著者らは、分子表面上の静電ポテンシャルを用いた3D-QSAR手法を提案した[ K. Hasegawa, S. Matsuoka., M. Arakawa, K. Funatsu., Comput. Chem., 26, 583-589 (2002). ]。本論文では、この手法を拡張し、静電ポテンシャルと疎水ポテンシャルを同時に用いた解析手法を提案する。分子表面上にサンプリングされた点の3次元座標が、Kohonen neural network (KNN)の2次元マップへと写像される。各ニューロンには、その点における静電ポテンシャル ( MEP : Molecular Electrostatic Potential ) および疎水ポテンシャル ( MLP : Molecular Lipophilic Potential ) の値が割り当てられる。次に、すべてのサンプルの静電マップ、疎水マップが集められ、4次元の配列が作られる。そして、その4次元配列と生物学的活性値との間で4-way Partial Least Squares (PLS) 法によってモデリングが行われる。本手法の検証のため、エストロゲン拮抗剤の解析を行った結果、統計的に有意なPLSモデルが得られた。また、4-way PLSモデルの回帰係数を分子表面上に逆射影し、検証を行った。その結果は、X線結晶解析により得られた活性部位の情報と矛盾のないものであった。
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