Journal of Computer Aided Chemistry
Online ISSN : 1345-8647
ISSN-L : 1345-8647
4 巻
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • -主題と著者所属機関の計量分析-
    小野寺 夏生
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 化学情報学
    2003 年 4 巻 p. 1-17
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/02/28
    ジャーナル フリー
    日本における情報化学研究の傾向と特徴を明らかにするために、情報化学討論会における発表記事の主題と著者所属機関を計量情報学的に分析した。25回中11回の討論会に発表された539記事にキーワードを付与し、その主題カテゴリー別の出現率の推移を調べるとともに、Journal of Chemical Information and Computer Sciences 掲載記事(全記事及びその中の日本人著者による記事)における出現率と比較した。初期の頃主流であった化学情報学に代わって量子化学計算や分子モデリングの発展が著しいこと、その中でも蛋白質や無機化合物への応用が目立つこと、日本では特に化学反応への関心が高いこと等が明らかになった。次に、第25回までの全討論会の1259記事における著者所属機関のデータを分析した。全期間にわたって大学等が60%前後の寄与を維持している。企業の寄与は1990年頃をピークに減少し、代わりに国の研究所等の寄与が増えている。共同研究も大学を核としたものが多い。共著機関数の分布は、全期間を通して驚くほど安定しており、シフト型負の二項分布によく適合する。主な発表機関の主題カテゴリーデータによる主成分分析から、主要な研究テーマ軸を解釈し、これらの機関を研究テーマの特徴からグループ化した。
  • 荒川 正幹, 長谷川 清, 松岡 成郎, 船津 公人
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: ケモメトリックス及びそのソフトウエア
    2003 年 4 巻 p. 18-26
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/04/08
    ジャーナル フリー
    著者らは、分子表面上の静電ポテンシャルを用いた3D-QSAR手法を提案した[ K. Hasegawa, S. Matsuoka., M. Arakawa, K. Funatsu., Comput. Chem., 26, 583-589 (2002). ]。本論文では、この手法を拡張し、静電ポテンシャルと疎水ポテンシャルを同時に用いた解析手法を提案する。分子表面上にサンプリングされた点の3次元座標が、Kohonen neural network (KNN)の2次元マップへと写像される。各ニューロンには、その点における静電ポテンシャル ( MEP : Molecular Electrostatic Potential ) および疎水ポテンシャル ( MLP : Molecular Lipophilic Potential ) の値が割り当てられる。次に、すべてのサンプルの静電マップ、疎水マップが集められ、4次元の配列が作られる。そして、その4次元配列と生物学的活性値との間で4-way Partial Least Squares (PLS) 法によってモデリングが行われる。本手法の検証のため、エストロゲン拮抗剤の解析を行った結果、統計的に有意なPLSモデルが得られた。また、4-way PLSモデルの回帰係数を分子表面上に逆射影し、検証を行った。その結果は、X線結晶解析により得られた活性部位の情報と矛盾のないものであった。
  • 高木 達也, 岡本 晃典, 横川 由美子, 横田 雅彦, 黒川 顕, 安永 照雄
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: ケモメトリックス及びそのソフトウエア
    2003 年 4 巻 p. 27-34
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/06/04
    ジャーナル フリー
    統計学を専門としない実験生物学者が適切な統計手法を選択することは、さほど容易ではない。とりわけ多重比較法が問題になるケースでは、多種多様な手法が提案されていることもあり、困難を極めることも少なくない。そのため、より汎用的で検出力に優れる多重比較法の開発は、長らく望まれてきた。今回我々は、標本再抽出法を利用し、公称の有意水準を維持するように実質の有意水準を調節する、エンドユーザーが複雑な選択を必要としなくても統一的に利用が可能な、汎用性の高い多重比較検定アルゴリズムを開発した。この手法を用いれば、エンドユーザーは、Dunnett法のような従来の多様の手法に惑わされることなく、容易に多重比較を行うことができるようになる。計算機シミュレーション及び疫学データへの応用により、今回のアルゴリズムの検出力を従来の幾つかの多重比較法と比較したところ、満足すべき結果を得た。
  • 松岡 誠, 仙石 康雄, 栗田 典之
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 理論化学
    2003 年 4 巻 p. 35-41
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/07/15
    ジャーナル フリー
    転写抑制タンパク質ラクトースリプレッサーのDNA結合ドメインである認識へリックスとDNAの複合体の電子状態を半経験的分子軌道法により解析した。さらに、認識へリックス中で重要なアミノ酸が、DNAとの結合にどのような役割をするかを明らかにするために、認識へリックス部のアミノ酸置換を行い、認識へリックス部とDNAの結合状態の変化を解析した。その結果、認識へリックス部とDNA間に存在する結晶水が重要な役割を果たすことが明らかになった。
  • 夏目 貴行, 仙石 康雄, 栗田 典之
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 理論化学
    2003 年 4 巻 p. 42-51
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/23
    ジャーナル フリー
    DNA二重鎖の電子状態が塩基対のミスマッチによりどのように変化するかを、半経験的分子軌道計算により解析し、ミスマッチによりDNA中の電荷移動量が変化する実験原因の解明を試みた。具体的には、15塩基対から成るDNA二重鎖に塩基ミスマッチが存在した場合に、電荷移動に関係するフロンティア分子軌道のエネルギーレベルと空間分布がどのような影響を受けるかを解析した。
  • 大野 英俊, 吉村 和明, 堀 憲次
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 理論化学
    2003 年 4 巻 p. 52-59
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/05
    ジャーナル フリー
    光学活性ビスオキサゾリンとアルキル亜鉛より調製した不斉触媒を用いて、N-置換マレイミドを重合すると、光学活性ポリマーが生成することが知られている。本研究では密度汎関数法(DFT)計算を行い、この不斉アニオン重合の開始反応機構の検討を行った。その結果、Zn原子は空の配位座を持たないため、マレイミドは不斉触媒に配位することなく反応は進行することが明らかとなった。この時、アルキルアニオンはSN2類似の機構でマレイミド二重結合へ移動するが、この機構は以前に検討した類似反応の機構、あるいはメタロセン触媒の関与する触媒反応の機構とは根本的に異なる。不斉配位子上の置換基及びマレイミドのN-置換基は遷移状態の構造を大きく変化させず、また活性化エネルギーにも大きな影響を与えないと計算された。したがって、開始反応において不斉は誘起されないと考えられる。開始反応後、マレイミドカルボアニオンはアルキルアニオンが移動した不斉触媒とエノラート酸素で配位した錯体を形成し、これを反応物として成長反応は進行していくことが判明した。
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