標準岩石試料、計32個について、誘導結合プラズマ質量分析法 (ICP-MS) により、 40微量~超微量元素の分析を試みた。分析元素のうち、Li, Be, Sc, V, Cr, Co, Ni, Cu、 Zn, Rb, Sr, Y, Zr, Nb, Mo, Cs, Ba, La, Ce, Pr, Nd, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Lu, Hf, Ta, Pb, Bi, Th, Uの37元素については、検出限界より十分濃い濃度における繰り返し測定の相対標準偏差は一部の例外を除いて10%以下であった。繰り返し測定の相対標準偏差が明らかに10%を超えたのは、Ga, Ge, Wの3元素である。
Zr, Hf, ならびに重希土類については、ときに推奨値より低い分析結果が得られることがある。これは、酸による試料分解に際して一部のジルコンが溶けないで残留したためと推定され、特に花崗岩質岩や一部の堆積岩,変成岩などについては注意が必要である。 Vの分析結果がときに繰り返し測定の標準偏差が大きく、しかも推奨値よりも高い値を示すことがある。これは利用した同位体ピークに、試料分解に使用した過塩素酸などに由来する妨害ピークが重なった結果であろう。 GaならびにGeにおける繰り返し測定の標準偏差が大きく、しかも推奨値よりも高い側にずれた分析結果についても同様の妨害の影響が考えられる。
Ga, Ge, W以外の元素についての分析結果は、以上の場合を除くと、これまでに報告されている値と良い一致を示している。各分析元素について分析結果と推奨値間の回帰直線を求め、回帰係数の標準誤差と相関係数によって両者の一致の程度を表した。
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