望ましい“防草緑化”が成されるには,これを構成する「雑草」,「防草技術」,「緑化」の3つの要素をよく理解し,融合させることが重要であることから,まず, それぞれを簡単に解説している.“雑草”は「攪乱依存性植物」といわれるように,人間によって変形された土地に自然に生える植物である.しかし攪乱が頻繁で周期的作物畑と,土地造成という大きな攪乱の後放任されがちな都市・市街地(緑化対象地)では,生態的に異なる種類が発生し,前者では一年草が,後者では地下茎等をもつ多年草が優占する.“防草”といのは一般的な用語ではないが,雑草防除(weed control),雑草の予防(weed protection),雑草の根絶(weed eradication)という異なるコンセプトを含んでおり,これらを組み合わせ長期的に体系だった雑草対策を行うのが,雑草管理(weed management)である.また,“緑化”の“化”とは「形や状況が変わること,変えること」を意味し,したがって,緑化とは施工直後の一時的に美しい状態をさすのではなく,望ましい緑が長期間維持されることであること.そのために必要な雑草への向き合い方は,雑草が,薬剤・資材・機械で抑え込めるものではない賢い生き物だという認識であることが強調されている.
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