症例は50歳の男性。HLA一致の姉より同種末梢血幹細胞移植を受けた100ヶ月後に急性リンパ性白血病を発症した。染色体検査では46, XX(ドナー型)であり,ドナー細胞由来急性リンパ性白血病(DC-ALL)と診断した。化学療法では非寛解であり,同年12月(50歳)に骨髄破壊的前処置を用いて,臍帯血移植(ドナー:女性,HLA血清型:4/6座一致)を施行した。移植後day 34のキメリズム解析で臍帯血ドナー由来血球の回復を認め,DC-ALLは寛解となった。移植後に血液透析を必要とする腎不全の悪化を呈し,day 362に急性循環不全により死亡したが,DC-ALLは寛解を維持していた。本症例は,DC-ALLに臍帯血移植が治療選択肢となることを示唆している。しかしながら,ドナー細胞由来白血病の症例では2回の移植療法による致死的な合併症をきたしやすく,特に慎重な管理が求められる。
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