日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌
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48 巻, 2 号
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  • 豊田 英人, 江口 祐輔, 古谷 益朗, 植竹 勝治, 田中 智夫
    原稿種別: 本文
    2012 年 48 巻 2 号 p. 57-65
    発行日: 2012/06/25
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    本研究では、ハクビシン被害の対策を実施する上での基礎的知見として、捕獲ハクビシンを用いて、体型と繁殖状態について調査を実施し、それらに性差や季節性、地域差があるか否かについて検証した。調査は、埼玉県で捕獲された168頭(雄:74頭、雌:94頭)の成獣ハクビシンを対象として、体の各部位の計測値と、繁殖季節、受胎数、経産率を求めた。体サイズの測定では、冬期に捕獲した個体の体重、胸囲、腰囲が他の季節に捕獲した個体に比べ増加することが示された。繁殖季節は少なくとも1-9月と推定されたが、10-12月に関しては捕獲個体数自体が少なく、ハクビシンがこの時期に繁殖可能か否かは不明であった。受胎数は2.9±0.9で、経産率は57.4%であった。また、体型や受胎数、経産率に都市部と農村部で地域差は認められなかった。本研究の結果から、移入種といわれているハクビシンが、日本の気候に順応しており、高い繁殖能力を有し、都市部のような人の生活に密接した地域でも繁殖できる状態で生息していることが示唆された。このようなハクビシンの特性が、現在、我が国で増加しているハクビシン被害の一因となっている可能性が考えられた。
  • 入交 眞巳, 高橋 あさひ, 松浦 晶央, 小宮山 園実, 南部 剛寛, 小木野 瑞奈, 山崎 淳, 甫立 孝一
    原稿種別: 本文
    2012 年 48 巻 2 号 p. 66-78
    発行日: 2012/06/25
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    青森県十和田市内の大型スーパーマーケットにおいて259名の買い物客を対象に産業動物の福祉と飼育に関する意識調査を行った。調査では、回答者のうち95%は価格が同じであれば放牧飼育の豚肉を購入すると答えたが、約1/3は放牧豚の価格が高いと通常の安価な豚肉を買うと回答した。年収が地域の平均以下の家庭では70%の人が価格を購入の際の重視する材料とみているが、特に中年層(30-40代)の2/3の買い物客は畜産物を買う際に、価格よりも畜産物(豚肉)の産地や安心安全を重視すると回答した。今回79%の回答者は産業動物の福祉の概念すら知らない結果となった。アニマルウェルフェア、あるいは動物福祉という言葉と知識を消費者も共有することで福祉を考慮した飼育法の畜産物を購入すると考えられる。本実験からもし福祉を考慮した畜産物の価格が通常のものと比較したときに同じくらいなのであれば、一般的な買い物客は産業動物の福祉を重視した畜産物を買うであろうことが予測できる結果となった。
  • 三家 詩織, 三浦 乃莉子, 武田 庄平, 宇田 司, 柾 一成
    原稿種別: 本文
    2012 年 48 巻 2 号 p. 79-87
    発行日: 2012/06/25
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
    野生下のフサオマキザル(Cebus apella)は、活動時間の約50%を能動的な食物資源の採食行動に費やしているが、飼育下では給餌スケジュールを与えられ、受動的に時間的に集中した採食を行っている。本研究では、給餌の回数を変化させ採食条件の変化が行動に及ぼす影響を検討することを目的とした。食物の種類と1日の給餌量は一定に、給餌回数が2回のコントロール条件と、3回、4回、6回の実験条件を設定し、ビデオ録画データ(6:30〜15:30)を元に1セッション10分間の個体追跡法・10秒間間隔の1-0サンプリングを用いて対象個体の行動を記録した。今回の実験から、社会行動は3回条件で増加し、4回、6回条件では減少し、一方で4回、6回条件では採食行動のレパートリーが多様化した。給餌条件の変化に応じて発現した種特異的な行動変容は、展示される野生動物のウェルフェアを考える上で有意義な情報を提供している。
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