本稿では低温な自然熱源では融雪用放熱管のかぶりを7cmから4cmにすると最大残雪深は約半分になる事例を最初に示した.次に,輪荷重走行載荷試験と3次元有限要素法の解析から,かぶり3.5cmと浅く放熱管を埋設しても放熱管の影響は版厚換算で2%程度の影響にすぎないことを示した.ついで,放熱管をコンクリート舗装表面から浅い位置に埋設し,かつ連続鉄筋敷設で乾燥収縮目地を無くすことで鋼管放熱管を曲げずに直線的に長く設置する構造とした.そこでは,放熱管上面までは通常コンクリートで,その上に膨張材,鋼繊維など混入のコンクリートを"WET ON WET"で打設した.こうした舗装と放熱管の融合で,経済的で耐久性と融雪能力の高い設計・施工を実現した.
本論文は,スケーリングの進行性に及ぼす凍結融解前の暴露環境の影響について整理したものである.細孔の含水状態に着目し,湿潤養生日数,気中静置日数,気中静置後の再吸水日数の3因子を実験パラメータに選定してASTM C 672に準じた一面凍結融解試験を行い,スケーリングの進行性に関する実験的・解析的な考察を行った.スケーリング促進の危険性はコンクリートの弾性係数とコンクリートの表層で生じる凍結圧勾配とのバランスに強く依存することがわかった.さらに,得られた知見をもとに,スケーリングの進行性に及ぼす凍結融解前の環境の影響についての照査フローを作成した.