日本らい学会雑誌
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60 巻, 3-4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 矢島 幹久, 村田 順造, 山田 宣孝, 浅野 伍朗
    1991 年 60 巻 3-4 号 p. 121-127
    発行日: 1991/12/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    らいの末梢神経障害の発生機序は病型により異なり,しばしば血管の変化を伴っているが,その発生機序と血管変化との関連性については議論のあるところである。
    ここに非特異性炎(熱傷)の皮膚病巣部を対照として、らい腫型,境界型,類結核型各型の皮内の神経周囲の血管変化を光顕的•電顕的に観察した。
    らい腫型では血管内皮細胞とその周囲のマクロファージ内に菌体を認め,内皮細胞は内腔ヘブレッブ様に突出していた。また形態計測的には他の病型に比較し血管透過性充進を示唆して胞体内に嚥飲空胞の著しい増加を認めた。
    境界型にも内皮細胞の肥大•腫大を見ると共に,血管壁には免疫複合体を示唆する沈着物を認めた。
    一方、類結核型では血管内皮細胞の肥大とそれに伴う内腔の狭窄と基底膜の肥厚•浮腫性離解がみられ,タンパク合成を示唆する粗面小胞体の増生が他の病型のものに比し優位にみられた。
    これらの各病型における血管の変化は,末梢の循環障害,血管透過性の充進さらに基底膜の肥厚を招来し新たなbarrierの構築を来し,末梢神経障害の発生進展と再生過程に影響することが考えられる。
  • Agha Masood Choudhury
    1991 年 60 巻 3-4 号 p. 128-131
    発行日: 1991/12/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    1984年から1989年の間に,ダツカ市モハカリにあるらい病院を受診した2517人の患者について解析した。男は1891人(75.1%),女は626人(24.9%)で,性比はほゞ3:1であった。年齢別にみると15才以下が185人(7.4%),15才以上は2332人(92.6%)であった。ほとんどの症例は臨床的に診断された。病型は,未分化群52例(2.1%),数結核型1326例(52.7%),BT439例(17.4%),BL110例(4.4%),らい腫型590例(23.4%)であった
  • 藤原 剛, 和泉 眞蔵, 呉 勤学
    1991 年 60 巻 3-4 号 p. 132-138
    発行日: 1991/12/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    ycobacterium lepraeのPGL Iの三糖-BSA複合体(NT-P-BSA)中に含まれる糖の量は縮合反応の際に用いる糖対BSAのモル比を大きくするにつれて増加したが,糖の回収率は抵下した。糖含量の異なる5種のNT-P-BSAを用いたELISAでの実験結果から,糖濃度を同一にすればNT-P-BSAの糖含量の違いはIgM抗体の場合でもIgG抗体の場合でも結果に影響を与えないことが明らかになった。三糖とBSAの縮合反応中にBSAの約半量が二量体に変化したが,この二量体を担体とするNT-P-BSAと単量体を担体とするNT-P-BSAの血清学的活性の間に差は認められなかった。これらの結果からNT-P-BSAはどのロットの物でもELISAにおいて活性の差を認める事無く使用できる事が明らかになった。
  • 與儀 ヤス子, 中村 一成, 川津 邦雄, 柏原 嘉子, 坂本 芳幹, 和泉 真蔵, 井上 健, 斎藤 宗雄, 日置 恭司, 野村 達次
    1991 年 60 巻 3-4 号 p. 139-145
    発行日: 1991/12/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    ヒトの重症複合型免疫不全症に類似した症状を示す有胸腺劣性突然変異SCIDマウスの両後肢足底内に,4.8x106個/足のらい菌を接種して感受性の検討を行った。免疫担当系組織が形態学的に未発達で,T細胞およびB細胞のほとんどの機能を欠如しているSCIDマウスは,きわめて早期から全身感染像が観察され,らい菌接種8ケ月目の接種足部では骨髄内も含む足全体でのらい菌増殖像がみられる優れた感受性能を示すマウスであることが分かった
  • 王 鉄生, Khalid Iqbal Butt, 前田 百美, 川津 邦雄, 和泉 眞藏
    1991 年 60 巻 3-4 号 p. 146-151
    発行日: 1991/12/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    類結核らいの鑑別診断における,川津の鍍銀法と,ABC法によるS-100蛋白質の免疫組織染色法の有用性を比較検討した。その結果,皮膚生検標本中の神経の組織学的検索において,両法の結果はほぼ同じであった。この結果からわれわれは,川津法は,類結核らいの鑑別診断のために有用であり,費用便益の面でも開発途上国での実用に適した方法であると結論した。
  • 王 鉄生, Khalid Iqbal Butt, 前田 百美, 川津 邦雄, 和泉 眞藏
    1991 年 60 巻 3-4 号 p. 152-157
    発行日: 1991/12/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    12例のBT群らいの皮膚生検を行い,連続切片を作成した。神経特異染色により標本中の神経の位置を確認し,それを指標としてFite法により抗酸菌の検索を行った。その結果,全例に抗酸菌を認めた。抗酸菌の存在部位は,立毛筋中に認めたもの2例,細胞浸潤を伴う神経東中に認めたもの11例であったが,後者のうち7例は肉芽腫中の神経に菌を認めた。
    神経中で生き残ったらい菌が,再燃の原因のひとつであることを考慮すると,今回の結果は,BT群のらいの場合,例え塗沫菌検査が陰性であっても,多菌型らいとして治療することが望ましいことを示している。
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