日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌
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49 巻, 4 号
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  • 田中 智夫, 熊木 友香子, 西田 浩司, 植竹 勝治
    原稿種別: 本文
    2013 年 49 巻 4 号 p. 147-152
    発行日: 2013/12/25
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    本研究は、離乳時における子豚の肉体的および精神的苦痛を軽減することを目的として、授乳期に異腹混合飼育することによる早期社会化の効果について検討した。隣り合う2つの分娩房にいる2腹を1反復として、分娩後2日以内にその隔柵を除去する実験区と、腹ごとに飼育する対照区を設け、各9反復(計36腹)を供試した。いずれの区も、4週齢で離乳し、5週齢時に体重と性を考慮して各腹から原則として8頭を選抜して群の再編成を行った。平均日増体重などの生産形質には両区間に有意な差は見られなかった。離乳時に初めて異腹の子豚と対面した対照区では、実験区と比較して異腹間の敵対行動が多く発現し、群再編成直後の体の傷も有意(P<0.05)に多かった。したがって、分娩直後の異腹混合飼育による早期社会化は、離乳に伴う子豚の苦痛軽減の一助となり、ひいてはブタのウェルフェアの向上につながると考えられた。
  • 深澤 充, 小松 篤司, 東山 由美, 加藤 真姫子, 阿保 洋一, 山口 直己
    原稿種別: 本文
    2013 年 49 巻 4 号 p. 153-163
    発行日: 2013/12/25
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    本研究では北東北の酪農家における暑熱による影響の実態を調査した。北東北の14の酪農家において、暑熱期(7月下旬〜8月中旬)および平温期(10月下旬〜11月下旬)に調査を行った。調査は、牛乳生産成績(1頭あたりの出荷乳量、バルク乳の乳成分および体細胞数)、暑熱感作に対する生体反応(コルチゾル濃度)および行動(24時間の摂食、反芻および休息行動時間配分)について行った。出荷乳量および乳成分は両期でほぼ同水準であった。体細胞数は暑熱期に増加する農家が多かった。尿中コルチゾル濃度は暑熱期で高い傾向を示した。行動時間配分は暑熱期には立位姿勢の時間配分が増えた。立位姿勢中、摂食および反芻への時間配分は両期でほぼ同じであり、休息時間配分のみが増加した。横臥姿勢では反芻と休息がほぼ同じ割合であった。飼育方式では、トンネル換気利用農場において尿中コルチゾル濃度の上昇が抑えられ、摂食時間が長い傾向を示した。
  • 上野 安貴, 東野 晃典, 高橋 麻耶, 近江谷 知子, 鈴木 友, 鈴木 馨
    原稿種別: 本文
    2013 年 49 巻 4 号 p. 164-170
    発行日: 2013/12/25
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    野性鳥類による食物や人工物への被害を防ぐ方法として、防鳥資材の活用がある。色は防鳥効果を持つ視覚的なシグナルとして知られるが、実際にどの色が回避されやすいのかを多種について調査した例は日本にない。本飼育実験では、日本国内に生息するスズメ(Passer montanus)、キジバト(Streptopelia orientalis)、コジュケイ(Bambusicola thoracica)、ツグミ(Turdus naumanni)、ヒヨドリ(Hypsipetes amaurotis)、ハッカチョウ(Acridotheres cristatellus)、オナガ(Cyanopica cyana)、トビ(Milvus migrans)の計8種について各色の選好性を調査したところ、一貫性のある所見を得た。色の選択肢は赤、黄、緑、青の4色とし、これらの色の蓋によって覆われた4つの餌入れを同時に提示し選択させることで実験を行った。実験開始時の最初の選択において、黄および青を選択した個体はなかった。また、黄は全個体において回避される傾向にあり、青も多くの個体において回避された。一方で、多くの個体が赤と緑に対し選好傾向を示した。この結果、黄・緑間では選好性に有意差が見られた。本結果は、黄は防鳥効果が高く青も比較的鳥害予防に活用しやすいと考えられるが、赤と緑は防鳥効果があまり高くない可能性を示唆している。防鳥効果の高い色をより効果的に且つ長期に亘って活用するためには、これを単独で用いるだけでなく、化学忌避剤や威嚇による追い払いといった他の忌避刺激と組み合わせる研究が有効であると考えられる。
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