ナラティヴ・セラピーにおけるセラピスト(以下,Th)の姿勢について,事例を提示しながら「エイジェンシー」の観点から論じるとともに,エイジェンシーとブリーフサイコセラピーの関連について検討した。エイジェンシーとは,クライエント(以下,Cl)の好みを探索し理解し続けようとするThとClの間に生成されるものであり,常に更新されていくものだと考えられ,またこのエイジェンシーが生成され続けるようにClの好みを探索し理解し続けようとすることが,ナラティヴ・セラピーのThに求められる姿勢であることが示唆された。そして,エイジェンシーはブリーフサイコセラピーときわめて密接な関連があり,Thがエイジェンシーを生成し続けようとすることは,ブリーフサイコセラピーの実践においても不可欠であることが示された。
本研究では,キッズスキルを小学2年生に対してクラスワイドで用いた実践を報告し,その有用性について検討した。キッズスキルは解決志向アプローチを基にした主に児童を対象とするプログラムである。対象クラスの人数は12人であり,その全ての児童がキッズスキルにより自分の定めたスキルを身につけることができた。また,プログラム開始当初の児童各自の現状へのスケーリング値とスキルを身につけた後でのスケーリング値を比較すると,後者の方が有意に得点の上昇が見られた。これらから小学校でクラスワイドなキッズスキルを実施することの有用性が示唆された。
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら