東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故から2020年3月で9年が経過した。本研究では、避難者の生活の
現状や健康状態における課題を明らかにし、県外での避難を継続させるためにどのような支援をするべきか考察す
ることを目的としたアンケート調査を行った。対象者は福島県から首都圏に避難を継続中の方とした。各自治体の
協力を得て4,255部配布し、476部回収した。生活状況について、経済的に困っていると回答した人が44.2%、仕事に
対して不満を感じている人が38.0%、家族関係を不満に感じている人が23.6%、現在居住する地域での友人関係を持
たない人が38.3%、避難していることで嫌な経験をした人が45.7%であった。また、生活状況や他者との関りが主観
的健康感やメンタルヘルスに影響を及ぼしていることが明らかとなった。今後、メンタルヘルスの悪化がみられる
ハイリスク群には、個別具体的な支援を継続させていくことが重要である。さらに避難先において「相談相手がい
ない」、「地域から孤立している」と回答した避難者には、社会参加を行うきっかけとなる支援が必要である。
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