本論文の目的は,1)潜在ランク理論(latent rank theory, LRT)の特徴を概観したうえで,同理論に基づくコンピュータアダプティブテスト(computer adaptive test, CAT)のアルゴリズムを提案すること,2)それに基づくシミュレーションデータを集め実際に実施するCATの項目数を判断すること,3)実際にCATを実施してその結果から提案したアルゴリズムを検証し今後の課題を整理することにある.
シミュレーションにより潜在ランクの真値の再現性,LRTにおいて受験者の能力を表現するランクメンバーシッププロファイル(rank membership profile, RMP)の収束具合,終了条件に達するのに要した項目数を検証した.その結果,実際に実施するCATの項目数を判断するだけでなく,現在のアイテムバンクの弱点を確認することもできた.さらに提案したアルゴリズムを再考し,項目困難度の調整方法やRMPの収束具合のとらえ方など,今後の研究課題を明らかにした.
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