,品質保持のため是非とも冷凍庫が必要だが,冷凍庫つき冷蔵庫を含めても約半数の施設しか備えていないということは,利用上の問題点である。
6)購入先は,集団給食でありながら,小売店やスーパーマーケットの小販売店から,26.9%の施設が購入しており,販売網の発展が望まれる。
7) 利用されている食品数は,素材食品69種調理食品107種あった。
8) 今後,問題点が解決されていけば,現在利用していない施設でも,79.3%の施設が取り入れる意志を表している。したがって将来の利用率はさらに高まるであろう。しかし,家庭用と異なるところは,調理,調味の技術を生かせる余地の残っている素材食品に期待するところが大きい点である。
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