リメディアル教育研究
Online ISSN : 2423-8252
Print ISSN : 1881-0470
ISSN-L : 1881-0470
1 巻, 1 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
【第一回大会特集】
特集1 「初年次教育の実践と課題」
  • 藤田 哲也
    2006 年 1 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル フリー
    本論文では「初年次教育とは何か」ということを,リメディアル教育との共通点および相違点から論じている。初年次教育は「高校卒業までに習ったはずのこと」ではないが「大学生としては身につけておくべきこと」についての教育であり,より自主的な学びを支えるための学習スキルの習得や,望ましい学習態度の育成が教育目的となる。初年次教育を円滑に行うためには「何を教えるか」だけでなく「どう教えるか」についても議論を重ねておく必要がある。その他,授業運営や科目設置上,考慮すべき点も多々あるが,唯一の正しい選択肢があるわけではなく,各大学の諸事情に合わせて適切な判断を下すことが求められる。
  • -導入教育を目的とした「共通演習」を通して見えてきたこと-
    安永 悟
    2006 年 1 巻 1 号 p. 10-21
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル フリー
    本報告では,2005年4月から久留米大学で始めた「共通演習」を話題として提供する。「共通演習」は,教育・学習支援センターが中心となって展開している大学教育改革,特に共通教育改革の議論から提案されたものである。まず導入教育を目的とした「共通演習」導入の背景とその概要を紹介する。その後,「共通演習」実施にむけた事前準備の段階,および実施段階のなかで教育・学習支援センターが中心となって行った支援活動を紹介する。そのうえで「共通演習」の企画・準備・実践を通して明らかになった問題点や新たな知見などを,「共通演習」に参加した学生の意見感想も紹介しながら報告する。
  • 岩井 洋
    2006 年 1 巻 1 号 p. 22-28
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル フリー
    本稿では,大学の初年次教育におけるアクティブラーニングの可能性について論じる。昨今,学生の多様化と教育の大衆化を背景として,初年次教育が注目されるようになったが,とりわけ,学生のモチベーションを向上させるためのプログラム開発が求められている。そこで注目されるのが,アクティブラーニングの手法である。初年次教育にアクティブラーニングを導入することは,学生のモチベーション向上や,問題解決能力,コミュニケーション能力の向上に役立つと考えられる。
  • -国立大学法人・長崎大学の事例から-
    井手 弘人
    2006 年 1 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル フリー
    長崎大学では,大学として組織的に初年次教育の方針を定義し,その支援を推進する機関として大学教育機能開発センターに「初年次教育研究開発部門」を設置した。本稿では,まず長崎大学が国立大学から国立大学法人に移行するまでのプロセスで経てきた教育改革の文脈を基礎としつつ,その条件下で初年次教育にどのような意味をもたせたのかについて説明する。次に,「初年次教育研究開発部門」が初年次教育に対して具体的にどのような実践もしくは支援をしているかについて,その取り組み(経験)を述べる。そのうえで,組織的に初年次教育が行われる意味及びわが国における初年次教育研究が考慮すべき視点について長崎大学での事例を通して考察する。
特集2 「日本語・英語力支援教育」
  • -その実践で見られた学習動機の志向-
    馬場 眞知子, 田中 佳子
    2006 年 1 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル フリー
    大学全入時代を迎えるにあたり,大学生の学力の基礎を支える日本語力をどのように支援したらいいのか,学生に日本語力の不足をどのように自覚させその学習動機を高めることができるのかを示唆し,文章能力開発演習という日本語リメディアル教育の実践を通して,その授業成果と受講者の学習動機の志向を調査した。その結果,全体として充実志向・訓練志向・実用志向という「学習内容の重要性」が,「学習の功利性」と比べるとポイントが高いことがわかった。しかし,実用志向については,学習の功利性も高いことがわかった。
  • 篠崎 恒夫
    2006 年 1 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル フリー
    導入教育における学生の能力増進は,単に学力をつければよいかという次元では始まらない。優れた教材とそれを用いての動機付けが重要である。しかし,経営学領域においては,『やさしい…』という類書は年々冊数を増やしているが,知識の「美味しさ」を誇るだけで肝心の動機付けはおろそかになっている。本論では,プレースメントテストでクラス分けをした「通常クラス」と「国語重点クラス」において,国語力増強教材とそれと密接にからまる「気づき」(学生自身に気づかせる)手法を導入し,テストでは下位の「国語重点クラス」が総合成績では「通常クラス」と同等の成果を収めた経過を報告する。国語教材を通じて講義を反勿させ,その間の学習を「気づき」でもって自己意識化させることが,学生自身に自らの進歩を確信させるのである。いわば,学生は動機付けを待ち望んでいる存在なのである。
  • 清田 洋一
    2006 年 1 巻 1 号 p. 53-60
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル フリー
    英語のリメディアル教育を、テキスト教材を活用した授業という視点から考察する。本稿で言及する英語のリメディアル教育とは、中等学校と高等学校のレベルの基礎的な統語能力を十分に習得できていない大学生を対象としたやり直し教育を指す。対象となる大学生の学力構造の分析を行った結果、特に文章を組み立てる力が著しく低いことが判明した。その結果をふまえて、文章を組み立てる統語能力の向上に必要な基礎文法項目の習得を目指した授業と、市販のリーディング教材を使用した自立的な英語の学習者になることを目指した授業について考察を行った。さらにリメディアル教育における教師の役割や望ましいテキスト教材についても検討を行った。
  • -筑紫女学園大学英語メディア学科での事例から-
    田口 純
    2006 年 1 巻 1 号 p. 61-67
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル フリー
    「2007年問題」とともに大学で今後問題となってくる「2006年問題」といわれるゆとり教育世代の入学に伴って、大学教育におけるリメディアル教育、とくに中学・高等学校での既習教科である英語のリメディアル教育が今問題となっている。筑紫女学園大学では新しく英語メディア学科を設置し、その一つの解決策として、e-learningを活用した能動的な英語学習を平成17年度から開始し、その成果が出つつある。教室での一斉学習と個別学習としての自学習をe-learningを用いながら連関させて、個々の学習者に満足のいく学習を進めていくにはどうすればよいか、その一つの事例を発表するものである。
  • -福岡女学院大学短期大学部での実践例-
    長 加奈子
    2006 年 1 巻 1 号 p. 68-73
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル フリー
    本論文は,短期大学部で英語を専門とする学生を対象に,e-learning教材を用いて英語のリメディアル教育を行った実践報告である。今回,e-learning教材の持つゲーム性,また,英語学習をしつつコンピュータの操作ができるという点から,学生はe-learningを肯定的に捉えていることがわかった。しかし同時に,学習ストラテジーが身についていないがゆえに,学習時間を費やしているにも関わらず,学習内容が身についていない学生の存在も明らかになった。e-learning教材を用いると学生のレベルに応じた問題の出題解答・解説はコンピュータが行う。教員の役割は,従来の「教材内容を教える存在」から「学習活動についてアドバイスを行う存在」へと変化していくだろう。
特集3 「理系学力支援教育とITの活用」
【研究論文】
論文
  • 田中 佳子, 小山 義徳, 馬場 眞知子
    2006 年 1 巻 1 号 p. 96-103
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,認知心理学アプローチに基づいた授業を通して,学生の学習方法の変化に与える効果を,学習者の学習動機の高低から検討した。学習方法は学習動機と相関があることが指摘されている。そこで,本研究では,リメディアル対象となる学生がどのような学習動機の志向を持っているか,またその高低と,学生の学習スタイルに与える影響には関連があるかを検討し,当該学生が求めている学力,教師が学生に求めている学力を今後明らかにするための第一段階の研究である。本研究で用いた学習動機は,充実志向,訓練志向,実用志向,関係志向,自尊志向,報酬志向の六つの志向に分類されている。それぞれの志向を平均値により高群と低群にわけ,各志向の高低により,リメディアル学習が学習方法の変化に与える影響がどのように異なるか検討した。
研究資料
教材解説
  • 赤堀 侃司, 柳沢 昌義, 御園 真史
    2006 年 1 巻 1 号 p. 118-125
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル フリー
    本論文は,いつでもどこでも情報を共有できるメディアとしてのWebに注目し,その3つの活用事例を紹介する。1つは,授業改善の実践事例を教員間で共有する「Web授業改善データベース」であり,そのデータベースの開発と運用について述べている。2つは,授業内容について授業前後に議論するためのWeb掲示板であり,その議論内容を分析している。3つは,学生向けのWeb授業情報提供システムの試作と運用である。最後に,これらのWeb活用を含め,道具と教育の関わりについて,リメディアル教育の立場から考察している。
【会員の本】
【資料】
feedback
Top