2006年10月に大型の低気圧が本州から北海道の太平洋沿岸を通過し,既往最大の潮位上昇を伴う高波浪が鹿島灘に来襲した.この荒天により,鹿島灘全域(大洗港~鹿島港~利根川河口,海岸延長約68km)で侵食があり,潮位上昇に伴い,後浜領域に大規模な侵食が見られた.航空レーザ計測地形データを用い,前浜・後浜域から砂丘部にかけての侵食状況を調べた.鹿島灘北部(海岸延長約38km)の侵食量はおおよそ620,000m
3,南部(海岸延長約15km)の侵食量はおおよそ600,000m
3であった.北部,南部の侵食量分布はそれぞれの領域で北から南に向かって減少する分布となっていた.ヘッドランドが設置されている区間の侵食量は,個々のヘッドランドの南側(波下側:荒天中に発達していたと考えられる沿岸流,沿岸漂砂の下流側)で大きく,北側で小さかった.
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