私は鉱物学については何も知りませんし,また結晶格子欠陥については多少の仕事はしておりますが,結晶成長に関しては専門家ではこざいません。従って,この様な表題でお話しをすることは甚だ気が重いというのが正直な処でございます。また多型とか双晶とかについて,説明することになるわけで,これは私よりも遥かに専門的に研究しておられる方々が鉱物学の分野には多いのですから,いわば釈迦に説法の類いで,ますます気おくれがいたします。この機会はむしろ私自身の勉強のためと思って,皆さんのお教えを乞うつもりで,上記の表題について私の知る処と考えることを述べることにいたします。 一体,講義や講演というものは,話し手自身の独創がかなりの部分を占めていなければ,大して価値のないものですから,今回述べますことは,その点で既に失敗ではないかと危ぶむ次第であります。
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