本稿では,『リメディアル教育研究』の第1巻(2006年)から第16巻(2022年)までを4期に分け,各時期で投稿できる原稿種別を整理した。本会誌には,創刊時から研究成果の発信を行う「論文」と教育実践の成果の発信を行う「教材解説」という2系統があった。当初,本会誌の原稿募集は前者に比重があった。しかし,徐々に後者に該当する原稿種別を導入し,「実践研究論文」の追加により,本会誌は2系統の情報発信を行う種別を概ね均等に配置できた。次に,各時期の投稿原稿の掲載状況を概観した。すると,「論文」を中心とする研究成果の発信は,第2期(2008~2010年)に,「実践報告」を中心とする教育実践の成果の発信は,第3期(2011~2014年)に最も多くの原稿を掲載していた。しかし,どちらもその後,掲載数を下げていた。最後に,投稿原稿の掲載を増やすための方法として,種別の違いの周知などの検討が望まれると提言した。
本研究は,数学の学習支援におけるチュータリングのトレーニング方法とその評価指標の開発及び実践を通して,チューターのチュータリングスキルの育成を目的としたものである。最初にポリアの発見的方法の4段階モデルを参考に学習支援を行う際のチュータリングの型を考案した。次に,MSLCのチュータリングスキルについて定義した。MSLCにおける二つのトレーニングとチューターの自己評価及びチューティーのコメントから,チューターのチュータリングスキルの変化を考察した。一つ目のトレーニングは,問題解決的指導を基本としたチュータリングロールプレイとその評価である。二つ目は,チュータリングスキルを高めるための技法を学ぶチューターのプレゼンテーションによるトレーニングとその評価の実践である。チューターの自己評価から,チュータリングの型を基本としたチュータリングロールプレイや様々なスキルを磨くプレゼンテーションによるトレーニングが,チュータリングスキルの向上に繋がることが示唆された。
1年次生を対象に大学入学時点での学習動機を調査した結果を報告している。測定したデータは,市川(1995a)による学習動機の2要因モデルに従ったものである。2018年度から2021年度までに蓄積された測定データを分析し,1年次生全体の学習動機に関する基本的な傾向を把握するとともに,階層的クラスター分析を探索的に適用して学習動機に関する学生個人の特徴ならびに個人間の類似性や差異を調べた。分析結果に基づき,本資料の有用性および今後の課題について述べている。
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら