日本福祉教育・ボランティア学習学会研究紀要
Online ISSN : 2432-4094
Print ISSN : 2432-4086
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  • 新たな福祉教育の協同実践に向けた「志や目標」に焦点を当てて
    高木 寛之
    2023 年 40 巻 p. 5-18
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー
    本研究は、福祉教育実践における学校、社協の変化を整理し、社協はどのように学校における福 祉教育を支援していくのか、α市社協福祉教育推進会議へのインタビュー調査結果から検討した。そ して、協同実践の前提となる「志や目標」を確認し、社協が支援として実施する福祉教育の期待と課 題を考察した。    新しい福祉教育においては、福祉教育推進プラットフォームという福祉教育体制、新たな福祉教育に対応した支援、協同実践の「志や目標」となる学習者への教育内容と方法において期待と課題が導 出された。そして、「志や目標」の変化に応じた福祉教育実践の問い直しの必要性を指摘した。同時に 社協の学校における福祉教育への支援においては、従来の「ふだんのくらしのしあわせ」をキーワー ドとする福祉から、福祉の根底となる価値への接近、学習者も同時に課題の中にいるという教育福祉への拡大、社協として地域福祉の視点の重要性を明らかにした。
  • 石井 大一朗, 黒田 聡美, 小栁 真一
    2023 年 40 巻 p. 19-31
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー
    高校生が、自らの知識や技術、経験を統合化する力と自らの価値や社会の矛盾、課題に気づく力 を育んでいくことは、不確実性が増す社会のなかで自分らしく生きてゆくために不可欠である。本研 究は、こうした力を身につける機会としてボランティア活動等に着目し、より多くの高校生が機会を もつことが重要と捉え、活動経験のない高校生に焦点を当て、参加を促す際に、学校や地域のコーディ ネーションはどのように行えばよいのかを明らかにする。分析の結果、 1 人ではなく仲間とともに参 加したい「グループ動機」の重要性と、参加を促しやすい活動内容の志向として、「人との関わりを中 心に幅広く関心をもつ」「通学時などの身近な課題に関心をもつ」「自分のための居場所に関心をもつ」 「まちの活性化に関心をもつ」があること、また関心が分かれやすい活動として、高齢者などの人を対 象とした活動、祭りなどの楽しみを中心とする活動があることが示された。
  • 子どもに関わる現場スタッフへの質的調査から
    市川 享子
    2023 年 40 巻 p. 32-46
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー
     本研究では東日本大震災を事例にしてボランティアを受け止める人々や地域からみた災害ボラン ティア経験について、特にどのような困難や葛藤に直面したか、ボランティアとの関わりは地域の形 成にどのように影響を与えたか明らかにしていくことを目的とした。研究の方法として、東日本大震 災で被災した岩手県大槌町の子ども支援の関係者への質的調査を進めた。調査とその分析から被災後 の地域は孤立しているため、非対称な関係を一方的に持ち込み、ボランティアが傷つけるような行為 によって「ボランティアに対する負の感情」が生まれること、それは二次被害のような状況にもなり かねないことが明らかになった。 ボランティアとそれを受けとめる地域機関、人々による継続的な省察によって、活動をともに創り上げる「共同作業としての参加」となり、地域とボランティアの相互的な変容が生まれていることも 確認された。省察的な地域への関わりや協働的な場の形成には福祉教育・ボランティア学習における重要な核が存在していたといえるのではないか。
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