らいの末梢神経障害の発生機序は病型により異なり,しばしば血管の変化を伴っているが,その発生機序と血管変化との関連性については議論のあるところである。
ここに非特異性炎(熱傷)の皮膚病巣部を対照として、らい腫型,境界型,類結核型各型の皮内の神経周囲の血管変化を光顕的•電顕的に観察した。
らい腫型では血管内皮細胞とその周囲のマクロファージ内に菌体を認め,内皮細胞は内腔ヘブレッブ様に突出していた。また形態計測的には他の病型に比較し血管透過性充進を示唆して胞体内に嚥飲空胞の著しい増加を認めた。
境界型にも内皮細胞の肥大•腫大を見ると共に,血管壁には免疫複合体を示唆する沈着物を認めた。
一方、類結核型では血管内皮細胞の肥大とそれに伴う内腔の狭窄と基底膜の肥厚•浮腫性離解がみられ,タンパク合成を示唆する粗面小胞体の増生が他の病型のものに比し優位にみられた。
これらの各病型における血管の変化は,末梢の循環障害,血管透過性の充進さらに基底膜の肥厚を招来し新たなbarrierの構築を来し,末梢神経障害の発生進展と再生過程に影響することが考えられる。
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