商業とマーケティングの対立とは,商業とマーケティングの基本的性格における対立を意味し,それに基づいて製造企業による商業の制限としてのチャネル管理の目的が説明されてきた。ただし,商業とマーケティングの基本的性格が対立的に交錯することで生じる流通の課題は,小売企業も競合企業に対する差別化を行うことを考えると,チャネル管理のみならず,小売市場競争や小売企業戦略の意思決定においても確認することができる。本稿では,商業とマーケティングの対立が小売市場競争や小売企業戦略にどのように現れるかを示したうえで,情報化のもとでの小売企業行動の特徴が商業とマーケティングの基本的性格によって,いかに規定されるかを概念的に説明するものである。
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