Journal of Applied Glycoscience
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48 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 吉元 寧, 花城 勲, 竹之内 忠廣, 竹田 靖史
    2001 年 48 巻 4 号 p. 307-316
    発行日: 2001/08/20
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
     7品種の普通種大麦澱粉の分子構造と糊化特性を調べ,トウモロコシ,米,小麦澱粉と比較した.大麦澱粉は真のアミロース含量が24.3-27.9%であった.糊化特性では,品種間で最高粘度やブレークダウン,アミロースの糊化度などに相違が認められた.最高粘度とアミロースの糊化度の間に正の相関が認められ,アミロースの糊化が低いほど澱粉粒の膨潤が抑制されることが示唆された.アミロペクチンはヨウ素親和力が低く(0.42-0.70g/100g),鎖長分布は互いに類似し, A鎖とB1鎖が明確に分かれた.アミロースは数平均重合度が810-1410,平均鎖数は3.6-5.2で,品種間で分子構造が異なっていた.穀類澱粉の中で,大麦澱粉は小麦澱粉とアミロース含量や分子構造,とくにアミロース分子の大きさとアミロペクチンの鎖長分布が類似していた.
  • 吉元 寧, 松田 正成, 花城 勲, 竹之内 忠廣, 竹田 靖史
    2001 年 48 巻 4 号 p. 317-324
    発行日: 2001/08/20
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
     4種の豆類澱粉(白花豆,小豆,エンドウ,金時豆)の分子構造と糊化特性を調べた.見かけのアミロース含量(27-30%)は真の含量(17.6-25.5%)より3.9-9.4%高く,これはアミロペクチンのヨウ素親和力(IA)が高いことに起因していた.結晶型はエンドウではCb型で,他はCc型であった.RVAにより調べた糊化特性では,小豆が最高粘度,ブレークダウンともに最も高く,エンドウではブレークダウンが認められなかった.アミロペクチンはIAが1.32-2.28g/100g,数平均鎖長が21-22であった.アミロペクチンのリン含量は18-820ppmと種類によって異なり,白花豆が最も多かった.鎖長分布では,いずれのアミロペクチンにも超長鎖画分が1-4%存在し,IAが高いことと一致した.穀類のアミロペクチンより,A鎖画分の割合が少なかった.重合度6-8の鎖長分布は,ジャガイモやサツマイモと類似していた.アミロースの数平均重合度は820-1350,平均鎖数は2.4-4.7であった.豆類アミロースの中では,小豆アミロースが最も分子が大きくまた平均鎖数も多いことが認められた.
  • 小川 和鋭, 荒井 昌紀, 長縄 博, 池田 洋子, 近藤 信一
    2001 年 48 巻 4 号 p. 325-330
    発行日: 2001/08/20
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
     Chlorella vulgarisK22株(クロレラ工業)藻体より,中性多糖を得て,化学構造を検討した.部分酸加水分解法で,3種の新規な二糖,6-O-(3-O-methyl-β-D-galactopyranosyl)-D-galactopyranose,6-O-β-D-galactopyranosyl-3-O-methyl-D-galactopyranoseと6-O-(3-O-methyl--D-galactopyranosyl)-3-O-methyl-D-galactopyranose,およびβ-1,3-,β-1,6-結合のガラクトニ糖あるいは三糖を得たことから,この中性多糖は新規なβ-D-ガラクタンである.さらにこの中性多糖とその部分分解多糖のメチル化分析より,主鎖にβ-1,3-結合を,側鎖にβ-1,6-結合を含むこと,分岐領域にはβ-1,6-結合の3-O-メチル-D-ガラクトース残基をもつこと,また,側鎖の長さはこのモノメチル化糖を含めて14ガラクトース残基であることが示唆された.
  • 加藤 陽治, 齋藤 幸子, 三石 安, 荒川 修, 元村 佳恵
    2001 年 48 巻 4 号 p. 331-334
    発行日: 2001/08/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
     リンゴ果実の軟化機構を明らかにするための基礎研究の-β-つとして,ヘミセルロース多糖の-β-つであるキシログルカンの詳細な構造について品種間比較を行った.弘前大学農学生命科学部附属藤崎農場産のスターキングデリシャス,ふじ,王林,国光の4品種を成熟期に採取した.各品種の可食部細胞壁多糖類を常法に従い分画した.24%KOH抽出画分中のキシログルカンに微生物由来の精製キシログルカナーゼを作用させオリゴキシログルカンを得た.得られたオリゴキシログルカンはパルスドアンペロメトリー検出器を用いたHPLCにより,また, MALDI-TOF-MSにより分析した.キシログルカンを構成している主要オリゴ糖単位として,七糖(XXXG),九糖(XXFG)および十糖(XLFG)が確認された[XXXG等はFryらによるキシログルカンオリゴ糖の表示法で,主鎖の各(1→4)-β 結合のグルコース残基の分岐様式により-β-文字コードで示される.G=β-β-D-Glc, Xニα-β-D-Xyl-β-(1→6)-β-β-β-D-Glc, Lニβ-β-D-Gal-β-(1→2)-β-α-β-D-Xyl-β-(1→6)-β-β-β-D-F=α-β-L-Fuc-β-(→2)-β-β-β-D-Gal-β-(1→2)-β-a-D-Xyl-β-(1→6)-β-D-Glc].さらに,八糖としてXXLGおよびXLXG,九糖としてXLLGの存在が確認された.これら6種のオリゴ糖単位は量比の違いはあるものの,リンゴ4品種すべてにみられた.
  • 杉本 温美, 井ノ内 直良, 不破 英次
    2001 年 48 巻 4 号 p. 335-342
    発行日: 2001/08/20
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
     温室栽培のびわ種子1試料ならびに露地栽培のびわ種子4試料より澱粉を調製し,その性質について検討したところ次のような結果が得られた.温室栽培のびわ種子澱粉は露地栽培のびわ種子澱粉よりも平均粒径(粒度分布の結果より得られた平均粒径は,温室栽培12.6μm,露地栽培9.5-10.7μm)がやや大きく,糊化温度(DSCより求めた糊化ピーク温度は温室栽培57.2℃,露地栽培62.4-64.1℃)が低く,アミロース含量(イソアミラーゼで枝切り後のゲル濾過分析より温室栽培28.6%,露地栽培22.4-26.9%)が高く,RVAによる最高粘度やブレークダウンが大きく,さらにX線回折図(温室栽培Cb図形,露地栽培C図形)が異なるなど環境温度の影響を受けて露地栽培と種々異なる性質を示した. 本研究を行うにあたり,実験にご協力いただきました武庫川女子大学卒業生北村加菜さんにお礼申し上げます.
  • 渡辺 裕文
    2001 年 48 巻 4 号 p. 343-351
    発行日: 2001/08/20
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
    There is still no significant change in the general view on cellulose digestion in animals, which is considered to be accomplished by symbiotes in the alimentary tracts. This is in spite of many experiments during the 20th century which have suggested the presence of endogenous cellulases in animals. In 1998, the first two examples of animal endogenous cellulase genes were isolated from plant cyst-nematodes and a termite. Since then, it has been conclusively shown that members of glycoside-hydrolase family (GHF) 5 are present in nematodes, GHF 9 members are present in termites, cockroaches and crayfish, and a GHF 45 member is found in beetles. The GHF 9 members from these animals form an independent Glade from other GHF 9 members. Thus it is supposed that a GHF 9 cellulase gene originated in an ancestral species among arthropods and was carried to the present species during the course of phylogenetic development. Different from fungal and bacterial cellulases, all animal cellulases, other than some of nematode origins, are composed only of a catalytic domain, which alone, is not effective in digesting the native form of cellulose so it is supposed that the animals in question developed an unique cellulose digesting system using the help of masticating organs.
  • 日本応用糖質科学会
    2001 年 48 巻 4 号 p. 377-434
    発行日: 2001/08/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
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