Journal of Applied Glycoscience
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47 巻, 3-4 号
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  • 三國 克彦, 汪 瓊, 藤田 孝輝, 原 耕三, 吉田 収作, 橋本 仁
    2000 年 47 巻 3-4 号 p. 281-285
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
     ヒト腸内のBifidobacteriumを増加させる4G-β-D-galactosylsucrose(ラクトスクロース)を効率的に生産するためにArthrobactersp.K-1から産生されるβ-fructofUranosidaseをグルタルアルデヒドを用いて担体(FE4611)に固定化した.酵素の最大固定化量は約30U/g・wet担体であり,その回収率は76.6%であった.固定化することによって至適pHは広がり,至適温度は高くなった.固定化酵素のpH安定領域はNative酵素より広くなった.固定化酵素およびNative酵素とも45℃まで安定であったが,65℃以上では固定化酵素よりNative酵素の方が安定であった.パイロットプラントスケールでカラムリアクターをコンスタントコンバージョンで運転したところ,ラクトスクロースの生成率30%以上で35日間生産可能であった.この結果より,固定化酵素を用いて工業的にラクトスクロースが生産可能であることが示唆された.
  • Anastasia Padmajanti, 殿塚 隆史, 坂野 好幸
    2000 年 47 巻 3-4 号 p. 287-292
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
     細胞結合型のAspergillus nigerのイソプルラナーゼ(IPU)は糖蛋白質であり,プルランを加水分解し,イソバノースを生成する酵素である.Aspergillus oryzae M-2-3を宿主として,A. niger IPU遺伝子を発現させて得たrecombinant IPU (rec-IPU)の糖鎖含量はendoglycosidase H (Endo H)で13時間処理すると,33.8%から2.1%に減少し,糖鎖除去したIPUの活性はrec-IPUの活性の65%を保持していた.3Deg-IPU(Endo Hで3時間処理して調製された酵素標品;6.8%糖含量)の基質特異性や至適pH・温度はrec-IPUやnative IPUと変わらないが,反応速度論定数は,プルランに対するKm値を除いて,プルランに対するko,緬/Km値,とパノースに対すKm, ko, ko/Km値は糖鎖含量が減るにつれ減少した.また,レクチンプロット法によって,糖鎖の種類を検討した結果,rec-IPUの糖鎖はハイブリッド型糖鎖,もしくはハイブリッド型と高マンノース型糖鎖であると分類された.
  • キャンサーン スパンニー, 仁平 高則, 橋本 恵美子, 鈴木 雅之, 河野 敏明, 岡田 嚴太郎
    2000 年 47 巻 3-4 号 p. 293-302
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
     糸状菌Acremonium cellulolyticusの市販酵素製剤から,エンドセルラーゼの二成分を各種カラムクロマトグラフィーを組み合わせ,高純度に精製し,それぞれをセルラーゼIII-AおよびIII-Bと呼称した.精製酵素は,いずれも電気泳動的に単一なタンパク質であり,両者はβ-グルコシダーゼ活性を全く示さない標品であった.精製セルラーゼIII-AおよびIII.Bの分子量(SDS-PAGE法)および等電点は,それぞれ58kDa,4.6および49kDa,4.2であった.両酵素はいずれも14-16%の糖含量(グルコース換算)を示した.また,これら2種の精製酵素のN末端側第2一第20番目までのアミノ酸配列をエドマン分解法により決定した.セルラーゼIII-AおよびIII-Bの反応至適pHおよび温度は,それぞれ5.5,55。Cおよび5.5,65。Cであり,セルラーゼIII-AおよIII-BのpHおよび温度に対する安定領域はそれぞれpH4.2-8.0,55。C 以下およびpH3.3-7.8,60。C 以下であった.また,セルラーゼIII-AおよびIII-Bは,70。C,10分間の加熱処理後,それぞれ25および88%の残存CMC糖化活性を示した.セルラーゼIII-BによるCMCの加水分解は,セルラーゼIII-Aに比し,よりエンド水解度の高いものであった.両精製酵素を種々のセルロース性基質に作用させると,いずれの基質からも多量のセロビオースおよび少量のグルコースが最終生成糖として得られた.
  • 林 麗華, 田幸 正邦, 本郷 富士弥
    2000 年 47 巻 3-4 号 p. 303-310
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
     トゲキリンサイから`ιカラギーナンを分離・同定した.トゲキリンサイは沖縄県宮古島の内海で採取し,水洗いと塩抜きの後,通風乾燥(40℃,24時間)させ,乾燥藻体を得た.乾燥藻体を蒸留水に分散させ,煮沸によって多糖を抽出し,常法により精製すると,4.6%(対湿潤藻体)の収率で多糖を得た.本多糖の全糖量,灰分,硫酸はそれぞれ,71.4%,21.2%および23.8%であった.本多糖を加水分解およびメタノリシスの後,ペーパークロマトグラフィー,液体クロマトグラフィーおよび薄層クロマトグラフィーにより,D-ガラクトースと3,6-アンヒドロ-D-ガラクトースを同定した.また,システイン-硫酸法とレゾルシン法により,それぞれの糖の含量は39 .1%および30.5%であった.本多糖の分子量はおよそ28万と推定された.また,本多糖の赤外吸収スペクトルおよび旋光度の結果は標品のι-カラギーナンのそれらと良く一致した.さらに,13C-および1H-NMRスペクトルの結果から,D-ガラクトース-4-硫酸と3 ,6-アンヒドロ-D-ガラクトース-2-硫酸を同定した.以上の結果から,本多糖はι-カラギーナンであると同定した.
  • Pham Quy Hai, 野崎 功一, 天野 良彦, 神田 鷹久
    2000 年 47 巻 3-4 号 p. 311-318
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
     白色腐朽菌であるIrpex lacteusは,電子受容体に対して異なる特異性を示す二つのセロビオース脱水素酵素(CDHI,CDHII)を生産する.その中でも主要成分と考えられるCDHII を単一に精製し性質を調べた.CDHIIはヘムフラボタンパク質であり,SDSPAGEで97kDaの分子量であった.また,本酵素はグルコースとして7.2%の糖含量を持つ糖タンパク質であることがわかった.本酵素の基質特異性,最適温度および温度安定性,Phanerochaete chrysosporium由来のCDHに類似していたが,pH安定性は3から5までの間であり,とくにアルカリ性側での安定性は他菌のCDHに比べて低かった.また,最適基質および電子受容体であるセロビオースとチトクロムcに対するkcat/Km値は,おのおの429.4mM-1s-1と4405mM-1s-1であった.セルロースに対する等温吸着に関する研究から,本酵素の吸着はone-binding siteメカニズムに従っていることが予想された.また,本酵素の基質への吸着における親和性は,アモルファスセルロースより結晶性セルロースに対して高く,逆に吸着量は,アモルファスセルロースに対して高い結果が得られた.
  • 久野 三智子, 貝沼 圭二, 高橋 節子
    2000 年 47 巻 3-4 号 p. 319-326
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     低アミロース米の理化学的性質を知る目的で,ゲル濾過法によるアミロース含量およびアミロペクチンの鎖長分布を求めた.また,フォトペーストグラフィーによる透光度,ラピッドビスコアナライザーによる粘度および糊の物性から,米澱粉の糊化・老化特性を検討した. 1)ゲル濾過法により求めた低アミロース米のアミロース含量は4.3-9.6%であり,スノーパールが4.3%と最も低く,奥羽354号が4.4%,ミルキークイーンが7.5%,ソフト158が9.6%と日本晴の17.1%に対し,いずれも10%以下であった. 2)低アミロース米のアミロペクチンの長鎖長区分であるFr.II の値は24.0-26.3%を示し,スノーパールが大であり奥羽354号,ミルキークイーンそしてソフト158の順に大きい値であった.アミロペクチンの短鎖長区分Fr.III の値は66.4-69.8%と低アミロース米4種は大きい値を示した.物性と関連があるといわれているFr.III/Fr.II の値は低アミロース米は2.6-2.8と小さく,インディカ系の米は3.2-3.3と日本晴より大きい値であった. 3)フォトペーストグラフィーによる透光度とアミロース含量との間に負の相関が認められ,スノーパールは2段階膨潤を示さず,モチ澱粉型の高い透光度を示し,低アミロース米4種のアミロース含量と膨潤・糊化との関連を明らかに捉えることができた. 4)ラピッドビスコアナライザー(RVA)による米澱粉の粘度特性から,低アミロース米4種の最高粘度は高く,ブレークダウンが大きく,冷却50℃ における粘度が低いなど,良食味米澱粉の特徴的粘度曲線を示した.アミロース含量と最高粘度・ブレークダウンには負の相関が,冷却50℃ における粘度には正の相関が認められた. 5)米粉糊の硬さは,米澱粉の最高粘度と負の相関を示し,米粉および米澱粉の冷却50。Cの粘度およびセットバックと正の相関を示した. 6)低アミロース米の米粉糊は低温保存による硬さの変化が少なく,低温貯蔵安定性に優れていた.
  • 片宗 晃二, 水巻 愛, 可知 辰二郎, 後藤 拓志, 高野 山清, 高崎 欽也, 関塚 康夫, 羽太 章中
    2000 年 47 巻 3-4 号 p. 327-333
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     1)LGLの澱粉質ゲルに対する硬化抑制機作解明の一環として,LGLの化学構造上の特徴から推測される本物質の高疎水性を,新たに設定した「単糖類の疎水度評価法(簡易法)」により裏付けることができた. 2)簡易法は,「HPLC(分配モード)分析による単糖類のリテンションタイムが,従来の標準的方法による疎水度と対応性を有すること」に基づくものであり,その対応関係の数理解析により「簡易法による疎水度推定のための理論式」(式(7))を誘導した.次いで疎水度既知の単糖類7種類のリテンションタイム・データから理論式の係数を決定し,「簡易法による疎水度推定式」(式(9))を設定した. 3)この疎水度推定式を用いて,LGL,L-ArabinoseおよびL-Rhamnoseの疎水度(cal・mol-1)を求め,それぞれ3730,1240および2610と推定した.特にLGLはD-Deoxyribose(疎水度:2750,従来知られている単糖類の疎水度中最大のもの)の疎水度の約1.36倍の高さと推測された. 4)これらの疎水度推定値を用いて「単糖類(LGLなど9種類)を配合した白玉粉ゲル」の23。C,0,24および48時間保存によるゲルの硬化度合の試験データを解析した結果,ゲルの硬さとその経時的硬化現象は配合した単糖類の疎水度依存的に抑制される傾向にあることが判明した.また48時間保存の場合につき,単糖類の疎水度指数(Y)とゲルの硬さ指数(Z)との対応関係を示す回帰式(式(10))を求めた.
  • 濱西 知子, 八田 珠郎, Foh-Shoon Jong, 貝沼 圭二, 高橋 節子
    2000 年 47 巻 3-4 号 p. 335-341
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    生育段階および各生育段階で幹高の異なった部位から得られた澱粉の理化学的性質を,フッ化カルシウムを用いた相対結晶化度,ゲル濾過法によるアミロース含量およびアミロペクチンの鎖長分布,フォトペーストグラフィーによる透光度ならびに示差走査熱量計による熱的性質から検討し,次のような結果を得た. 1)生育年数の長い145年木の澱粉は9年木澱粉に比べて相対結晶化度が高い結果が得られた.また樹幹の部位による相対結晶化度の違いが明らかに認められ,根元部から上部にいくに従い相対結晶化度が高くなった.フッ化カルシウムを用いた相対結晶化度の測定は有用と認められた. 2)ゲル濾過法により求めたアミロース含量に相当するFr.1の値は,樹幹の根元部の澱粉が上部に比べて高い値を示し,加齢とともにその値は漸増した.また,アミロペクチンの短鎖長区分に相当するFr.IIIの値は,上部の澱粉が根元部より高い値であった. 3)フォトペーストグラフィーによる透光度から,根元部の澱粉は上部の澱粉に比べて透光度減少温度が0.3-4.6℃ 低く,より低温で膨潤が行われると考えられた.生育年数11.5年以降の澱粉では第2段階目の変曲点の認められる曲線を画き,14.5年木の澱粉および樹幹上部の澱粉は,加熱の初期から終了まで透光度の低い曲線を示した. 4)熱分析から部位による熱的性質の違いが認められ,上部澱粉は糊化開始温度が65.3-68.2℃,糊化終了温度は75.0-76.0℃ を示したのに対し,根元部の澱粉はより低温から糊化し始め,高温で糊化が終了するブロードな曲線を示した.
  • 高橋 節子, 久野 三智子, 西澤 光輝, 貝沼 圭二
    2000 年 47 巻 3-4 号 p. 343-353
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     低アミロース米の白飯の物性を明らかにする目的で,米飯の食感を評価するための新測定法について検討した.改良型テンシプレッサーを用いて,低圧縮・高圧縮と圧縮率を変化させた測定の組合せから硬さ・付着性の他に,こし・しなやかさ・もろさの3項目についての情報を得,一粒ならびに集団粒を用いて検討した.また,集団粒測定時の新しい炊飯方法についても研究した.試料は低アミロース米4種に香り米および多収米を用いた. 1)一粒を用いた低・高圧縮2バイト法による白飯の物性から,米粒の表層部および粒全体の硬さ・付着性の情報を得ることができ,アミロース含量が近似の飯の物性の違いを明らかに捉えることができた.またインディカ系の米でもそれぞれ異なる物性を示す結果が得られた. 2)白飯のこし・しなやかさ・もろさの3項目はともに試料間に差が認められ,スノーパール・奥羽354号はこし・しなやかさがあり,団子用として作出されたソフト158,酒米用の北陸153号はともにもろさの値が大きい飯であるなど,低アミロース米同士の飯の特徴を捉えることができた. 3)集団粒を用いた低・高圧縮2バイト法は,一粒を用いた場合と同様の結果が得られ,またこの新測定法は従来の集団粒6バイト法とも似た結果を示した. 4)集団粒測定時に採用した,炊いたまま測定に供することのできる新しい炊飯方法は,試料の均一化に役立ち,迅速・簡便な測定に効果的であった. 5)官能評価と機器測定による物性との関連は,SD法による硬さ・粘り・もろさと,物性測定による硬さ・付着性・しなやかさ・もろさとの間に有意の相関が認められた. 6)SD法による官能評価の白飯の食感ならびに嗜好のすべての項目は,ゲル濾過法によるFr.1,Fr.II,Fr.III およびFr.III/Fr.II と高い相関を示し,米澱粉のアミロース含量およびアミロペクチンの構造が飯の食感および嗜好に関与することが示唆された.
  • 藤井 信, 畑添 牧郎, 侯 徳興, 真田 宏夫, 大崎 繁満, 檜作 進
    2000 年 47 巻 3-4 号 p. 355-361
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
     L-アラビノースの生理的効果を明らかにするため,L-アラビノースを添加した飼料(20%スクロースを含む)でラットを30日間飼育し血清中性脂質,脂肪組織重量,盲腸および盲腸有機酸などに対する効果を検討した. 1)レアラビノースはラット小腸スクラーゼ活性を強く阻害した. 2)体重は2.5%レアラビノース区30日間飼育で有意に減少した. 3)後腹壁脂肪組織重量および副睾丸脂肪組織重量はL-アラビノース投与量依存的に有意に減少した. 4)血清中性脂質含量はレアラビノース投与量依存的に有意に減少し,血清総コレステロール含量も減少する傾向が見られた.肝臓の脂質含量も減少傾向が見られ,30日間の2.5%L-アラビノース投与で有意に減少した. 5)盲腸重量はレアラビノース投与により著しく増大し,盲腸内有機酸含量も著しく増加した.この傾向はすでに10日間の飼育でも明らかであった.おもな有機酸は酢酸,乳酸,プロピオン酸であるが,レアラビノース投与によってとくにコハク酸,乳酸,プロピオン酸とリンゴ酸の増加が著しかった. 6)以上のL-アラビノースの効果は糖質としてスクロースを含まない飼料では全く見られなかった. 以上より,スクラーゼを強く阻害するレアラビノースを砂糖20%含む飼料に添加するとラットの盲腸内発酵は著しく亢進し,とくに2.5%レアラビノース投与で血清中性脂質濃度と脂肪組織重量は有意に減少するが,砂糖を含まない飼料では効果は認められなかった.
  • 2000 年 47 巻 3-4 号 p. 363-381
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 日本応用糖質科学会
    2000 年 47 巻 3-4 号 p. 405-472
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
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