IT技術が向上し, 我々は個人レベルでも非常に多くの情報を速やかに入手可能となったが, それでもなお, 得られる情報量には限界がある。薬剤師は常に正確な情報を求め, より良い医療のために貢献しなければならないが, 情報の種類によっては, 質まで保証された真に有益なものを得ることが難しい場合があり, その1例として, 妊娠中の薬剤使用に関する安全性の情報があげられる。ネット上の検索サイトを利用すれば, 誰でもある程度の検索が可能だが, 検索結果の多くは不確かな情報である。不確かな情報をもとに, 患者が誤った判断をしかねないような状況にあることは非常に残念なことである。このような状況の中, 2005年10月に「妊娠と薬情報センター」が設立された。最新の情報を収集・評価して患者からの相談に応じながら, 妊娠転帰の情報を集積しデータベース化して報告していくことが目的であり, 将来的には添付文書の改訂までつなげたいと考えている。本稿では妊娠と薬情報センターにおける現在の取り組みと今後の展望を紹介し, 妊娠と薬に関する情報を例にあげて情報収集問題点について考える。
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