サービス・リカバリー(i.e.苦情対応)経験は,従業員にとってどのような意義を持つのだろうか。この問いに取り組むことは,従業員のサービス品質や消費者の苦情行動など,サービス・マーケティング研究の諸領域に示唆をもたらすと考えられる。そこで本稿では,有職者を対象とするデータを用いて,従業員がサービス・リカバリー経験をどのように認識しているのか,その経験をきっかけとしてどのような変化が生じているのかを探索した。分析の結果,サービス・リカバリー経験に対する認識に関しては「離職意図」「顧客態度への批判」「良好な関係構築」という3因子が抽出された。これらのうち,サービス・リカバリーに際して顧客との「良好な関係構築」を意識することが,サービス・リカバリー・パフォーマンスの向上という「職業人としての成長」や,「消費者としての意識変化」に寄与していることなどが明らかになった。
流通業者による注文量や費用削減投資に先立って,垂直的取引関係にある生産者と複数の流通業者との間での交渉によって出荷価格とフランチャイズ料が設定される場合,各流通業者の投資水準や注文量はチャネルの利潤を最大にする水準に設定される。また,生産者が流通業者の数を選択可能であれば,彼は1人の流通業者と交渉する。というのは,流通業者が多くなると彼らの投資が減り,流通市場のパフォーマンスは悪くなるからである。
戦略経営分野のトップ・ジャーナルの1つであるStrategic Management Journalにおいて,現在,レプリケーション研究や結果なしの研究が歓迎され掲載されるようになっている。また,2016年,ハイクオリティなレプリケーション研究を行うためのガイドラインも示された。そこで本稿では,その議論を踏まえた上で,マーケティング・チャネルに関する1つの研究を例として用いながら,レプリケーション研究の1つの方法・手順を整理して示す。本稿の内容は,日本のマーケティング研究者が今後,レプリケーション研究を行うにあたって,1つの道標となるであろう。
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら