日本口腔粘膜学会雑誌
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16 巻, 1 号
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原著
  • 鏡 明展, 松坂 賢一, 國分 克寿, 井上 孝
    2010 年 16 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル フリー
    本研究は,口蓋粘膜における創傷治癒過程を,表皮内のケラチノサイトの増殖と分化,および基底膜の再生,ランゲルハンス細胞,メルケル細胞およびメラニン産生細胞の再生に焦点を当て検索した。
    ゴールデンハムスターが実験に使われ,上顎口蓋皺壁第4条部を弯刃刀にて骨膜を含み切除した。対照群および実験群の動物は,術後7,14,21日目に屠殺した。上顎骨を切除し,10%ホルマリンにて固定した。
    パラフィン切片が切られ,免疫組織化学染色を施した。免疫組織化学染色のために,一次抗体として,増殖細胞を標識するためにPCNAを,上皮分化を標識するためにCK14とCK13を,基底膜を標識するためにType IV collagenを,ランゲルハンス細胞とメラニン産生細胞を標識するためにS-100を,そしてメルケル細胞を標識するためにCK20を用いた。その結果,術後14日目に創部は完全に上皮に被覆されていた。CK14,とCK13の染色では,上皮の分化は21日までに辺縁部および中央部とも完全には再生しなかった。Type IV collagenは,14と21日例の中央部でいくつかの部にのみ観察できた。S-100,CK20陽性細胞は,21日まで辺縁部および中央部を問わず術後観察されることはなかった。以上の結果より,口蓋の創傷の治癒は肉眼的に治癒が完成していても,上皮の分化や基底膜の再生にはより多くの時間が必要であることが示唆された。
    ランゲルハンス細胞による免疫機能やメラニン産生細胞による防御機構は再生せず,メルケル細胞による感覚機能は少なくとも術後21日までは減少していることが示唆された。
  • 吉田 将律, 吉川 博政, 福元 俊輔, 樋口 崇
    2010 年 16 巻 1 号 p. 10-16
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル フリー
    目的:白血病治療時の口腔管理を行うため,治療時の口内炎出現頻度,時期と化学療法との関連について調査した。対象および方法:対象は2002年4月~2006年3月の4年間に当院血液内科での急性骨髄性白血病治療中に当科を受診した26名である。当院血液内科,当科診療録を基に,化学療法の治療目的,抗白血病薬,口内炎出現の有無,白血球数と口内炎出現時期について調査した。結果:口内炎は26名中19名に出現し,化学療法の治療目的別では造血幹細胞移植療法が寛解導入療法,寛解後療法に対して口内炎出現頻度が高かった。使用された抗白血病薬は16種類であった。化学療法は単剤投与が6種類で,併用療法は21の組み合わせで行われていた。白血球数と口内炎出現時期には相関関係は認められなかった。結論:白血病の化学療法時の口内炎出現頻度は高く,特に造血幹細胞移植療法で高かったことから,歯科医師の積極的な介入の必要性が確認された。
  • ―少量多分割投与療法による多汗軽減の可能性―
    岩渕 博史, 岩渕 絵美, 内山 公男, 藤林 孝司
    2010 年 16 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル フリー
    ピロカルピン塩酸塩は優れた有効性を示す一方,多汗が多く投与中止せざるを得ないことも少なくない。本研究では多汗を軽減するため1回投与量を減らし1日4回内服させる少量多分割療法について検討した。試験はピロカルピン塩酸塩を1回量5mgで1日2回1か月以上投与されているシェーグレン症候群症例中,中等度以上の多汗が発現した20例にピロカルピン塩酸塩を1回量2.5mgで1日4回4週間投与し,少量多分割療法開始前後で自他覚所見と副作用を比較した。多汗の発現率と症状の強さは少量多分割法開始後に有意(p=0.035,p=0.000)に低下した。また,口腔乾燥感は少量多分割療法開始後で有意(p=0.011)に低下したが,唾液分泌量は少量多分割療法開始前後で変化はみられなかった。
症例報告
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