AIの発達は,インフォプロおよび図書館員の仕事および存在に大きな影響を与える。本稿では,情報検索が日常的な営為となり,AIが先導する高度情報社会の特徴をさぐる。その上で,そうした環境変化の中でどのように自らの優位性を保持して行けば,今後の社会の中でインフォプロ等が名誉ある地位を占めることができるかについて述べる。鍵となるのは,流通する情報の性格やそこで起こる問題に対して,インフォプロ等がこれまで培ってきた能力や経験をいかにマッチさせるかという点である。
クラリベイト・アナリティクスの学術情報事業部門の前身であるISI社の創成期に,Dr. Eugene Garfieldが産み出した製品とその時代背景について述べる。Current Contentsが最初に作られたエピソードとCitation Indexが誕生した舞台裏には,Dr. GarfieldとDr. Lederbergの書簡のやりとりがあった。Dr. Garfieldが起こしたイノベーションの発展の重要なきっかけには,製薬企業のライブラリアンや生命科学の研究者たちのバックアップがあった。
オープンサイエンスの推進と研究公正の確保を背景として,研究データ管理が注目を集めつつある。日本においても,国や政府機関による政策面での議論は活発に行われているが,研究の現場である大学や研究機関では,組織的な研究データ管理は全く手つかずの状態といってよい。こうした状況を改善し,日本の学術機関に研究データ管理を定着させていくためには,①大学としての研究データポリシーの策定,②基盤的な共通システムの整備,③人材育成という3つの取り組みが不可欠である。本稿では,以上の3つの取り組みの状況を概観し,取り組みを進めるためには,組織体制の整備が重要であることを指摘する。
創薬における「発明工程」ともいえる探索研究には概ね5年もの歳月ならびに2,500もの化合物合成と薬理評価が必要といわれている。我々Exscientiaは,この前提条件に立ち向かいAI創薬による研究効率の改善を実現する世界的先駆者と自負している。我々の総合的なAI創薬プラットフォームは,探索研究段階を期間にして1年,そして化合物数にして400未満で達成することを実証している。Centaur ChemistTMとは,AIによるドラッグデザインと人による戦略思考を融合させたExscientiaの中核プラットフォームである。Centaur ChemistTMの概要とCNSおよびがん免疫領域での研究成果を紹介する。