日本らい学会雑誌
Online ISSN : 2185-1360
Print ISSN : 0386-3980
ISSN-L : 0386-3980
60 巻, 2 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 国保レセプト調査
    瀧澤 英夫, 有薗 秀夫
    1991 年 60 巻 2 号 p. 67-71
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    National sanatoria for Hansen's disease in Japan were special institutions that only treated in-patients.But a few sanatoria for Hansen's disease located in islands and rural districts should have other duty, namely service to community health because there was no other clinic office.
    New patients with Hansen's disease are very small in number and inpatients become older and older. Then the new role should be seeked to National sanatoria for Hansen's diaease in Japan.
    Amami-wakoen, National sanatoium for Hansen's disease in Amami island started skin clinic for out -patients with skin diseases in March, 1983 because there were few skin clinics in Amami district. The number of patients with skin diseases increases year by year (from 12.3 persons every day in 1983 to 36.4 in 1989).
    We surveyed receipts of Naional health insurance for the purpose of studying the main diseases in Amami main island and the behavior of the patients with skin diseases.
    The results of survey are followings; 1. The percentage of patients with skin diseases in Amami main island in August, 1987 was significantly superior. 2. The percentage of patients with mental diseases and pregnant woman in hospital and patients with gastrointestinal disorders and pregnant women in clinic were significantly large in May, 1987 in Amami main island. 3. There was a tendency that the patients with skin diseases visited to the clinic near in place. It was found that we treated only 5.1 percent persons of patients with skin diseases in August, 1987.
  • 第3報 FLA-ABSおよびレプロミンテストによる学童の年次観察と追跡調査
    阿部 正英, 小沢 利治, 皆川 文重, 吉野 勇次
    1991 年 60 巻 2 号 p. 72-84
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    沖縄県宮古群島の3地域の学童を,1978年から1984年までの毎年,らい蛍光抗体吸収法(FLA-ABSテスト)とダルメンドラ抗原によるレプロミン反応とで調べ,らいに罹るおそれの高い個人の発見とこれらの免疫学的検査の予測的意義を評価することを目的とした。1980年から1984年までに調査した小学校一年生(5ないし6歳)におけるこれらの検査の陽性率により,その力価が一定であることを確かめた。この期間中の一時的な率の上昇あるいは下降は各地域で毎年報告されたらい新患者数と関連するように思われた。FLA-ABSテストを1回あるいは2回あるいはそれ以上行った1,163名の学童のうちで,知覚麻痺を伴わない末梢神経腫脹を持つ学童での陽性率はこの症状を持たない学童でのそれより有意に高かった。この症状の持続が長いほどFLA-ABSテストの陽性率は高くなった。レプロミンテストはこの症状と有意な相関を示さなかった。FLA-ABSテストと神経症状との間の一致した持続あるいは変化は2回あるいはそれ以上調べた331名の子供達のうちの133名に観察された。残りの子供達での不一致な変化は主として神経症状の消失以前に血清陰性化することによるものであった。初回と最終回との間でのFLA-ABSおよびレプロミン反応性の変化から,初回検査でFLA-ABS陽性でレプロミン陰性であり,従ってらいに罹るおそれの高いと考えられた子供達のらい菌不顕性感染が自然に治ることが示唆された。これらの子供達の大多数には神経症状が見出されたが,らいの明白な症状を呈したものはまだ一例もない。これらの知見にもとづいて,FLA-ABSおよびレプロミンテストの予測的意義を論じ,らいの免疫学的予測には液性及び細胞性免疫反応の併用が必要であること,両者の結果の組合せは複雑となるので単純な方式では決定出来ないことを強調した。
  • チャンタラプラチューン チャリントーン, キェティアムポール キッティ
    1991 年 60 巻 2 号 p. 85-96
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    タイのらいのコントロール•プログラムについて概説した。
    1. タイの地理,人口等について略説した。
    2. タイにおける出生率,死亡率等,さらに医師や看護婦の数値等について記した。
    3. らいは,タイにおいても保健衛生上大きな問題として考えられてきており,1953年にそのコントロール•プログラムが打ち出され,東北地方のコーン•ケーン地区においてそれが試行された。その結果,WHOやUNICEFの指導の下になされた調査により,当時のらい患者数は人口1,000人当り5人で,約14万人と推定された。
    4. 1989年当時のタイにおけるらいの状況の一端は次のようなものであった。
    ○登録総数は,17,294人
    ○人口1,000人当り0.31人
    ○新患者数,1249人
    ○その他
    5. タイには,らいの施設として,2つの国立らい療養所,12のコロニー,22のらいセンターがあり,バンコク市内に2つの特別スキン•クリニックがある。1989年には,これらの施設における入園者は3,955名であった。
    6. らい対策のために,らいに関わる職員に対する諸種のトレーニングは欠かすことのできないことであり,それには次のようなものがある。
    ○らい対策の規準作り
    ○変形の防止やリハビリテーションに関するセミナー
    ○各地域のリハビリテーション•チームのトレーニング
    ○各地域の医療関係者に対する諸種のトレーニング
    7. タイにおける研究活動はラーチ•プラチャ•サマサイ研究所等を中心になされている。
    8. 多剤併用療法は1984年にWHOによってタイに導入され,現在は患者のほゞ92%がこの方法によって治療を受けている。
    9. 多剤併用療法を導入したことによって,らいのプリバレンス•レートが減少し,コントロールからはずされる患者数が増加してきている。
    10. らい患者が新しく見出された場合には,その患者を中心に色々な方法によって,らいの対策が実行に移されるような仕組みが具体化されている。
    11. 1953年に人口1,000人に対して5人の割合であった。そして,1989年に多剤併用療法が開始された時に0.9人であったものがその後0.31に減少してきている。
feedback
Top