人口学研究
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51 巻
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表紙・目次
研究ノート
  • 飯塚 健太
    原稿種別: 本文
    2015 年 51 巻 p. 1-17
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    本研究は移動モデルの違い(単地域モデルと多地域モデル)が日本の地域別将来人口推計にもたらす違いを比較するとともに,その結果から得られる応用可能性を考察した。比較検証により,1995年から2000年の都道府県別人口静態・動態統計を用いた推計では期間中仮定値を一定とした場合,総合的には,単地域モデルよりも多地域モデルによる推計のほうが若干ではあるが推計の当てはまりが良い結果となった。但し,年齢階級別または地域別に比較した場合には,モデルの優劣に画一的な判断結果は得られなかったが,地域別に見た場合,単地域モデルは比較的人口規模が多い地域で当てはまりがよく,多地域モデルの場合には,人口流動数が比較的少ない地域への当てはまりが良いという傾向が認められた。次に,それぞれの移動モデルが推計結果へ与える影響の特性を利用し,二つのモデルを組み合わせた複合モデルによる推計を行った。その結果,先の単地域モデル,多地域モデル単独による推計結果よりも当てはまりが良くなり,特に多地域モデルと年齢階級別の比較を行った場合,全ての階級において当てはまりが改善した。これらの結果は,将来の人口移動傾向がある程度予測可能な条件のもとで,多地域モデルを応用して将来推計に用いることで,我が国の人口推計において現在一般的に用いられている単地域モデルよりも高精度の地域推計が可能になることを示唆する。
  • 丸山 洋平
    原稿種別: 本文
    2015 年 51 巻 p. 19-31
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    人口減少対策や地方創生の潮流の中で,各自治体は政策形成過程において国立社会保障・人口問題研究所が公表する将来推計人口を利用するとともに,独自の将来人口推計も実施し,利用している。前者には地域別将来推計人口の合計が先行して公表されている全国将来推計人口と一致するように補正する合計調整のプロセスがあるが,後者にはそれがない。合計調整が地域人口推計結果にどう影響するのか,その影響は推計結果を利用する上で注意を要するほどであるのかという視点が本研究の問題意識である。本稿では,基準人口と将来純移動率の設定による4ケース別,全国将来推計人口との合計調整の有無別に,コーホート要因法によって都道府県別将来人口を推計し,それらの比較から合計調整が推計結果に与える影響を分析した。分析の結果,推計基準年と将来純移動率が異なると,合計調整による乖離率の大きさと符号には違いが見られ,常に同様の乖離が生じるわけではないことが確認された。また合計調整による乖離数は,人口規模の大きい都道府県で無視できない大きさになっている。さらに非大都市圏の道県では,直近の純移動率が維持されるとした推計値(合計調整なし)と直近の純移動率が縮小するとした推計値(合計調整あり)とで,後者の総人口の方が小さくなるというケースが多数見られた。合計調整の存在を認識していない場合,純移動率の仮定と推計結果との関係を誤認する恐れがあり,合計調整が推計結果に与える影響について広く情報を提供することは意味があると考えられる。
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