日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌
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42 巻, 3 号
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  • 玉城 政信, 小尾 岳士, 真栄城 玄介, 波平 知之, Smerjai BUREENOK
    原稿種別: 本文
    2006 年 42 巻 3 号 p. 163-167
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    沖縄県石垣島の黒毛和種繁殖経営農家20戸(放牧8戸、舎飼い9戸、繋留3戸)を対象に、各戸の飼養形態について聞き取り調査と血液中成分の分析を行い、飼養管理方式と分娩間隔との関係について検討した。対象農家の分娩間隔日数は382.3日で、飼養形態ごとの有意な差は認められなかった。また、血清中ビタミンA、総コレステロール、総タンパク質濃度においても有意な差は認められなかった。分娩間隔日数と母子分離時期との間には放牧区で0.437、舎飼い区0.424、繋留区0.919と中程度以上の正の相関を示したが、発情観察可能時間との間には、放牧区で-0.567、舎飼い区-0.581、繋留区-0.629と中程度以上の負の相関が示された。放牧実施農家の場合は分娩間隔日数と放牧日数との間には高い負の相関(-0.857)が示された(P<0.01)。これらのことから、石垣島における黒毛和種の分娩間隔を短縮するには、母牛の観察時間の確保と早期の母子分離が有効で、放牧方式では放牧日数の延長が有効と考えられる。
  • 平川 守彦, Licun Zhang, 平山 琢二, 松永 昌訓, 加藤 和雄
    原稿種別: 本文
    2006 年 42 巻 3 号 p. 168-173
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    放牧牛の採食および反芻時間について、動物を無拘束で計測する手法について検討した。開発した機器の概要は次の通りである。採食および反芻行動に伴う特異的な顎運動を計測・記録することで、各行動時間を判別するようにした。すなわち、呼吸ピックアップセンサーと同様な原理で、センサーの伸縮に応じて出力信号が変化するゴムセンサーを上下顎に装着し顎運動に伴う信号変化を、動物に付帯させた記憶メディアへ出力させるものである。さらに記憶メディアに記録されたパルス音を電位変化としてパソコンへ取り込みエクセル(マイクロソフト社)などの凡用計算ソフトで処理する。開発した機器を黒毛和種成雌ウシに装着し、放牧地内で計測した結果、採食および反芻にともなう特異的な顎運動が計測できた。この顎運動を解析することで、放牧牛の各行動を詳細に検討することが可能となる。開発した機器は、放牧牛の行動を24時間連続で計測する場合や夜間暗闇での計測などで有利になると考える。
  • 森田 昌孝, 堀口 健一, 萱場 猛夫, 菊地 洋一, 高橋 敏能
    原稿種別: 本文
    2006 年 42 巻 3 号 p. 174-180
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    省力、低ストレス負荷の管理技術となりうる上部可動式(上可式)繋留法の得失について検討するため除糞作業効率と快適性を中心とした行動特性についての調査を行った。実験1は黒毛和種繁殖雌牛2頭を用いて上可式繋留法区(上可式区)と慣行の繋留法区(慣行区)の2処理を設定し、それぞれで敷料の水分含量、モミ殻使用量および除糞作業時間を測定した。実験2は黒毛和種繁殖雌牛4頭を用いて上可式繋留法(上可法)で敷料が多い区および敷料が少ない区、慣行の繋留法(慣行法)で敷料が多い区および敷料が少ない区の4処理に1頭ずつ配置し、各種行動を調査すると同時に休息地点、飛翔性吸血害虫の付着数の測定を行った。実験1では、上可式区は16日程度まで連続飼養が可能であった。1日1頭あたりの除糞作業時間は上可式区が17.3分、慣行区が225.6分となり、慣行区と比べ上可式が約9割短縮された。しかし、モミ殻の使用量は上可式区で97.4l、慣行区で24.2lと上可式区で4倍必要とした。実験2では、上可法は慣行法に比較して常同行動が少なく、頸曲げ休息時間が長くなる傾向であった。横臥反芻時間は上可法で敷料を多くした処理区が最も長かった。飛翔性吸血昆虫の付着数は上可法が少なく、また、敷料の多い処理が少なかった。以上より、上部可動式繋留法は除糞作業の効率を向上させることができ、ウシに対するストレス負荷を低減する管理による快適性の向上が期待できることから新しい繋留法として有効であることが示唆された。
  • 藤井 啓, 鈴木 正嗣, 江良 聡, 小林 万里, 大泰司 紀之
    原稿種別: 本文
    2006 年 42 巻 3 号 p. 181-189
    発行日: 2006/09/25
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    携帯電話のネットワークを利用してデータを遠隔的に回収できるテレメトリーシステムを開発し、野生ゼニガタアザラシ(Phoca vitulina stejnegeri)の追跡調査を行った。GPS、乾湿センサー、水深センサー、温度センサーを内蔵したテレメトリー機器が、襟裳岬において6頭の0歳獣に装着され、最長88日間の追跡がなされた。追跡期間中、全ての個体は既知の襟裳岬の上陸場のみを利用した。乾湿センサーは精度に問題があったが、少なくとも、昼間にも夜間にも上陸していることが示された。4頭の水深記録が解析され、最深の記録は131mであった。水深1mより深い記録のうち、98%は50mより浅いものであった。沿岸の波が高いときには、波が低いときよりも、深い水深を利用する傾向がみられた。3頭では水深30m付近に記録が多かったが、残りの1頭にはその傾向はみられなかった。全ての個体において、夜間(21:00-2:30)の水深記録は、他の時間帯より有意に浅かった。
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